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INTERVIEW

2023.10.27

“中川翔子を知っているか?”――TVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』OPテーマ「65535」と振り返る90年代の美少女ゲームブーム、“THE・しょこたん”が詰まった1枚を語り尽くす

“中川翔子を知っているか?”――TVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』OPテーマ「65535」と振り返る90年代の美少女ゲームブーム、“THE・しょこたん”が詰まった1枚を語り尽くす

This is SHOKOTAN! トラック1は、1990年代に起きた美少女ゲーム旋風を当時のメッカである秋葉原を舞台に制作の裏側から描いたTVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』のOPテーマ。トラック2は、自身の道のりを落とし込んだ楽曲「中川翔子」。そして、トラック3は小さい頃から恋焦がれた作品『シティーハンター』のアニメ第1期オープニング主題歌。しょこたんにとって、饒舌にならざるを得ないテーマの3曲が奇跡的にワンパッケージ!メモリアルな1枚を題材に中川翔子が語り尽くす。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)
PHOTOGRAPHY BY 堀内彩香

「OP主題歌、テーマが90年代、ということでテンション上がりました」

――まず、TVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』のOPテーマを歌うと聞いたときの感想から教えてください。

中川翔子 びっくりしました。オープニングを歌わせてもらうっていうことがすごく久しぶりだったので、「え、私でいいの?」って聞いちゃいましたね。

――「65535」を歌ってみての率直な感想は?

中川 率直に難しかったです。まず仮歌がボカロで送られてきたので、覚えるのがすごく難しかったんですよね。それに、今まで歌ってきた楽曲はバラードか激しめの曲か、という感じだったので、どれくらいのテンションでレコーディングすればいいのか、そこを掴むのが結構大変でしたね。サビの盛り上げ方とか。でも、OPテーマということですごくテンションが上がりましたし、出来上がった曲はとてもエモくて尊くて、不思議とちょっと泣ける感じもあるんだけどお洒落でポップで。新しいけどあの頃(=1990年代)にものすごくリスペクトを込めている感が愛おしいですね。「どんどん好きになる楽曲だな」って思います。

――中川さん自身は90年代の美少女ゲームブームに対しては、どのような印象や思い出がありますか?

中川 当時からゲームはすごくやっていましたけど、PCゲームは大人がやるもので、のちに「ときめきメモリアル」や「プリンセスメーカー」が移植されたときはちょっとやりましたけど、「羨ましいな」「かっこいいな」って思っていたかなぁ。でも、そうやって他のプラットフォームに移植されるほどのゲームを0から作り上げた人たちへのリスペクトと憧れはずっとあって、ちゃんと表彰すべきだと思っていました。「65535」では「ようやくその時代が来たか」感を歌っていますし、私も「どれだけすごいことをしたか改めて興奮しようぜ!」って掘り起こす作業はすごく好きですね。例えば、ブルース・リーの熱狂がどうだったのか、当時を知っている人に聞いて「生まれたかったな、そのときに」って味わいたくなるタイプなので。音楽も、自分が物心つく前のものに憧れることが多いし。90年代初頭についても、80年代から新しい時代に切り替わって少しずつ技術が、進化、進化、進化、進化、していく感じが相当面白かったでしょうね。

――ゲームの歴史と共にCGも発展していきました。

中川 そうですね。まず、ドットで打っていたというのがたまらないですよね。1枚の絵からどれだけ妄想を膨らませらてもらえたことか。「どうやってCGで描いたんだろう?」とワクワクドキドキさせられるのって良いですよね。アニメもセル画の時代だったし、そう思うとアナログとデジタルの絶妙な融合具合の素敵な時代ですね。タイムマシンがあったら90年代初頭に行きたいってすごい思います。

――アナログイラストで世間を賑わせた中川さんも徐々にデジタルツールを使いこなしていきましたが、新たなクリエイターが続々と生まれてくる時代でもありました。

中川 私はまだ開き直れていないヲタクだったんですよね。でも好きな人は、思い切って振り切って大好きで追いかけて……、っていうことをしていて。だから、まだ評価されきってなかったというか。でも、今こうやって好きなことを好きと叫べる時代になったのも、この頃のクリエイターさんたちが素晴らしいものを生み出してくれたからで、「その偉大なる系譜が続いているんだよな」っていうところを調べたくなりますね。ゲームについても雑誌や口コミで情報を仕入れるしかない時代で、お金をかけられる人たちって限られていたと思うんですけど、だからこうやってアニメ(『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』)で当時を知ることができるのはすごいこと。こんなに面白い歴史の授業はないですね、

――そういった心躍る背景や魅力を感じ取れる楽曲ですね。

中川 タイトルが「65535」っていうところがもう好きですね。ドラクエでも経験値の最大値がこれでしたよね。

――レベル30になるための経験値が65535でしたね。

中川 このタイトルが発表されたとき、古からのヲタク界隈の皆さんがざわついてくれたんですよ。やっぱり興奮しますよね、カンストは目指したいところなので。

――逆に、今の若い方たちにはピンとこないタイトルかもしれないですね。

中川 そうですね。でも、自分も立ち位置としてはちょうど時代の移り変わりにいる感じなので、若い方たちの気持ちもわかるんですよね。本当は、その時代のことをもっと知りたいというか。

――時代の渦の中にいないとなかなか知る機会は得られませんね。

中川 そもそも地型が違っているわけですもんね。でも、アナログとデジタルの狭間感はものすごく好きですね。黎明期の空気感というか。ネットもまだパソコン通信の時代で、「2ちゃんねる」もなかったんですよね。

中川翔子が歌う「中川翔子」&新宿大好きの原点

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