INTERVIEW
2023.11.02
RAISE A SUILENが初のミニAlbum『REVELATION』をリリースした。5曲入りのこの作品では、楽曲ごとにメンバーそれぞれに焦点を当てた歌詞が書かれており、当該のメンバーがボーカルにも参加している。これまでの彼女たちの歩みや内心の思いを綴った内容は、よりバンドリーマーに響くこと請け合いだ。そんなメンバーの中から、今回は楽器隊の、LOCK(Gt.:朝日六花)役の小原莉子、マスキング(Dr.:佐藤ますき)役の夏芽、パレオ(Key.:鳰原令王那)役の倉知玲鳳に登場してもらい、歌詞の内容や演奏について解説をしてもらった。またレイヤやチュチュに焦点を当てた楽曲についてもメンバーからの視点で話をしてもらっている。これを読み、ぜひ来る“BanG Dream! 12th☆LIVE”の3日目、RAISE A SUILENの単独公演に臨んでほしい。
INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子
――新作のミニAlbum『REVELATION』の5曲は、それぞれメンバーに焦点を当てたテーマで書かれています。まず、この企画についてどのように受け止めましたか?
小原莉子 「バンドリ!」のほかのバンドには同様の企画やソロで歌う曲があって、それが今回、RAISE A SUILEN(以下、RAS)でも実施されたことにまず、驚きました。アニメ「BanG Dream! 2nd Season」のお話や、メンバーのキャラクター性が歌詞にもしっかりと落とし込まれていて、ファンの皆さんも歌詞を読むことで思い返される連動性がすごく素敵だなと思いました。
夏芽 特に私と莉子ちゃんは、ソロで歌うこと自体が初めてだったんです。歌詞を読んだときに実際にそれぞれのキャラクターのことが書かれていたのが、興味深かったですね。
倉知玲鳳 こうした試み自体が率直に面白いなと感じましたし、自分たちが演じるキャラクターのことを深掘りしていけることを嬉しく思いました!いただいた歌詞も、パレオちゃん・令王那ちゃんに寄り添ってくださっているのがわかり、各曲ともRAISE A SUILENのことをとても深く考えて書いていただいていることが嬉しくて、涙が出ました。
――“REVELATION”とは、辞書的に訳すと「明らかにする」といった意味になりますが、このタイトルについてはどのように感じましたか?
小原 RASそれぞれのメンバーをフィーチャーして、キャラクター性を明らかにしていく。まさにタイトルにも表れていますね。
夏芽 曲調もそこに書かれている歌詞も、みんなそれぞれに合っていますし、RASとしても新しい感じの曲調が多いので、面白い内容になっていると思います。
倉知 どの曲にも新鮮さがあって、新しいRASの道を切り開いていくような曲たちだなと思ったので、曲と合っている素敵なタイトルだと思っています。RASのメンバーの名前はそれぞれ「隠す」とか「覆う」ことがモチーフになっているんですが、その隠れていたものを見せるということで、新たなスタート、新しいことに挑戦していくのだろうと気合いが入りました。
――新しい曲調というのは具体的にどのような?
夏芽 まずは「Apocalypse」。これはチュチュの曲なんですけど、生ドラムではなく打ち込みでノるのが新しくて。
倉知 格好良いですよね!バーッと盛り上げるというよりも、落ち着いている粛々としたクールな格好良さがあります。チュチュに焦点を当てた曲だけあり、ラップも散りばめられていて、彼女の語りで始まるところも好きですね。やっぱり、パレオにとってチュチュは恩人なので、演奏していても、とても気持ちが入りやすいです。
小原 このミニAlbumは楽器の難易度も曲によって差が大きいんです。「Apocalypse」はクラブサウンドで、ギターとしては割とシンプル。
倉知 それで言うとキーボードは、パレオをフィーチャーした「TWIN TALE」が、細かいことをやっていて一番難しい感じですね。
夏芽 「TWIN TALE」は、もうザ・パレオ。いや、ザ・倉知って感じ(笑)。玲鳳ちゃん、ラスベガスさん(Fear, and Loathing in Las Vegas)が好きだから、曲調にもそれが表れているよね。
――倉知さん、難しいとは具体的にどんなところでしょう?
倉知 サビですね。ここは歌の主線やほかの楽器とまったく違う動きをしています。コード感も関係なく、もう1個別のメロディーがあるんじゃないかくらいのフレーズをずっと弾いているんですよ。ここは今まで聴いたことがないトリッキーなフレーズで、暗譜するのも大変でした。歌をほかの楽曲と同じ感覚で聴いているとつられてしまうので、熱量をしっかり聴きつつ、音階で捉えすぎず聴くのが重要かなと思いました。その攻めたフレーズを選択するあたりも、とにかくずっと細かく動いている感じで、歌を聞きすぎるとつられてしまうので、聞きすぎないことも重要。それがパレオちゃんらしいというか、「TWIN TALE」というテーマに合っているのかなと思いました。
――プレイヤーとしてチャレンジのしがいがありそうな楽曲ですね。
倉知 はい!なので、弾けるようになるともうドヤ顔です(笑)。現段階では、ただ、ひたすらにキーボードの音だけに集中しているので、この曲についてはサビ中で歌やほかの楽器を聴く、コーラスを入れる、という余裕がまだあまりなくて……ライブで披露するときには、それが両立できるようにしていきたいと思います。
――お二人から見て、この曲はどういうところが興味深いですか?
小原 やっぱり曲中テンポが変わるところですね。最近になって増えてはきましたが、最初は大変でした。でも慣れてくると、それも1つの個性としてすごく良いなと思いますし、「TWIN TALE」はパレオ自身のちょっと突き抜けた個性が、その変拍子というところに繋がっているなという印象があります。
夏芽 あとは始まり方ですね。チュチュとパレオが2人で物語を読むかのような掛け合いがあって、最後にレイヤがピシッと“Wakey! Sleeping Leo!!”と締めて曲に入るという(笑)。これも新しいですね。
倉知 ありがたいです(笑)。ここは「目を覚ましなさい!眠れる獅子よ!」という意味なのですが、「Leo」は「パ/レオ」にも「レオ/ナ」とも掛かっているという。その意味でもワード選びがスゴいんです。
――「TWIN TALE」の歌詞にはどんな印象を受けましたか?
倉知 パレオちゃんや令王那ちゃんのことを熟知したうえで書いてくださっているのはもちろんですが、私が特にハッとしたのは、2Bの“裏がなければ表はない だからこそヒトは魅力的”という言葉。まさに私自身が最近、ボイトレの先生に言われたことだったんです。「正しいとか綺麗とか、そういうものを求めるのはいいけど、少し毒がないと魅力的にはならないよ」と。
――まさにご自身のことと演じるパレオの歌詞が繋がったんですね。
倉知 そうなんです。私が悩んでいたことを、パレオちゃんが解決してくれたというか。このあとに“お芝居も時にはおクスリ”と続くのですが、そういった解釈していけばいいのかなと、中学生に教えられた一節でした(笑)。パレオは乗り越えたからこそここが歌えているわけで、彼女の姿がお手本になったらいいなと思いました。
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