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INTERVIEW

2023.11.02

花澤香菜、仄暗い思い出や様々な感情を糧にしていく仕事――アニメ『ダークギャザリング』EDテーマ「インタリオ/灰色」撮りおろしインタビュー

花澤香菜、仄暗い思い出や様々な感情を糧にしていく仕事――アニメ『ダークギャザリング』EDテーマ「インタリオ/灰色」撮りおろしインタビュー

花澤香菜のニューシングル「インタリオ」は、彼女自身が寶月詠子(ほうづきえいこ)役を務めるTVアニメ『ダークギャザリング』10月クールEDテーマ。憂いを帯びたサウンドとメロディ、そして、心の中の仄暗い思い出に寄り添うような歌詞が響き合うバラードナンバーだ。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子

『ダークギャザリング』2期連続EDテーマ「インタリオ/灰色」

――新曲「インタリオ」は、花澤さんが寶月詠子役を務めるTVアニメ『ダークギャザリング』の10月クールEDテーマ。前クールの「灰色」に続き、2期連続でのEDテーマ担当ですが、「インタリオ」を最初に聴いたときの印象はどうでした?

花澤香菜 「灰色」と同じく北川勝利さんが書いてくださってるんですが、さらにバラード寄りになっていて、歌詞もドラマティックだなと思いましたね。作詞は宮川 弾さんが書いてくださっています。ほかの人には言えないような仄暗い部分に寄り添ってくれるような歌詞ですし、読めば読むほど深みが出てくるんですよ。宮川さんは夜宵ちゃん(『ダークギャザリング』寶月夜宵)の“目”をイメージしていたみたいです。

――何度も出てくる“トゥナイト”というワードの繊細なニュアンスも印象的でした。

花澤 私も“トゥナイト”の部分は好きですね。レコーディングのときは作品や詠子ちゃんのことはそこまで意識していなくて。そこは曲と歌詞にしっかり取り入れてもらっているので、私自身の経験や思い出を引っ張ってきながら歌ってました。楽しくない思い出だったり、誰にも言ったことがないこととか(笑)。

――そういう暗い部分を引っ張り出してくる作業、辛くなることはないですか?

花澤 でも、そういうお仕事なんですよ。声優のお仕事もそう。『ダークギャザリング』もそうですけど、壮絶なことが起きるじゃないですか。自分のこれまでの経験にはもちろん当てはまらないんだけど、「どの感情が一番近いのかな?」って探りながらアフレコをしているので。それは辛いことではなくて、「あの経験があって良かった。ありがとう」なんです。私は普段、そんなに怒るほうではないんですけど、怒りのスイッチが入るエピソードは持っていて。キャラクターが怒るシーンがあると、その思い出を何回も引火させています。何度も火が付くので「よっぽど根深いんだな」って自分でも思うけど(笑)、その経験もあって良かったんだなって。

――そのスタンスは、「インタリオ」にも活かされているんですね。北川さんとはどんなやり取りがあったんですか?

花澤 「ここはちょっとドラマティックに」とか、そういう感じだったかな。色んなニュアンスで歌ったような気がします。北川さんは私が出せるところのもっと先を目指してくれるんですよ。スタジオでは「もっと何かある?」とか「違うパターンも欲しい」とディレクションしてくださって、そのおかげで私の歌の幅も広がるので。

――シングルの2曲目は「灰色」。シューゲイザー的なサウンドを取り入れたミディアムバラードです。

花澤 今年の“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”で初めて皆さんの前で歌ったんですけど、バンドで演奏するとさらにカッコよくなる感じがありました。力強さが増して、壮大に響くというか。私自身は歌い上げるというより、どちらかというと訥々と歌ってるんです。そうすることで孤独感がさらに出るんじゃないかなって。歌い上げたくなる曲でもあるんですが、「無垢な感じが一番怖い」みたいなことってあるじゃないですか。

――確かに。“降りしきる雨の中”で始まり、情景描写と心象風景が混ざった歌詞も印象的でした。

花澤 土砂降りのなか、雨に打たれながらも、悲しみに負けないで生きている……というイメージかな。「灰色」のほうが『ダークギャザリング』を意識して歌っていたかもしれないです。詠子ちゃんの「イケないところに踏み出したいけど、これはダメなのかも」というジレンマだったり。

――詠子、とても複雑なキャラクターですよね。

花澤 詠子ちゃん、めちゃくちゃ面白い子なんですよ。オーディションのときから「色んな面がある女の子だな」と思っていて。第一印象は、活発で、ちょっとお姉さん的なところがあって、みんなを引っ張っていけるところもあって、「こんな幼馴染がいたら、好きになっちゃうだろうな」と思ってたんだけど、読み進めていくと「あれ?実はこの子が黒幕なんじゃないか?」という怪しさもある。幽霊やオバケに対するリアクションも変わってるんですよ。螢多朗くんの怖がり方、驚き方が多分普通で、視聴者と同じような目線だと思うんですけど、詠子ちゃんはそれを自分から摂取しに行くんですよね。心霊スポットにもどんどん出かけるし、「何か怖いこと起きないかな」ってワクワクしてるっていう。あと、螢多朗くんへの深い愛がちょっと歪んで出てきちゃってるのも、変態的というか(笑)、良いですよね。

――ストーカー気質ですからね、詠子。

花澤 盗聴してますからね。ただ、螢多朗くんとは割と良い感じだからよかったなって(笑)。私自身は怖いのが少し苦手なので、ホラー作品に関わるときは身構えちゃうんですけど、『ダークギャザリング』は詠子ちゃんのおかげで心霊現象を楽しむマインドを持てているのかなと思います。本当に楽しくアフレコさせてもらってますね。

――場面によって声のテンションがかなり違いますよね。

花澤 そうですね。明るい場面は思い切りはっちゃけてるし、彼女のヤバさがめちゃくちゃ出てるところシーンもあって。ホラー作品ですけど、怖いだけだと鬱々としてきちゃうじゃないですか。特に詠子ちゃんは、しっかりメリハリを付けることを意識していましたね。2クール目に入ってからは、怖いことが起きたときの興奮が顕著になっているんですよ。「この子、怖いことが本当に好きなんだな」というのが伝わってるといいなと思ってます。

――花澤さんも怖いものに対する耐性ができてきた?

花澤 うーん、どうでしょうか。私がパン屋さんに行ったときの興奮と似てるかも。「焼きたて、いっぱいあるじゃん!」と「オバケ、いっぱいるんですけど!」っていう感覚が近い気がします(笑)。

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