日本が世界に誇るアニメカルチャー。主題歌を歌うアーティストが海外でのライブで大歓声に迎えられることや日本語の歌詞での大合唱が巻き起こることなどは、そうしたライブを経験してきた数多くのアーティストの言葉から広く知られるが、実は海外のアニメコンベンションやイベントで非常に大きな関心を集めているのが「劇伴」である。アニメのシーンを彩った楽曲たち、物語を雄弁に語る音の粒子。そうしたものへのリスペクトを体感した一人の劇伴クリエイターが「日本で生まれた劇伴音楽を日本で奏でなくては!」と奮起し、生まれたのが世界初の劇伴音楽フェスである。
その発案者である林 ゆうきが劇伴フェスの「エピソード0」である“京伴祭”を風雨の中の上賀茂神社で無観客での開催をしたのが2022年のこと。後に東京でも“東京伴祭”を開催し、いよいよ本格始動を果たしたこのフェスが京都に帰ってきた。京都発のアニメコンベンション「京まふ」の協力のもと、京都・梅小路公園で開催された劇伴による野外フェス“京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL-2023”を現地よりレポートする。
TEXT BY えびさわなち
劇伴音楽をフェスで、しかも野外で開催したい――京都出身の作曲家・林 ゆうきがその開催場所として選んだのは京都水族館、そして京都鉄道博物館も近い梅小路公園。まだまだ酷暑と呼べるほどの日差しと灼熱の気温のなか、登場した林。イベント公式グッズの扇子を手にし、同じく公式グッズの手ぬぐいを首にかけて立つと「こんにちはー!」と大きな声を出す。芝生に座って開演を待っていた観客から「こんにちはー!」と声が返ってくると、笑顔を見せ、イベント開催への熱い想いを届けると、そんなイベントの最初の出演者であり、共にイベントを開催する仲間でもある宮崎 誠を紹介。大きな拍手が巻き起こり、宮崎のステージがスタートした。重厚なSEの響く中でステージへと姿を現した宮崎は手にしたギターから印象的なリフをかき鳴らし、アニメ『ワンパンマン』より「正義執行 第二撃」の音がイベントの始まりを高らかに宣言したのだった。
SHARE