声優アーティストユニット・DIALOGUE+が、11月1日(水)にニューシングル「フレンドファンファーレ」をリリース。通販サイト・きゃにめと配信限定でリリースされる本作は、10月・12月に開催する同名の新曲披露ワンマンライブのテーマソング。8人ならではの美しいハーモニーで彩られた、大切な人の背中を押す温かなミドルナンバーとなっている。今回はそのリリースを記念して、メンバーの鷹村彩花・村上まなつへのインタビューを敢行。シングル収録曲の話題に加え、来年1月にパシフィコ横浜にて開催予定のワンマンライブ“DIALOGUE+LIVE 2024 「LIFE is EASY?」”への意気込みなどについても語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼
――まずはお二人に、DIALOGUE+にとって今年の夏がどんなものになったと感じられているかをお聞きしたいです。
村上まなつ 今年はがむしゃらだった今までの夏と違って、それぞれのライブやフェスに向けてみんなで「今回のライブはどんなライブなのか」を考えたうえで「私たちはどういう目標を持つべきか?」を話し合ってから、毎回違う目標を持って臨んだんですね。例えば、フェスだったら“全部が繋がって1つのフェス”というものから“ステージごとにみんなが最大風速を出すべきフェス”まで、様々なものがあるじゃないですか?あとワンマンライブのときは、すでに私たちを知ってくださっているお客さんがいるという前提のもと、どんなライブができるかを考えたり……そういうことを経て、ライブに向き合う私たちの方針というか、筋が1つ決まった夏だったように思っています。
鷹村彩花 あと、今年は8人で活動できる喜びも強く感じましたね。去年の夏は残念ながら8人で活動することが叶わなかったので、改めて8人でステージに立てる楽しさや8人でいられることのありがたみも感じましたし、仲もより深まって……やっぱり、しっくりきたというか。ぽっかり欠けている部分が埋まって「やっとパズルのピースが揃った!」みたいな、安心感と安堵感がありました。
――そういう意味でも、今年の“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”(以下、アニサマ)では1曲目に「ダイアローグ+インビテーション!」を歌われたのは、すごく素敵に感じました。
村上 そうなんですよ!やっと全員揃って「この8人がDIALOGUE+なんです!」っていう強い主張ができたような気がします。
――その“アニサマ”ではMCなく、限られた時間を駆け抜けられましたね。
村上 多分私たちのステージは、時間的にはMCを入れたら2曲が限界という割当てだったと思うんです。でも、元々秒数が短い曲が多いのもあってMCを削ったら3曲詰め込めたんですよ。リハーサルのときから「もっと曲間短くできますね」と言ったりして……(笑)。
鷹村 元々はもう少し曲間が長くて暗転も挟まれてる予定だったんですけど、「もうちょっと詰められますね」みたいにお話ししたことを、“アニサマ”のスタッフさんは「“アニサマ”は曲間で暗転を挟むのが普通だから、すごい!」みたいに受け止めてくださって。
村上 「これは、DIALOGUE+の個性ですね」って言ってくださったんだよね。
――そんな夏を経てリリースされるのが、新曲「フレンドファンファーレ」です。
村上 この曲にはまず、パッと「明るい曲だな!」という印象がありました。歌詞を読まなくても音楽だけで気分がアガるというか……励まされたり背中を押されたりするような、ポジティブな雰囲気を強く感じましたね。
鷹村 私は「すごく温かい曲だなぁ」と感じました。歌詞に使われている「おめでとう」とか「よかったね」みたいな言葉自体はありきたりなものかもしれないけど、そういう気持ちを相手に届けられるということって、すごく温かくて素敵なことですよね。もし私がこの曲を贈られたらすごく嬉しいだろうし、私も友達のお祝いごとに届けたいなぁ……と思うような曲です。
――温かさを感じる曲といえば「夕空航路」も思い浮かびますが、それともまた少し違ったものになっていますよね。
村上 そうですね。私のイメージなんですけど……「夕空航路」は横に並んで一緒に手を繋いでるような感じで、「フレンドファンファーレ」は手を引いて一緒に駆け抜けていくとか背中を押すみたいに、前に進む力を与えている感じがします。
鷹村 「夕空航路」はどちらかというと「一緒にいられるこの日常、当たり前だけど素敵だね!」というイメージで、まなつの表現で言うと背中合わせで2人で土手で会話している……みたいな姿が思い浮かぶんです。それが「フレンドファンファーレ」だと「うぇーい!」とか「よく頑張ったじゃーん!」みたいに言いながら肩を組んでいるみたいな……ちょっとノリが軽いんですけど(笑)、私はそういうものを想像します。
――また、Dメロにある言葉をかけてあげるようなセリフ調のパートからは、DIALOGUE+というユニットが歌う必然性があるようにも感じました。
村上 そのセリフの入っているパートは、田淵さんの仮メロでこの曲を初めて聴いたときから、私の中では好きポイントなんです。しかも、今回はセリフとコーラスの部分が交互にくることで幸せが積み重なっていくような感じもしたのもすごく好きで。普段声優の活動もしている私たちだからこそ1つのセリフに込められる何かがあるかもしれないですし、ライブでもきっと披露するたびにそのときの気持ちがこのセリフに反映されて、毎回違って聴こえるんじゃないでしょうか?
――ちなみに、鷹村さんがレコーディング前からのこの曲の好きポイントを挙げるなら?
鷹村 私は今回ハモリやコーラスに回ることが多いのもあって、Dメロみたいにハモリが何重奏みたいな感じになっているところが好きポイントですね。そこに合唱を彷彿とさせる温かさがすごくありますし、たくさんの人の色んな気持ちが積み重なって1つの楽曲になっていることを感じられて、すごく好きなんです。あとは、自分の歌のパートなんですけど、1-Aメロの“道行く人よく見てごらんよ よく見れば見つかるキラメキがある”というフレーズも好きですね。ちょっと暗い気持ちというか、ネガティブになったときって、そのネガティブな気持ちとか物事に意識が一点集中しちゃいがちというか……。
村上 視野が狭まっちゃうよね。
鷹村 そう。でもよく景色を見てみたら、「あ、いつも歩いてる道ってこんなに緑がきれいだったんだ!」みたいに日常の中にも小さな幸せがあるんだよっていうメッセージが、この部分ですごく感じられて。私自身にとっても、それが励ましになったんですよ。実際私も、良いことがあったときには特にいつもの道がすごくキラキラして見えますし(笑)。
村上 あと、「フレンドファンファーレ」も「夕空航路」もsumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司さんが作編曲してくださっているでしょ?激しかったりわかりやすく明るい音を使ったりしているわけじゃないのに、聴くとなんだか心が温まってポジティブな気持ちになれるのは、バーチャルお寿司さんならではだよね。
鷹村 そうだね。和音が「めちゃくちゃ明るい!」というよりは、ちょっと情緒っていうか……哀愁漂う明るさ?優しさみたいなものが感じられる音を使っているように思います。なんて言えばいいんだろう……夕焼け色?夕空って、色がグラデーションに変わっていくじゃないですか?その夜と夕方の間の、うっすーい、青とも紫とも言えない……。
村上 たしかに。水彩画みたいな感じ?
鷹村 あ、そうそう!くすみ色みたいなイメージがあります。
――そういったイメージを元に、レコーディングではどんなことを大事にして歌われていったのでしょうか?
村上 さっきやかんちゃん(=鷹村)が言ってくれたようにみんなのコーラスの多い楽曲なので、「自分の個性を出そう」というよりも「8人みんなで歌って完成する曲なんだ!」というふうに気持ちを作ることを大事にしまして。激しく1本バーン!と強い声を出すというよりも、ちょっと柔らかめな声の出し方を意識して歌おうと思いました。
鷹村 私は「明るすぎない」という部分を意識しました。私自身は寄り添われるほうが嬉しいタイプなんですけど、明るすぎちゃうと「頑張れよ!」みたいにちょっと押し付けがましくなっちゃいそうだったから、それよりも「傍にいてあげる優しさ」をイメージして穏やかに。もちろん口角を上げることはずっと意識しながら、元気すぎず明るすぎず、でも暗くはならないように……という微妙なさじ加減には気をつけました。
――逆に、元々イメージしていたものとは違った要素が必要になった部分もありましたか?
村上 ありました。私は、サビの部分をちょっと柔らかく歌っていたら、田淵さんから「サビはもうちょっと強くていいよ」とディレクションをいただいて。サビでは音的にちょっとだけ明るくなりますし、コーラスとかハーモニーのパートもあるので、全体が柔らかいと曲としてのメリハリがつかなくなってしまうからかな?と思っているんですけど。
鷹村 私は、自分がコーラスとかハモリに回ると目立ちすぎちゃって、バランスが取れないのかなと思ってたんですね。でも今回はねねさん(=稗田寧々)と一緒にハモに回ることが多くて、それこそサビは全部ハモなんです(笑)。
村上 もしかしたら今回はさ、みんなで合わさって1つの音楽になるから、ハモも主線みたいな扱いで……目立つやかんちゃんの声もすごく良い位置なのかな?って今聞きながら思った。
鷹村 え、地味にハモ好きだから嬉しい(笑)。
――ハモ、お好きなんですか?
鷹村 そうなんです。私自身が昔から音楽をやっていたというのもあって。特にプロフィールの「趣味・特技」に書かせていただいているクラリネットではみんなで1曲を作り上げるので、「曲の一部になれるように溶け込む」という縁の下の力持ちみたいなところが、音楽をやっているなかですごく楽しくて好きなんです。
――それは、こういう曲でハモに回る感覚とも近いものがありそうですね。
鷹村 あ、そうですね!もちろんメロディを吹いたりして目立つことも楽しいし、歌だって1人で歌おうと思えば歌えるものではありますけど、8人で歌うからこその音楽を作り上げられていることも好きなんですよね。
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