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REPORT

2023.11.25

約4年ぶりの声出しワンマンライブ開催!ライブツアー“Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART”で見せた水瀬いのりの“今”を記録する。

約4年ぶりの声出しワンマンライブ開催!ライブツアー“Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART”で見せた水瀬いのりの“今”を記録する。

“WWWシリーズ ”三部作、みんなと作り上げる「僕らは今」、この日だけのWアンコール

ここで水瀬が様々なアートに挑戦する幕間映像を挿み(ツアーの各公演ごとに違った映像が上映され、この日は絵画にチャレンジしていた)、ライブは後半戦に突入。その幕開けを飾ったのは「アイオライト」。ステージ前方に張られた紗幕に映像が投影され、紫をベースにした大人っぽい衣装に着替えた水瀬の動きとシンクロしながら、楽曲のダークかつダンサブルな世界観を視覚的にも再現する。そしてこちらも本ツアーでライブ初披露となるアグレッシブなロックナンバー「クータスタ」へ。2本のギターがソリッドに絡み合うポストロック的な曲調、明滅するライトが作り出す白と黒の世界が、アーティスト・水瀬いのりのクールでスタイリッシュな一面を浮かび上がらせる。そこから彼女の持ち曲の中でもとりわけ熱く壮大なシンフォニックロック「TRUST IN ETERNITY」に繋げ、オーディエンスは声を上げて熱狂する。これまでも彼女のライブの様々な局面で会場にすさまじい熱気を注いできた同楽曲だが、一体感という意味では過去一の盛り上がりを見せていたのではないだろうか。

そんな熱いブロックと、MCでのコール&レスポンス練習を経て(本来は「アリーナ→2F→3F→4F」と言うべきところを「アリーナ→1F」と2度連続で間違えるお茶目な一面も見られた)、心を奮い立たせるようなコーレスパートを備えた「約束のアステリズム」を披露。バンドの竿隊も前方に出てきて熱く盛り上げるなか、水瀬はステージを左右の端から端まで歩いて、ときに客席にマイクを向けながら、ファンからの「Wow wow~♪」という声を引き出して会場の気持ちを1つにしていく。“君に叫ぶよ”というフレーズでのひと際力強い歌声、そして歌唱後のやりきった感、満足げな表情が印象に残った。そこから歌始まりの「Million Futures」で景色を一気に塗りかえ、サビ入りでは水瀬の「せーの!」という呼びかけにアリーナ中が「Million Futures!」と叫んで、みんなで無限の未来を作り上げる(ラスサビ前では水瀬が満面の笑みで「ありがとう!」と返す場面もあった)。さらに水瀬が歌い終えて退場してもバンドの演奏が続き、2人のギタリストがステージ前方に躍り出てギターソロ合戦が勃発。あまりにも熱く感動的な「Million Futures」に、会場は万雷の拍手と歓声で応えた。

そして本ツアーならではのファンタジックなアートを体感できたのが、次に披露された通称“WWWシリーズ ”のブロック。“WWWシリーズ ”とは、今回のツアータイトルにも採用された「スクラップアート」や「クリスタライズ」「パレオトピア」といった楽曲を水瀬に提供してきたクリエイター・栁舘周平による、頭文字が“W”のワードを3つ連ねたタイトル3楽曲のこと。各楽曲の歌詞の内容にも繋がりがあることから、ファンの間では“WWWシリーズ ”として親しまれている。今回はその3曲を連続でライブ歌唱するという初の試みだ。オルゴールのネジを巻くような音が聞こえてくると、スクリーンには絵本のようなイラストが映し出され、そこから童話の世界みたいな街並みと一緒に水瀬が飛び出してくる。花柄のワンピースに黒いネクタイと赤いジャケットを合わせた、可憐な格好に様変わりした水瀬は、その街並みをバックにまず「Well Wishing Word」を歌唱。メルヘンチックなサウンドと軽い振り付けと共に明るくも切ないお別れの歌を紡ぎ、また会える奇跡を願って笑顔で“バイバイ!”と伝える。そこからシリーズ3部作の第3弾となる「While We Walk」へ。夕焼けに染まった街並みに、胸をキュッと締め付けるような歌声を響き渡らせる水瀬。映像演出や彼女の細かな仕草も含め、まるでミュージカルを見ているような気分になる。そして街は雪景色に変わり、“WWWシリーズ ”の始まりの歌「Winter Wonder Wader」が幕を開ける。楽曲の発表順ならびに歌詞のストーリー上はこの楽曲が最初のポジションとも思えるが、その並びをあえて組み替えて披露することによって、“あなた”との再会の奇跡を演出するような構成にグッとくる。最後はスクリーンの街並みに花火が上がり、ステージの上から粉雪が降り注いで、2人の出会いを祝福するように“WWWシリーズ ”のゾーンは締め括られた。ここまで物語性を感じさせるシアトリカルなステージは、大型スクリーンといった本ツアーならではの舞台装置があってこそ実現したものと言えるだろう。

そしてライブ本編の最後の楽曲。水瀬はマイクスタンドを準備して、これから歌う楽曲のタイトルを告げる。その曲名は「僕らは今」。コロナ禍によって中止になってしまった2020年のツアー“Inori Minase LIVE TOUR 2020 We Are Now”のタイトルにも冠した、ライブ空間でみんなと一緒に歌うことで完成することを前提に作られた楽曲だ。その後、2021年や2022年のツアーで無事披露されることになったが、本来想定していたファンと声を出しあっての歌唱は今回のツアーが初。ピアノのイントロから始まり、そこに水瀬の歌、ギター、ベース、ドラムスが加わって、徐々に音のうねりが大きくなっていく。その壮大かつ力強い序奏を経て、一気に加速していく楽曲。客席から届けられる雄叫びのように大きな声。両手を広げてそれらの声を受け止めるようにしながら歌唱する水瀬。“誰一人ひとりじゃない”というメッセージ。終盤、彼女はスタンドからマイクを取って、客席にマイクを向けながら大合唱を巻き起こす。アリーナ中の心が繋がった瞬間だ。最後は水瀬の呼びかけに応じてみんなで一斉にジャンプして、未来まで語り継がれるであろう神話を完成させた。

会場からの盛大な“いのりコール”を受けてのアンコールは、煌びやかなポップチューン「Morning Prism」からスタート。水瀬はくらりちゃん型のフロートに乗って、アリーナを周遊しながら歌い、手でハートマークを作ったり、指鉄砲でハートを射抜くようなポーズをして、ファンとの交流を楽しむ。続けてディスコタッチの「ココロはMerry-Go-Round」も披露してハッピーなバイブスを振りまくと、同曲の後半でメインステージに戻ってファンにウェーブをうながしてさらに楽しい空間を作り上げる。その後のMCでこの日の公演の模様が11月25日からオンライン配信されることをアナウンスすると、最後の楽曲へ。水瀬がタオルを観客に持ってもらえるように呼びかけると、ファンは次に歌われるのは何かを察知する。水瀬のタオル曲と言えば、彼女のライブには欠かせない人気曲「Ready Steady Go!」だ。水瀬自身もグッズタオルを片手に「もっともっと回して!」とキュートに煽りながらギアを上げていき、会場のボルテージは最高潮へ。この日大きなコールを巻き起こした「約束のアステリズム」も「僕らは今」も超えるような一体感を生み出す。ラストは水瀬の「ありがとうの気持ちを込めてタオルを投げましょう!」という声に応えて、アリーナ中にタオルが舞うフィナーレとなった。

だが会場の熱狂は収まらない。「もう一回!」という大きなコールを受けてWアンコールが実現する。ステージに戻ってきた水瀬は、「しゃべっていると泣いちゃう……」と涙をグッとこらえながら、ファンやチームいのりへの感謝の気持ちを伝える。普段は弱音を吐いてばかりだという彼女が、気兼ねなく弱音を吐ける場所。それがファンを含むチームいのりと共にある、アーティスト活動という場所なのだという。「私は弱音ばかり吐いているんだけど、楽しい場所にしてくれたのは皆さんのおかげなので、最後にこの曲を歌いたいと思います」。そう語って彼女がこの日の最後に歌ったのは「Catch the Rainbow!」。彼女が初めて自分で作詞した、自分だけの個性や色を大切にしてほしい、というメッセージを込めたナンバーだ。晴れやかなサウンドに支えられながら、希望に満ち溢れた歌声を響き渡らせる水瀬。“今をありがとう きみに伝えよう”や“もっと もっと ずっと そばにいたいよ”といった言葉が、シンプルだからこそよりストレートに胸に飛び込んでくる。客席のペンライトも色とりどりに染まって、アリーナに広がるのは虹色の景色。最後は「本当に忘れられない素敵なツアーをありがとうござました。みんな大好きだよー!」と素直な気持ちを伝えて、自身最大規模となるツアーを大団円で締め括った。

『Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART』
2023.10.29 ぴあアリーナMM公演
<セットリスト>
-OPENING MOVIE-
M1 スクラップアート
M2 identity
M3 brave climber
-MC-
M4 僕らだけの鼓動
M5 クリスタライズ
-バンドメンバー紹介-
M6 アイマイモコ
M7 運命の赤い糸
-MC-
M8 くらりのうた
M9 あの日の空へ
-BRIDGE MOVIE-
M10 アイオライト
M11 クータスタ
M12 TRUST IN ETERNITY
-MC-
M13 約束のアステリズム
M14 Million Futures
M15 Well Wishing Word
M16 While We Walk
M17 Winter Wonder Wader
-MC-
M18 僕らは今

アンコール
EN1 Morning Prism
EN2 ココロはMerry-Go-Round
-MC-
EN3 Ready Steady Go!

Wアンコール
EN4 Catch the Rainbow!

関連リンク

水瀬いのりオフィシャルサイト
https://www.inoriminase.com/

水瀬いのりオフィシャルX(旧Twitter)
https://twitter.com/inoriminase

水瀬いのりオフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCYBwKaLwCGY7k3auR_FLanA/

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