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INTERVIEW

2023.12.08

アニメ劇伴におけるMONACAの新境地を開拓!チームでの制作から生まれる化学反応を語る――TVアニメ『カミエラビ』音楽:MONACA(岡部啓一、広川恵一、高橋邦幸、オリバー・グッド、井上馨太)座談会

アニメ劇伴におけるMONACAの新境地を開拓!チームでの制作から生まれる化学反応を語る――TVアニメ『カミエラビ』音楽:MONACA(岡部啓一、広川恵一、高橋邦幸、オリバー・グッド、井上馨太)座談会

チームで音楽制作をすることで生まれる化学反応

――では続いて、オリバーさん、お願いします。

オリバー・グッド 参加させていただくときに、ほかの皆さんと被らないというか、私が何を持っていけるかを考えました。そこで、メロとか和声で感情を呼び起こすというよりも、この音色でどういう気持ちにさせるかどうかを中心に作っていくことにしたんです。僕は音数が少なめの曲を担当しているので、そのなかでこの感情を生かすにはどの音色がいいか。例えば、M18はガスマスクの能力曲なんですけど、そこには「爆発音が乗るような」とありましたので、アグレッシブなサウンドをリズミカルにして攻めつつ、音を引いていった感じですね。

オリバー・グッド

オリバー・グッド

――少ない音数で作っていくのは難しい?

オリバー 難しさは多いときも少ないときも両方ともあると思うんですけど、これは新しいアプローチだなと。例えばピアノだけであればまた違う表現もあるでしょうけれども、こうした馴染みのない音で音数を少なくすると、不安感もあるし引っかかるとこあるんじゃないかなと。ほかの作家は和声で聴かせるなか、「これは本当に曲なのかな?」みたいな音で表現するのが自分の役割であるということを意識しました。

――井上さんはいかがでしたか?

井上馨太 僕も岡部さんから最初に「思い切り攻めていい」と言われたので、これはご褒美だなと思いました(笑)。自分はまだ経験も浅いので、強みというものはまだ自分でも把握しきれていないところはあるのですが、ホラー曲みたいな気持ち悪い曲がとても好きなので、この作品はそうした楽曲が揃っていたので楽しみながら作っていきました。M14の「ホノカ バトル 謝肉祭」は、ホラーテイストにEDMみたいな感じなのですが、ホノカがこの能力を使うときに、生肉をグシャッと潰すので、そういったアクションを要素として曲に入れたいなと思い、打ち込みっぽくない生々しい音もドラムに混ぜたり、笑い声を薄く入れ、SEとBGMの間みたいな感じにしてホラーテイストを出しています。先ほども岡部さんが話されたように、MONACAのアニメ劇伴では珍しいテイストなのですが、実は皆さんこういうのも得意だったので、その良さがとてもよく出てる劇伴だなと思います。

岡部 オリバーや井上が持っていた「広川さんって歌モノではこういう曲を作るよね」というイメージに対して、劇伴を手がけるとどうなるか、同じプロジェクトに携わることで、色々と学べることもあったと思います。

井上馨太

井上馨太

――井上さんとオリバーさんは先輩の皆さんの新たな側面であったり、発見したことは?

オリバー このメンバーでこういった劇伴を作ることはほとんどなかったので、ラフやデモの音源を聴いたときには、たしかに岡部さんがおっしゃるような「新しい引き出し」を発見した感じがありましたね。先輩たちのその一面をリスペクトしつつ、そのうえで自分をどう表現すればいいか、違う方向で考えてみようと考えを巡らせたことが大きな経験になりました。

井上 劇伴を作るときに、自分の担当ではない曲であっても、どういう曲にしようかとある程度考えたりするのですが、実際に担当の方の音源を聴くと「こういうアプローチもあったんだ」という気づきを覚えたりします。それがチームで作るうえでの意味だと思います。今回の『カミエラビ』はそれが特に強かったので、大きな学びを得ることができました。

――先輩の皆さんはいかがでしたか?若手の方たちの音源を聴いてのご感想であったり、チームとして今回取り組んでみてのご感想をいただければと思います。

高橋 アニメの劇伴では井上くんとオリバーくんと一緒に作ったのは今回が初めてだったんです。井上くんには以前から「尖った音使ってるなー」と感じていましたが、「攻める」というお題になったときに存分にそれを出してきました。オリバーくんは個人的にはストリングスの音の印象が強くて、やっぱり学んできた環境も大きく違うからなのか、良い感じの湿り気がある弦を書くなと思っていたので、今回一緒にできて改めて良いなーと感じました。

広川 年上チームからしても、下の代が作るものから刺激を受けることはもちろんあります。それも含めて、2023年に取り組んだプロジェクトとして後々になっても非常に印象深い作品になったと思いますね。現在はアニメ作品も、劇伴音楽も非常に数が多いなかで、「MONACAは一味違うものを出してくる」と思っていただけるような音楽を世に出せたという意味で、意義深い作品になったんじゃないかなと。

――最後に岡部さんからこの作品におけるMONACAサウンドとしての聴きどころを教えてください。

岡部 今までの話にも出てきましたが、アニメ作品でMONACAを知っていただいた方、逆にゲームの方で知っていただいている方にとって、今回の『カミエラビ』では、それぞれのカラーを出しながらも、どちらでもなく、かつ今までの作品よりも尖った強いサウンドになったと思います。これをきっかけに新しいMONACAの側面を見てもらえる良いきっかけになったと思いますし、これくらい大勢のメンバーで携われるプロジェクトも珍しいので、MONACAとしての幅の広さとそれぞれの尖ったサウンドの両方を楽しんでいただければと思います。


●作品情報
TVアニメ『カミエラビ』

<イントロダクション>
原案:ヨコオタロウ×脚本:じん×キャラクターデザイン:大久保篤×監督:瀬下寛之
稀代のクリエイター達による完全オリジナルTVアニメが登場!

大ヒットゲーム「NieR:Automata」のディレクターとして世界に絶望と感動を与え続けるヨコオタロウ。そのヨコオの驚くべき発想の数々に呼応したクリエイターが結集。これまで多くの少年少女たちを虜にしてきたじん(「カゲロウプロジェクト」)が脚本を手掛け、魂を。ヒット作を連発する漫画家大久保篤(「炎炎ノ消防隊」「ソウルイーター」)がキャラクターデザイナーとして肉体を。そして、ビジュアル表現の最先端を切り拓いてきた瀬下寛之(「シドニアの騎士」や「BLAME!」)がその生まれたてのカタマリに、圧倒的な生命力を与える。
2023年の終わりに「カミエラビ」が始動する。

<ストーリー>
「神様、世界は今日も健やかに狂っています。」
都内私立高校に通う高校一年生のゴローには、「望み」や「夢」もなければ「野望」もない。
世界は彼にとって「無関心」なものであり、同じ学校の同級生であるホノカに淡い憧れを抱きながら、親友のアキツと変わり映えのしない退屈な日常を過ごしていた。
そんなある日、ゴローのスマートフォンに奇妙な通知が届く。
「あなたは選ばれました。願いを吹き込んでください」
悪質なスパムだと思ったゴローは「憧れのホノカとエッチなことがしたい」とつぶやく。すると翌日ホノカに誘われ、人気のないゲーセンでズボンを降ろされて…。
「大願成就、おめでとうございや~す!」
そこに突如現れた不思議な少女ラル。一連の出来事に混乱するゴローに、残酷な運命を告げる。
ゴローは「大いなる意志」に選ばれ、願いを叶えるため「神様」の座をかけて、他のカミサマ候補たちと最後の一人になるまで殺しあうのだと。
与えられた能力は「愚者の聖典」。自分自身に降りかかる「不幸」を代償に、世界の因果を捻じ曲げ、この世の理を自在に操る力。
真っ先にゴローを殺そうと現れた最初のカミサマ候補は、あろうことか憧れのホノカだった。
容赦なく襲い掛かってくるホノカに対して、ゴローがとった選択とは―?
かくして、秘密を抱えたカミサマ候補達によるフェティッシュ・バトルロワイヤルが開幕する――!

【スタッフ】
原案:ヨコオタロウ
監督:瀬下寛之
副監督:井手恵介/石間祐一/りょーちも
シリーズ構成・脚本:じん
キャラクターデザイン:大久保篤
アニメーションキャラクターデザイン:山中純子/もりやまゆうき
プロダクションデザイン:田中直哉/フェルディナンド・パトゥリ
造形監督/光画監督:片塰満則
モーショングラフィックデザイン:佐藤晋哉
神器デザイン:帆足タケヒコ
アニメーションディレクター:得丸尚人
CGスーパーバイザー:鮎川浩和/菅井 進/前田 哲生/永源一樹
美術監督:芳野満雄/松本吉勝/宍戸太一
音響監督:山口貴之
音楽:MONACA
オープニングテーマ:ELAIZA「スクラップ&ビルド」
エンディングテーマ:Alisa「Bleed My Heart」
アニメーション制作:UNEND
企画・プロデュース:スロウカーブ

【キャスト】
ゴロー:浦 和希
ホノカ:松本沙羅
アキツ:内田修一
チカ:阿部菜摘子
コウキ:梶原岳人
イヨ:楠木ともり
ミツコ:ファイルーズあい
タツヤ:新 祐樹
ラル:佐倉綾音

©カミエラビ製作委員会

関連リンク

MONACA 公式サイト
https://monaca.jp/

TVアニメ『カミエラビ』公式サイト
https://kamierabi.com/

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