INTERVIEW
2023.11.22
声優・女優でありアイドルとしてi☆Risのメンバーとしても活躍する茜屋日海夏が、「Himika Akaneya」として11月22日(水)にソロアーティストデビューシングル「Stereo Sunset (Prod. AmPm)」をリリース。表題曲はTVアニメ『MFゴースト』のエンディングを飾る、透き通った歌声が体に染み込むようなチルなナンバーとして完成。また、カップリング曲には茜屋による楽曲イメージから生まれ、作詞も手がけた「SARANG」も収録している。本稿では、そんなデビュー作となったこの2曲への取り組みやデビューにあたっての心境について、茜屋自身に語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
――まずは、ソロでは初となるCDリリースや、その表題曲がアニメのEDテーマとなることを知ったときの心境からお聞きしてもいいですか?
茜屋日海夏 純粋に嬉しかったですね。多分昔だったら、すごくプレッシャーや不安を感じていたと思うんですよ。でも歳を重ねて色々経験して、自分もちょっと視野が広がって「やれることはなんでも挑戦してみたいな」という心持ちになれていたところだったので、すごく嬉しかったです。
――たしかに数年前は、新しいことに向かうとなると少々悩むこともあったというか。
茜屋 そう。結構不安な感情が先にきちゃうこともありました。ただ、アニメのEDテーマということだけはさすがにちょっとドキドキしましたね(笑)。でも私、もし自分がソロでアニメの歌を歌わせてもらえるなら絶対EDテーマがいいと思っていたので、それは念願叶った形になりました。
――それは、どんな理由が?
茜屋 私、アニメもですけど舞台や映画についても「曲って大事だな」という感覚があるんですね。作品に、より没入させてくれるから。そのなかでも、昔からエンディングを聴いたときに一番ぐっときていて。本編を観終わったあとにエンディングまで聴いて「来週も楽しみだな」となったり、最終回でもエンディングまで観て「すごく素敵だったな」と感じる瞬間みたいなものが、自分自身がアニメを観ていていつも好きだったんです。あとは、元々曲調的にもバラードとか落ち着いた曲が好きなのもあって、ずっとEDテーマをやりたいなと思っていました。
――ちなみに、アーティスト名の表記はなぜ英字にされたんですか?
茜屋 海外志向があって、海外の方にもっとたくさん歌を聴いてほしいという想いがあるからです。今回「Stereo Sunset」をプロデュースしてくださったAmPmさんも世界でご活躍されている方ですし、『MFゴースト』という作品も世界中の方が観ているということもあって、海外の方にも馴染むようこの表記にしました。
――その第一歩となるのが、その「Stereo Sunset」です。この曲を最初に聴いたときには、まずどんな想いが湧きましたか?
茜屋 もう、歌うのがめっちゃ楽しみになりました。私、ソロでやるなら今までやったことのないことに挑戦してみたかったんです。そこに実際歌ったことのないジャンルの曲をいただけて、「どんなふうになるのかな?」というわくわく感はありました。それに、この曲はバラードとはちょっと違いますけど、私はバラードのほうが得意なので、どういうふうに自分の声が乗っかっていくのかもすごく楽しみでしたね。
――ということは、レコーディングではこういう楽曲を歌うときならではの、今までとは違うポイントのようなものもあったのでは?
茜屋 この曲は歌詞こそ日本語ではありますけど、曲調的には私がよく聴くチルな雰囲気の洋楽を連想させるメロディなので、レコーディングのときも日本語だけど日本語をそのままストレートには歌わなかったり吐息とか技術的なことをちょっとずつ混ぜたりしながら歌ってみたんです。そこにも、自分の海外志向が影響している気がしています。
――確かに。チルな曲で日本語が明確に聴こえると、ボーカルが浮いてしまいそうですから。
茜屋 そうですね。だから、歌詞はちゃんと届けつつはっきりは歌わない……みたいなものをなんとなく意識しました。そのほかにもフレーズごとのニュアンスとかも考えて臨んで、レコーディング中はそれを出すことに必死でしたね。
――では、レコーディング後に完成版を聴いたときには、茜屋さんご自身はどう感じられましたか?
茜屋 私、あまり自分で自分のことを「良い」って思わないので、必死だったのもあって完成までは正直「どうなるんだろうな?」という気持ちだったんです。でも実際聴いてみたら……「あ、良い」と思ったんですよ。だから、やりたかったことを全部出せていたかというとあまり自信はないんですけど、その地固めみたいなことはできたような感じはしています。
――それくらい、ご自身でも納得の出来のものになった。
茜屋 はい。「1作目、これは、なかなか良いぞ!」と思いました。
――実際、ほどよく肩の力の抜けた歌声が真っ直ぐ届いて、サウンドとともに染み渡るような印象がありまして。意図されたことは形になっていると思いますし、日常のBGMにしたくなるような感じがしました。
茜屋 ありがとうございます。嬉しい(笑)。確かに、スッと日常に馴染む感じはありますよね。
――ちなみにこの曲の反響、茜屋さんの元には届き始めていますか?
茜屋 はい。アニメのエンディングや配信を通じて聴いてくれた方がリリースイベントなどで直接感想をくださっていて。そのなかで特に多かったのは、「新しい茜屋日海夏を見た!」みたいなものでしたね。やっぱり、i☆Risのファンの方もすごく来てくれるので。あとはさっきおっしゃってくださったように、「優しいんだけど、なんかスッと入ってくる」みたいな感想もすごくたくさんいただいています。
――そんな音のイメージと、MVやジャケットなどの本作のビジュアルも、非常にマッチしています。そのMV、茜屋さんご自身はリップシンクのシーンだけの登場となっていますね。
茜屋 そうなんです。でも撮影前に絵コンテみたいなものはいただいて「こういう感じになります」というお話も伺っていたので、完成図のイメージはなんとなくですけどありまして。走っている車を俯瞰で見ながら、女の子サイドの言えない心情のモノローグを語る……みたいなイメージを持って撮影していきました。
――その目線も、『MFゴースト』に強く結びつくものですね。
茜屋 そうですね。すごくピッタリで、アニメのED映像を拝見したときにもまさに「あ、この感じこの感じ!」ってなりました。MVの車窓からの景色も、作品の舞台の湘南あたりなので。でも正直なことを言うと、私最初、車のシーンにも自分が出ると思い込んでいて(笑)。なんなら「自分が当の本人かな?」くらいの気持ちでやっていたんです。だけど完成した映像を観てからは、「この形になったからこそ、俯瞰で見ているという意味合いができたMVになったのかな」と思っています。
SHARE