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2023.09.16

還ってきた迫力の生バンドと大歓声が8周年に咲かせたライブ。“THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Shout out Live!!!”DAY1レポート

還ってきた迫力の生バンドと大歓声が8周年に咲かせたライブ。“THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Shout out Live!!!”DAY1レポート

アイドルマスター シンデレラガールズ」のライブイベント“THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Shout out Live!!!”DAY1が2023年9月9日、愛知県国際展示場ホールAにて開催された。

本公演には一ノ瀬志希役の藍原ことみ、西園寺琴歌役の安齋由香里、辻野あかり役の梅澤めぐ、黒埼ちとせ役の佐倉薫、佐久間まゆ役の牧野由依、二宮飛鳥役の青木志貴、速水奏役の飯田友子、森久保乃々役の高橋花林、望月聖役の原涼子、三船美優役の原田彩楓、北条加蓮役の渕上舞、神谷奈緒役の松井恵理子、鷹富士茄子役の森下来奈、高森藍子役の金子有希、相葉夕美役の木村珠莉、依田芳乃役の高田憂希、久川凪役の立花日菜、木村夏樹役の安野希世乃、大槻唯役の山下七海が両日出演。DAY1のみのキャストとして早坂美玲役の朝井彩加、島村卯月役の大橋彩香、砂塚あきら役の富田美憂が出演した。

Text by 中里キリ

開演前挨拶にはアシスタントの千川ちひろがスクリーンに登場。本公演がアプリ「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(デレステ)」が8周年を迎えた記念すべきライブであることを宣言すると、「愛を叫ぶ準備はできていますか?」と観客のハートを煽っていた。

壮大なオーバーチュアが流れ、手拍子響く中スクリーンにはライブロゴが。明滅するライトの中ステージに登場したのはシンデレラバンドの面々だ。バンドメンバーのそれぞれが「シンデレラガールズ」で数々の楽曲制作に関わってきたクリエイターたちとあって、観客からシンデレラバンドへの声援も熱い。今回のライブは、一部楽曲を除いてシンデレラバンドの生演奏によるパフォーマンスが行なわれる。

ハイレベルで贅沢な生バンドによるオーバーチュアを経て、開幕を飾るナンバーは「デレステ」8周年記念曲「無限L∞PだLOVE♡」。歌唱メンバーは梅澤めぐ、佐倉薫、牧野由依、青木志貴、安野希世乃で、原曲メンバーの中から5人が集った。

冒頭、「みなさん、一緒に愛を叫びましょう!」と叫びながらセンターに踊り出た梅澤の姿に成長を感じる。ロックそのものを形にしたような安野のハスキーな歌唱や、鍛え上げた肉体の説得力でステージを牽引する青木の姿がステージをロック方面に引っ張ったところで牧野のキュートさの爆弾のような“まるごと愛して”のフレーズが飛び込んでくる。梅澤牧野佐倉のキュートさと、青木や安野のロックなかっこよさの波状攻撃で愛のウェーブを送ってくるイメージだ。そのど真ん中で、「どっちも愛して、あはっ」と無邪気にいたずらっぽく笑う梅澤の頼もしさとかわいらしさが辻野あかりに重なるようだ。

「君が好きだよ!」「好きだー」の特大コールアンドレスポンスのパートでは、合法的にアイドルに愛を伝えられる空間が出現。声出しならではの良さを爆発させており、一曲目からライブのクライマックスのような高まり具合だった。

オープニングMCは梅澤と安野が担当。少し緊張気味な梅澤の初メインMCを、安野が優しくリードするイメージだ。2人は今回のライブがシンデレラバンドの生演奏あり、声出し解禁のライブであることを伝えると、「(アイドルが、シンデレラガールズが、シンデレラバンドが)好きだぁぁぁぁ!」の声出し練習で会場をさらに温めた。

本編トップバッターは青木志貴、飯田友子、森下来奈による「ラブレター」。ピンクチェックスクールというキュートを代表するユニットの楽曲を、クール属性アイドルたちがカバーする試みだ。青木と飯田という強めなクールを両脇に従えて、キュートな表現もばしっとハマる森下がセンターでバランスを取る。かっこいいのにかわいい、ラブリーでロック!な3人だ。MCでは「最近かわいい曲にぶちこまれることが多い」と語っていた青木だったが、キュートな表現をばっちりこなしながらも、キレのいいダンスで飛鳥らしさを出すことを忘れない。個性豊かなクールアイドルが表現するキュートという繊細なバランスを、シンデレラバンドの生演奏が取り持っている印象だった。

藍原ことみ、大橋彩香、牧野由依は「ラビューダ♡トライアングル」を披露。大橋は原曲ユニット・アミマネラのメンバーであり、彼女といえばロックを秘めたキュートを表現させれば右に出る者がないほどだ。そこに加わるのが藍原と牧野という歌声に情念の深い2
人。とにかくボーカリストとしての地力がとんでもないトリオで、そのクオリティを余すことなくキュートアイドルというフィルターを通して出力しているのは、とても贅沢な時間に感じられる。元気で明るい歌唱に振った藍原の歌唱はかなり新鮮で魅力的。ラスト、頬に指先をあてた3人のキュートスマイルがとびっきりの輝きだった。大橋はMCで人選の妙について紹介すると「雰囲気が変わってオシャレな「ラビューダ♡トライアングル」になったと思います」と語っていた。

「ストリート・ランウェイ」は朝井彩加、青木志貴、富田美憂が歌唱。原曲ユニット・ラピエサージュから3人が登場だ。青木は開幕から大車輪の活躍だが、ソリッドな大人のムードの楽曲で水を得た魚のようだ。3人の個性と存在感が際立っていて、間奏のアピールタイムではそれぞれの表現を巧みなカメラワークが抜いていく。ステージという名のランウェイでそれぞれの魅力を発揮していくようなステージだった。MCで朝井はこの曲を歌えたことを青木と喜び合うと、「素敵なランウェイを歩かせて頂いた」と表現していた。

「恋が咲く季節」は安齋由香里、金子有希、木村珠莉のユニット・グランディフローラが披露。ステージに駆け出した3人が「わぁ、きれいなライトの花畑!」「愛が育つ楽園みたいですわ」「グランディフローラも、咲きほころうね!」と掛け合いで彼女たちの空気感を伝えてくる。それはステージ上に三輪の美しい華がふわりと開くような輝かしいステージ。金子の笑顔が一際眩しい。落ちサビの歌い継ぎの躍動感は、歌う3人の心の高鳴りが伝わってくるようだった。ラストのキメのポーズのちょっとした間やニュアンスで、安齋が琴歌のお嬢様感を大事にしているのが伝わってきた。

生バンドの妙を感じたのが、朝井彩加、佐倉薫、渕上舞による「Claw My Heart」。流麗なシンセサイザー主体のロングイントロで曲の正体をぼやかして、やや不意打ち気味に朝井の強い頭サビの歌唱から楽曲に雪崩れ込んでいく。朝井のソロ曲をトリオで再解釈。ゆったりとポーズを取る朝井の自信に満ちた笑顔が印象的だ。助っ人として参加したふたりはちとせと加蓮というやや病弱設定のつながりかと思われたが、少しエフェクトを効かせた2人の歌声の伸びの良さが滅茶苦茶気持ちいい。キュートさを芯においたロック、逆もまたしかりを表現できるアイドルたちを集めたことがよくわかるパフォーマンスだ。渕上と佐倉の歌が“強い”からこそ、その中でより眩しく輝く朝井のオリジナルの個が際立つ。「さぁ吠えろ」の三重奏の鮮烈な衝撃。MCで佐倉は、今回トリオで歌ったからこそ、普段この曲を一人で歌いきる朝井のことを絶賛していた。

「皆さん、声出してますか?」と原田彩楓が問いかけた時、歌うのがこの曲だと予想した人はおそらくいなかっただろう。「純情Midnight伝説」を歌唱したのは安齋由香里、梅澤めぐ、原田彩楓、金子有希、高田憂希の5人。今度はロックサウンドにかわいらしいアイドルたちが挑戦するコンセプトだろうか。ステージ前に吹き上がる炎越しに見る金子(藍子)なんて絵は他では見ることがなさそうな鮮烈さだ。安齋が「一緒に手を回しますわよ!」と煽るのだが、手をぶん回して煽る姿がどこまでもキュート。全開バリバリ捧げば、のフレーズがちょっと合唱っぽく響いたりと、煽り含めて全体的にどこか品があるのである。MCで梅澤が「オラついた感じが出てましたか?」と問いかけると、金子も「どこまでオラつくかを話し合いながら挑戦した」と語っていた。

第2ブロックは原涼子、立花日菜、山下七海による「Dreamy Anniversary」からスタート。同楽曲は選挙企画「Stage for Cinderella」から生まれた楽曲で、3人は原曲メンバー。望月聖はこのイベントをきっかけにボイスがついたこともあり、「Dreamy Anniversary」が原のデビューステージとなった。原の、聖の歌声がライブで初めて響く瞬間だ。この瞬間をかみしめるように歌う原の歌唱からは、ボーカル力の高さの片鱗が感じられる。立花と山下は聴かせる歌唱の中にキャラクターらしさをたっぷりと込める技巧が流石の一言。落ちサビでの立花のとろけるような歌唱を響かせながらの表情感と音のしそうなウィンクは思わず引き込まれる引力があった。

完全新曲「パジャマジャマ」は梅澤めぐ、大橋彩香、牧野由依、松井恵理子、高田憂希が披露。またしてもバンドアレンジのロングイントロで曲名がわからないパターンかな、と思わせて本当にサプライズで新曲を持ってくる構成に翻弄される。その名の通り、パジャマパーティーの女子会がモチーフで、児童番組にもぴったりきそうな楽曲だ。キュートメンバーが多めの中にクール界を代表するキュート(?)である松井が入った編成で、メンバーのねむねむアピールが続く中に松井の「そんな時は!」の声が目覚ましのようなアクセントになっている。大きな見せ場が各人の早口言葉のパートで、“赤パジャマ~”の定番の早口言葉を生でやる中に、演じるアイドルならではの芝居を織り込んでくるのである。見ている側までハラハラするライブ感だが、プロの役者である声優が演じ歌う醍醐味を感じる構成だった。

安齋由香里は「セレブレイト・スターレイル」を初披露。待ち望まれていた西園寺琴歌初のソロ楽曲だ。逆光の中ポーズを取った安齋が登場すると、客席が一面のピンクに染まる。マイクはスタンドマイク風だ。どこか懐かしさのある曲調にバンドサウンドがあまりにもハマる。高音で畳みかけるようなクライマックスを高らかに歌いきるボーカルは圧巻で、眩しいぐらいの輝きに満ちていた。MCで安齋は「みなさんがピンク色のライトを振ってくれているのがすごくきれいで、琴歌のイラストの世界を追体験させて頂きました」と語っていた。

原田彩楓は2曲目のソロ曲「Little More」を初披露。90年代を感じさせる懐かしくも新しい正調アイドルソングだ。スタンドマイクの使い方が印象的で、オシャレなベースソロとともにゆったりとした、どこかつややかなマイクワークを見せる。指先の表現や足の入れ方の細かいニュアンスでドキッとさせる感じだ。間奏ではキーボード兼バンマスの滝澤俊輔がまさかのサックスソロを響かせて会場をどよめかせた。ライトに照らし出された足元のシルエットが三船美優そのものに見える繊細な演出が素晴らしかった。

「この空の下」は原涼子と高田憂希が披露。2015年に放送されたTVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ 2nd SEASON」発の楽曲をユニット・ミスティックヴォイスとして歌唱した。落ち着いたバラードでの原の初ライブとは思えない堂々とした安定した歌唱が印象的で、美しい歌声一本で勝負する2人の潔いパフォーマンスからは神聖ささえ漂う。その姿は“ミスティックヴォイス”のユニット名を体現するようだ。ラスト、2人がそれぞれの空を見上げて歌唱を締めくくると、会場からは感嘆の拍手が降り注いでいた。

前曲から激しい落差を感じさせたのが、飯田友子、富田美憂、原田彩楓、森下来奈、安野希世乃による「ミラーボール・ラブ」だ。どこか不穏なイントロからの入りは、もはや別の楽曲と言っていいくらい重厚だ。センターは富田で、百戦錬磨と言ってもいいメンバーが新たな表現の「ミラーボール・ラブ」を創り上げていく。楽曲と曲調に合わせ原田や森下の表情やニュアンスもどこか挑戦的。変幻自在のベースが唸りをあげ、断ち切ったような慟哭の声が深い余韻を残した。MCで安野も「最強にかっこよく大変身したよね」と満足げだった。

ブロック間MCで原涼子が聖としての演技と共に挨拶をすると、会場は鳴り止まない暖かい拍手と歓声に包まれた。原は「すごい熱気で光が超綺麗で、すっごく緊張したけど楽しく歌えました」と語っていた。

第3ブロックは高橋花林と立花日菜の「ノートの中のテラリウム」からスタート。森久保乃々と久川凪というオリジナルすぎる世界をもったふたりのユニット、なの・くらうんの楽曲だ。ののラップと凪ラップという間合いも違う、簡単には言語化できない不思議な世界が絶妙なコラボレーションを果たした。なぜ、それぞれの世界をキープしたままで生で掛け合いの歌唱が可能なのか。そしてその中に、めまぐるしい手数の動きや表情がニュアンスとして差し込まれてくる。やりとりを重ねるうちに、野生の森久保が徐々に心を開いて楽しそうな表情になっていくのがかわいすぎて、上手すぎる。最後はふにゃりとなった高橋の手を、立花が引いてステージを駆け去っていった。

「ミライコンパス」は牧野由依、原涼子、金子有希、高田憂希が歌唱。原曲ユニット・エフェメラの内4人が揃った。微笑みを湛えて歌う牧野の深い深い響きのソロのあとを受けて、あまりに自然に歌ってのける原というおそるべき才能。そしてつい驚くべき新人に目が行くところで、再びステージの焦点を自分に持ってくる高田、金子の輝きの強さにあらためて驚かされる。ささやくようなウィスパーの中に織り込まれた、金子の幾重もの感情表現は本当に見事だった。類まれな歌声だけでなく、表情で、身にまとう空気の全てで想いを伝えてくる4人。ラストを美しいファルセットで歌いきった原は、降るような拍手の中でおだやかな微笑みを浮かべた。

安齋由香里と木村珠莉のユニット・フィオレンティナは、「さやけき花の生命に」をライブ初披露。しっとりと聴かせるゾーンの中で2人が繰り広げるのは、お互いの歌声のメッセージを届けあう会話のようなパフォーマンス。歌声が溶け合うハーモニーがどこまでも美しい。間奏では舞台のような掛け合いを見せると、そこから歌声がやや低く、強さの翼を得てより高く羽ばたいていく。真空のような沈黙を経て、今度は物語の終わりを予感させるのびやかな歌い合い。上質なミュージカルのようなステージの終わりには、互いの手元を交差させた形の美しい花が咲いた。

青木志貴、飯田友子、高橋花林、富田美憂、原涼子、原田彩楓、渕上舞、松井恵理子、森下来奈のクールチームは「Starry Night」を披露。「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Cool jewelries! 004」に収録された、いわゆるクール属性曲の新曲だ。原田、高橋、富田はCD歌唱メンバーでもあるが、これだけの大編成で歌うとイメージがかなり変わる。星々のような個性たちが大人の表現に対応しながら、全体としてはバランスが取れていて、合わさった歌声が音として美しい。渕上からスタートするファルセットのソロの歌い継ぎでは、ここが勝負どころとばかりに技巧と表現の限りを尽くす姿を見事なスイッチングのカメラが映し出していった。

藍原ことみ、朝井彩加、安齋由香里、梅澤めぐ、大橋彩香、佐倉薫は「チョコレート?レモネード?どっち??」を披露。こちらは「Cute jewelries! 004」収録のキュート属性新曲だ。チョコレートとレモンを示すハンドサインや、心が弾む「どっち♪」の響きが印象的。キュートとクールの境界を行き来する楽曲が多いバンドライブなればこそのザ・キュートな世界が新鮮に映るし、藍原や朝井の正調キュートに振り切ったパフォーマンスは貴重だ。メンバー的にはDAY1のみの出演の大橋のボーカルと声質の存在感の大きさも印象に残った。

クール、キュートと来て次はどう来るか、となったのは、「Passion jewelries! 004」は未発売で属性曲の詳細も明かされていないからだ。興味が高まる中登場した金子有希、木村珠莉、高田憂希、立花日菜、安野希世乃、山下七海のパッションチーム6人が披露したのは「jewelries! 004」シリーズの共通曲である「認めてくれなくたっていいよ」だった。流れを読んで迅速にオレンジのライトで待ち構える観客に山下が驚いていた。曲中で描かれる“私”の自由さは不思議なぐらいパッションチームにしっくりと来ていて、木村も「全体曲だけどパッションに合ってる!」と太鼓判を押していた。

ラストブロックは朝井彩加、飯田友子、松井恵理子による「EVIL LIVE」から。剣呑なイントロとともに登場した3人が「Make some noise!」のシャウトを響かせる。手に握られたのは釘バットや鉄パイプといった凶悪気な武器で、鉄パイプを楽し気にふるう松井のハイキックが高い! 悠然と鉄パイプを揺らす飯田のたたずまいは知性派のワルの雰囲気がある。3人がカメラに向けて武器を叩きつけ、映像が砕け割れる演出は原曲MVリスペクト。生バンドの攻撃的なサウンドに演者たちの感情が乗った熱すぎるステージだった。

IMAJOのギターが唸りを上げる。曲は“Shout out Arrange”を冠する「Love∞Destiny」で、藍原ことみ、牧野由依、渕上舞、木村珠莉が歌唱した。いささか治安の悪いアレンジと、牧野や藍原の甘さと独自の世界を持ったボーカルのギャップが不思議な魅力を放っている。異色の楽曲にもさらりと対応する木村の引き出しの多彩さ。そして歌い継ぎの最後を担う渕上はラスボスの風格が漂う強さだ。牧野と渕上は原曲メンバーなのだが、その2人が一番原曲との距離を感じさせるのがアレンジと対応の素晴らしさだろう。牧野の(まゆの)重い愛情を感じさせる笑顔や、木村の凛としたキメなど表情感も見どころだった。

朝井彩加と富田美憂のユニット・My-Style Revoは完全新曲「HardcoreToyworld」を初披露。明滅するライトの中ベースとドラムが疾走し、朝井と富田はダンスでも魅せる。我が道を往って世界の方を変えてやれ! という強い意志を感じさせる楽曲で、浮遊感のある歌唱やどんどんギアを上げていくラップなどがめまぐるしく詰めこまれている。富田の歌唱するフレーズで“My-Style Revo、湧き上がるエモ”とユニット名を入れ込んでいるのも印象的だった。実は朝井と富田はお腹にお揃いのタトゥーシールを入れていたのだが、それはこのユニットの共演への伏線だったようだ。

ある意味今回のライブを象徴するような存在だったのが、梅澤めぐ、松井恵理子、森下来奈による「きゅん・きゅん・まっくす(Shout out Arrange)」だ。生バンドが奏でる重く疾走するメタル感はむしろギュンギュンマックスという感じ。キュートを象徴するような梅澤と、クール属性でありながらキュートさにあふれた松井と森下が振り切れた弾け方を見せる。ステージ前に焔が撃ちあがる中、剣呑なサウンドとかわいらしい歌詞のギャップが最高だ。梅澤が「みんなー! キュンキュンするぞー!」と強めの煽りを入れると会場の盛り上がりは最高潮だ。鋭い表情とキュートなポーズが交錯する中、最後はとびっきりかわいくキメる3人だった。

「Drastic Melody」は大橋彩香、佐倉薫、安野希世乃が披露。原曲歌唱ユニット・Sirius Chordのメンバーのユニットパートナーたちによるいわば裏バージョンだ。爽快で疾走感のあるイントロがロングアレンジで奏でられると会場に期待の歓声が満ちる。3人の特徴的で強い個を持ったボーカルが合わさって、とてつもないパワーのある表現に仕上がっている。「シンデレラガールズ」という場でロックスイッチ全開の大橋と卯月の姿が見られるのはとても貴重だ。アウトロのキレのいいダンスとつかみとったものを胸元に引き寄せる動き、そして三様の表情感が記憶に残った。

会場が水面に沈むような色合いに染まり、特徴的なイントロのサウンドが会場を満たす。藍原ことみ、青木志貴、渕上舞、松井恵理子、金子有希、木村珠莉が歌唱するのが「Trinity Field」であることが伝わると、会場に驚愕の声が広がる。渕上、松井のオリジナルメンバーに、表現力とボーカル力が突出したメンバーを加えた六芒星による新しい表現の時間だ。2×3の二重トライアングルの一角をいわゆる蒼いメンバーとはちょっと色の違った、金子と木村という表現者としての基礎体力のあるペアが担うことで、原曲とはまた違った新しさが生まれていたように思う。焔吹き上がる生バンドの六位一体は、クライマックスにふさわしい強さと説得力だった。

ラストナンバーは、梅澤の「最後の曲は今回の公演テーマに沿ったロックなあの曲で終わりにしたいと思います」の予告から「Twilight Sky」へ。青木瑠璃子(多田李衣菜)のソロ曲を全員曲に昇華した。ロックに強く憧れながらも育ちの良さやかわいらしさが抜けきらない李衣菜の曲は、たしかに今回のライブにぴったりかもしれない。

青木がいないライブで安野希世乃を真ん中に置いたメンバーがこの曲を歌うのは、3年前に大阪ドームで行われた生バンドライブで、青木たちが「Rockin’ Emotion」を歌ったことに対する返歌であるように感じた。会場では前列がオレンジ、中列以降がブルーに染まる。これは9年前の「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 1stLIVE WONDERFUL M@GIC!!」で、「Twilight Sky」の名の通り客席を夕暮れの空に染め上げようという有志企画に由来するもので、誰も言葉にしなくてもライトの色を揃える会場の意思疎通ができていることに、コンテンツが積み重ねてきた想いと信頼を感じた気がした。

アンコール前の今後の展開の紹介では、録り下ろしボイス50種を収録した“おしゃべりだっこ ぴにゃこら太”の受注開始告知が大歓声を集めていた。「ぴにゃこら太の絵描き歌」もフル尺で収録するとのことだ。ゲームの展開では、近日登場予定のSSRレアアイドル「ヘレン」「財前時子」のイラスト先行公開に歓声が上がっていた。また、「U149」からは佐城雪美と遊佐こずえの新曲登場が告知され、大きな衝撃を与えていた。佐城雪美の「とくとく…… とく……」と遊佐こずえの「おめざめめーめー」は今冬CD発売と配信が決定している。

アンコールナンバーは安野希世乃、佐倉薫、飯田友子、富田美憂、原涼子、森下来奈による「Rockin’ Emotion」。全員ライブTシャツに着替えての登場だ。安野が先導してメンバーと観客に声を出させる歌い出しでボルテージをさらに高めていく。ロックナンバーで際立つ佐倉の万能性や、原はこのタイプの曲も行けるのか! という発見があったりと最後まで驚きがある。安野が「ギター!」と煽ると夏樹のギターの中の人・IMAJOのソロが唸りを上げてライブならではのコラボレーションが実現していた。

ライブを支えたシンデレラバンドのメンバー紹介を経て、ラストナンバーは明日のDAY2公演もよろしくねという気持ちをこめて(梅澤談)、「明日また会えるよね」。ステージを自由に歩き回りながらのフリームーブも満載で、富田美憂がエアギターをしにいったりと、シンデレラバンドとの絡みもあったのが印象的だった。ラストは梅澤が「せーのっ」の音頭を取って、ロックでキュートなジャンプで締めくくっていた。

たくさんのありがとうの声が飛び交う中メンバーが退場していくと、最後に残ったのは座長的ポジションだった梅澤と安野。ふたりは取り合った手を掲げると、「プロデューサーさん、大好きー!」の声を届けたのだった。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Shout out Live!!! DAY1
2023年9月9日(土) 愛知県国際展示場ホールA+オンライン配信

<セットリスト>
M01:無限L∞PだLOVE♡(梅澤めぐ、佐倉薫、牧野由依、青木志貴、安野希世乃)
M02:ラブレター(青木志貴、飯田友子、森下来奈)
M03:ラビューダ♡トライアングル(Long Intro Ver.)(藍原ことみ、大橋彩香、牧野由依)
M04:ストリート・ランウェイ(朝井彩加、青木志貴、富田美憂)
M05:恋が咲く季節(Long Intro Ver.)(安齋由香里、金子有希、木村珠莉)
M06:Claw My Heart(Long Intro Ver.)(朝井彩加、佐倉薫、渕上舞)
M07:純情Midnight伝説(Long Intro Ver.)(安齋由香里、梅澤めぐ、原田彩楓、金子有希、高田憂希)
M08:Dreamy Anniversary(原涼子、立花日菜、山下七海)
M09:パジャマジャマ(Long Intro Ver.)(梅澤めぐ、大橋彩香、牧野由依、松井恵理子、高田憂希)
M10:セレブレイト・スターレイル(安齋由香里)
M11:Little More(原田彩楓)
M12:この空の下(原涼子、高田憂希)
M13:ミラーボール・ラブ(Shout out Arrange)(飯田友子、富田美憂、原田彩楓、森下来奈、安野希世乃)
M14:ノートの中のテラリウム(高橋花林、立花日菜)
M15:ミライコンパス(Long Intro Ver.)(牧野由依、原涼子、金子有希、高田憂希)
M16:さやけき花の生命に(安齋由香里、木村珠莉)
M17:Starry Night(青木志貴、飯田友子、高橋花林、富田美憂、原涼子、原田彩楓、渕上舞、松井恵理子、森下来奈)
M18:チョコレート?レモネード?どっち??(藍原ことみ、朝井彩加、安齋由香里、梅澤めぐ、大橋彩香、佐倉薫)
M19:認めてくれなくたっていいよ(Long Intro Ver.)(金子有希、木村珠莉、高田憂希、立花日菜、安野希世乃、山下七海)
M20:EVIL LIVE(朝井彩加、飯田友子、松井恵理子)
M21:Love∞Destiny(Shout out Arrange)(藍原ことみ、牧野由依、渕上舞、木村珠莉)
M22:HardcoreToyworld(Long Intro Ver.)(朝井彩加、富田美憂)
M23:きゅん・きゅん・まっくす(Shout out Arrange)(梅澤めぐ、松井恵理子、森下来奈)
M24:Drastic Melody(Long Intro Ver.)(大橋彩香、佐倉薫、安野希世乃)
M25:Trinity Field(Long Ver.)(藍原ことみ、青木志貴、渕上舞、松井恵理子、金子有希、木村珠莉)
M26:Twilight Sky(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
-ENCORE-
EC1:Rockin’ Emotion(安野希世乃、佐倉薫、飯田友子、富田美憂、原涼子、森下来奈)
EC2:明日また会えるよね(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

関連リンク

「アイドルマスターシンデレラガールズ」日本コロムビア公式サイト
https://columbia.jp/idolmaster/

「アイドルマスター」公式ポータルサイト
https://idolmaster-official.jp/

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