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2023.09.24

約4年ぶりの声出し復活ライブでより強めたファンとの絆。水樹奈々、ツアー“NANA MIZUKI LIVE PARADE 2023”フィナーレ公演を濃密レポート!

約4年ぶりの声出し復活ライブでより強めたファンとの絆。水樹奈々、ツアー“NANA MIZUKI LIVE PARADE 2023”フィナーレ公演を濃密レポート!

9月3日、東京・有明アリーナに広がったパノラマは、まるでエデンかアヴァロンのように美しく、そして尊いものだった。誰もが再び叶うことを待ち望んでいた約束、演者と観客が共に作り上げる最高の瞬間が、悠久とも思えた期間を経てついに帰ってきたのだ。水樹奈々の約4年ぶりとなる声出し復活ライブツアー“NANA MIZUKI LIVE PARADE 2023”。7月から約2ヵ月をかけて全国7都市12公演を巡り、延べ75,000人を熱狂させたパレードのフィナーレを、稀代のポップマスターにしてスーパーソニックガールの水樹奈々は、パーフェクトスマイルなライブで締め括ってみせた。

PHOTOGRAPHY BY kamiiisaka
TEXT BY 北野 創

約4年ぶりの声出し復活!歓喜と興奮の声が渦巻くライブ前半戦

毎回、ライブやツアーごとにコンセプトを設け、それに沿った様々な演出やセットリストで観る者を楽しませてくれる水樹奈々。特に大規模なツアーの場合は、大掛かりな舞台装置やサプライズ的な演出が多数組み込まれ、声優・シンガーの枠を超えたエンターテイナーとしてのアーティスト性を発揮しているわけだが、今回のツアーではタイトルにも冠されている“パレード”の要素をふんだんに取り入れたステージが展開され、4年ぶりの声出し解禁をみんなで祝うようなムードが全編に溢れていた。

ライブの幕開けを飾ったのは、どこか厳かな雰囲気のオープニングムービー。飛空艇で世界中を巡りながら、歌で世界に希望を届ける水樹奈々と、彼女に憧れて紙飛行機を飛ばして遊ぶ子供たち――そんな映像に続いて、ステージ前面に置かれた鉄格子のような大きな扉がゆっくりと左右に開くと、先ほどの映像の中の衣装とシンクロする、飛空艇の船長風の黒ベースのゴシックドレスを着た水樹本人が登場。「気合い入れていくぞ、有明!」と檄を飛ばすと、発破音を合図に灼熱のアップナンバー「Red Breeze」を歌い始めて会場のボルテージは初っ端から最高潮へ。後ろを支える水樹のバックバンド、Cherry Boys(通称:チェリボ)の面々も揃いの衣装を着ており、飛空艇をイメージしたセットも含めて、まさに水樹率いる楽団が希望の歌を届けるために有明に上陸したような格好だ。

続く「Bring it on!」で、水樹は拡声器を手に「みんなの本気を見せてくれ!」「ありったけの力、声、私に届けて!」「かかってこいよ!」と扇動して、オーディエンスも地面を揺るがすようなコールと大合唱で応答。あの奇跡のような時間が本当に戻ってきたことを実感できて、思わず目頭が熱くなる。そこから疾走感溢れる「Poison Lily」に繋げ、ステージ中央でしなやかに身を躍らせながら情熱的なパワーボイスを広大なアリーナ会場いっぱいに響き渡らせる水樹からは、間違いなく最高のコンディションであることが伝わってくる。この無敵感、圧倒的なエネルギー。もちろんここ数年のコロナ禍におけるライブでも活力漲るライブを届けてくれていたが、ファンの歓声を浴びながら歌う水樹は、水を得た魚のようにピチピチと弾けている。

MCで改めてファンの歓声を受けて「幸せすぎる!」と喜びを嚙み締めると、今度はteam YO-DAを率いてダンサブルなパフォーマンスで魅せるブロックへ。黒とピンクの格子柄が映えるパンツスタイルの衣装に着替えた水樹は、ヘッドセットマイクで踊りながら華やかかつ攻め感のあるステージングを繰り広げてファンを魅了する。team YO-DAを引き連れて花道を進んでセンターステージに立つと、そこでラテンの哀愁と情熱が入り混じった「Faith」を披露。ライブの幕開けで開いた扉が再び閉じ、それが超巨大モニターとなって水樹とダンサーたちの姿を映し出す。そして再びメインステージに戻ると「Gimmick Game」を歌唱。水樹とteam YO-DAの総勢9名が横並びになって、動きを合わせたパフォーマンスで壮観な景色を作り出す。先ほどの超巨大な扉型モニターは再び左右に開き、それぞれ映像を投影。それとは別にステージ奥にも大きなスクリーンが設置されており、どこを観ても全方位で楽しめる。アリーナ公演といえども距離を感じさせない仕掛けが満載だ。

恒例となっているチェリボコーナーでは、いつものようにりゅーたん(坂本竜太/b)とちょーさん(福長雅夫/ds、per)がオリジナルソングを歌唱しつつ、バンドメンバーを紹介。この日はその2人に加えて、ケニー(北島健二/g)、イタルビッチ(渡辺 格/g)、コジロー(佐々木“コジロー”貴之/g)、チャンプ(佐藤雄大/key)、まーちん(松永俊弥ds)、アベサマ(阿部 薫/ds)、ファイヤー(藤陵雅裕/sax)、カドディー(門脇大輔/vi)という全10人の大所帯編成。ギター3本はともかく、ドラマーが3人というのはなかなか見ない光景だ。

大事なディーバを支える楽団たちの自己紹介に続いて、ティンカーベルをイメージしたというエメラルド色の鮮やかな衣装に着替えた水樹がステージに舞い戻り、TVアニメ『SHAMAN KING』のOPテーマでもあった近年の代表曲の1つ「Get up! Shout!」でライブを再開。ラストは勇猛なロングトーンを聴かせて締め括ると、続いてTVアニメ『魔法少女リリカルなのはStrikerS』後期OPテーマ「MASSIVE WONDERS」を歌唱。竿隊も前進して歌と楽器の熱い鍔迫り合いで盛り上げる。そしてTVアニメ『魔法少女リリカルなのはA’s』OPテーマにして、彼女のライブには欠かせないナンバー「ETERNAL BLAZE」へ。イントロが流れると同時に客席がオレンジ色のペンライトで染まり、ジャンプや掛け声、間奏のタイトルコールでの大絶叫など、長い年月をかけてファンと作り上げてきた景色、コロナ禍において失われていた“永遠の炎”をみんなで再びステージに灯す。

その後のMCでは、ファンからの「回って!」コールに「いいよ!」とかわいらしく応え(「もう一回!」コールを受けてチェリボのみんなとも一緒にクルッと回っていた)、水樹自ら自撮り棒+カメラを持ってバンドメンバーと交流。イタルビッチ得意の「ありがたいお言葉(ご当地ダジャレ)」の等価交換として「奈々のダジャレ」を披露して自らダメージを負う一幕もありつつ、会場のみんなで和気あいあいと楽しむ時間もまた、水樹のライブには欠かせない要素だ。そして本ツアーの特別企画となる、チェリボ選抜メンバーとのアコースティックコーナーへ。この日はファイヤーがリーダーとなり、チャンプ、りゅーたん、アベサマと共に「哀愁トワイライト」を披露。“真夏の夜の夢”にぴったりのムーディーなジャズアレンジに仕立てられた同楽曲を、艶やかに表現する歌声は絶品のひと言。ファイヤーの熱を帯びたブロウとの絡み合いも素晴らしく、いつか「水樹奈々のジャズボーカルアルバム」を聴いてみたいと感じたのはきっと自分だけではなかったはずだ。

そんな特別感あるセッションに続いて、「もう少しだけ、この夜のムードでお届けしたいと思います」と歌われたのは「Sweet Dealer」。シティポップみのあるアーバンなグルーヴと円熟を感じさせる歌声の共鳴がオーディエンスを酔わせていく。さらに、まだ酷暑が続くとはいえ夏の終わりが近づく9月の夜に素晴らしくマッチしていたのが「恋想花火」。どこか青さも感じさせるセンチメンタルなギターサウンドと、バイオリンやキーボードの流麗な音色が星空のような光景を描き出すなか、水樹は朗々としながらも切なさの募る歌声で、いつかの夏の恋模様を表現する。特にラスサビは花火の映像演出も相まって、ノスタルジックな想いに押しつぶされてしまいそうなほど胸に迫る名演だった。

次ページ:水樹奈々のパレードは終わらない――Wアンコール完走で見せたファンとの絆

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