JUNNAの7thシングル「眠らされたリネージュ」は、TVアニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』第2クールOPテーマとなっている。作詞・作曲を石川智晶が手掛けるこの曲で、JUNNAの新たな魅力も感じられるはずだ。さらにライブで盛り上がれる「Unite」や、JUNNAが歌う意味を歌詞に込めた「On My Side」など、カップリング楽曲についてもたっぷりと語ってもらった。
INTERVIEW&TEXT BY 塚越淳一
――ソロアーティストとしては5周年を迎え、ワルキューレでの活動もひと段落しました。何か変化したことや、ここからの目標などはありますか?
JUNNA そこまで大きな変化はないのですが、いろいろなものが終わっていったりするのは、次に進んでいくためのきっかけをもらっているような感覚でもあるので、自分がやりたいことや進んでいきたい方向を明確にしていかないといけないなと、いま思っています。
――今作のアーティスト写真やジャケット写真では、髪を短くしてガラッと印象が変わっていて、新しいフェーズに入ったような雰囲気も感じたんです。
JUNNA デビュー時から、ずっと同じ木村豊さんがアートディレクションをしてくださっていますが、今作の提案があったときに、「黒髪のぱっつんのほうがカッコいいんじゃないですか?」という意見が出てきて「なるほど」と思ったんです。髪を切りはしないですけど、ウィッグなら大丈夫ですと話したら、こうなりました(笑)。
――新しい髪型はどうでした?
JUNNA ここまで短いのは初めてで、地毛でも肩くらいまでしか切ったことがなくて。だから撮っているときは違和感でいっぱいでしたが、ジャケットやアーティスト写真になったのを見ると、こういう意図があったんだと見えてきて、インパクトがあっていいなと思いました。この写真が公開になったとき、いつもより反応は大きかった気がします。それまで髪色も明るかったから、黒髪ぱっつんの衝撃はすごかったんでしょうね(笑)。
――どんなに鈍感でも、変わったと分かりますからね(笑)。今回のシングル「眠らされたリネージュ」は、TVアニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』第2クールOPテーマとなっています。ワンマンライブツアーでは、このシリーズのこれまでの楽曲を連続で披露するブロックがありましたし、JUNNAさんにとっても思い入れのあるタイトルですよね。
JUNNA デビューミニアルバムのあとにリリースした1stシングル「Here」が、TVアニメ『魔法使いの嫁』のOPテーマで、たくさんの方に届いて、JUNNAというアーティストがこういうふうに進んでいくんだというのを、皆さんに見せられた曲でもあったんです。この作品関連の曲は、今回で4曲目なのですが、いろいろ関われて嬉しいのと同時に、SEASON2 第1クールに続いて私でもいいんですか?とも思いました。でも、任せていただいたからには、しっかりと歌わないといけないなと思いました。
――このシリーズの魅力は、どこにあると思いますか?
JUNNA 第2クールが始まる前に、また全部見返していますが、すごく共感できる部分があるんです。やっぱり完ぺきな人っていないんだなと思えて、自分も救われるというか。私も、色んな人を頼りながら、“誰かを助ける歌”を歌って生きていけたらいいなって、改めて思いました。
――それは主人公のチセに共感する感じなのですか?
JUNNA エリアスもしっかりしてそうで全然しっかりしていないから、2人で支え合っている、お互いができないこととできることを補完しあえている関係もすごくいいなぁって思っています。
――SEASON2の「学院篇」はキャラクターも増えて、面白いですよね。
JUNNA 世界観も変わって、より開放的になり、フィロメラなど新しい人たちとの出会いもあって、チセだけでなくエリアスの世界も広がっていきます。登場キャラたちそれぞれの背景も見えてきて、すごく面白いなって思います。
――第2クールでは、フィロメラの話になるんでしょうね。
JUNNA そういうことみたいです。
――「眠らされたリネージュ」の作詞・作曲を、石川智晶さんが手掛けていますが、曲を受け取ったときはどう感じましたか?
JUNNA まず難しそうだなというのが第一印象でした。これまで『まほよめ』の曲を作ってくれていた白戸佑輔さんの曲も難しいのですが、それとは全然違う方向性の難しさで、歌詞の当てはめ方など、石川さん節がすごくあって。それを私なりに歌うと、歌詞がさらっと聴けなくなってしまうから、この曲の良さを最大限引き出すためにはどうしたらいいのか、という戸惑いがありました。
――JUNNAさんの曲でも「我は小説よりも奇なり」という、石川さんが作詞をした曲がありましたが、今回は作曲もですから、より濃い石川さんのエッセンスが入っていますよね。
JUNNA プロデューサーさんから、石川さんの仮歌をよく聴いて、声を真似するわけではなく、息継ぎとか、どこを滑らかに歌ってどこをスパっと切っているのかは真似してほしい、それが出来て初めてそこから自分らしさを加えていってほしいと言われました。そうやって言われることは初めてだったので、そのくらいそこが肝になるんだなと思いました。
――普通ならまず最初に「JUNNAさんらしく歌って」となるのに。
JUNNA そうなんです。でも「本当に練習してきてください」と念を押されて、これはヤバいかもと(笑)。だからいつも以上に覚悟を持って臨んだレコーディングでした。
――実際、歌ってみていかがでしたか?
JUNNA そもそも私の歌声で、この曲を良くできるのかという不安から始まったので、最初は方向性が定まらなくて。でも自分はこう歌いたい!という思いもありました。
――そう思うところがJUNNAさんらしいです。
JUNNA ただ最初は全部強めに歌ってしまい、歌詞に意味を込め過ぎていたんですね。そこをプロデューサーさんに「感情が一本調子な気がする」と言われ、強弱を付けるところや差を付けるところなどを一緒に考えていきました。ここで一度落として、そこから一気にエモーショナルになろうとか。そういうことを意識して歌っていきました。
――どの言葉も強いから感情が入ってしまいますよね。
JUNNA 本当に、そうなんです!
――歌詞は、どのように捉えていたのですか?
JUNNA 完璧に理解はできていなかったというのが正直なところなのですが、それは自分で作詞する曲以外は、すべての曲に言えることであるとも思っています。私はチセにフォーカスをして歌おうと思い、チセが思っていることも考えながら、でも一方で他の登場人物たちの思いも入っているので、そこに思いを巡らせながら歌っていて。あとは私がこのシチュエーションの中にいたら、どう思うのだろうということもプラスして考えていました。景色が見える歌詞でもあったので、それを落とし込み、自分とキャラクターのことを考えながら歌った感じではありますね。ただ、石川さんと対談をしたときに伺ったのは、フィロメラが第2クールの鍵になるので、彼女を主にした歌詞だということではあったのですが。
――チセは、過去の自分とフィロメラが似ているからすごく気にかけていたと思うので、フィロメラのことは、同時にチセのことでもあるように思います。でも確かに、自分以外の方が書いた歌詞を理解することは難しいですよね。
JUNNA そうですね。でも、その歌詞を私がどう感じどう歌っていくかが大事なことなんだと思います。
――実際完成したボーカルは本当に素晴らしく、“ゆっくり 愛を知る人になる なる‥なる‥なる‥なる‥”の表現にも引き付けられました。
JUNNA そこは色々トライしたところで、5回続くので極端に差をつけたりもしたのですが、それだとわざとらしく聴こえてしまうところもありました。でも強弱は付けたかったので、ちょうどいいところを探りながら歌いました。
――アレンジはシンフォニックで、スパニッシュなムードもありましたが、編曲が白戸さんでした。自分の声が入って完成した音源はいかがでしたか?
JUNNA 不安はあったけど、フルで聴いてみると、自分が表現したかったことがちゃんと込められていると感じたので、そこは良かったです。石川さんは、アレンジは白戸さんに完全にお任せされていたそうで、これまでのつながりもあったり、より狂気的な感じで怖い感じがプラスされていたとおっしゃられていましたが、私も白戸さんがアレンジをしてくださったことで、「Here」や「Dear」を、ふわっと感じる部分があって。なので、「白戸さん、流石だ!」と思いながら聴いていました(笑)。
――MVの見どころというと?
JUNNA ワルキューレのライブでもお世話になったギタリストの黒田晃年さんがMVでガットギターを弾いてくださっています。ミュージシャンの方と一緒にMVを撮るのは初めてだったので新鮮でした。「Here」と「Dear」は砂丘や海辺など開放的なところで撮影していましたが、今回は閉鎖的な空間で、キャンドルなどを灯して、大人な感じで撮っていただいたので、楽曲の世界観にすごく合っていると思います!
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