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INTERVIEW

2023.09.05

『FLOW THE COVER ~NARUTO縛り~』カバー曲解説!“NARUTO縛りライブ”の開催も決定したFLOWが、『NARUTO』が届けた名曲の数々や“ファーストロック体験” について語る

『FLOW THE COVER ~NARUTO縛り~』カバー曲解説!“NARUTO縛りライブ”の開催も決定したFLOWが、『NARUTO』が届けた名曲の数々や“ファーストロック体験” について語る

FLOWが初のアニメソングベストアルバム『FLOW ANIME BEST』をリリースしたのが2011年のこと。2015年には『FLOW ANIME BEST極』、2018年に『FLOW THE BEST ~アニメ縛り~』をリリースし、同時にアニメタイアップ曲だけを聴かせるライブも展開してきた。

そのFLOWが今年デビュー20周年となり、そして同じくアニメ放送20周年を迎えたアニメ『NARUTO -ナルト-』(以下、NARUTO)は、彼らにとって初めてのアニメタイアップ曲である「GO!!!」と共に駆けてきた作品である。そんな『NARUTO』とFLOWが改めて強固にタッグを組む『FLOW THE COVER ~NARUTO縛り~』が完成。『NARUTO』を彩ってきた名曲たちをカバーし、FLOWからのナルトへの愛、極まる1枚について5人に語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

アニメを通して毎週「GO!!!」を聴いてもらえることが幸せだった

——「GO!!!」で『NARUTO -ナルト-』(以下、NARUTO)のOPを担当されてから19年。以降もアニメでは「Re:member」、「SUMMER FREAK」、「Sign」、「虹の空」、舞台『ライブ・スペクタクル「NARUTO -ナルト-」』公演イメージソングの「光追いかけて」「橙」、ゲームのテーマソング「Break it down」、さらに「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」(以下、BORUTO)のOP「GOLD」と、長くタッグを組んできた相棒とも呼べる作品。この作品との出会いがバンドに及ぼした影響や軌跡を教えてください。

KOHSHI タイアップのお話をいただいたときに、歌詞を書いてくれ、ということで急いで近所の本屋に走って、再不斬あたりのエピソードのところまで『NARUTO』を読んだことを覚えています。それまで作品も知らなかったので、「忍者の話なのか」という印象しかなかったんですけど、まさかこんなに長年タッグを組んでお世話になる作品になるなんて、その当時は思っていませんでしたね。

——皆さんはいかがですか?

IWASAKI 正直に言うと、「アニメの主題歌ができるぞ!やったー!」という感じがあった。ここまで深くアニメの曲と繋がっていくとは思ってもいなかったし、当時はアニメが日本のカルチャーにここまで根付いてはいなかったけど、僕らの世代で言うとゴダイゴさんが『銀河鉄道999』の主題歌をやっているのを観ていたんですよね。ほかにも『YAWARA!』の永井真理子さんとか『名探偵コナン』のZIGGYさんとかTHE HIGH-LOWSさんとか。その辺りからロックがアニメの中に入ってきていたし、自分たちもアニメーションの主題歌が担当できるんだ、というのは嬉しかったです。

——GOT’Sさんはいかがですか?

GOT’S 「GO!!!」からバンドの進む道が大きく変化していったけど、その頃はアニメの仕事の繋がりはまったく考えていなかったですね。ただ、その後『交響詩篇エウレカセブン』で「DAYS」が主題歌になり、作品のフェスに出演させてもらったときに、初めて「アニメとタッグを組むのはこういうことなんだ」と実感しました。

TAKE 繋がりやきっかけということを考えると、アニメを毎週観ることによって、毎週聴いてもらえるということは、ドラマの曲をやる以外にはなかったかもしれないですね。刷り込みって大事だなって今、思いました。

——「GO!!!」を聴いて育ちました、というロックバンドが今では非常にたくさんいますしね。

KEIGO 確かに。

KOHSHI 運動会のときに「GO!!!」で踊りました、とか走りました、ってよく聞くよね。マッチしやすいのかもしれない。

TAKE そうやって派生していくきっかけをもらったことは嬉しいことですね。

GOT’S 俺らのときに爆風スランプの「RUNNER」で走った、みたいなことを「GO!!!」で体験してくれているって聞くと、すごく嬉しいし「すげぇ」って思ったよ。

TAKE そういったカルチャーに繋がっていくなんて、それこそ当時は想像もしていなかったですよね。ましてや野球の応援歌になったりもして。そういうのはここ何年かで広がっていった感覚があります。ある種のメディアミックスみたいな。

KEIGO 「GO!!!」をやった当初に速攻でそういった影響が出たわけではなかったんですよね。お子さんを連れてライブに来てくれた人たちはいたけど、後々にアニメの力を知っていきました。特に海外に行けたことがデカいですね。自分たちの感覚としても「日本のアニメってこんなに世界で影響力を持っているの!?」と驚くことになるんです。そこから日本のアニメフェスにも出演させてもらうようになって、より思い知っていきましたね。そして、やっぱり元をただせば「GO!!!」だよなって思う。海外でも日本でも、アニメフェスでの「GO!!!」の人気も認知度も高いんです。それだけ『NARUTO』が愛されているということも、自分たちの曲を聴いてくれているんだなってことも、徐々に実感していきましたね。

GOT’S “リスアニ!LIVE”とかに呼んでもらって、アニメのファンの皆さんにも認知してもらっていくことで、俺らも「アニメ縛り」が出来るようにもなった。それ以前はロックバンドだし、取っ付きにくいと思っていたかもしれないですが、垣根が取り払われていく感じやお客さんが垣根なくライブに来てくれるようになったのもありがたいですね。

FLOWのメンバーそれぞれの心に残る「NARUTOソング」

——アニメ『NARUTO』時代を彩った楽曲だけで実に100曲を超えますが、20年を支えてきた楽曲はどのような存在だと感じますか?

TAKE 今回改めてカバーをさせてもらうえで『NARUTO』の楽曲たちを改めて聴き直させていただいたのですが、名曲が多いなとぁと。今聴いても色褪せないことはもちろんですが、コンテンツとして音楽に力を入れてきていたんだろうなと思いました。

——今回カバーした曲以外でも構いませんので、ご自身の中で最も印象的だった楽曲をお聞かせください。

GOT’S 最初のOPテーマであるHOUND DOGさんの「R★O★C★K★S」ですね。驚きました、衝撃があった。いきなり大御所のロックバンドが歌い上げて、そこからロックバンドが続いていきましたし。1つの流れが出来たような気がします。

TAKE 確かに。HOUND DOG先輩が拓いた道なんだなぁ。

KEIGO そういう意味では『NARUTO』もすごく挑戦していたよね。タイトルを連呼するような所謂アニメソングではなく、ロックバンドの曲で押し上げていくという気概というか。

IWASAKI 俺はイメージとして、そのあとに続いたASIAN KUNG-FU GENERATIONさんの「遥か彼方」が印象に残っていますね。先人がいた感覚だったし「アジカンがアニメソングをやるんだ」とも思ったし。むしろHOUND DOGさんのほうがアニソンのイメージがあったから。LOUDNESSさんがアニメの主題歌をやっていたこともあったし、そういった大御所の人たちがアニソンをやる姿を見ていたからね。ただ、そこにアジカンがくることはインパクトが強かったです。だからこそFLOWもやれる!という気持ちにもなったし。

KOHSHI 今、第一話から全話観直しているんですけど、ストーリーとのシンクロ度合がめちゃくちゃ良かった、という視点でHALCALIさんの「Long Kiss Good Bye」です。ちょうどアスマ先生が死んでしまって、そのあとに紅と付き合っていたことがわかったけれど、遺された紅と曲がすごくマッチしていて、鳥肌が立つくらい印象的でした。HALCALIさんとは同期くらいで、一緒に頑張っていたユニットなんだけど、今になってめちゃくちゃ刺さりました。

KEIGO 全体で見ていて、色んな話も聞いたうえでKANA-BOONの「シルエット」です。アジカンに憧れてバンドを結成して、『NARUTO』の曲がやりたくて、という話を知ってから「シルエット」を聴いたときに、ナルトに対しての真っ直ぐな感じが歌詞にも出ているし、歌詞に“木の葉”って使うところも印象的だし。そういうバンドが出てきたことは衝撃で、とても印象に残っています。

TAKE 過去に“ANI-ROCK FES.”がありましたが、関わってきたアーティストが一堂に会すと確かに“ロックフェス”になるなって思ったんです。FLOWが「GO!!!」でしょ、それからサンボマスターさんが「青春狂騒曲」、STANCE PUNKSさんが「ノーボーイ・ノークライ」と続く。ほかにも北海道の雷鼓さんとかザ・マスミサイルさん、ORESKABANDさんとか。

KOHSHI 青春パンクの時代だよね。

TAKE 1つの作品でロックフェスができる、その走りが『NARUTO』だったんだなって改めて思うね。

KEIGO この間出演した番組で、『NARUTO』の主題歌を全曲挙げて解析していったんですけど、当時のロックシーンやフェスシーンが反映されているんですよね。途中でヒップホップが入ってきたりもするし。

TAKE それが後の『僕のヒーローアカデミア』にも繋がっていく、そんなジャンプ系譜を感じますよね。『NARUTO』の制作陣は、この作品の主題歌を通して子供たちに“ファーストロック体験”をしてほしい、という裏テーマを持っていたんですよね。だからこそ最初の曲がHOUND DOGさんであり、アジカンさんに繋がっていく。まさに今、新しい世代の人たちが『NARUTO』を聴いて音楽に目覚めたことに、ちゃんと当時の意図が繋がっているのを感じますね。

——そんなTAKEさんにとっての印象的な主題歌というと?

TAKE 物語とリンクしているという意味では、いきものがかりさんの「ブルーバード」とか井上ジョーくんの「CLOSER」ですね。あと単純に歌が好きなのはLONG SHOT PARTYさんの「distance」。『FLOW THE COVER~NARUTO縛り~』の第二弾が作れるなら、カバーしたい曲たちですね。

『NARUTO』愛溢れる曲をFLOWとしてアレンジ、表現した楽曲たち

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