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INTERVIEW

2023.11.29

シンガーソングライター・小玉ひかり、『カノジョも彼女』Season2 OPテーマ「ドラマチックに恋したい」でメジャーデビュー!これまでの軌跡や本作に込めた想いを語る

シンガーソングライター・小玉ひかり、『カノジョも彼女』Season2 OPテーマ「ドラマチックに恋したい」でメジャーデビュー!これまでの軌跡や本作に込めた想いを語る

表情豊かな歌声とサウンド、キュートな存在感で音楽ファンの心を掴み、YouTubeチャンネルの登録者数はすでに6万人以上。ピアノ弾き語りのシンガーソングライターであり、次世代のポップアイコンとも言える存在でもある小玉ひかり。アコースティックセッションユニット「ぷらそにか」での活動や、『絆のアリル』クリス役などを経て、TVアニメ『カノジョも彼女』Season2のOPテーマ「ドラマチックに恋したい」でメジャーデビューを飾る。これまでの足跡を辿りながら、本作に込めた想いを探る。

INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ

シンガーソングライター・小玉ひかりが生まれるまでの軌跡

──小玉さんがシンガーソングライターを目指されたのは、小学生2年生のときだったそうですね。

小玉ひかり 今振り返ると、あのときなぜそう思ったかはあやふやなんです。幼少期からピアノを習っていたので、テレビでアンジェラ・アキさんが「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」をグランドピアノで弾き語りされている姿に感動して。さらに、作詞・作曲のクレジットに同じ名前が並んでいたということに、幼いながらも驚いた記憶があります。その番組をきっかけに、シンガーソングライターを目指したい、と考えるようになったんじゃないかなと。

──そこからの道のりについてもお伺いさせてください。

小玉 クラシックが好きだったこともあって、小学校の高学年になったときに吹奏楽部に入部したんです。また、曲作りは6年生頃からボイスメモに録音したりし始めたのを覚えています。

──6年生で!当時はどのような音楽を聴いていたんですか?

小玉 王道なJ-POPを聴いていました。例えば、コブクロさんやゆずさん、絢香さんとか……特に高橋 優さんに憧れていたんです。それとクラシックが好きで、中でもバロック音楽、バッハが好きで。その影響か、マイナー調の曲を好んでいました(笑)。

──そのあともピアノはずっと習われていたんですか?

小玉 高校3年生のときまで習っていました。自分で弾き語りを始めたこともあり、中学3年生のときにずっと習っていた先生のところから離れて、好きにピアノを弾かせてくれる先生に師事することになったんです。色々な音楽が大好きな先生で、発表会でも弾き語りさせてくださったりしました。

──弾き語りを始めた、というお話がありましたが、小玉さんは中学生のときにすでにステージに立たれていたんですよね。

小玉 中学3年生の冬に、地元の小さなライブハウスで弾き語りをしました。その当時、母の勧めで、色々な年代の方が集まる教室に歌を習いに行っていたんです。その教室の先生が、地元で活動されている女性のシンガーソングライターで「自分のライブのオープニングアクトとして出てみる?」と声をかけてくださったのがきっかけでした。その方の伝手で、少しずつ活動していました。佳代先生という方なのですが、本当に感謝しています。佳代先生に出会っていなかったら、ライブ活動はできていなかったかもしれません。

音楽活動における紆余曲折「小玉ひかりってどんな人間なんだろう?」

──色々な人たちとの出逢いがあって、小玉さんは活動をされてきたんですね。

小玉 人に恵まれたおかげで、ここまで来られたなと感じています。出逢いやご縁は自分の人生で大切にしているものです。私の通っていた中高一貫校が仏教校だったんですけど、仏教の授業を受けて“ご縁を大事にする”という教えが大好きになりました。そこから、一度でもお会いした方は大切にしようと心がけています。

──素敵な心がけで、私も意識しようと思いました。ところで仏教の学校ということで、校則も厳しかったのではないでしょうか。

小玉 芸能活動にはあまり明るくない学校だったので、表立って動けない時期が続きましたね。大学に合格が決まってからは、ぷらそにかや、オンラインアカペラサークル・WHITEBOXに加入して、音楽活動に精力的に取り組めるようになりました。

──小玉さんが音楽活動を本格的にスタートされるにあたって、目指したものというのは?

小玉 まず、存在を知ってもらいたいなと思っていました。ぷらそにかやWHITEBOXに参加したり、You Tubeに歌ってみたのカバーを上げたりと、少しずつ、着実にやっていこうと。音楽面で言うと、自分に正直に歌えるようになっていた気がします。それまではどこかカッコつけていたというか。「高橋 優さんの女性版のようなことをしたい!」とも思っていたんです。ただ、なかなかそれに自分の音楽がハマらなくて、それが私の音楽が届かない要因なのかなと感じていました。「じゃあ、私に似合うスタイルはどんなものなのかな」と考えたときに、もっと等身大な曲を書いて歌っていきたいなと思って。それで、もっと自分の素直な気持ちを吐露してもいいのかなと思うようになりました。そうして生まれたのが、3年前に発表した「いやになっちゃったときの唄」です。

小玉 歌詞の中に出てくる“ああ、もう”という言葉は当時の口癖で。そのあとにリリースした「good night my dear」も、リアルな自分の年齢層をそのまま歌った曲ですね。そのあたりから、真っ直ぐな言葉に着目するようになりました。今ようやく、自分のスタイルが形づいてきたような気がします。

──紆余曲折を経て、今の音楽スタイルが完成したんですね。

小玉 そうですね。

──2021年には、TVアニメ『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』のグレイスの歌唱パートを担当し、2023年にはTVアニメ『絆のアリル』でメインキャラクターのクリスも演じられていました。アニメに携わったことは、小玉さんの音楽にどのような影響がありましたか?

小玉 どちらも大きな経験でした。これまでの紆余曲折の中で悩んできたことの1つに「小玉ひかりってどんな人間なんだろう?」というものがありまして。自分自身、とても悩んでいたのですが……スタッフさんから「小玉ひかりを演じたらいいんじゃない?」というアドバイスをいただいて。でも当時は掴めていなかったんですよね。そのタイミングで『絆のアリル』の出演が決まって、元々声のお芝居に興味があったので、オーディションを受けさせてもらったんです。『絆のアリル』はオリジナル作品ということもあり、どうキャラクターを作っていくべきなのかを台本を読みながら考えて、監督と話し合って演じてみて……そこで「あ、もう1人の自分ってこうやって作り上げていくんだ」という発見がありました。今も小玉ひかりが何者なのかは分からないままなのですが……自分らしさを押し出しすぎてしまうと、疲れてしまうときがあって。でも、「小玉ひかり」という役名をもらった気持ちでステージに立つと、少し違う見え方ができるなと思うようになりましたね。

──少し俯瞰で見られるようになったというか。

小玉 はい、それまでは主観すぎて。自分のことを俯瞰で見られるようになって、新しい扉を開けたような気がします。TVアニメ『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』のグレイス役も大きな挑戦でした。無機質な声色で歌うというのが初めてだったんですけど、レコーディングでは、無機質の中に秘めた情熱を引き出していただいて。ものすごく思い入れのある作品です。

『カノジョも彼女』のヒロイン4人に向けて曲作り

──メジャーデビューが決まったときはどのようなお気持ちでしたか?

小玉 あまり実感がなくて。ずっと追いかけてきたもののはずなのに「あ、ここまで来られたんだ」とフワフワした気持ちでした。でもそれは、色々な経験を経て「ここがスタートラインだ」ってわかっているからだとも思うんです。昔の自分だったら「メジャーデビューだ~!いえ~い!」ってゴールのような状態で喜んでしまっていたと思いますから(笑)。だからフワフワとしつつも、身が引き締まるような思いでした。

──小玉さんはいつもどのように曲作りをされるのでしょうか?

小玉 今回のように何かに向けて書くとき以外は、自分が書きたいものをそのまま出しています。言葉とメロディが一緒に降りてくるのが気持ちが良いんですよね。今思い返すと、長く歌い続けている曲はサビのフレーズがメロと一緒に生まれた曲が多くて。そういう曲はスピーディーにできるんです。そうではないときは、基本的には歌詞から書きたいタイプです。自分は何を伝えたいのかということが明確じゃないときに作ってしまうと、メロディに引っ張られた状態で言葉が出てきてしまうので……最近は曲から作ってみることもあるんですけど、できる限り、歌詞から書きたいなと思っています。

──では、「ドラマチックに恋したい」の場合はいかがでしたか?

小玉 何曲か作ったんですが、Aメロの歌詞から書いた気がします。この曲もすごくスピーディーに出来た曲の1つでした。半日くらいでワンコーラスが完成して。歌詞とメロディのハマりがすごく良いなと思っていました。

──『カノジョも彼女』のヒロインたちの想いを感じるような曲になっていますが、最初はどのようなところから着想を得たのでしょうか?

小玉 まさにヒロインたちに向けて書いた曲で。街の中で好きな曲を聴きながら歩いているときって……なんか私、主人公っぽいなと思う瞬間がありませんか。

──わかります。

小玉 主人公っぽさを感じられるというのは、音楽の魅力の1つだと思っているんです。この曲を通して、それを感じてもらえたらと考えていました。『カノジョも彼女』はドタバタなラブコメで、直也くんに対して、ヒロイン4人が「好き!」という想いを伝えたいと思いながら動いている。リアルであれば直也くんに対して色々と物思いそうですけども(笑)、私は全然嫌な気持ちにならなくて。むしろ、リアルだと人の目などを気にしてできないことが、アニメであれば素直に描かれていて、そのなかで起こる色々な展開が楽しいし、4人とも楽しんで恋をしていることが素敵だなと思って、このタイトルになりました。

──今回の楽曲は、Naoki Itaiさん、Yusuke Koshiroさんのお二人が編曲に携わっています。アレンジされたサウンドを聴いたときには、どのような印象がありましたか?

小玉 今回は「イントロのフレーズにはこういう音を入れたい」というようなリクエストを入れてお願いしていたんです。そこから何百倍もキラキラとした、リズミカルなサウンドにしていただきました。編曲があってこそ、完成したように思います。

──小玉さんの楽曲には、普段様々な方がアレンジャーとして携わられていますが、編曲のプロセスから小玉さん自身が刺激を受けることもありますか?

小玉 色々な方を通して、アレンジャーさんへの憧れというのは大きくなっています。私たちがゼロからイチを生み出すとしたら、アレンジャーさんたちはイチから100にするような存在だと思っているんです。まだ打ち込みなどができない身なので、「なんでこんなにも私が描いていたものを音にできるんだろう」と……魔法使いのような存在ですね。

──アニメの映像をご覧になられたときはどのような感触がありましたか?

小玉 とにかく嬉しかったです。特にBメロで4人が1人ずつ上がってくるところは「まさにこれこれ!」って! 分のイメージにピッタリだったので、制作会社の皆さまにも感謝です。

──ノンクレジットムービーには、海外の方たちからのコメントもたくさん寄せられていましたね。

小玉 本当にありがたいことです。アニメの力を感じますね。「日本だけでなく、世界でこの曲が受け入れられているんだね」と思うと、ものすごく嬉しい気持ちになります。親心じゃないですけども、なでなでしたくなりますね(笑)。

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