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INTERVIEW

2023.12.09

【連載】ミュージックレイン発音楽アーティストマネジメントチーム「MiCLOVER」、“MiCLOVER FES.2024”開催記念インタビュー 第6回:somei

【連載】ミュージックレイン発音楽アーティストマネジメントチーム「MiCLOVER」、“MiCLOVER FES.2024”開催記念インタビュー 第6回:somei

ミュージックレイン発の、新たな音楽マネジメントチーム「MiCLOVER」が始動!2024年1月7日には初のライブイベント“LAWSON premium event MiCLOVER FES. 2024”の開催も決定している。MiCLOVERのアーティストたちが続々と登場し、音楽プロデューサー兼音楽評論家の冨田明宏がその魅力に迫っていくこの連載も第6回目。今回はTVアニメ『デキる猫は今日も憂鬱』OPテーマ「憂う門には福来たる」で今年デビューしたシンガーソングライターのsomeiが登場!ミュージックレインからのデビューが突然決まったという彼女の心境はいかに――?

【連載】ミュージックレイン発音楽アーティストマネジメントチーム「MiCLOVER」、“MiCLOVER FES. 2024”開催記念インタビュー

INTERVIEW BY 冨田明宏
TEXT BY 金子光晴
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子

シンガーソングライターへの憧れは母がきっかけ

冨田明宏 そもそも、someiさんがシンガーソングライターに憧れたきっかけはなんだったんですか?

somei 母の出演しているライブを観に行ったときに“歌手”という概念を知ったことがきっかけですね。

冨田 おいくつくらいのときですか?

somei 小学校1年生くらいのときですね。それより前から歌というものを知りたいと思っていたんですけど、幼稚園のときは8時に就寝させられていたんですよ。おじいちゃんとおばあちゃんと一緒に住んでいたんですけど、テレビがおじいちゃんとおばあちゃんの部屋にしかなくて、テレビが観られる時間が6時半くらいまでで。だいたい音楽番組が始まるのって8時以降からじゃないですか。こども番組の中で歌っているのを観るしかなかったんですが、そういうテレビ番組で歌う人になりたいと漠然と思っていたんです。

冨田 こども番組でいうと、例えば「天才てれびくん」とか?

somei まさにそうです!幼稚園の卒園文集に「てれび戦士になりたい」って書いてました(笑)。

冨田 それが最初のきっかけで、小1のときにお母様がライブに出演している姿を見たわけですね。

somei そうですね。母は琴を弾いていたんですけど、ボーカルの方が別にいて、その方を見て「歌手になりたい!」って。

冨田 そうだったんですね。そしてお母様は琴を……どんな音楽ジャンルだったんですか?

somei すごく変わっていて、色んな楽器が混ざり合ったライブだったんです。そのときにいたのは、ギターとフルートと三味線と琴とコンガとかのパーカッション。

冨田 多国籍でかっこいい!そこからは?

somei ピアノと琴とバレエをずっと習っていたんですけど、小学校3年生のときに歌って踊れる職業があるとミュージカルを観て知ったんですよ。それで、ミュージカルの子役のオーディションを受けて、落ちて、まず打ち砕かれるんですけど(笑)。それからも同じようなオーディションや歌手のオーディションを受けたりして、小学校5年生のときに「弾き語りをしたいからギターがほしい」ってサンタさんに手紙を書いて、プレゼントしてもらったんです。

冨田 “サンタさんの代理人”であるご両親からすると、音楽に興味を持ってくれて嬉しかったでしょうね。

somei そうだったと思います。父も母も音楽をやっているので。

冨田 ミュージカルは何を観たんですか?

somei 初めて観たのは劇団四季の「キャッツ」でした。踊るし、めっちゃ歌うしで。

冨田 結構激しいですよね。それを観て、とにかく歌って何かを表現したいという想いがあったわけですね。それでギターがやってきた。最初に弾いた曲って覚えてますか?

somei アニメにも専らハマっていた時期だったので、『けいおん!』とか『Angel Beats!』のスコアを買って、「ふわふわ時間」とかを弾いてました(笑)。

冨田 実は『Angel Beats!』のガルデモのアルバム『Keep The Beats!』の解説、僕が書いてるんですよ(笑)。あれからも13年ですもんね。

somei そうなんですか!?LiSAさんが大好きで、『Angel Beats!』からLiSAッ子まっしぐらです。あとはディズニーチャンネルでやっていたドラマにハマっていて、マイリー・サイラスが好きでした。英語なんですけど、お父さんに教えてもらって、見よう見まねで弾き語りをしてましたね。

冨田 確かにマイリーもギター女子ですね。周りに趣味の合う人っていましたか?

somei いなかったです。アニメが好きな子はたくさんいたんですけど、音楽をやりたいという子はなかなかいなくて。それで両親や両親の友達とアニソンバンドを始めたんです。

冨田 どんな曲をやってたんですか?

somei 『けいおん!』とか『創聖のアクエリオン』とか『エヴァンゲリオン』とかでした。

冨田 最高の環境ですね。そこから自分でオリジナル曲を作るきっかけってなんだったんですか?

somei ライブを1人でさせていただくことになったんですが、オリジナル曲があるというのが前提としてあったんですね。作曲自体は見よう見まねで始めてはいたんですけど、実際にやらなきゃ!となったきっかけはソロライブでした。

冨田 それはいつ頃の話ですか?

somei 中学に入った頃です。

冨田 だいぶ早いですね。最初に作ったのはどんな曲だったんですか?

somei ものすごく暗い曲でした(笑)。アップテンポなんだけど、言ってることは暗いしマイナーで。それがかっこいいと思ってたのかもしれないですね。

冨田 そして、ご両親の影響で古い洋楽、ウェストコースト・ロックのイーグルスとかクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングなどにハマっていったということですが、もう一度聞きますけど友達とはなかなか共有しづらい趣味ですよね(笑)。

somei 中学まではそうでしたね(笑)。高校に入ってからはちょっと変わった高校だったので、自分の趣味も好きだよという人が結構いてびっくりしました。部活も音楽部というグリークラブみたいなものだったんですけど、そこでイーグルスのホテカリ(「ホテル・カリフォルニア」)を流してたらいっしょにノってくれる子がいて、「知ってるんだ!」って。

冨田 へぇー!そこで趣味の話ができる友達ができて、自分で曲を作って歌うようになったわけですね。

「リスアニ!は創刊号から読んでました」

冨田 そして、ミュージックレインの「MiCLOVER」に所属になりましたが、個人の活動からいわゆるメジャーな活動になったのはどういうお気持ちでしたか?

somei あんまりデビューまでのグラデーションがなかったので、急に変化した感じでした。オーディションで決まったのもすごく急だったんですけど、そこから生活が変わってきて。それまでライブも年間50本くらいやっていたんですけど、それは一度辞めようとストップがかかって音楽制作をすることになりました。オーディションに受かったとはいっても、これから大きな場所でライブをしても自分の音楽を聴きにきてくれる人はいるのかな?って不安がすごくあって。

冨田 でも、オーディションに受かって活動が始まって、今はアニメの主題歌でsomeiさんの楽曲が流れてるじゃないですか。それはどのようにご覧になってますか?

somei それも、まったく実感がなくて(笑)。もし、自分のライブに少しずつお客さんが増えていって、「アニメの主題歌が決まりました!」っていうキレイなグラデーションになっていたら、もっと実感があるのかもしれないですけど、オーディションから急に「アニメタイアップ決まりました!メジャーデビューです!」になって、気づいたら「アニメで自分の曲が流れてる!?」という感じなんですよ。ずーっと実感のないままで不安だし、リリースイベントもあるんですけど、お客さん本当に来てくれるのかな……って。

冨田 今はSNSやYouTubeでリアクションがたくさんあると思うんですけど、それをご覧になっていかがでしたか?

somei そこでやっと実感というか、「届いてるんだ」と感じました。自分の伝えたかったことを読み取ってくれた方がコメントしてくださるので、すごく温かい気持ちになりますね。

冨田 しかもコメント欄に外国語のコメントもあったりするじゃないですか。

somei アニメの力をすごく感じて、日本のアニメが世界で愛されていると思いましたし、繋がっているんだなというのを感じました。

冨田 ご自身もアニメが好きで、アニメソングのカバーをされていたわけで、今はいわば「憧れになれた」わけじゃないですか。それについての実感は?

somei それも実感がないんです……(笑)。それこそリスアニ!さんも創刊されたときから読んでるんですよ。

冨田 えっ!それはありがとうございます(笑)。

somei 自分もリスアニ!に載るのが夢だと思っていたんですけど、いざ載ってみたら想像していたのと違って、「なんでこんなに自分じゃない人みたいに見えるだろう」って思いました(笑)。

冨田 それが当事者のリアルな意見なんでしょうね。13年前のリスアニ!創刊号の表紙は『けいおん!』だったんですけど、あの頃読者だった方が、実際にアニメの主題歌を歌っているのは僕たちとしても嬉しいし、時の流れを強烈に感じますね。もしかしたら今後リリースイベントや人前で歌う機会が増えると、実感が湧いてくるのかもしれないですね。

somei ちょっとずつちょっとずつ、ですね。

次ページ:表現したかったことに気づいた瞬間

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