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REPORT

2023.12.06

パシフィコ横浜に現れた、ハートを奪い笑顔と喜びを与える5人の怪盗――“i☆Ris 11th Anniversary Live ~Heart Jack~”レポート

パシフィコ横浜に現れた、ハートを奪い笑顔と喜びを与える5人の怪盗――“i☆Ris 11th Anniversary Live ~Heart Jack~”レポート

11月26日、声優とアイドルの活動を両立するハイブリッドユニット・i☆Risが“i☆Ris 11th Anniversary Live ~Heart Jack~”を開催。タイトルどおりユニットのデビュー11周年を記念したこの日のライブは、5人が怪盗となってファンのハートをジャックするというコンセプトのもの。定番曲から最新曲、さらにはサプライズ的に初披露された楽曲まで多彩なナンバーを通じて、時に魅せと時に沸かせるステージでファンを大いに喜ばせてくれた。

TEXT BY 須永兼次

魅せるステージと生み出す熱狂が、ファンのハートを次々ジャック

ファンが開演を待つなか突然場内が暗転すると、サイレンが鳴り響きメンバーカラー5色のサーチライトが、夜の摩天楼を思わせるセットを照らす。そしてOP映像にメンバーが指名手配犯のように映し出され最後にライブロゴが表示されると、“手配犯”らしくマスカレードをつけた5人がステージに現れ、「Queens Bluff」から11周年のライブはスタートを迎える。序盤のソロパートでは、一旦仮面を外してセクシーさを滲ませながら歌唱。ウインクを織り交ぜてドキリとさせる若井友希や、外すタイミングを遅らせ、より小悪魔感を出す久保田未夢など、各々のアプローチでHeartをJackしてくれる。後半では完全に素顔になりメインステージに5人が揃い、通常どおりの振付とともに披露。次々とフォーメーションを入れ替えながら、巧みかつ艷やかなパフォーマンスを通じて、いきなりファンのハートと視線をいただきにかかる。

続く「ありえんほどフィーバー」では第一音目の瞬間、観客が一気に沸き、今度は“声”をいただきにくる形に。そのムードに後押しされてか、普段以上にクセ強めに歌われた茜屋日海夏のソロパートも良いアクセントになっていた。1サビからかなり前のめりになってファンサする芹澤 優など各メンバーの高まりも感じさせながら、4年ぶりの声出しの周年ライブで“あなたの元に逢いに来た”姿を体現。場内の一体感がさらに増していくと、歓声のレベルは「ブライトファンタジー」でもう一段上がる。この曲では1-Bメロのペアダンスで山北早紀と茜屋のペアが少々オーバー気味に踊って“遊んで”みせていたところに、「どこを見ても何かが起こっている」というi☆Risライブの面白さが早速発現。しかもそれが単なる“おふざけ”にならないのは、テンポの速いこの曲の中でもサビなどの決め所のダンスに、切れ味もダイナミックさも抜群に存在するからだろう。そしてラストは『サタデー・ナイト・フィーバー』を彷彿とさせるポーズで締め、この曲がここに置かれた意味を、さらにもう1つ感じさせる。

この日最初のMCでは、まずは4年ぶりとなるパシフィコ横浜でのレスポンスありの自己紹介。そのなかでは「きっとみんなの好きな曲、歌うと思うから!(若井)」や「曲以外にも、楽しんでいただけるちょっとしたものが(久保田)」など、この後の展開をさらに期待させる言葉も飛び出す。

その期待をさらに高めるかのように、メンバー自己紹介ソング「5STAR☆」から再び加速を始める“Heart Jack”。ファンにも浸透した1-Aメロのモンキーダンスや、アドリブ効きまくりのセリフ部分などを通じて、ステージ上の5人が楽しむ姿を見せて観客を引っ張っていく。アウトロで「今日はみんなと声出せる曲いっぱい持ってきたよ!」と若井が伝えると、その宣言どおり、頭サビ明けをはじめコール部がふんだんに盛り込まれた「ミラクル☆パラダイス」へ。その熱狂を受け止めながら、5人はキラキラ感の強いダンスと歌声を場内いっぱいに届けていく。その一方で、2サビ明けの間奏では茜屋が観客を煽ってからセンターでダンスをバシッと決めたりと、熱狂をもたらしたうえに今の自身のパワーやテクをみせる曲にもなっていた。

そして“声出しゾーン”は、さらに場内を熱狂の渦へと巻き込む「あっぱれ!馬鹿騒ぎ」へと突入。パフォーマンス中のエネルギッシュさを増しながら、随所にセリフの掛け合いやチームワーク、振付のもつコミカルさが映えるステージングを展開していく。そのうえで、1-Bなどでの山北・若井のソロの伸びは、この日も良好。特に山北は、その後もソロパートで前のめり気味になったりと、パフォーマンスからも気持ちの入りようがうかがえる。また、2サビ明けの間奏で観客を煽りまくったにもかかわらずDメロ以降の歌声にはブレも弱さもなく、この曲だけでも彼女たちの地力の凄さを十二分に感じることができた。

曲明けにはMCで山北が「こっちが先にハートブレイクしそう」と若干弱気発言で笑わせつつも、その最後には「こんなもんではございません!ここから素晴らしい空間が待っております!」と意気を上げつつ“予告”をしたところで、「FANTASTIC ILLUSION」で早速それは実行に移される。この日はDメロ明けに楽曲の流れどおりマジックを行なう流れとなり、空のアタッシュケースから受け取った人の心をメロメロにしちゃう「i☆Risの花」を出現させることに。……が、何度力を込めても花が現れず、ステージ上の似たケースを次々開けてなんとか出現させると、その花を見せに5人がなんと客席通路へ!

花をかざしながらファンの超至近距離を進んでいくと、「本当に魔法の花か、渡して試してみない?(久保田)」との提案から、間近にいたファンに手渡す大サービスも!もちろんどのファンも喜び溢れる表情をみせ、その魔力を証明していた。

さらにそのまま客席通路の中央で、「ハートビート急上昇」がスタート。目の前でコミュニケーションを取りながらパフォーマンスを繰り広げられた1階席の観客はもちろん、1サビ直前のソロでは久保田がカメラを独占して甘々にきめたり、1サビラストのソロでは山北がウインクをきめるなどして2階・3階席のファンまでもが一気にメロメロに。2コーラス目以降は、投げキッスを放ったりDメロのラストで高々とジャンプを決めたりと、芹澤の全開さも止まらない。

ラストにはメインステージで5人揃って、キュートなダンスでもしっかり魅せると、ポップでキュートなラブソング「イノセントイノベーション」へ。この曲はキュートさそのままに、縦一列から1人ずつひょこっと現れたり足の振り上げタイミングを揃えたりと、細部まで隙のない5人のステージを通じて魅せる側面強めに。息継ぎポイントも少なく歌いこなすだけでも大変なサビも含め、歌声・表情の両面でもバッチリ表現してみせた。

最新曲から定番曲まで、どこでも感じる“今のi☆Ris”の凄さ

ここで5人は一旦降壇。再びシリアスなBGMが流れて場内の空気を引き締めていくと、そこにボーカルチョップが乗っていき、5人が再登場して「Let you know!」を待望の初披露だ。リリックビデオを背負いながら、切れ味抜群のダンスをカッコよくみせていくi☆Ris。芯のある歌声を響かせながら軽やかさとしなやかさを両立させたパフォーマンスをみせた山北や、2-Bメロのしゃくりで力強さと艶っぽさを同時に表した茜屋を筆頭に、どのメンバーも楽曲にマッチするようにクセを強めにしたボーカルワークやラップ部分のフロウ、さらには披露中の表情に至るまで楽曲にマッチする挑発的な要素を上手く乗せていく。まさに“圧倒的”の3文字の似合うパフォーマンスを繰り広げ、怪盗たちはまたしてもファンのハートも視線も一気に奪う。

山北早紀

山北早紀

そんな怪盗たちが次のターゲットにしたのは「jewel」。久々の歌唱となったこの曲では、ステージ上に点在した5人が手にしたゴールドの拳銃も用いながらのスタイリッシュなパフォーマンスを展開。改めてこのライブのコンセプトに立ち返りつつ、狙い通りに魅せてハートを盗んでいく。それは続く「Spending」でも変わらない。イントロと同時に歓声が沸き上がると、さらにセクシーさを増した歌声とダンスでファンを魅了。2サビ明けのダンスタイムも、この日もパワフルかつスタイリッシュで、一瞬でも気を抜くとペンを止めて見入ってしまいそうなほどのクオリティ。“今のi☆Ris”の凄さと魅力を堪能できる3曲で、後半戦の序盤からいきなり魅せまくってくれた。

芹澤 優

芹澤 優

さて、ここで久々のMCタイム。目まぐるしく様々なことが巻き起こったこの6曲を整理していくが、その後ろでは順々に1人ずつメンバーが一旦降壇。MC中に、これは想像以上の汗の量によるものだと明かされ、華麗に魅せたパフォーマンスの凄まじさも改めて感じさせる形に。そんな一幕もあってか、「ここからはちょっと涼しくなりたい」との山北の予告を経て、「12月のSnowry」から始まるしっとり曲ゾーンへ。ダンスには麗しさを増させながら、表情も含めて心情をありありと表す芹澤や大サビでぐわっと広がってくる若井などの歌声の面からも、楽曲やその中の主人公の持つ切なさを表現していくと、“白”の世界に「Goin’on」という鮮やかな光が差し込む。この曲では、後奏までエネルギッシュさ溢れるステージングをみせた久保田に、自然と視線が向く。サビの後半でも、横一列になるために前進していく部分で誰よりも前傾になって、ファンとコミュニケーションを取り楽しんでいた。

若井友希

若井友希

こうして作られた温かな空気のなかで、山北が改めてファンへの感謝を言葉にしてから、歌われたのは「Anniversary」。この曲では5人が横一列に並んで思い思いに客席をゆっくりと見渡し、感謝の想いを届けながら歌唱。2コーラス目からはこの1年の新たな思い出を映したスクリーンを背負って、10周年を記念して生まれたこの曲の上にさらなる1ページを刻む。ラストはメンバーごとの「ありがとう」のソロを、1年前にはなかったファンのラララの大合唱がデコレーション。会場の雰囲気は、さらに温かさを増したものに。

久保田未夢

久保田未夢

歌唱後には「こういう曲が沁みるようになってきた(山北)」「11年って、普通にエモくなるよね(芹澤)」と楽曲を通じて活動の厚みを改めて感じながらも、「まだまだ新しい景色を見れると思っている」と山北が切り出すと、「オトナなコンセプトとか言ってるけど、定番曲歌わないことには終われないんだわ!」とさらにボルテージを高め、「Happy New World☆」で12年目の新しい世界に向けて出発。この曲でもソロを歌う芹澤の後ろで茜屋と若井がじゃれ合っていたり、久保田がまたもファンを指さしながら一緒に遊んだりとフリーダムさも見せつつ、観客からの凄まじいコールやジャンプも相まって着実に確実にボルテージを高めていく。そんな新しい世界で、今度は虹色に輝く夢を見つけに「ドリームパレード」を披露するi☆Ris。すでに17曲目であるにもかかわらず、激しさとテクニカルさを併せ持つこの曲のダンスでも、各々の個性を滲ませながらこなしていく。特にここでの茜屋は、1-Aメロからセンターで笑顔をきらめかせながら躍動し、無敵モードに入ったかのように一挙手一投足が自然と視線を惹きつけていく。ほかのメンバーも歌声にもダンスの連携にも安定感があり、美しくもわくわくの止まらないパフォーマンスを披露していく。

茜屋日海夏

茜屋日海夏

そして本編ラストを飾ったのは、なんと「幻想曲WONDERLAND」。普段は序盤に歌われるため驚きの声も上がってはいたが、冷静に曲順を眺めながら考えれば「新しい世界も、みんなといれば怖くない」というメッセージを読み取ることもできる、納得の構成だ。冒頭のコールなどで観客の熱量をさらに高めつつ、ステージ上のメンバーはミュージカルのようなステージを展開し、麗しいステージを展開。最後に久保田の「これからもみんなのハートをジャックしちゃうから、覚悟してね!」のセリフとともに、5色の逆光が放たれて本編は幕を下ろした。デビュー1周年を記念し生まれたこの曲に、その10年後にも、ファンと一緒に新しい道を切り開いていくという想いが込められ、届けられていった。

次ページ:12年目もこの5人は、常識をぶっ飛ばし続ける!

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