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INTERVIEW

2023.12.05

【連載】ミュージックレイン発音楽アーティストマネジメントチーム「MiCLOVER」、“MiCLOVER FES.2024”開催記念インタビュー 第5回:小玉ひかり

【連載】ミュージックレイン発音楽アーティストマネジメントチーム「MiCLOVER」、“MiCLOVER FES.2024”開催記念インタビュー 第5回:小玉ひかり

ミュージックレイン発の、新たな音楽マネジメントチーム「MiCLOVER」が始動!2024年1月7日には初のライブイベント“LAWSON premium event MiCLOVER FES. 2024”の開催も決定している。この連載ではMiCLOVERのアーティストたちが続々と登場し、音楽プロデューサー兼音楽評論家の冨田明宏がその魅力に迫っていく。第5回はシンガーソングライターの小玉ひかりが登場! 2023年11月29日にはTVアニメ『カノジョも彼女 Season 2.』のOPテーマ「ドラマチックに恋したい」」で待望のメジャーデビュー。声優にも挑戦するなど貪欲に活動の幅を広げてきた彼女の素顔に迫っていく。

【連載】ミュージックレイン発音楽アーティストマネジメントチーム「MiCLOVER」、“MiCLOVER FES. 2024”開催記念インタビュー

INTERVIEW BY 冨田明宏
TEXT BY 金子光晴
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子

小玉ひかりの“第二章”が始まった

冨田明宏 私は千葉のNHK-FMでレギュラー番組を10年以上やっているんですが、千葉出身アーティストということで以前から「いやになっちゃった時の唄」とか「海」とか、小玉さんの曲を番組で結構かけさせてもらっていたんですよ。それだけに、最近の小玉さんの活動にすごく驚いたのですが、今年はまさに小玉さんの第二章がはじまった感じがしていて。今までの活動と現在を振り返るといかがですか?

小玉ひかり 確かにこの1年はすごく濃密で、本当に人生の第二章みたいなところはありますね。シンガーソングライターを夢見て活動してきて、アニメのタイアップでメジャーデビューが決まったんですが、なんだかすごくふわふわしていて、まだ実感がないんですよ。今まで、友達とかには「シンガーソングライターをやってるんだよね」とは言っていたんですけど、インディーズ時代は生計を立てられていたわけじゃないし、その先のメジャーデビューを目指していたので、自信がない気持ちでいっぱいだったんです。でも今回のメジャーデビューが決まったのをきっかけに、ようやく私は自信を持って「シンガーソングライター」を名乗れるなと思っていて、11月29日から生まれ変わる感じですね。

冨田 今までの活動の中で色んな可能性を見出して模索してきたことが、今年に入ってすべて結実する感じというか。

小玉 『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』のグレイス役で歌唱させていただいたのがすごく大きな経験で、今でもたくさんの方が「グレイス役の人だ」と覚えてくださっているので、点と点が繋がったというか、無駄なことは1個もなかったんだと思えて嬉しいですね。全部が必然で運命だったんだと思えるくらい、出会えた方とのご縁があって、活動を続けてきて良かったなという一言に尽きます。小学校の卒業アルバムに書いた「シンガーソングライターになってみんなを元気にする」という夢がようやく叶うかも、という気持ちです。

冨田 どこかで心が折れてしまっていたら、今の未来はないわけですよね。

小玉 実際、周りでは夢半ばで退いてしまう方もいるなかで、私の周りにはたくさん夢を見せてくれる存在がいたんですよね。ぷらそにかを始めたり、WHITEBOXというグループに所属したりして、一緒に走ってくれる仲間がいたというのが私にとっては大きいなと思っています。

冨田 小学生の頃に「シンガーソングライターになる」という夢を掲げたということですが、その夢が生まれたきっかけは?

小玉 小学2年生くらいの頃に、アンジェラ・アキさんが「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」をグランドピアノで弾き語りされている姿をテレビで見たときですね。私は4歳の頃からクラシックピアノをやっていて、音楽自体は元々好きだったんですけど、ピアノで弾き語りして「こうやって歌う方がいるんだ」という衝撃と、「作詞・作曲が書いてあるテロップに同じ名前が3つくらい並んでる!」ということにもびっくりして、お母さんに聞いたら「シンガーソングライターっていうんだよ」って。それまで歌手という淡い夢はあったんですけど、自分で曲を書いて自分で言葉を紡ぐことができるんだという衝撃があって、飽き性な私もそこからシンガーソングライターになりたいという夢だけは一度も変わることがなく、今に至るんです。自分で紡ぐ言葉だから、こんなに入ってくるのかなって。「歌うんだったら自分で書きたい」という気持ちがそこで生まれて、ここまで歩んできたという感じですね。

冨田 小玉さんの中で、歌詞にメッセージを落とし込むうえで大事にされていることってなんですか?

小玉 毎日、色んな事象があると思うんですけど、気持ちの変化をすごく大事にしていて、「どういうことがあってどうなったのか」という経過はすごくメモしています。「いやになっちゃった時の唄」も、私が「あぁもう」という言葉を言い過ぎて、その結果あの曲ができたんですけど(笑)。バラ色の人生を目指していても、実際はそんな夢みたいなことも言ってられないし、「今だけはこうさせて」という気持ちの変化をそのままストレートに描いたという感じですね。皆さんがそういう感情になったときにふと口ずさんだり、カラオケで大声で叫んでもらったりしたいなと思って書いた曲なんです。

何でも挑戦するエンターテイナーに

冨田 その一方で、近年は『Vivy』のグレイス役での歌唱や、声優としても活動されていますよね。シンガーソングライターとして自分のメッセージを持つのと、自分以外の何かになるというのはまったく違う表現活動だと思うんですが、ご自身の中ではどうお考えになられていますか?

小玉 自分の視野では見つけらなかった感情や風景を表現させていただけるのはすごく光栄なことだなと思っています。歌って、メロディと歌詞があって声で表現するものじゃないですか。その三点セットの中で、私は声を吹き込むことで完成するっていう最後のピースだと思うんですよ。ほかの方が魂込めて書いてくださったものを自分なりに表現するんだけど、自分だけの価値観だけではなくて、作品や背景を想像して歌うというのは、シンガーソングライターとはまったく違うけれど、必ず自分の活動に生きてくる仕事だと思いますね。

冨田 『絆のアリル』のクリス役で声優に挑戦されたということも、自分の中にシンガーソングライターという軸があるから、様々な経験が最終的に自分に収斂されていく感覚があるんだろうなとお話を伺っていて思いました。

小玉 そうですね。声優さんのオーディションを受けるのにあたっても、まさか自分が受かるとは思っていなかったんですけど、もし受かったら、応援してくれている皆さんが「もうシンガーソングライターじゃなくなるの?」と思ってしまうのではないかという不安はありました。でも、自分がシンガーソングライターであるという核を持っていればブレないということを最近すごく思っていて、これからも色んなことに挑戦していきたいですし、最終的に全部が小玉ひかりのパワーになっている気がします。そこから改めて、小玉ひかりとしての曲が生み出せたらいいなと思っていますね。

冨田 それができる方だからこそ、「ドラマチックに恋したい」みたいな曲が生まれるんだろうなってすごく思いますね。5年くらい前と比べたら、まったく違うアーティスト性であり作家性を披露されていますから。『カノジョも彼女』という作品と出会ったことでこの曲が生まれているのは間違いないわけで。改めて「ドラマチックに恋したい」は小玉さんにとってどういう楽曲になりましたか?

小玉 一言で言うと、納得のいく楽曲ができたなと手応えを感じています。今の自分のすべてを降り注いだ曲になっているので、余すところなく楽しんでいただきたいですね。今まで自分が挑戦できなかった部分もアニメの作品と出会うことで挑戦できましたし、作品自体はネオラブコメということで……。

冨田 だいぶ“ネオ”ですね(笑)。

小玉 リアルであったらどうしようみたいな作品ですけど(笑)。でも、私が作品を拝見したときに、ヒロインたちが直也という主人公に対して「好き」という気持ちを熱く伝えるのが素晴らしいなと思ったんです。現実世界では色んなしがらみがあって抑え込んじゃう気持ちもたくさんあると思うんですけど、自分の気持ちに嘘がつけない子たちなんだと思って。それを真っ直ぐに伝えるってなかなかできないことだし、それを伝えても直也は「ごめん、僕は○○が好きだから!」と言って止められる理性も意外とあるところが面白い作品だなと思いました。そんな女の子たちの真っ直ぐな想いを描いた楽曲になっています。

冨田 すべての登場人物が純粋さに貫かれてるから、こういう展開でも許されるみたいなところがありますよね。

小玉 そうですね。こんな展開は日常にはないと思うんですけど、曲の中で表現したかったのは「好きって気持ちに嘘をつかなくていいんだよ」ということなんです。まあ知らない人に急に「好き」って言われたら困るかもしれないけど、ある程度関係性のある人に言われる「好き」はとても尊いし、言葉にするのは大事だと思うんですよ。女の子は弱気になっちゃうことってあると思うんですけど、「強気で伝えてもいいんだぞ」ということをこの曲には込めましたね。

冨田 その気持ちがすごく伝わってきますね。楽曲的には歌心をしっかりと残しながらもダンスポップナンバーに振り切っていて、以前から小玉さんの音楽を聴いていた自分としては「こんなテクニカルな作家性を持っていたんだ」って、驚いたと同時に素晴らしいなと思いました。

小玉 嬉しいです。曲の展開の中でどこを聴いても飽きないようにしたいなと心掛けていて、どこを切り取ってもかわいくて刺激的な作品にしたいなと思っていました。私自身は初めてのことだらけだったんですけど、曲作りは楽しすぎて半日くらいで1コーラスできたんですよ。

冨田 ぁぃぁぃさんとの振り付け動画もYouTubeにあがってましたね。これも今までの小玉さんのライブとは違うスタイルの楽しみ方やファンの巻き込み方ですよね。

小玉 確かに、実際弾き語りでやってもみんなすごい盛り上がってくれていました。1月7日の“MiCLOVER FES. 2024”.ではバンドでできるということなので、とっても楽しみにしていて、私もちょっとだけ踊ってみようかなー、振りを覚えてくれたらみんなでできるかなーなんて思ってます。

冨田 良いですね。でも、ダンスは苦手とおっしゃってましたよね?

小玉 そうなんですよ。でも、『絆のアリル』で活動するAllelesではモーションキャプチャーをしたり、生で踊ったりしたので、自分の中にある新しい扉をたくさん開かせてもらっていて楽しいですね。

冨田 声優に挑戦したりアニメ主題歌を歌うこともそうですが、新しいことに挑戦すればするほど、小玉さんに接続するチャンネルが増えていきますよね。

小玉 そうですね。小玉ひかりを声優だと思っている方も、ぷらそにかの人だと思っている方もいれば、シンガーソングライターとして知ってくださる方もいると思いますけど、いつか点と点が結ばれて、「全部小玉ひかりだったんだ」となってくれたら嬉しいなと思います。皆さんに笑顔になってもらいたいという気持ちが軸にあるので、これからも色々なことに取り組んでいきたいですね。

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