INTERVIEW
2023.09.16
次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」発の新たなリアルバンド・Ave Mujica(アヴェムジカ)が、初作品となるミニアルバム『Alea jacta est』を9月13日にリリース。また、それと前後して、TVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』の最終話にAve Mujicaが登場し、これまで秘密のベールに包まれていたメンバーおよびキャストの情報がついに解禁された。
オブリビオニス(Key.)こと豊川祥子役の高尾奏音、ドロリス(Gt.&Vo.)こと三角初華役の佐々木李子、モーティス(Gt.)こと若葉 睦役の渡瀬結月、ティモリス(Ba.)こと八幡海鈴役の岡田夢以、アモーリス(Dr.)こと祐天寺 にゃむ役の米澤 茜――仮初めの名のもと、禁忌の運命で結び合わされた5人は、どのようにAve Mujicaと向き合ってきたのか。これまで各々の胸に秘めてきた想いに、リスアニ!初インタビューで迫る。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
――皆さん、ようやくAve Mujicaについてお話しできるようになりましたね。
高尾奏音 メンバー同士でもずっと「早く名前を明かしてライブをしたいね」という話をしていたので感無量です!
渡瀬結月 私、今日、SNSに自分がAve Mujicaだとバレるような内容のことを書いて世間を大変なことにさせてしまう夢を見てしまって……!
岡田夢以 私は0th LIVEのときに、バンドのイメージカラーに合わせて赤と黒のネイルをしていたんですけど、ライブ後に別件で写真を撮られるお仕事があって、そのネイルをしていることをすっかり忘れていたんです。撮影が終わった後に「あっ、ヤバい!」って気づいて、ネイルが映っていない写真を使っていただいたことがありました。
佐々木李子 あぶない(笑)。私も今放送中のアニメ(『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』)については、もし間違えて何かを言ってしまったら大変なことになるので、SNSで多くを語らないスタンスでいて。今まで溜めて我慢してきた分、これからは世界中にAve Mujicaを広めたい気持ちでいっぱいです。
米澤 茜 私も最初は「バンドリ!」のキャストに決まったことが嬉しくて、言いたい気持ちがすごくあったけど、絶対に言えないので我慢してきて。でも、そこからかなり時間が経ったので、今は一周回って冷静な感じになっています(笑)。
――アニメの最終話でついにAve Mujicaが結成されたわけですが、改めてご自身が担当するキャラクターを演じた感想を教えてください。まずはキーパーソンの1人となった豊川祥子役の高尾さんから、どうぞ。
高尾 祥子はMyGO!!!!!のメンバーの子たちの脳内にずっと残り続けている、CRYCHIICというバンドを作った回想シーンによく登場するキャラクターです(笑)。なんで急にバンドを嫌いになったのかずっと明かされずにいたのですが、最終話の最後のシーンの「ただいま……くそ親父」というセリフで事情がうっすらと見えてきて…。自分の境遇を隠していたからこそ、他の子たちにキツく当たるシーンが多くて、心が痛くなることもあったのですが、アニメの続編で彼女がどんな気持ちだったかが描かれると思うと楽しみです。
佐々木 私が担当している三角初華は、まなちゃん(CV:反田葉月)と一緒に「sumimi」としてアイドル活動をしている子で、人当たりが良くて優しい性格なので、Ave Mujicaとはかけ離れたタイプの女の子です。第10話で(高松)燈ちゃんとプラネタリウムで出会ってお話するなかで、「歌って伝わる気がするよね」と背中を押したシーンがあって。歌が好きな子なので、自分も共感する部分が多いです。
――祥子と初華は幼馴染で、第7話で祥子がMyGO!!!!!の「春日影」を見てショックを受けたときに、真っ先に助けを求めた相手が初華でした。
高尾 あの「忘れさせて」は言葉選びが衝撃でしたよね(笑)。この2人の関係性も今後注目していただきたいポイントです。
――そんな祥子に振り回されがちだったのが、渡瀬さんが演じる、元CRYCHIICのギタリストだった若葉 睦。
渡瀬 「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」では祥子と(長崎)そよの間で板挟みにされている状態でした。ここまで口数の少ないキャラクターを演じるのは初めてで、セリフ量が少ないうえに、ほとんど「……」だったなかで、睦の気持ちを表現しなくてはいけないのが私にとって挑戦でした。あとキュウリが好きで、携帯の待ち受けもメッセージアプリのアイコンも全部キュウリだし、MyGO!!!!!のライブにも自分が育てたキュウリを差し入れするんです。私自身はアレルギーでキュウリが食べられないのですけど……。
高尾 えっ、そうなんだ!?
渡瀬 好きだけど食べられなくて。でも、夏アニメだったので季節的にもちょうど良かったと思います。
――岡田さんが演じる八幡海鈴は、初華とMyGO!!!!!の(椎名)立希のクラスメイトで、プロ級の腕前のベーシスト。
岡田 海鈴ちゃんは第2話にチラッと登場して、セリフがあるのは第4話からだったのですが、最初はもう少し抑揚をつけてしゃべっていたんです。でも、「もっと淡々とした感じでお願いします」というディレクションをいただいて、今の「何を考えているんだろう?」という感じのしゃべり方になりました。ただ、立希ちゃんのことはすごく好きなんだろうなと思います(笑)。
高尾 いつも何かちょっかいかけているよね(笑)。
岡田 あと、私服が結構パンクで、しかもベースをハードケースに入れて片手で持ち歩いているんですよ。「めちゃくちゃ力持ちなのでは?」という考察をしているファンの方もいました(笑)。
――米澤さん演じる祐天寺にゃむは、「ドラムを叩いてみた」などにも挑戦している人気の美容系動画投稿者です。
米澤 実は最初は『ルパン三世』の(峰)不二子ちゃんみたいな、大人っぽいセクシーなお姉さんになる予定だったんですけど、途中で今の方向性のキャラクターに変更になって。私は声優のお仕事が初めてで、それまでずっとセクシーなキャラを練習していたので焦りました(笑)。あと、第12話で祥子が「あなた両利きですわね?」と言うシーンがあるのですが、あれは私が両利きというところからきた設定なので、親近感を感じてさらににゃむちゃんのことが好きになりました。
――声優初挑戦とは思えないしっかりとした演技でした。
高尾 茜ちゃんはすごくストイックにキャラクターと向き合っているんです。LINEとかでみんなに収録の相談をしてくれるし、アフレコのときは、にゃむのセリフを全部暗記してきたというお話も聞きました。
渡瀬 そう、私とりこち(佐々木)は現場で一緒だったんですけど、台本を見ないで演じていて、驚いて2度見しました。
米澤 素人すぎて、台本を見ながら演じるのは無理だと思ったんです。普段しゃべり慣れない言葉がたくさんあったので、これは丸暗記して臨もうと思って。
――皆さんはアニメのキャストだけでなく、リアルバンドとしても活動されていますが、その中で特に印象に残っていることはありますか?
佐々木 ライブはまだ0th LIVEだけで、5人でインタビューを受けるのも今日が初めてなので、お仕事というよりもプライベートで遊びに行った思い出のほうが強くて。
渡瀬 そうだね、みんなでご飯に行ったりとか。
高尾 この5人はめちゃくちゃ仲がいいんです!
岡田 バンドの雰囲気とは真逆だよね。ビジネス感は全然ないから。
佐々木 そう、青春してます!バンドの練習終わりにみんなでファミレスに行って語り合ったり、お休みの日にも集まって、遊園地に行ったり、私のおうちに遊びに来てくれたりして。仲良くなるにつれて演奏の質もどんどん上がってきているように感じます。
――そこまで仲良くなったのには何かきっかけがあったのでしょうか。
米澤 でも、私は最初からすぐ打ち解けられそうだなって思っていました。
渡瀬 個人的には、のんたん(高尾)とか茜ちゃんが、結構壁を作らずに話しかけてくれるタイプだったのが大きかった気がする。りこちもすごく積極的だったし。私はあまり自分からいくタイプではないのですが、すぐに溶け込むことができて。
高尾 バンドの練習終わりに、私が「スタバ行きたいんだけど、1人で行くの寂しいなあ……」って言ったら、結局、全員一緒に来てくれて(笑)。
佐々木 そんなこともあったね。会っていないときも、LINEグループで頻繁に連絡をしていて。あと、のんたんが私たちの写真を動画にまとめて共有してくれるんですよ。「好きすぎて作っちゃった~」みたいな感じで。
高尾 メンバーのことが好きすぎて、「この愛をどうやって発散しよう?」と考えた結果、メンバーの写真や動画を集めたMVみたいなものを勝手に作って、メンバーに送りつけています(笑)。
米澤 しかも月に1回くらい届くんですよ(笑)。
高尾 会っていないときも、楽曲を聴くとみんなのことを思い出したりして……なんか恥ずかしくなってきた(笑)。
――そうやって打ち解けていくなかで、お互いの印象に変化はありましたか?
米澤 のんたんは最初に会ったときから同じ印象で、本当に裏表がない。
岡田 見た目通り、優しいよね。
佐々木 でも、ライブや練習で楽曲が始まった瞬間に豹変するんですよ。こんなに優しくてかわいい子が、一瞬でダークな世界を表現しているのがすごくて。
高尾 でも、それを言ったらみんなもそうだよね(笑)。
渡瀬 印象が変わったで言うと、りこちは結構ぶっ飛んでた。
佐々木 えー!? どういうこと?
高尾 初華ちゃんと似ているよね。
岡田 わかる。色んなことに対してのこだわりが強いよね。この間、初めてみんなで李子ちゃんのおうちに遊びに行ったんですけど、そのときも「ここは初華ちゃんのお部屋?」って思った。
米澤 確かに。ちょっとしたアクセサリーのケースとか小物がお洒落で、すごく初華ちゃんっぽかった。
佐々木 いやいや。大好きなみんなが来るから、ちょっと見栄をはってお洒落しようと思っただけだから。でも、それで言ったら、ゆづむん(渡瀬)は普段ふわふわでマイペースだけど、この前、みんなで遊園地に行ったとき、私とめいしゃん(岡田)とゆづむんの3人でお化け屋敷に入ったんですよ。そしたらふわふわから一変して、ずっと「ギャーッ!」って泣き叫んでいて(笑)。
渡瀬 りこちの服を破るかもって勢いで引っ張ってたもんね(笑)。
岡田 あんなに怖がるとは思ってなかった。バラエティ番組に出られるくらいのリアクションで(笑)。
高尾 睦ちゃんでは絶対に聞けない声だったよね(笑)。私は茜ちゃんの印象が結構変わりました。ドラムを叩くとめちゃくちゃかっこいいし、いるだけで存在感があるので、私は普段から「存在がインスタ映え」って言っているんですけど……。
米澤 それ、何度か言われた(笑)。
高尾 なので最初は「クールな子なのかな?」と思っていたら、初めて音合わせの練習をしたときに、演奏を始めた瞬間、茜ちゃんがこっちを向いてウインクをしてくれたんです。
一同 えーっ!
高尾 それで私、動揺しすぎて、演奏をミスりまくってしまって(笑)。そのときにすごくキュートでお茶目な子なんだなって思いました。
米澤 覚えてなーい!(笑)。私はめいしゃんが一番印象が変わったかも。色んなグループを掛け持ちしていて、その全部を忠実にこなしているので、完璧というイメージが強かったけど、普段は意外とお茶目な部分があって。そういうギャップを見せてくれたときに嬉しくなる。あと、これは印象が変わったとは違うんですけど、めいしゃんは自分を後回しにして誰かに譲るポジションになることが多くて。
高尾 そうそう。お姉さんって感じだよね。
佐々木 いつも冷静にまとめてくれる。
岡田 実際にこの中では最年長だからね。でも、私からすると、自分はどちらかと言うと人見知りタイプなので、お仕事系のLINEグループがこんなにも頻繁に動くことに驚いた(笑)。一度動き始めたら、みんなリアルタイムでずっといるから。
米澤 別に仕事の連絡とか関係なしに、めっちゃやり取りしてるよね。
高尾 深夜の1時くらいに突然、りこちからひと言「ねむ」ってきたりして(笑)。
佐々木 なんか言いたくなっちゃうんだよね。
岡田 みんなのいい意味での軽さにすごく助けられています。
高尾 バンドはこんなに重々しいのに(笑)。
――担当パートの楽器についても聞きたいのですが、皆さん、楽器経験はどの程度あったのでしょうか?
高尾 私は子供の頃からクラシックピアノをやっていて、コンクールとかにも出させていただいていたのですが、バンドで演奏するのは今回が初めてだったので、最初はドラムの拍子に合わせて演奏する感覚がなかなか掴めなくて大変でした。でも、みんなで練習した音源をおうちで聴きながら、楽器ごとにどういうリズムなのかを聴いて、そこに合わせてピアノを弾く練習を続けていたら、今ではバンドで合わせたときのほうが心地良くなるようになりました。
――佐々木さんは元々ソロアーティスト活動で、ギターの弾き語りをやっていましたよね。
佐々木 はい。アコギとエレキギターを独学で弾いていました。でも、7弦ギターで、しかもリードギター&ボーカルというポジションは初めてなので、バッキングとはまた違ったリードの単音弾きの難しさに結構苦戦しました。私は昔から周りの音を聴くことに慣れていなくて、ソロ活動のときもライブでバックバンドの演奏にノリきれないという悩みがあったのですが、Ave Mujicaでバンドのみんなの音を聴きながら7弦ギターと向き合うなかで、他の音と交わる楽しさ、音に入り込んでノレる楽しさを知ることができたので、本当に感謝しています。人から「ギターのセンスないね」と言われたこともあったんですけど、諦めずに続けてきて良かったです。
――7弦ギターは触ってみていかがでしたか?
佐々木 ネックが太いし、重いし、大きいので、最初は距離感が取れなかったんですよ。なのでとにかく体に馴染ませようと思って、おうちとかでもギターを持ちながら生活してみて。今はちょっとずつギターが体に馴染んできました。
――同じく7弦ギターで、リズムギター担当の渡瀬さんの楽器経験は?
渡瀬 私はギターの経験はまったくなくて。ただ、小学生の頃からエレクトーンを続けているので、「バンドリ!」のお仕事のお話を聞いたとき、キーボード担当かな?と思ったんです。そうしたら「ギターです」と言われたので「あれ!?」となって(笑)。でも、フタを開けてみたら、のんたんの演奏がすごかったので納得しました。彼女はミラノの女なので。
高尾 いや、コンクールで一度行っただけだから(笑)。
渡瀬 ギターは未経験だったけど、私はなんでもやりたい精神が強いので、「やってみたいです」とお返事したら、「7弦なんですけど大丈夫ですか?」って不安そうな声で言われて。でも、私はそもそもギターが普通は6弦ということがよくわかってなかったので、「全然大丈夫です!」って答えました(笑)。自分もエレクトーンはソロでやっていたので、アンサンブルは初めてで迷うこともありましたが、みんなが支えてくれるので、リズム隊として頑張ろうという気持ちで毎日練習しています。
――5弦ベース担当の岡田さんはいかがでしょうか。
岡田 私は小学校のときにピアノを少し習っていたくらいだったのですが、声優活動を始めたときに、何か1つは楽器を弾けたほうが武器になると思って、周りの方のアドバイスも受けて、ベースを始めたんです。最初は水色のジャズベースを中古で買って、先生も自分で探して、3ヵ月くらい習っていたんですけど、そのタイミングでこのお話をいただいて。そこからプロジェクトのレッスンとして習い始めたのですが、最初の1年くらいは4弦ベースをやっていたんです。でも、「キャラクターのベースが5弦のスーパーロングになります」ということで持ち替えて。
米澤 急にいかつくなったね(笑)。
岡田 重さも全然違うし、2~3フレット分くらい長さが違うんですよ。ただ、私は手が大きいタイプなので、それが功を奏してある程度届きやすかったんですけど。そこからまた調整が入って、最終的に今の紫カラーのノーマルスケールの5弦ベースになりました。
――米澤さんは元々ドラマーとしても活動されていたんですよね。
米澤 私は小学4年生の頃からドラムをやっていて、そこから中学・高校・大学ではコピーバンドをやっていました。その後、インディーズバンドに入るために上京して、「バンドリ!」への参加が決まってからもしばらく活動していました。なのでドラム歴は結構長いです。ただ、普段の私のドラムのセッティングは1タムで、バスドラムはシングルペダルというシンプルなものだったので、Ave Mujicaのドラムセッティングとは全然違うんですよ。楽曲のジャンルもポップスがメインだったので、その意味では初挑戦に近かったです。
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