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REPORT

2023.10.24

その歌声はどこまでも真っ直ぐに未来へ響く!SennaRin、2度目のワンマン<SennaRin 2nd ONE MAN LIVE“Qv”>をレポート

その歌声はどこまでも真っ直ぐに未来へ響く!SennaRin、2度目のワンマン<SennaRin 2nd ONE MAN LIVE“Qv”>をレポート

シンガー・SennaRinが2度目となるワンマン<SennaRin 2nd ONE MAN LIVE“Qv”>を開催した。澤野弘之のプロデュースを受け歌唱・ソングライティング・アートワークと存在感を見せる若き才能が、前回より1年ぶりとなるワンマンでのステージで見せた多面性、そして可能性とは。新曲「S9aiR」やカバーを含む圧巻のステージをレポート。

PHOTOGRAPHY BY 加藤アラタ
TEXT BY 澄川龍一

あれから1年、確かな成長を見せた2ndワンマン

2022年4月に作曲家・澤野弘之のプロデュース作『Dignified』でデビューを果たしたシンガー・SennaRin。以降、澤野のライブをはじめ国内外数々のステージでその歌声を響かせてきた一方で、SawanoHiroyuki[nZk]Akihito Okano(ポルノグラフィティ)に歌詞提供した「odd:I」などソングライティング方面でも存在感を発揮してきた若き才能が、“1007(センナ)の日”である10月7日に2ndワンマンライブを開催した。2年に満たないキャリアの中で濃厚な経験をしてきた彼女が見せたステージは、確かな成長を感じさせるとともに、改めてSennaRinというシンガーの豊かな表現手法というものを様々な角度から知ることのできる体験となった。

会場である渋谷SPACE ODDは客席との距離が近い、いわばライブハウスらしい構造となっている。そんななか開演を告げるように、暗転した会場に「Dignified-IN」が流れる。そしてステージ上には田辺トシノ(ベース/ピアノ)と伊藤ハルトシ(ギター/チェロ)の2人が登場し、少しの間を置いて、この日の主役であるSennaRinがゆっくりとステージ中央に立つ……という演出は1年前の1stワンマンと同じ流れ。昨年はそこからEPと同じ構成である「BEEP」で幕を開けたが、今回は直後にあの印象的なスキャットが流れ始める。2ndワンマンの開幕は、自身の1stシングル「最果て」からだ。澤野弘之謹製の妖しいトラックに田辺のメロディアスなベースライン、伊藤の小気味良いギターカッティングが加わり、その上をSennaRinのボーカルがゆっくり這うように流れていく。1stワンマンでの初披露以来、1年かけて様々な場所で歌われてきたこの曲だが、最初に聴いたときと比べて、どこか肉感が強くなったというか、生々しい表現がとても印象に残った。そんな序盤からサビに突入すると感情を解放したかのようなエモーショナルな歌唱を聴かせるSennaRin。1曲わずか3分というなかで、あっという間に会場の彼女の色に染め上げてしまった。そんなボーカル、楽器、ビートの勢いを保ったまま「Limit-tension」へ。観客にクラップを煽りながら、ビートに心地良く乗った歌声を聴かせたあとは、そのまま「BEEP」へと続く。生々しい楽器と歌唱、対してデジタルなトラックが合わさることで、ライブの熱量を高めていくという開幕となった。

最初のMCでは観客の歓声に応えながら、「それぞれの楽しみ方で自由に楽しんでくれたら」と話すSennaRin。その話し方は実に落ち着いていて、緊張たっぷりな昨年とはまた違った印象を受ける。国内のイベントはもちろん、昨年末のサウジアラビアから、今年に入ってもベトナムや上海、ブラジル、ドイツと世界中のステージに立ったことも大きいだろうが、こうした落ち着いた立ち居振る舞いを見るだけでも、この1年間の経験が大きかったのだと感じさせる。もちろん、それはパフォーマンスにも大きく影響を与えているだろう。続いて披露された「dust」、そして「証」という名バラードで聴かせたボーカルは、振り絞るように、しかしどこか冷静に曲の世界観を表現しているように感じた。先ほどまでビートに乗ってフィジカルで音楽を楽しんでいた観客も、一転してその声に酔いしれるように立ちすくんでいる。様々なチャームを持つSennaRinだが、その声1つで聴く者を魅了するという最大の武器は、キャリアを重ねてより研ぎ澄まされていったと強く実感させるブロックとなった。

キューブのように多面的に、変幻自在に聴かせる歌声

彼女の歌唱に陶然としていたのも束の間、続いて披露されたアコースティックセットは、そんな感想を上回る素晴らしいものとなった。彼女がライブを観て感銘を受けたというワンリパブリック「Apologize」のカバーでは田辺が鍵盤、伊藤がチェロを弾くなか、絶品のボーカルを聴かせる。かと思えば続くアデルの「Hello」のカバーでも切なくも力強い歌声を聴かせた。そうしたカバーで実力を示したかと思えば、間髪入れずに「Missing Piece -WwisH-」へと繋がっていく。筆者も含めて多くの人たちとの出会いとなったこの曲が不意打ちのようなかたちで訪れると、客席の空気は一層張り詰め、ただじっと彼女の美しいボーカルに聴き入っていた。そんな彼女の原点から、今年SawanoHiroyuki[nZk]に歌詞を提供した「odd:I」へと続く流れは、まるで彼女の軌跡そのものを見つめているようで、パフォーマンスの素晴らしさと共にエモーショナルな想いが込み上げてくる。

「やっぱりアコースティックは皆さんとの距離が近くなるからいいですね」とはにかんだあとは、『機動戦士ガンダムUC』の劇伴の日本語歌詞カバーとなる「Ray」「yet.」を続けて披露。引き続きアコースティックセットのなかで、田辺の鍵盤と伊藤のアコースティックギターが優しく響くなか繊細な歌声を聴かせていった。そうした聴かせるパートを終えたあとは、会場が赤く照らされるなかで「aLIEz」のイントロが鳴り響く。セットも後半に入りステージ上もアグレッションを取り戻していく。田辺のベースがドスンと響くなか、SennaRinのボーカルも太くパワフルさを存分に聴かせていった。

続く「共依存をテーマに歌詞を書いた」という新曲「mist」は、ピアノをバックに優しい歌唱を聴かせる壮大な1曲。そこからアニメ『龙族』より「IVORY TOWER」を、また肉感の強いサウンドのなかでカチッとビートにハマったパフォーマンスを展開し、「透明な惑星」ではグッズのタオルを持って客席をさらに煽っていく。そして「遊び心があってリズムに乗れる超かっこいい楽曲」であり「1人の人の多面性をテーマ」にしたという新曲「S9aiR(スクエア)」を披露。ファンキーなリズムに乗ってまさに“多面性”を表現したような、コロコロと表情が変わるような歌唱が楽しいこのナンバーは、彼女の変幻自在な実力が存分に発揮された、彼女の新たな代表曲を感じさせる1曲だ。

そうしたクライマックスに進化を見せる楽曲を聴かせたあとは、この日最後の曲へ。「今までもこれからも、私の楽曲が皆さんの日々の時には励みになったり、時には癒しになったり、時には逃避の術となったり、時には娯楽になったり、色んな日々のシーンを彩る楽曲になればいいなと思います」と語ると、最後は初となる弾き語りを披露。鍵盤を前に座ると、緊張した面持ちで「melt」の旋律を弾き始めた。ピアノの音色とともに透き通るような歌唱が会場に響き渡る。そこに伊藤のチェロと田辺のウッドベースが加わり、歌声にも徐々に輪郭が見えてくるようで、セット中盤で聴かれたアコースティックセットとはまた違った、有機的なアンサンブルのなかで静かに、しかし確かに生命が躍動する、そんな素晴らしい歌唱が聴かれた。そんな最後にして素晴らしいパフォーマンスを置いて、SennaRinはこの日のセットを終えた。

1年前に行われた1stワンマンでは、若くして堂々としたパフォーマンスを見せる一方で、その先が知りたくなるような可能性をたっぷり詰め込んだようなステージが見られたが、あれから1年、あるいはわずか1年で、彼女はその可能性を確かな自信に変え、さらなる大きな存在となって我々の目の前に現れた。11月にリリースされるニューシングル「S9aiR」から、彼女の新たなキャリアが始まる。そのなかには引き続き海外などでのステージが待っているし、2024年の“リスアニ!LIVE 2024”の日本武道館でのステージも待っている。そこで彼女はどんな歌声を聴かせるのか。SennaRinの可能性はいまだ真っ直ぐ、果てなく未来へと伸びている。

<セットリスト>
M01 Dignified-IN
M02 最果て(TVアニメ「BLEACH 千年血戦篇」エンディングテーマ)
M03 Limit-tension
M04 BEEP(J SPORTSラグビーテーマソング)
< MC >
M05 dust(アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These 激突』主題歌)
M06 証(テレビ東京『THE MAKERS ~突破の条件~』テーマソング)
< MC >
M07 カバーメドレー:Apologize (cover) ~ Hello (cover)
M08 Missing Piece -WwisH-
M09 odd:I (cover)
< MC >
M10 Ray
M11 yet.
M12 aLIEz
< MC >
M13 mist(11/29発売「S9aiR」収録楽曲)※初披露
M14 IVORY TOWER
M15 透明な惑星
< MC >
M16 S9aiR(TVアニメ「僕らの雨いろプロトコル」オープニングテーマ)※初披露
< MC >
M17 melt(アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These 激突』テーマソング)


●リリース情報
SennaRin 2ndシングル
「S9aiR」
11月29日発売

【通常盤(CD)】
品番:VVCL 2375
価格:¥1,430(税込)

<CD>
01. S9aiR(TVアニメ「僕らの雨いろプロトコル」OPテーマ)
02. mist
03. yet.
04. Ray
05. S9aiR (Instrumental)

【期間生産限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:VVCL 2376-2377
価格:¥2,200(税込)
※TVアニメ「僕らの雨いろプロトコル」描き下ろしイラスト使用ジャケット

<CD>
01. S9aiR(TVアニメ「僕らの雨いろプロトコル」OPテーマ)
02. mist
03. yet.
04. Ray
05. S9aiR (TV ver.)

<Blu-ray>
01. 「S9aiR」 MUSIC VIDEO
02. TVアニメ「僕らの雨いろプロトコル」ノンクレジットオープニング映像

●イベント情報
リスアニ!LIVE 2024
2024年1月27日(土)SATURDAY STAGE
開場15:00/開演16:00(予定)
2024年1月28日(日)SUNDAY STAGE
開場14:00/開演15:00(予定)

会場
日本武道館

SennaRinは1月27日(日)SATURDAY STAGEに出演!

チケット(※すべて全席指定)
1月27日(土)SATURDAY STAGE、1月28日(日)SUNDAY STAGE
¥10,000(税抜)/¥11,000(税込)

関連リンク

SennaRin オフィシャルサイト
https://www.sennarin.com/

SennaRin 公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/senna_rin

SennaRin 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCF3GFSms-WSRmJKvOgLC7mw

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