INTERVIEW
2023.10.27
――ニフティサーブや掲示板の時代ですね。いつまでも話題の尽きない表題曲ですが、カップリング曲はさらに中川さんを表すというか中川さんそのものというか。この「中川翔子」という曲が生まれたきっかけを教えてもらえますか?
中川 いや、私もびっくりしたんですよ!(所属レーベルの)ソニーさんが「デビュー20周年のプレゼントだ」って。で、そこから(水曜日のカンパネラの)ケンモチヒデフミさんに作ってもらいましょうとなって、「え?いいんですか?」って感じだったんですけど、あれよあれよという間にとんでもない曲が出来上がってしまいました……。いや、私としてはどんな顔して歌ったらいいのか、って感じなんですけどね(笑)。
――ケンモチさんとはお話されたんですよね。
中川 はい。まずは何が好きかを聞かれて、そこでお話をしたらこうなりました。自己肯定感が低いから、番組とか自分が出た何かを見るのってちょっと照れちゃうというか恥ずかしいんですけど、ブログを書いていたときの若さの勢いみたいな延長線の中にもいる感じで……。だから、“永遠の16歳”とか言っていた黒歴史みたいなところと改めて向き合った気がしました。レコーディングにもどんな顔で挑めばいいのかと思ったし、これからライブで歌うときにどうしたらいいんだろうと困惑しているんですよね。でも、「エジソン」を取り上げた曲を作ったように「中川翔子」という人物でケンモチさんが曲を書いてくれたと思っています。
――偉人感が。
中川 SNSがまだない頃にブログを始めた理由も、アニソンを歌うことがぶれずに一番の夢にあるのも、「生きた証を残したい」からなんですよね。自分が死んだあともこの地球に刻みつけられるものって「歌」ですし。「この歌を聴いたのちの人類が私のことを知るかもしれない」と思うとなんか緊張感がありました。ホント、教科書に載るくらいの勢いですよね。ただ、お洒落なサウンドに乗っているので、心を一回整えて、真剣に向き合いました。“未来戦隊タイムレンジャー”ってワードが歌詞に入っていたので「大丈夫かな」って心配はしたんですけど。
――確かに、特に関連性のない作品名が入っていることになりますね。
中川 でも、東映さんが快くオッケーしてくれたらしいです。それもどういうことかと思って、私が一番困惑しています(笑)。ただ、レコーディングのディレクションをしてくださっているケンモチさんが楽しそうで、それが良かったですね。“中川翔子を知っているか?”のところは一度聴くと『∀ガンダム』のOPばりに頭の中をループしちゃうんですよね。みんなの頭の中も回ってくれたらいいな、って思います。恥ずかしい気持ちもありますけど。でも、なんにも知らない若い子が、なんにもわからないうちにTikTokで歌ったり踊ったりしてくれる可能性もワンチャンあるのかと思っています。
――ご自身でも仰いましたが、本当に自分の10代、20代と向き合う曲になりましたね。
中川 誰しも10代のおかしかった頃を振り返ると、髪の毛かきむしって「ギャーッ!!」ってなると思うんですけど、それがそのまま形になってしまった感ですね。それに、自分がキャラクターのどこに惹かれるかというと「こんな設定あったんか!?」みたいなところだと思うんですけど、私も歌詞からはみ出るくらいに設定画いっぱいあったのかと思うと、今から知ってくれる人に対してのワクワクでいっぱいになりますね。
――10年以上中川さんを知る身にとっては「懐かしい」「そうそう、こうだった」という気持ちにもなります。
中川 そうですよね。ずっと追いかけてきてたくれた人にとっては。「あれ、そうだったっけ?」とかもあると思いますけど。それでも、“他にも数枚DVD”って歌詞はなんだよ、ってなるかもしれないですね。
――曲になるくらいに尖った、生きた証を残してきたという意味では、自分自身を褒めてあげたい感覚にはならなかったですか?
中川 自分では書けない歌詞ですし、読んでいても「え?え?」とはなるけど、「ケンモチさんは面白いと思ってくれたんだな」とはすごく感じたので、そこでやっと自分を褒めてあげられる気はしますね。
――芸能界デビュー20周年プレゼントですから。
中川 だから、ライブやイベントで聴く機会があったらぜひ声をかけてほしいですね。“トゥットゥットゥットゥル~”のところは一緒にやりたいです。でも、中川翔子が「中川翔子!」って歌いながら中川翔子のことを歌うことになるなんて、本当に面白いですよね。しかもMVまで作ってくれるみたいで。実は、今日撮っているんですけど。
――どういった内容になりそうか教えていただけますか?
中川 中野生まれ中野育ち感が出ている、中野に君臨しているようなMVになりそうです。これも最高の生きた証ですね。「生きてて良かったんだ、私」ってなります。
――カップリングのもう1曲も中川さんを語るうえで外せない曲ですね。
中川 私が免許を取ったきっかけも、赤い車を買ったのも、『シティーハンター』に憧れたから。今も新宿を走るのが大好きで、「運転楽しい」って思える人生に変えてくれたのは冴羽 獠様のおかげなので。だから本当にすごく嬉しいですね。やっぱり、最初のオープニングということでタイトルにも「City Hunter(シティーハンター)」と入っていますし、「やっぱりこれ!」というイメージがある歌なんですよね。アレンジも原曲をものすごくリスペクトしていて、原曲の後ろに入っている音をかなり入れてもらいました。しかも最後には、首都高でドライブしたらピッタリなシティポップ感のあるメロディーが加わっているのがエモすぎて、本当に嬉しいです。レコーディングも興奮しながらしましたね。でも、『シティーハンター』さんも『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』さんも心が広いですよね。同じシングルの中に違うアニメの曲が入るなんて。
――中川さんはアニソンカバーを多く歌ってきましたが、その難しさを感じることもきっと多いですよね。
中川 はい。この曲も小比類巻(かおる)さんのパワーとパンチがすごすぎるので真似できないし、「一体、カバーする意味とは?」ってなったんですけど、でもそこは愛を持って。あとは大人として歌わせていただきましたね。ずっと憧れながら歌っていましたけど、今回は大人の新宿を知った女性として歌ったところがあるかもしれないです。“朝になれば City Light”も「スィティラーイッ」って。(歯の間から息をこぼしながら)「スィティ」って歌いました。でも私の歌はあっさりしているかもしれないですね。なんだろう?「透明な炭酸水」って感じですかね。
――また、いつもの中川さんに比べると低音を効かせたボーカルになっていると感じました
中川 そこが「=大人の女性」だと思って。『シティーハンター』に出てくる女性たちは等身が高いし色っぽいですよね。だけど、私でも声なら憧れる感じに変身できるかも、と思いながら「大人」を意識して歌ってみました。あとは、“ドアの数”の「ドア」の言い方とか、それから“Fall in love”のラ“ヴ”のところも好きすぎます。そういえば(原曲のシングルCDの)カップリング曲は(『シティーハンター』第14話『16歳結婚宣言! アイドルに熱いキッス』で)冴羽 獠に惚れたアイドル(松村 渚)が歌っていたんでしたっけ?
――さすが、よく覚えていますね。
中川 いや、もう最高ですね。80年代後半の新宿の夜景が全夜景で一番好きですけど、その夜景がすぐ浮かんできます。今も『シティーハンター』のサントラを流しながら新宿中央公園あたりをよく運転しているんですよ。リアルで。
――それでは今回もカバーしたバージョンをかけながらもドライブされましたか?
中川 しました。新宿中央公園とか新宿都庁の辺りとかを。ホントに新宿ってかっこいい。新宿が大好きです。
――では恩返しのつもりで、中川さんが感じる『シティーハンター』の魅力も教えてください。ちょうど劇場版も公開中ですし。しかも、原作ファンが大好きな『天使の涙(エンジェルダスト)』というところで。
中川 ヤバいですよね、「天使の涙(エンジェルダスト)」ってワードが。あそこをやるのか、ってなりますよね。んー、でもやっぱり、「大人っていうのは……」みたいなのが全部詰まっているところですかね。あとは、骨と骨の間を貫通させるところがホント好き。でも結局痛がるとか。
――記念すべき第1話の。
中川 それから、(槇村)香みたいにガラスを突き破って転がってから獠にぶつかって「てへへ」ってやりたい!ただ、違う曲になりますけど(笑)。
――それだと「RUNNING TO HORIZON」になりますね。
中川 冬の新宿中央公園の辺りを二階建てのバスで通り過ぎたいです。
――今度は「STILL LOVE HER(失われた風景)」ですね(笑)。
中川 なんというか、想像させてくれる名曲しかないですよね。「スマホ見てる場合じゃない」「夜景見よう」って思わせてくれるんですよね。あと、『シティーハンター』を読んで、「思ったより世の中って治安が悪いんだな、気をつけよう」って思わされました(笑)。
●リリース情報
TVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』OPテーマ
ニューシングル
「65535」(読み:ろくごーごーさんご)
11月1日(水)発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
【完全生産限定盤】
品番:SRCL-12658~59
価格:¥8,800(税込)
予約はこちら
・CD
・アクリルスタンドA(中川翔子絵柄/全3種よりランダム1種)
・アクリルスタンドB(秋里コノハ絵柄/全1種)
・美少女ゲーム特殊パッケージ
【通常盤】
品番:SRCL-12660
価格:¥1,300(税込)
予約はこちら
●ライブ情報
11月3日(金・祝)開催
中川翔子オンラインライブ〜ゼロ距離 〜『FINAL』/ アジアを駆けるミラクルバンビ「中川翔子」を知っているか?
ライブ詳細はこちら
中川翔子
公式サイト
https://www.shokotan.jp/
公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/shoko55mmts
Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCGlWnxRgmii2-InQLp8HmiA
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