Myukが描く、相手を思うがゆえの孤独と優しさ。アニメ『豚のレバーは加熱しろ』書き下ろしEDテーマ「ひとりじゃないよ」へ込めたメッセージを語る

物語の語り部のように歌を歌っていきたい

――Myukさんは来年の予定も盛りだくさんで、まずは1月24日に1stアルバム『Arcana』がリリースされます。こちらはどのような内容になりそうでしょうか。

Myuk　Myukの1つの集大成みたいな位置づけのアルバムになると思います。色んなアーティストさん、クリエイターさんとコラボレーションをしたり、楽曲提供をしていただくなかで、本当に様々なジャンルの曲を歌わせてもらって、歌の表現の奥深さに気づけて。自分がどんな歌を表現していきたいかを考えたとき、物語の語り部のように歌を歌っていきたいという気持ちがあったんですよね。「Arcana」という言葉はラテン語で「箱舟」や「入れ物」という意味で、物語の風景や人の記憶を運んでいくような存在になりたいという想いからタイトルにしたんです。今までのものを大事にしながら、少し変化も感じていただける素敵な作品になりそうなので、楽しみにしていただきたいです。

――そして、リリースの3日後の1月27日には、“リスアニ！LIVE 2024”への出演が決定しています。

Myuk　イベント自体も以前より存じ上げていましたし、音楽をやっていたら誰もが目指すであろう、伝統ある日本武道館という会場のステージに立たせてもらうのは、今でも本当に信じられないような気持ちで……。日本武道館にライブを観に行くことはあったので、「いつか自分もここに立ちたい」という気持ちはあったんですけど、今回このような機会をいただけてすごくありがたいですし、嬉しい気持ちでいっぱいです。

――大きな会場で歌うことにはどんな醍醐味がありますか？

Myuk　私が普段やっているような、雰囲気のあるアットホームな場所でミニマムに歌って気持ちを繋いで音楽を共有できる空間も大好きなんですけど、同じくらい野外や広い空間が好きです。木が生い茂っていたり、遠くの空や原っぱの先を見渡せたり、そこに向かって声が響いていく感覚はとても気持ち良くて。でもどんな規模の会場でも、1人1人に向けて届けることは変わらないと思っています。自分のありのままで、今までやってきた気持ちのまま臨みたいです。でも武道館はどういう声の響き方なんだろう……すごく気になりますね。響き方は会場によって全然違うので、それはドキドキする点でもあり、一番楽しみたい部分でもあります。普段のライブのように、自分なりの歌の表現や届け方をしたいですね。

――楽しみにしています！2月上旬には全国4ヵ所でリリースツアー“concert tour 2024 「Arcana」”を行うということで。

Myuk　アルバムのコンセプトと同じく、曲の物語を船で運んで、届けるようなライブにできたらと思っています。“Knockin’ On Night Door Vol.5”に引き続きフルバンド編成でお届けできる予定なので、みんなと車で移動するのも初めてだし、すごく楽しみですね。また1つ成長した姿を見せられるツアーにしたらしていけたらなと思います。

――Myukさんは“Knockin’ On Night Door Vol.5”然り、今回のお話然り、ライブでも制作でもファンタジーとリアリティを同時に表現することを追求なさっているのかなと思いました。

Myuk 　はい、それはすごく大きいです。「愛の唄」や「フェイクファーワルツ」もおとぎ話をテーマにしていたり、ファンタジー要素とリアリティは楽曲の核にしたいんですよね。だから『豚レバ』や『北極百貨店のコンシェルジュさん』のような、ファンタジックでもあり現代社会にも通ずる物語のテーマソングに関わらせていただけることは本当に光栄で。幸せだなと思います。

――2023年は「Myukで成したいことが固まった1年」だったのかもしれないですね。

Myuk　2023年の最初に「今年はMyukを0から作り直す1年にできたらいいな」と考えていたんですけど、実際にそれができた1年だったと思います。色んな人に支えられながら、色んなことに気付かせてもらいながら、さらには『豚のレバーは加熱しろ』と『北極百貨店のコンシェルジュさん』のテーマソングの作詞をさせていただいて、たくさん貴重な経験をさせていただきました。だから2023年は、私がMyukで何を歌っていきたいのか、どんなことが得意なのかそうじゃないのか、色んなことを見極めながらMyukという木の幹を伸ばせた感覚があって。だから2024年は、その幹を太くして色々な枝葉をつけていける1年にしたいんです。大きな木を目指して少しずつ、もっと成長していきたいです。

●リリース情報
Myuk
「ひとりじゃないよ」
発売中