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INTERVIEW

2023.12.12

寺島拓篤、「Nameless Story」以降長くタッグを組んできた『転スラ』への想い、『転生したらスライムだった件 コリウスの夢』オープニング主題歌「ヒカリハナツ」のこだわりを語る

寺島拓篤、「Nameless Story」以降長くタッグを組んできた『転スラ』への想い、『転生したらスライムだった件 コリウスの夢』オープニング主題歌「ヒカリハナツ」のこだわりを語る

2023年、16回目の開催を迎える“Original Entertainment Paradise -おれパラ-”(以下、おれパラ)。1年の音楽活動の集大成を見せるべく、小野大輔、森久保祥太郎、鈴村健一、寺島拓篤が熱いパフォーマンスを見せる。そんな輝けるステージに、久しぶりのリリースとなった配信シングル「ヒカリハナツ」を持って臨むのは、寺島拓篤だ。11月1日より一挙配信を開始した人気アニメ『転生したらスライムだった件』シリーズの完全新作アニメーション『転生したらスライムだった件 コリウスの夢』のオープニング主題歌として書き下ろされた、ポジティブな光を放つ爽快アッパーチューンである本作。2018年放送の第1期のオープニング主題歌となった「Nameless Story」以降、長くタッグを組む『転スラ』への想い、楽曲制作時のこと、そしておれパラへの想いを余すことなく聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

アーティスト10周年の先に待っていたのは、自然体での活動だった

――昨年、10周年を高らかに歌い上げるベストアルバム『LAYERING』 で10年から先へと踏み出した寺島さん。踏み出した先にはどんな景色が見えていましたか?

寺島拓篤 良いことだとは思うのですが、力が抜けたんですよね。やる気的な意味ではなく、「あれやらなきゃこれやらなきゃ」と力が入っていくのではなく、10年やってきたことで今まで頑なになっていた気持ちをほどいてもいいのかな、という気がしていて。根底にあるものは変わらないのですが、曲がりなりにも10年、歌と作詞、そしてライブをやってきて、なんとなく自分の中で「こうしたほうがいいよな」という固定概念が凝り固まっていたこともあったと思うんです。でも、一度そういうものを無くしてみるのもいいのかな、と。普段から「ちゃんとしたい」人間なので、概念を崩すことって怖いなと思ってしまうんですよ。今まで「ちゃんと作っていこう」と思っていたことを、良い意味ではみ出したり、崩したりすることは勇気が必要ではあったのですが、「10年やってきたんだから、あえてはみだしてみよう」という気持ちになっています。

――それでも、音楽を始めたきっかけのときから持っていらっしゃるスタンスについては変わらないんですよね?

寺島 それは変わらないです。今までも「色々なことをやる」という気持ちでいましたから、今後もそのスタンスについては変わらないです。

――ずっと楽しみながら活動されていらっしゃる印象はありましたが、そのお気持ちについては10年を経ていかがですか?

寺島 ライブをやるときも作品を作るときもそうなのですが、過程が大変でも、最終的に「楽しい」が待っているので、「よし、やるか」と制作に気持ちが向かっていくことも変わらないですね。

――今「色々とやっていく」というスタンスは変わらない、というお話が出ましたが、寺島さんはいつも音楽へのアンテナを張っていて、面白いものなどを周囲に波及させていくことも多いような気がしています。最近「面白いな」と感じるのはどんな音楽ですか?

寺島 アンテナを張っているようで、実は最新のものを追いかけているわけでもないんですよね。音楽畑で生きてきた人間ではないので、単純にこだわりがないんですよ。最近は家で家事をやりながらオリエンタルな音楽を聴いています。ワールドミュージックが好きで、様々な国へ心を飛ばしているんですよね(笑)。例えば、ハワイアンミュージックを聴いているときにはココナッツの香りのハンドクリームを塗ってから家事をしたり、アラビアンな音楽を流しているときにはエスニックな香りのある香水をつけてみたりしながら、日常的に音楽と生活とを結びつけながら楽しんでいます。

――ご自身の生活の劇伴みたいですね。

寺島 そうだと思います。箇所箇所で毎日当たり前にやらなければいけないことは迫ってくるので、それを「やらなきゃいけない」というネガティブな気持ちにするよりも、「これをやっている間はこういう楽しいことが出来る」という付加価値をつけて、毎日を楽しくしていこうという感覚で。音楽を共に楽しんでいこう、という思考ですね。

「サトル」として、第1期 第1話以来の登場!

――久しぶりのリリースとなったのが、今回の配信シングル「ヒカリハナツ」です。まもなくやってくる“おれパラ”でも披露されることとなる1曲ですが、こちらの曲は完全新作アニメーション『転生したらスライムだった件 コリウスの夢』のオープニング主題歌です。『転スラ』とのタッグも久しぶりとなりますが、これまでの数々のタイアップも含めて付き合いの長くなった『転スラ』はどのような存在だと感じますか?

寺島 第一にありがたい想いですね。元々タイアップする前から好きな作品でしたし、その『転スラ』に初手から関われたことがまずありがたくて、それが今も続いている。こういうことって僕が望んで出来ることでもないですから、お声かけいただけることが本当に嬉しいです。本来、もっと色んな人の歌声で『転スラ』が彩られたら面白いだろうなという気持ちは「Nameless Story」で担当したあとにはすでにあったのですが、その思惑通りにクロエ役の田所(あずさ)くんだったり、海外から勢いのあるMindaRynさんが入ったりと仲間が増えていくなかで、三上 悟を演じる自分が楽曲提供で繋がれて、新しいものをやっていけることは本当にありがたいし、信じられない気持ちだし……なおかつ、実は大変(笑)。そんな色んな想いがありつつ、先ほどの10周年の話とも繋がりますが、今は『転スラ』自体を表すものを、前よりももっと広い視点で見つけられるようになっているんじゃないかなと思っています。

――今回は魔王になる前のリムルとコリウス王国の王位継承権の話でした。なんと大怪盗サトルとしてご出演もされました。いかがでしたか?

寺島 久々に出演しました!キャラデザを見ながら、どう表現をするか悩みましたが、そのままの三上 悟でいいですとのことだったので「わかりました」と。リムルとしてのバトルシーンもありましたが、僕が第1話で演じた三上 悟とはもう違うものになっているんですよね。そこはリムル役の岡咲(美保)さんが数年間演じてきた“リムル”を踏まえたものと、三上 悟の声を上手くミックスできたらな、ということを意識して演じさせていただきました。

――楽曲だけではなく、お芝居でも関われた今作でしたね。

寺島 これは嬉しかったですね。アフレコ現場に行って、変な緊張感がありましたもん。アフレコ現場にいるメンバーも『コリウスの夢』で初参加になる方も多かったんですよね。アスラン役の松風雅也さんとかがいらっしゃるなかで、自分はどういう立ち位置でいたらいいのかな、と。ずっと関わっているけど、まったく出ていないわけではないしな、と不思議な感覚でいました。

――今回、作曲、編曲でタッグを組まれたのはArte Refactの酒井拓也さんです。楽曲が届いたときの印象を教えてください。

寺島 『転スラ』チームからは特に注文もなく「これまでの寺島さんのオープニング感のある楽曲を自由に作ってください」とのことだったので、そのようにお願いをしました。楽曲はもう、単純に「めちゃくちゃ良い曲じゃん!」と。これを歌えるんだ、と嬉しくなりましたし、より良い楽曲にするためにも良い歌詞を書かなければ、と気合いも入りました。

次ページ:歌詞で描かれるのはコリウス王国での出来事を見つめる寺島自身の視線

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