9月16日、長野発の屋外アニソンフェス“ナガノアニエラフェスタ2023”DAY1が開催された。野県佐久市にて開催される本イベント、これまでリスアニ!では全5回のインタビューを通してその魅力を発信してきたが、ついにその開催当日がやってきたのだ。
2017年に初開催、その後は会場を移しながら続いてきた“ナガノアニエラフェスタ”。情勢を鑑みて2020-2021年は開催中止となったが、昨年悲願の復活を果たして多くのファンを喜ばせた。復帰後二度目の開催となる本イベント。そのDAY1、テンペストステージの様子をレポートする。
TEXT BY 一野大悟
イベント当日、会場である佐久市駒場公園には長蛇の列ができていた。本イベントを少しでも長く満喫しようとする人たちが入場ゲート前に詰めかけ、オープン時間をまだかまだかと待ち侘びていたのだ。そして訪れた9月16日11時、ゲートが開かれると人々は会場内に1人、また1人と歩みを進めていった。ゲートをくぐると、そこには自然豊かな小道が広がっており、その小道をひたすら道なりに進んでいくと、目の前に「TEMPEST STAGE」と書かれたゲートが出現。その先には広大な広場が待ち構え、巨大なステージが目に飛び込んでくる。そのあまりの規模感が来場者を圧倒せずにはいなかった。
次々にステージ前に集まってくるオーディエンスたち、その広大な敷地が多くの人で埋め尽くされていく。そして迎えた12時、声が響く。
「皆さん、準備はいいですか!?」
ステージに登場したのはバーチャルアーティスト・松永依織。彼女の登場に声援が湧くと、ここで開会宣言がなされる。そしてついに“ナガノアニエラフェスタ2023”DAY1が幕を開けた。
耳馴染みのあるイントロが会場に響き渡り、会場からは大歓声が沸き起こる!本イベントのトップバッターとして会場に現れたのはZAQ、披露したのは「Sparkling Daydream」だ。会場の熱気は急上昇。集まったオーディエンスたちは手を天に掲げ、その手を回転させて大いなる一体感を味わった。
ここにダンサブルなサウンドが続く。「カーストルーム」、オーディエンスは身体を揺らし、全身でそこに流れる音楽を楽しむ。開演から数分、そこに作り出された熱気に圧倒されずにはいられない。
「みんな元気だねー!」
2曲を終え、ZAQが「体力だけ私に預けてくださいね!」と声を上げると、宣言通りのアッパーな楽曲が続く。披露したのは「イノチノアカシ」。高速で弾き出される言葉の数々が聴く者のボルテージを上げていく。この上ないほどに熱された会場に続いたのは「激情論」、大盛況の会場をZAQが煽り立てる。オーディエンスたちは拳を天に掲げ、音楽に合わせて拳を振ったのだった。
瞬間、クールなサウンドが会場に緊張感を与える。「カタラレズトモ」、引き締まった空気をサビで一気に解放し、その緊張と緩和で再び会場を熱気の渦に落とし込む。間奏ではオーディエンスが一体となって手拍子を送り、そこに流れる音と、その場に出来上がった空気感を存分に味わった。
「この瞬間って1回しかないから、最高の気持ちになって帰ってください」
そう告げると最高にハッピーなサウンドが会場に流れ出す。ラストナンバーは「ソラノネ」。身体を揺らしながら力強い歌声を披露するZAQ、その姿は見るものに多幸感を与えずにはいられなかった。最高潮の盛り上がりのオーディエンスに、彼女は大きな声で「ありがとう!」と言葉を残し、ステージを後にした。
「アニエラかかってこいよ!」
続いてステージに現れたのは、長野県出身の声優・寺島惇太だ。力強いロックサウンドと共にステージに姿を表すと、爽やかな歌声を披露する。1曲目は「Rebbon」、そのパフォーマンスに会場のテンションは再び最高潮に至った。
1曲目を終え、この日の天気の心配をしていたことを語る寺島。無事この日を晴天で迎えられたことに感謝の言葉を漏らすと「自然ありがとう!長野ありがとう!」と一言。そしてここから続いての楽曲へ。ネクストナンバーは「Realize」、低音と高音を見事にスイッチングした歌声を披露すると、観客は吸い寄せられるように一歩、また一歩とステージに歩み寄った。
ここに爽やかなサウンドが流れ出す。「Youth」、故郷のことを振り返る歌詞が綴られた本楽曲。地元長野で歌われることで、そこに生まれた説得力とエモーショナルが生まれる。この瞬間にしか味わえない優しい空気が会場を満たした。
ここで長野で過ごした青春時代の思い出話を語ると、青春時代に出会った、人生を変えた“ある作品”について歌った曲を披露することを語る。人生を変えた作品、それは恋愛アドベンチャーゲーム「AIR」だった。披露したのはもちろん「Air Summer」。その爽やかで夏らしいサウンドが会場に響き渡り、会場にフレッシュな夏の空気を運び込む。そこには寺島の過ごした長野の夏の空気が確かに立ち現れていた。オーディエンスたちはその空気感を堪能し、大きな手拍子を送った。
心地良いサウンドが響く。続いてステージに登場したのは梶原岳人。1曲目に披露したのは「A Walk」、その歌声に歓声が上がると「良い感じです!最高!」と感想を漏らす。サビではオーディエンスが一体となって拳を天に掲げる姿も見ることができ、その熱気をヒシヒシと感じることができた。
自身にとって今回が初の野外ライブであることを語られると、ステージ上には譜面台とギターが運び込まれた。そして梶原はこう語る。
「心地良いラブソングになっています。この心地良い環境の中で聞いてもらえることが嬉しいです」
弾き語りスタイルで披露したのは「魔法が解けたら」。ここまでほぼ休みなく身体を揺らし続けた観客たちも、このときばかりはその心地良いサウンドにじっくりと耳を澄ます。会場はエモーショナルな空気に包まれたのだった。
ここで寺島惇太と同じく、自身も「AIR」が好きだったことを暴露する。その瞬間、観客と梶原の距離がグッと近づいたのを感じた。ここにエモーショナルなピアノのサウンドが響く。続いたのは「色違いの糸束」、そのサウンドに会場にいるすべての人が手を頭上に掲げ、大きく振った。溢れんばかりの一体感が駒場公園に溢れ、心地良い空気がそこに完成した。
ここからラストナンバーが走り出す。「はじめちまったんだ」、夏を感じる爽快なサウンドを、空から降り注ぐ太陽光が一層魅力的なものに仕立て上げる。野外フェスでしか味わうことができない輝かしい空気がそこにいるすべての人を魅了したのだった。
爽やかなダンスチューンが会場を包む――続いてのアーティスト・白井悠介がステージ上に姿を表すと、披露したのは「ツバメと風」。ビートに華麗に言葉をはめ、会場を心地良く揺らす。1曲目を終え、自信が長野県の中でも駒場公園のすぐ近くであることを語ると「僕はアーティストじゃないんです。ではなぜステージに立てるか?地元だから!」と語り、会場を笑いで包む。さらにここに「マジの地元なので、今日は私服できました!」とさらなる笑いを生み出して会場を魅了した。
ここでキャラクターソングを披露することを語ると、キャッチーなサウンドと力強いビートが響く。披露したのは二階堂大和のキャラクターソング「Love two you」。そのダンサブルなサウンドに聴くものは身体を任せる。曲中の“もう離さない”の一言には大きな歓声があがった。
ここからさらに軽快なトークで来場者の心を鷲掴みにした白井、ここから披露するラストナンバーについてこう語る。
「僕が一番愛しているアニメ作品の曲なんですけど……」
と、披露したのはアニメ『プラネテス』EDテーマ「Wonderful Life」のカバーだった。爽やかに響き渡るサウンドに、白井の伸びやかな歌声が乗る。自分を全肯定するメッセージを会場に届けると、聴くものを前向きな気持ちにした。
「さっき最後の曲って言ったんですけど、嘘です!」
衝撃の告白にざわつく会場、そしてここに先ほどライブを披露した寺島惇太を呼び込む。同郷であり、共に「白井悠介・寺島惇太 BOYS BAR [S]」のパーソナリティを務める2人が小粋なトークを繰り広げる。そして、各々が異なるラップコンテンツに関わっていることが語られると、そこからコラボでラップナンバーを披露することを宣言。歌ったのはHOME MADE 家族の「少年ハート」だ。息のあったマイクリレー、長年ラジオ番組で共演してきたそのコンビネーションは実に痛快なものだった。ラストには寺島からの無茶振りで白井が即興のダンスも披露。楽しげな空気を提供してステージを締め括った。
ステージにDJブースが設置され、続いて高木美佑が姿を現す。Peaky P-keyのDJ担当としてDJプレイを披露する彼女、その1曲目としてチョイスしたのはD4DJ ALL STARSの「LOVE!HUG!GROOVY!!」。曲中では歌声も披露すると、そのパフォーマンスに会場のボルテージは上がっていく。そこにシームレスに「無敵☆moment」を繋ぎ、鳴り続けるアッパーなサウンドに会場は大きく揺れた。高木自身もDJブース前に飛び出してダンスを披露、オーディエンスを魅了したのだった。
ここからも絶え間なくアッパーな曲を繋いでいき聴くものを踊らせ続けると、「強想シュプリーム」で一気にテンポを上げる。さらに立て続けに名曲アニメソングのD4DJリミックスを次々に披露、オーディエンスを魅了していった。
「さっきも歌っていたんですけど……『少年ハート』もう1回いいですか?」
そう問いかけると、会場から大きな歓声がわいた。D4DJカバー版の「少年ハート」をドロップする高木、さらにここからは情熱的な楽曲をチョイスして会場を夏の空気で席巻した。
「私たちの新しいカウントダウンです!」
観客のテンションを最高潮までビルドアップしたあと、高木はそう宣言した。ここからスタートしたのは「響乱☆カウントダウン」。音に酔いしれるオーディエンス、ここにさらに「Let’s do the ‘Big-Bang!’」をドロップし、会場をさらなる熱狂の渦で包み込んだ。ステージ上を駆け巡り、クラップでオーディエンスと一体となる高木美佑。圧巻のパフォーマンスはこうして締め括られたのだった。
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