INTERVIEW
2023.11.11
ミュージックレイン発の、新たな音楽マネジメントチーム「MiCLOVER」が始動!2024年1月7日には初のライブイベント“LAWSON premium event MiCLOVER FES. 2024”の開催も決定している。この連載ではMiCLOVERのアーティストたちが続々と登場し、音楽プロデューサー兼音楽評論家の冨田明宏がその魅力に迫っていく。第3回はデビュー5周年を迎え、「ラブコメといえばhalca」という地位を確立したhalcaが登場!MiCLOVERの中ではセンパイとしての期待もかかる彼女のフェスにかける想いとは――!?
INTERVIEW BY 冨田明宏
TEXT BY 金子光晴
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子
冨田明宏 halcaさんとこうやってお話しするの、久しぶりじゃないですか?
halca ですです!こうやってお話しするのは2年ぶりくらいじゃないですか?でもリスアニ!RADIOとか、リスアニ!の生配信も見ているので、私は勝手に会ってる気になっているんですけど(笑)。
冨田 それは僕もですよ!普段、ラジオを聴かせてもらっているし、“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”(以下、アニサマ)でも八面六臂の大活躍だったのを見させてもらっています。さて、春に1stツアーがあって、夏には“アニサマ”もありましたよね。今年はリリースも含めて活発な活動でした。コロナの規制が緩和された結果だと思いますが、振り返っていかがでしたか?
halca やっぱりあるべき姿に戻ってきたし、お仕事もやるべき頻度で楽しくできているなと思います。でも最近、色んな人に会うたびに「忙しそうだね」って言っていただくことが多いんですけど、自分的にはデビュー当時のほうが忙しくて、今は「むしろヒマかも」と思ってます(笑)。新しくレギュラー、FM yokohamaで「Tresen」(月曜日担当)が始まったり、コロナ禍からのギャップもあるかもしれないですけど、「私まだまだ頑張れる!もっと詰め詰めに色んなことに挑戦したい!」という気持ちでした。
冨田 今年でデビュー5周年。コロナ禍もありましたけど、そのなかでもhalcaさんの活動は止まらなかった印象がありました。「キミの隣」でデビューしてから現在まで、5年間を振り返ってどうでした?
halca 事務所の方たちに言ってもらったことなんですけど、「デビューからめっちゃ好調な走り出しではなかったけれど、将来のために種をたくさん蒔いて、花を咲かせるのを待つタイミングでちょうどコロナ禍がやってきちゃって、運が悪かったかもしれないね」って励ましていただいたんですね。コロナ禍に入る前に『彼女、お借りします』の話は決まっていて、「そりゃードカンといくでしょ!」という期待も自分の中であったんですけど……。もちろん、アニメ『彼女、お借りします』の作品自体はすごい盛り上がりましたし、エンディングの「告白バンジージャンプ」もみんなに愛されていたんですけど、自分だけは理想としていたところにもう一歩届かなかったと正直思っていました。コロナ禍だったから「踊ってみた」してみるとか、色んなことにチャレンジできたのは良かったんですけど、コロナ禍が3年も続いて何もできなかったから、自分の気持ち的にはまだデビューして3年目ぐらいの気持ちなんですよね(笑)。
冨田 でも、ミュージックレインの中でもhalcaさんの「末っ子感」ってずっとあったんですけど、今は後輩もたくさんできて、その辺の感覚も変わってきているんじゃないですか?
halca 確かに!「良くも悪くも変わらないね」って言ってもらえたり、自分で言うのもなんですけど常にフレッシュな感じというのは、自分の中の意識としては「5年目だけどまだ3年目の気持ち」とも関係してるのかなって思ってます。アーティストとしては年齢関係なしに好きになってもらえるように、年齢は公表しないでふわっとさせてるんですけど、いつまでも変わらず女性としても魅力的でありたいし、ピチピチでいたいですね(笑)。
冨田 本当に5年前と変わらないし、いつまでもピチピチな印象ありますよ。halcaさんを客観的に見てきた印象として、『ヲタクに恋は難しい』『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』『ぼくたちは勉強ができない!』『彼女、お借りします』と、アニソンシーン全体の中で「ラブコメ・恋愛系アニメといえばhalca」というポジションを築けていると思うんですけど、ご本人としてはどう思いますか?
halca もう、まさに!自分でもそう思ってもらえているといいなという目標はありましたね。元々自分もアニメでは特にラブコメが好きで、歌うのもラブソングが好きなので、自分が好きなものが皆さんの持つイメージと近いという状況はすごく嬉しいです。これからもラブコメの曲をどんどん歌っていきたいと思いますし、「ラブコメといえばhalca」となったらいいなと思います。代名詞みたいな!
冨田 代名詞を5年かけて着々と作ってきたのが今のhalcaさんのイメージに繋がっていると思うんですよ。
halca 嬉しい!今後もラブコメを歌っていきたいし、『邪神ちゃんドロップキック』みたいに、ラブコメではないけど大きな意味で“愛”をテーマにした作品を担当させていただいたこともあるので、これからはそういう作品も“愛”で包み込んで挑戦してみたいと思うようになりました。
冨田 それも「ラブコメといえばhalca」というアーティスト性、音楽性があるからで、アクションやバトルの作品をやってもそこに帰っていける、自分のホームを5年かけて形成できたからですよね。しかも、MiCLOVERの中でも独自のポジションじゃないかと思うんですよ。
halca SACRA MUSICの中では確実にそうなんじゃないかと思うんですけど、実はMiCLOVERではラブコメを歌っている人もいるから「負けてられない!」という気持ちもありますね(笑)。まだ生まれてない(デビューをしてない)頑張り中の子たちも、デビューが決まってお披露目されているみんなも、いつかはラブコメを歌っていくだろうし、そのときに「キュンキュンする曲ってどうやって歌ったらいいんだろう?」ってヒントになれるような人になりたいと思いますね。
冨田 キュンキュンする曲って、ただかわいいだけじゃなくて切なさの成分が入っているのが大きいじゃないですか。その成分がhalcaさんの歌にはあるから、様々なラブコメ作品とコラボできているんじゃないかなと思うんですよ。
halca ありがとうございます。「かわいい」だけなら私じゃなくてもいいし、「初恋」みたいな甘い部分もありつつ、常に切なさと隣り合わせみたいな部分は、生まれ持った声にもその成分が入っているんだろうなと思うから、良かったなと思います。大事にしたいなと思います!
冨田 その個性をみんなが見つけてくれたり、事務所や業界が見つけてくれる状況になったんでしょうね。
halca それはすごく思います!冨田さんもリスアニ!RADIOとか、ライブが終わったあととかに色々発信してくださるじゃないですか。それは絶対、みんな聞いてくれてると思うんですよ。リスナーの方たちだけじゃなくて、(業界の)有識者の人たちも絶対チェックしてるし、「冨田さんがhalcaいいって言ってるから、今度何かあったら(起用を)考えてみようかな」っていうの、絶対あると思うんです。本当にありがたいなと思ってます。
冨田 いやいや、とんでもない。ただ、僕たちはそうやって「良いものは良い」と発信するのが役割ですからね。逆に何も感じなければ発信しないから。
冨田 最近、ラジオとかでhalcaさんについてお話しするときに僕が言っていることがあって。それは「歌で表現する力が本当に強くなった」ということなんですけどそれはどこからなんだろう?と思って。ライブで過去の曲を歌う時、以前とは印象が変わってきてると思うんですよ。
halca これはリスアニ!さんの連載だから言うわけじゃないんですけど、“リスアニ!LIVE 2022”が「キミがいたしるし」を初めて歌ったときで、そのときにすごい手ごたえを感じて、「これは……今何か掴めた!」って、ライブを楽しむコツとか印象に残るコツみたいなものを掴めた気がしたんです。私の曲は、簡単そうに歌うのがかっこいいと思うので辛そうには歌わないようにしているんですけど、実は「カラオケで歌ってみたら難しかった」という曲が多いと思うんですね。「キミがいたしるし」もそんな曲で、自分にとってはそんなに新たな挑戦という感じではなくて、レコーディングでも苦戦した思い出はなかったんですけど……。デビュー曲の「キミの隣」と同じ、宮嶋淳子さん(作詞)、川崎智哉さん(作曲)が作ってくれた曲で、3周年のタイミングで元の場所に帰るということで、それで3年という時間が経ったことを自覚して、意識が大きく変わった曲でもあったんですね。MVを撮るときにも今までは受け身で言われた通りやっていたんですけど、「こんな動きをしてみたら、曲に合っててかっこいいかも」っていうのがあったので取り入れたりして、それが上手くいったり。小さなことでも自信が積み重なったのかなと思います。それもあって、“リスアニ!LIVE”で「こりゃいいな!」って思えたのかもしれないです(笑)。ディレクターの菅原 拓さんにも、「今はまだわからないかもしれないけど、続けていったらわかるようになるんだよ」って言われていて、絶対ウソだって思ってたんですけど……(笑)。
冨田 なんで信じないんですか(笑)。
halca だってホントにわかんなかったんですもん!(笑)。自分では勘違いしてたことがあって、自分は“ピッチが悪くて、リズム感がある”と思っていたら、“ピッチは悪くなくて、リズム感が悪い”って菅原さんに言われて、思ってたのと真逆だ!ってびっくりしたんですよ。手拍子も一定のリズムで叩けないし、裏拍も叩けないし……。でも、菅原さんが言ってた通り、続けてたらできるようになっちゃったんですよ!
冨田 そういうアーティストの成長を見守れるのもファンの喜びだと思うんです。「キミの隣」のときのシンプルな振りが懐かしいくらい、今は全身で動いて表現して歌っていて、歌の感情の輪郭がすごく見えるようになってるなって。ライブを観ていて表現力のすごさに感動させられたんですよ。
halca 歌も動きも別物だと思って切り離して考えていたんですけど、全部繋がっているんだなと思って。「キミの隣」の手の振り方も、“リスアニ!LIVE”の前までは当初のようにロボットのように振ってて(笑)、ほかの曲はフリーに動けているのに曲によってクオリティに差があったんですよ。それは見てても絶対わかっちゃうし、恥ずかしいなって思っていたんです。でも“リスアニ!LIVE”以降は、同じ振り付けでもナチュラルに見せることができるようになった気がして、何か殻を破れた気がしました。
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