――今回の新曲「あいことば」に関しても、やはり自分たちの信念を貫いて制作をされたわけですか?
SEIYA そうですね。作品に触れて自分たちの中に生まれた想いや感情をそのまま形にしました。
――ERENさんは『キミゼロ』という作品からどんなインスピレーションを受けて楽曲に落とし込もうとされたのでしょうか?
EREN 原作を読んだとき、この作品は登場人物のピュアな心の動きを描きたい作品だと感じたんですね。不純物のない、きれいで細やかな心の動きを描いているんだろうなと思ったときに、AliAとしてはそこに深さを与えてあげたいと感じたんです。なので、“人を好きになること”の尊さ、誰かを想うこと自体が豊かで温かいことを表現できればと思いました。そのほうが、僕らがこのアニメを良くすることに貢献できると思ったんですね。
――作品と真摯に向き合ったうえでの提案だったわけですね。
EREN 原作者の方はピュアな想いを込めてこの作品を書いていると思ったので、作品とファンの間に入る僕らはそれを邪魔してはいけないと思ったんです。僕はメンバーにも普段からこうやって熱い想いを込めて、1つ1つの物事に対してコミュニケーションを取るようにしていて。みんながそれをすごく大事にしてくれるから、今の5人の関係性があるし、スタッフの人たちを含めたAliAというチームがあるので、そこは譲れない部分でもあるんです。
SEIYA 僕らはAliAだし、アーティストとして世の中にメッセージを発信していて、それに共感して集まってくれる人がいるので、「僕らがどうありたいか」ということを誰かに委ねてはいけないと思っています。僕らが色んな作品に感動して伝えてきたことを、純度を高く守らなくてはいけない。逆に言うと、自分たちの納得のいくものを世に伝えるために守らなくてはいけないことを、僕らも学べた機会になりました。
RINA この楽曲はレコーディングにもすごく時間をかけたんです。フレーズ自体はほかの楽曲に比べると難しくないんですけど、演奏するにあたっての気持ちを作るために(ERENから)たくさん楽曲に込めた想いを聞きました。今回は私だけでなく、プロのストリングスの方々にも演奏していただいたのですが、皆さんそういう経験は初めてだったみたいで最初は戸惑っていて(苦笑)。
EREN 一度弾いてもらったあとに「うーん……」となったので、「この楽曲はこういう想いで作りました」「あなたは人を好きになった経験がありますか?」「そういうときにどんな音を鳴らしますか?」みたいなお話をして。でも、それをやることでみんながグッと1つになるんです。
TKT そう、そのあとに録ると、音がめちゃくちゃ変わるんですよ。
RINA みんなでメンタルから作り込んでいく。皆さんプロの演奏家なので、普段はそういうやり取りもなく譜面通りに一発で演奏するような実力の方々なんですけど、レコーディング後に「こんなに楽曲に対して向き合って、時間をかけて作ったのは初めてなので、良い経験でした」という話をしてくださったんです。楽器の演奏には言葉は乗らないですが、そういう想いを込めて演奏したことが伝わればいいなと思います。
――この楽曲、1サビ終わりからのストリングスの高まりがすごいですものね。
RINA 熱い展開になっています(笑)。AliAの演奏は普段から全然ドライな感じではないんですよね。
SEIYA ただ譜面通り演奏するのではなくて、ERENから「心を表現しろ」って言われるんですよ。レコーディングでよく「(音は)あっているけど、あってない」って言われて、最初の頃はマジで困惑しました(笑)。
RINA 「AYAMEのことを置いていってる」って言われたんだよね。私も難しいことを言うなあと思って(笑)。
SEIYA うん、「歌を置いてけぼりにしている」って言われて。でもテンポは合っているんですよ。それは今のストリングスの話と同じで、気持ちが演奏に表れているかどうか、っていうことなんですよね。
EREN 「俺が感じないんだったら、誰も感じないだろう」っていう話で。まあ、自分でもおかしな話だと思うけど(笑)。
SEIYA でも確かにそうだと思うんですよね。実際にこの楽曲を聴く人たちに、想いが届かなかったら意味がないので。歌詞や楽曲、いわば設定の部分はしっかり作られているのに、僕らの演奏で気持ちの深さや熱さが届かなかったら、それは良くないなと思っています。
EREN というのも、AYAMEがすごく細やかに気持ちを作って、自分を追い込んで歌うボーカリストで、ライブでも「1人でどこまで行ってしまうんだろう?」って思うくらい、遠いところまで行ってしまうんですよ。これは褒め言葉なんですけど(笑)。そんなAYAMEの近くに俺たちがいられるのは、気持ちの込め方にしっかりと向き合って演奏しているからだと思っていて。少しでも気を抜くと、AYAMEだけ異次元に行ってしまって、俺らはモブキャラ、ただのバックバンドになってしまうから。
RINA 確かにそうなんだよね。
EREN それくらい素晴らしいんですよ、AYAMEの歌は。例え苦しくても、楽曲に対してすごく向き合うんです。だから(演奏のみを担当している)RINAとSEIYAの2人には厳しめになってしまうんです。
RINA うん、そこはちゃんとリスペクトしているし、わかってる。
SEIYA でも、たまにとんでもない空気になるんだよね(笑)。
――アハハ(笑)。「あいことば」の歌詞はTKTさんが書かれていますが、先ほどERENさんが話していた“人を好きになること”の尊さ、『キミゼロ』で描かれるキャラクターたちのピュアな気持ちを意識して書かれたのでしょうか。
TKT そうですね。この作品は、大人になることで忘れていってしまうような感情がテーマになっていると感じたので、そういう気持ちを思い出したり、想像しながら作っていきました。歌詞に関してはAYAMEにも意見をもらいましたね。「この語尾だと、このキャラクターが言っているようには聞こえない」と言われたので、そういう部分を微調整しながら作っていきました。
AYAME デモの時点で原作の先生に聴いてもらうというお話だったので、「自分が彼女たち(ヒロインの白河月愛・黒瀬海愛)にならないとダメだ」と思って、デモを録るときも携帯の待ち受けをあの子たちの画像に設定してから録ったんですよ。確かそのときに(TKTに)意見したんだと思うんですけど、完全に憑依していたのであまり記憶がなくて(笑)。でも、やっぱり歌った後に気づくことが多いんですよね。
TKT まあ、この作品の主人公たちは今の僕とはかけ離れた存在なので難しかったですけど(笑)、僕もこういうピュアな気持ちは素敵だなあと思うので。特に一番最初に浮かんだ「“ゼロ”からキミと2人で歩けたから」という言葉は使いたいなと思ったので、サビ頭に持っていって、そこからほかのフレーズを考えていきました。
――Bメロに“海に浮かぶ月”というフレーズがありますが、これはヒロインの月愛・海愛を意識したものでしょうか?
TKT あっ、その通りです。やっぱりあの2人もこの作品の肝だと思うので。みんな気づくかな?と思いながら書きました。
――AYAMEさんはどんなことを意識して歌いましたか?
AYAME さっきも言った通り、本当に(作品のヒロインに)なり切った気持ちで。私はいつも歌うときに何かしらの主人公を自分の中に作るんですけど、今回は書き下ろしのタイアップ曲だったこともあって、原作を読んだうえで私が彼女たちに感じたこと、彼女たちがこの楽曲を歌うとしたらどう歌うかをイメージして、歌詞を変に読み解くことなく、サラッと思ったままに歌いました。普段なら選ばないアプローチもしていて。
――それは例えば?
AYAME いつもならもっと張り上げて歌うところや、絶対に地声で歌うキーのところを、この楽曲ではあえてファルセットや裏声で歌ってみたりしています。楽曲自体がすごく温かいし、初々しい気持ちが表現されているので、張り上げたり叫ぶのは違うと思ったんです。あとは言葉尻の表現やブレスの仕方を細かく意識しました。
――個人的にこの楽曲の歌は、語りかけるようなニュアンスに近い印象を受けました。
EREN “語りかける”もそうかもしれないけど、僕の聴こえ方としては、帰り道に1人で自分の思いを言っているような感じがしましたね。
AYAME ああ、確かに。“語りかける”ではなくて、ただ口から出ているというか、呟いている感じのほうが近いかも。メロディを追っているのではなくて、ただ言葉を発している感じというか。
――その意味でも、今までのAliAにはなかった表情も感じさせる楽曲になりましたね。最後に、今回の初タイアップはバンドにとってどんな経験になったか、今の実感をお聞かせください。
EREN 僕らはこの間にメンバーが1人抜けて(※ドラマーのBOBが2023年7月に脱退)、未来は明るいけど環境の変化もあったので、ゼロとは言わないけど、一旦振り出しに戻って、自分たちがどう生きていくのか改めて考え直したところがあって。そういう今の自分たちにも重なるし、今の僕たちが素直な気持ちをシンプルに表現することができて、ここから色んなドラマや出来事が生まれていく、最初の時期の歌になったと思います。これは人を好きになる前の気持ち、恋愛になる前の形を表現した歌だから、この曲を通して、僕たちが何かに変換される前の気持ちを感じていきたいし、今後そうなっていく気がしています。
●リリース情報
AliA
「あいことば」
配信中
購入はこちら
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
品番:PCSP-05240
<収録楽曲>
M1. あいことば
作詞:TKT 作曲:EREN
M2. あいことば TV size ver.
●作品情報
『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』
AT-X 10月6日より 毎週金曜 22:30~(リピート放送:毎週火曜日10:30~11:00
毎週木曜日16:30~17:00)
TOKYO MX 10月6日より 毎週 金 曜 25:35~
BS11 10月6日より 毎週金曜 27:00~
サンテレビ 10月7日より 毎週土曜 25:30~
KBS京都 10月7日より 毎週土曜 25:30~
配信情報
dアニメストア、Lemino 10月6日(金)より毎週金曜 23:00~その他サイトも順次配信中
※放送・配信日時は番組編成の都合等により変更となる場合がございます。
<あらすじ>
加島龍斗(リュート)は冴えない陰キャ男子、もちろん16年彼女ナシ。
そんなリュートの憧れは、白河月愛(ルナ)。学年一の美少女ギャルで、恋愛経験も豊富
遠くから見ているだけで十分だと思っていたけれど……、なんと付き合うことに!?
恋愛経験ゼロの陰キャ男子と経験済みなギャル、住む世界が違いすぎる二人が織りなす
凸凹だけど、ピュアでリアルでドキドキがつまった極上青春ラブストーリー。
【スタッフ】
原作:長岡 マキ子『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』(ファンタジア文庫刊)
キャラクター原案:magako
監督:大庭 秀昭
シリーズ構成:福田 裕子
キャラクターデザイン:伊藤 陽祐
美術監督・美術設定:宮田 遥可
色彩設計:山上 愛子
撮影監督:板倉 あゆみ・山本 雄介
オフライン編集:小口 理菜
音響監督:高寺 たけし
音響効果:風間 結花
音楽:羽岡 佳
音楽制作:ポニーキャニオン
音響制作:グロービジョン
アニメーション制作:ENGI
製作:キミゼロ製作委員会
OPテーマ:内田真礼「ラブ・ユー・テンダー!」
EDテーマ:AliA「あいことば」
【キャスト】
加島龍斗:花江夏樹
白河月愛:大西沙織
黒瀬海愛:古賀 葵
山名 笑琉:福原綾香
仁志名 蓮:阪口大助
伊地知 祐輔:落合福嗣
谷北 朱璃:楠木ともり
関家柊吾:前野智昭
KEN:KUN
©長岡マキ子・magako/KADOKAWA/キミゼロ製作委員会
AliA
公式サイト
http://www.alialive.jp/
公式X
https://twitter.com/AliA___official
公式YouTubechannel
https://www.youtube.com/channel/UCQypWrxGTZVMP1aKd7GO45w
『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』公式サイト
https://kimizero.com/
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