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2023.11.22

ガールズロックバンドとしての矜持を感じさせるポピパの凄み――!“BanG Dream! 12th☆LIVE DAY1 : Poppin’Party「Welcome to Poppin’Land」“レポート

ガールズロックバンドとしての矜持を感じさせるポピパの凄み――!“BanG Dream! 12th☆LIVE DAY1 : Poppin’Party「Welcome to Poppin’Land」“レポート

次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!」が11月3~5日にかけて東京ガーデンシアターで“BanG Dream! 12th☆LIVE”を開催。初日となる11月3日にはPoppin’Party(以下、ポピパ)が“BanG Dream! 12th☆LIVE DAY1:Poppin’Party「Welcome to Poppin’Land」”を行った。

2015年に活動を開始したポピパ(愛美/Gt.&Vo.、大塚紗英/Gt.、西本りみ/Ba.、大橋彩香/Dr.、伊藤彩沙/Key.)も今年で8年目、武道館ライブや“ROCK IN JAPAN FESTIVAL”出場などを果たしてきた5人が、1年ぶりとなるソロライブを、4年以上にわたる声出し禁止期間を経て、ファンとどのような時間を作り上げたのか振り返りたい。

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TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)
PHOTOGRAPHY BY ハタサトシ、福岡諒祠(GEKKO)、山崎ユミ

笑顔と、楽しさと、シアワセを作り出すガールズロックバンド

開演前BGMとして流れていた「キズナミュージック♪」の音量が上がり、観客はライブの始まりを知って歓声を上げ、静寂と暗闇が会場を覆うなか、フロアにサイリウムの海を広げる。するとステージ上には星が飛び回り、光を振りまきながら「Poppin’ Party」の文字を、そして楽器を描いていく。

会場が明るくなると、ステージ後方の高台にポピパメンバーが1人ずつ現れ、それぞれ思い思いにポーズを決めてから中央の階段を下り、ステージ前方に並んでいく。伊藤の前のキーボードは1台、ドラムの大橋の前にはスネアとタムが1つずつ、とトロッコに乗るときなどに時々見せるシンプルスタイルだ。何から始めるのかと期待していると、愛美が「Welcome to Poppin’ Land!今日は1日素敵な日にしましょう!」と宣言し、ギターの音が響く。「Happy Happy Party!」だ。バスドラがリズムを刻むなか、愛美のギターに合いの手を入れるように大塚がつま弾き、西本が低音を加えていく。伊藤が声掛け役を担い、会場は声を上げて盛り上がる。演奏しながらもステージ上で手を、身体を左右に振るメンバーに合わせて、ペンライトも大きく左右に揺れては飛び跳ねる。間奏で伊藤が、続いて大塚がソロを奏でたあと、ラスサビに突入する頃は会場全体がすでにシアワセな気分にさせられていた。

だが、ハッピーに浸る間もなく、ハイハットのカウントが入る。ライブの定番曲にして自己紹介ソング「What’s the POPIPA!?」。ライブで聴くと想像以上にハードなナンバーは、ポピパ=ロックバンドであることを耳に刻み込まされる。5人が次々とソロで受け継がれていくAメロを、メインの愛美を4人がコーラスで支えるBメロ、5人でのサビ、フィニッシュまで、どこを切りとってもポピパのバンド力の高さに痺れてしまう。

曲が終わると「皆さん、こんにちはー!」と愛美が挨拶し、そしてメンバーが演じるキャラクターでの一言から今日の気持ちや意気込みを語っていく。大塚は「皆さん、お元気ですかー!」と声をかけると、レスポンスの声が小さかったために「お疲れが溜まっているようですね」と煽り、会場から大声援を引き出してみせる。

愛美は、この日のライブコンセプトが「遊園地」であることを伝え、他メンバーも、キラキラドキドキした豪華なステージセットも、後ろの腰にベルのアクセサリーのついた「見てほしくて仕方がない」(伊藤)くらいにかわいい衣装について紹介していく。ただ、遊園地といってもどのようにライブが進むのか、愛美が首をかしげて疑問を呟くと、アニメで愛美のスクールバッグにもついていたポチにゃんによく似たキャラクターが登場!「マスク・ド・ポーチニャン」を名乗る彼によると、この日のライブ会場である「Poppin’Land」(ポッピンランド)は、「ぽっぴんエリア」「すりりんエリア」「どりーみんエリア」の3つに分かれているが、各エリアで会場にいるファンが心からの楽しさを感じたらハンドベル(ライブグッズとしても販売)を鳴らすことで、ランドの中央にあるお城のパーティーベルに明かりを1つ灯すことができる。ベルの明かりを3つ灯すことができれば来場者全員に幸せが訪れる、ということらしい。

最初は、一緒に踊れる楽しいエリアという「ぽっぴんエリア」。そこで最初に演奏するのは「ぽっぴん’どりーむ!」で、しかも曲前には伊藤による振付指導の時間を設け、ダンス強化バージョンとなった。レクチャー後には大橋がドラムでリズムをとってのリハーサルも行い、いざ本番、とそのまま曲に入る。伊藤はイントロの間もファンのためにステージ上でダンス、急いで定位置のキーボード前に移動してAメロからはキーボードとダンスの二刀流で観客をリードした。さらにはメンバー全員でもステージ前方に集まってのダンスタイム。最初は上手側、次は下手側とファンとダンスを楽しむ。ファンも最後の“POPIPAN! PIPOPAN! POPIPAPIPOPAN!”では強く拳を振り上げ、曲のラストには愛美から「上手に“踊れ”ました!」(原曲は「できました」)の言葉をもらった。

続いては「青春 To Be Continued」。5月にリリースされライブ初披露となるパーティソングで、跳ねたリズムで血沸き肉躍るバンド曲だ。歌詞にメリーゴーラウンドやティーカップ、観覧車が登場し、盛り上がりながらも今回のライブコンセプトの源流になっていると推測させた。愛美のリードで腕を回しに回し、発散したあとは「CiRCLING」へ。愛美から大塚へ、西本へ、伊藤へ、大橋へ、メロディラインのボーカルが受け渡され、愛美や他メンバーがコーラスに回るローテーションの箇所はつい浸ってしまうが、そのなかでステージ上の5人と気持ちが繋がり、すべての心が「輪」になって、「和」をなしていくのを感じていた。それは決して誇張でも妄想でもなかったと確信させるのは、ここまでもこのあとも、ポピパメンバーの顔には常に笑顔が浮かんでいたからだ。ポピパライブに参加すると、楽曲にもパフォーマンスにも構成にも楽しさが満ちていると実感するが、この日のライブは5人が放つ眩い笑顔が際立っていた。

心から楽しんだ時間のあと、ハンドベルをみんなで鳴らし、お城のライトを灯す。再びポーチニャンが現れ、今度は「すりりんエリア」の案内をスタート。最初はジェットコースターがオススメという言葉を聞き、「乗っちゃおう!しゅっぱーつ!」と声高らかな愛美。だが、続いてのイントロで会場はどよめく。「B.O.F」だ。久々の演奏は予想外で、終演後も観客同士で語り継ぐほどのインパクトだった。愛美がキュートに笑顔を振りまきながら高音を攻めると、大塚がエモーショナルに高低を歌い上げる。西本のヘッドバンキングも観客のボルテージを引き上げる。だが、「ポッピンランド」は乗せられて楽しいだけではない、参加型遊園地。「POPPING!」コールを叫び、クラップを激しく鳴らし、ペンライトを振りまくる、そんな「ぽっぴん’しゃっふる」で観客はカロリーを大きく消費されていくが、間奏で疲れた観客をいたわるように、ポップコーンの箱を抱えたポピパメンバーが箱の中からポップコーン(を模した白いボール)を取り出して客席に投げ入れていく。

曲のフィニッシュと同時に暗転し、スクリーンには満月と洋館が映し出され、「すりりんエリア」に移動したことがわかる。遊園地といえばこれも定番、とばかりに会場はホラーテイストに。ホラー好きの牛込りみ……に声がそっくりなナレーションが終わると、スポットライトのなかで小悪魔衣装の西本が満面の笑顔で登場。コケティッシュな衣装に反してスラップでベースを打ち付けると四つ打ちリズムが始まった。これもコールや振付が楽しい「Hello! Wink!」。他メンバーも魔法使い帽子やジャック・オー・ランタンなどを乗せたカチューシャをつけたハロウィンモードに。間奏では、西本がまたスラップを聴かせ、大塚が負けじとギターをかき鳴らしたかと思えば、ドラムの大橋以外はステップしながら演奏してみせる。1曲でCuteとCoolを次々と見せつけ、観客の感情は気持ち良く振り回される。

その後のMCで演奏曲を振り返る際、メンバーからも楽しいが溢れていたが、ついに最後の「どりーみんエリア」へ。「最強の音楽で盛り上がりたいワン」というポーチニャンの願いを前振りに突入したのは「最強☆ソング」。“限界なんて見えない”と背中を押す応援ソングで、これも初披露だったはずだが、Cメロのジャンプやコールでフロアの対応は完璧。ポピパメンバーも「最強だったー!」とお墨付きを与える。ここで響き渡る、この日2度目となる驚きの声。和テイストのタオルソング、「夏のドーン!」。コミカルさに隠れた、四つ打ちと低音のベース音がポピパソングの奥深さを感じさせる名曲。会場が一体となったタオル回しは、夏を引き戻すかのごとく熱い空間を練り上げていたが、あとのMCでポピパメンバーも「いつだってやっちゃうもんね」「楽しいからね」とコメントしており、夏以外にも聴きたいと思わせる曲だ。曲の終了に合わせてスクリーンには大きな花火が映し出され、暗転が訪れると5人がアカペラで声を合わせて「Time Lapse」へ。楽しい流れからメロディアスなロックへ、豊かな音楽性が持ち味のポピパならではの流れを生み出していた。2番が始まると愛美を挟んで床にペタン座りの姿勢を見せた西本と大塚は、興に乗ったようにそのまま後ろに倒れ込みながらも弾いていく。二人は間奏で共に箱に乗り、指弾きを見せる大塚、反対側で「もっと声出せー!」と煽る西本、とフロントメンバーとして熱い魂をフロアに捧げていく。

次ページ:ポピパでしか味わえない最高のロックライブ

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