INTERVIEW
2023.11.18
「プリキュア」シリーズ20周年を記念する作品の1つ、『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』(以下、『キボウノチカラ』)。『Yes!プリキュア5』『Yes!プリキュア5 GoGo!』『ふたりはプリキュア Splash☆Star』の登場人物たちが“オトナ”に成長した姿を描くが、そのEDテーマにはキュア・カルテット(五條真由美、うちやえゆか、工藤真由、宮本佳那子)が歌う「雫のプリキュア」が起用されている。そこで、その4人に集まっていただき、キュア・カルテット結成当時の話から、今回の『キボウノチカラ』への印象などを語ってもらうと、プリキュア史やアニメ史に残したいエピソード、現在まで続くプリキュア歌手間における仲の良さはここにあったかと感じさせるエピソードが溢れるように零れだした。その雫の数々を受け取ってほしい。
INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司
――今回はレジェンドであるキュア・カルテットの方々に集まっていただきましたが……。
宮本佳那子 「レジェンド」なんて言われ慣れていない(笑)。
五條真由美 去年(“デリシャスパーティ♡プリキュア LIVE 2022 Cheers!Delicious LIVE Party♡”)で慣れたでしょ?
宮本 いや、去年もそわそわしていました。プリキュアライブの歌手公演(“かんぱいParty♡”)に出演したとき、五條さんと私がレジェンド枠と言われて、「まだまだ私は全然レジェンドじゃないのに」「年齢的にはMachicoさんとそんなに違わないし」って。今回のキュア・カルテットでは末っ子ポジションなのですごく落ち着きます(笑)。
五條 最後にキュア・カルテットとして出演したのはいつだっけ?
宮本 5周年記念ライブ(“プリキュア☆ミラクル☆マジカル☆コンサート”)が最後だったと思います。
工藤真由 15周年ライブ(“プリキュア15周年Anniversaryライブ ~15☆Dreams Come True~”)でも4人で歌いましたよね?
宮本 「4人」ではなかったと思う。
うちやえゆか (メドレーの1曲目で歌唱した)「プリキュアモードにSWITCH ON!」だけで。
五條 そのあとに、他(のプリキュア歌手)のみんなが入ってきた感じ?
宮本 そうです、そうです。
五條 そうか。「キュア・カルテット」としてではなかったんだよね。だからやっぱり5周年記念ライブ以来。
宮本 今回の『キボウノチカラ』は、私の歌手デビュー作でもある『Yes!プリキュア5』(以下、『5』)の子たちが出てくるということで、また携われたことが嬉しいです。あと、キュア・カルテットは5周年のスペシャルユニットみたいな形だったんですけど、当時は右も左もわからず、歌手になると思っていないままにデビューしたので、先輩方にステージでの立ち振る舞い方やマイクの持ち方、スピーカーの音の聴き方とか、色々教えてもらっていました。そこから15年のときを経て、新曲を一緒に歌えることはすごく嬉しいですし、皆さんの隣でステージに立てるのがすごく楽しみです。
――色々と教えてもらったということですが、工藤さんと宮本さんが先輩方から言われたことで印象に残っているものはありますか?
宮本 『5』のミュージカルショーで、『ふたりはプリキュア Splash☆Star』(以下、『スプラッシュスター』)の主題歌を歌った先輩としてうちやえさんと共演させていただいたときに、私は1番のところで2番の歌詞を歌ってしまって、ステージをハケたときに悔しくて泣きそうになったんですね。そうしたら、うちやえさんが「今泣いちゃだめよ。泣いたら声が変わってしまうから、終わるまで我慢しないといけない」と声をかけてくださって。私は今もその言葉を胸に刻んで、ステージでは泣かないようにと思っています。
うちやえ 佳那子ちゃんはとにかくリハーサルを頑張っていて、かわいかったんですよね。だから、いつもの元気なままでいてほしいと思って話しかけたんだと思いますけど、それで気持ちが晴れたなら良かったです。
宮本 素敵な先輩です。子供たちに向けて歌っていくにはどうすればいいかというところを含めて、直接というよりもその横顔とお姿で教えてくださって。お二人から学んだことはすごく多かったです。
うちやえ 私たちも最初は手探りだったからね。
工藤 3人でミュージカルをやっていたときは楽屋で色々とお話させてもらいましたし、今の佳那子の話は私の中でもすごく響いた言葉として覚えています。五條さんには、その背中を見て学んだ部分がたくさんあって。私が2年目で『Yes!プリキュア5 GoGo!』(以下、『5GoGo!』)の主題歌(「プリキュア5、フル・スロットル GO GO!」)を担当したとき、『プリキュア』も5年目ということで一緒に歌う機会が増える中で「真由ちゃん、歌、良くなったね」って褒めてもらったんですよね。それがすごく嬉しかったです。
宮本 私、言われたことない!もうこれは、「五條さんに褒めてもらえるまでやめられないな」と今、強く思いました(笑)。
工藤 (笑)。教え方の全然違う、そんな2人の背中を見ながら、どうやって歌っていけばいいのか、先輩たちから学んでいきましたね。でも、佳那子からも教わったことももちろんありましたし、私が年上だから教えたところもありましたけど、姉妹のような関係で面白かったですね。
宮本 はい、お姉ちゃんみたいな存在です。
――キュア・カルテットが結成されたときの感想は覚えていますか?
五條 でも、結成という感じじゃなかったんですよね。4人で歌う機会があったなかで、いつの間にかキュア・カルテットになっていたような。
宮本 「私たち、キュア・カルテットって名前なんだ」みたいな。
五條 そう。むしろ20周年になった今、初めて「キュア・カルテットです」という感じでこうやってお話をさせていただいています。なので結成した感覚がないんですよね。
宮本 5周年ライブのときも「プリキュアの歌手の皆さんです」みたいな紹介のされ方でしたよね。私たち以外にプリキュア歌手がいなかったから。
――あぁ、なるほど。
五條 佳那子ちゃんも最初のシリーズ(『ふたりはプリキュア』)の楽曲(「ゲッチュウ!らぶらぶぅ?!」)からコーラスで参加していたし、そのあとに『スプラッシュスター』でやえさん(うちやえ)が入ってきて、『5』で真由ちゃんが入ってきて、4人で一緒に歌うことも多くなってきたなかで、たまたまある日、「キュア・カルテット」と言われた感じだったんですよ。
――後輩みたいな、仲間みたいな感覚ですか?
うちやえ 一緒に作り上げた部分もあるので、後輩だけど頼りになる仲間みたいに今は思っています。
五條 私は“後輩”の感覚が強いかもしれない。あと、やえさんはすごく難しいの!『プリキュア』シリーズでは私が先輩になるけど、芸歴も年齢も上なので後輩という感じではないし。
うちやえ はっきり言っちゃうね(笑)。
五條 でもやっぱり“同志”という感じかも。最初の頃は『プリキュア』が今みたいに大きなコンテンツではなくて、特に私が歌っていた1年目は皆さんにまだ浸透していなかったんですよね。『5』のときも、キュア・カルテットができたときもまだそうでした。
うちやえ うんうん。
五條 だから、真由ちゃんも佳那子ちゃんも、後輩でもあり、同志でもあり、一緒に苦楽を共にした仲間みたいな部分がありますね。歌手として呼ばれていても「私たちは何をやればいいんだろう?」みたいなところが多い時代だったんですよ。
――小さな劇団では出演者も裏方を担う部分がありますが、そういった全員での手作り感があったということでしょうか?
うちやえ そうなんです。
五條 本当に。だから、歌手として作品に参加するだけではなく、作品が育っていく過程を一緒に歩んでいる感覚があります。
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