INTERVIEW
2023.09.02
いよいよ9月の開催まで目前となった、長野で行われるアニソンフェス“ナガノアニエラフェスタ2023”。出演者から過去の思い出や今年にかける想いを聞く本連載に、今回は初出演となった2022年に続いての出場となるangelaが登場。デビュー20周年というアニバーサリーイヤーを駆け抜けている最中のatsukoとKATSUが考えるフェス、そして“アニエラ”が持つ最大の武器とは何か?
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INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
――今回、昨年に続いての“アニエラフェスタ”出演となります。angelaとしてもデビュー20周年としてワンマンを開催された一方で、フェスとしてもこのインタビューの前日には”リスアニ!LIVE ナツヤスミ”に出演されたばかり。現在はどんなモードでフェスに向き合っていますか?
KATSU デビューしたのが2003年なんですけど、その当時から“STARCHILD DREAM”というフェスがこの業界にあったんですよ。angelaで一番最初のフェスというと“STARCHILD DREAM”という。
atsuko 神戸でやった、スターチャイルド(当時angelaが所属していたレーベル)のフェスですね。
KATSU そこから“STARCHILD DREAM”にも2回くらい出ているんですけど、そこから20年を経てフェスに呼ばれるangelaの立ち位置を理解したというか。そのフェスのトリで呼ばれるのかトップバッターで呼ばれるのか、というところで、モードの切り替えはありますね。
――それこそ“リスアニ!LIVE ナツヤスミ”ではトップバッターでしたが、フェスのなかでのご自身たちの立ち位置というもの考えながらのステージになる、と。
KATSU そう。「このフェスはangelaをこうしたいんだな」という問いに応えるのが楽しい。逆にシークレットというポジションは一番難しい(笑)。会場に入るときも見つからないように入らないといけないし、そこはプロフェッショナルとして。
atsuko 今年は特にこれまでコロナ禍があったぶん、2023年になってやっと以前のライブが戻ってきたという感覚がすごく大きくて。ただ、それってコロナがなければ、例えば声出しのライブも日常的に続くものだと当たり前に思ってたじゃないですか。それが一度途絶えて、そのなかで色々試行錯誤しながらライブの在り方、フェスの在り方をアーティストやスタッフやお客さんが本当に考え続けて、そしてやっと今戻ってきた。一度「本当に大切なものは何か」みたいなものを、みんなが原点に立ち返って、「やっぱりここだよね、ここが楽しいよね」っていうのを気づかされた年だなっていうのが、私たちの20周年でもあるんです。
――なるほど。20周年という自身の在り方と向き合う一方で、ライブやフェスというものに対しても今一度向き合うタイミングでもあったんですね。
atsuko だから今、色々なフェスや自身のワンマンライブも帰ってきて、皆さんそれぞれが本当に楽しいなって感じていると思うんですよね。そして、様々なフェスに呼んでいただいて出るたびに思うんですけど……どんどん出演者もお客さんも若返ってる!そんななか私たちは何をするべきなのか、まさに「君たちはどう生きるか」という(笑)。でも本当にそこなんですよ。近年はそれを常に考えながら歌っている感じがありますね。
KATSU それが呼ばれる立ち位置だと特にね。
――特にフェスにおいては様々な客層において、自身の歴史や今をどう見せるのかというところが鍵になってきますよね。
KATSU デビューした当時、まだ“Animelo Summer Live”や“リスアニ!LIVE ”もない時代がangelaにはあったんですけど、そのときの自分たちの感覚としてフェスでは自分以外みんな敵で、自分が目立てば勝ちっていうのがあったんですよ。だから周りはみんなライバル、自分たちが一番目立ってやるっていう精神で、実はこれってフェスを盛り上げるためにめちゃくちゃ大事なんですよ。あの人より目立ちたいという、要はガチバトルをお客さんも観ていてより加熱するわけじゃないですか、格闘技でもなんでも。ただ、今は自分たちはそこに入ってはもういけないから。
atsuko 今はね、もう自分が目立てばいいっていうところじゃないんですよね。 若い皆さんのパフォーマンスを観ながら「みんなすごいな」って。私たちは最初は超荒削りで、何にもわからないまま飛び出していったタイプなんですけど、今は皆さんしっかりレッスンされて、出来上がった状態で出てくるから。
KATSU 今はそこに入ってはいけない(笑)。
atsuko 「どうしてこの子たちはこんなに最初から完璧にできるのかしら?」っていうのを「おそろしい子!」って思いながら……って、「ガラスの仮面」も今の子はわかんないか(笑)。
――angelaもデビューして20年が経ち、若手からベテランまでが揃う場としてのフェスへの参加も増えましたよね。そうしたなかでの“アニエラ”ですが、初出場となった昨年はどんな印象を抱きましたか?
KATSU 自分たちが出演することが決まるまでは資料でしか知らなかったレベルなんですけど、長野でのフェスということで、(立地が)少し遠いみたいイメージがあるじゃないですか。でも、実際に行ってみてわかったのは、めちゃくちゃポテンシャルの高い場所を確保した、都心に一番近いアニソンフェスということ!ここまで近いとは思わなかった、というのが最初の印象で。実際行ってみたらそんなに遠くない、1時間かからないのかな。
atsuko 大宮から新幹線で50分くらいだったよね。本当、熱海フィーリングだよね(笑)。
KATSU 熱海より近いんじゃない?横須賀くらいの感じ。これは今後アピールしていかないとみんな「遠い」って思っちゃうんじゃないかな。
atsuko 昨年は前日に名古屋でライブをやっていたので、行きは名古屋からバスで山を越えて佐久平の方に行ったんですけど、帰りに新幹線に乗って「よし、ちょっと寝よう」って思ったら「ちょっと待って、大宮まで50分しかないの?弁当食べたらすぐじゃん!」って。ゆっくり寝る時間がなかった(笑)。
KATSU なんなら弁当の途中で大宮着いたもん(笑)。
atsuko 「えっ、近い!」みたいな。もうね、ご飯を食べるのが精一杯(笑)。多分東京から車でも来れる距離だし、良い場所を見つけたなって思います。
――都心とのイベントとの差別化もできて、そこまで遠くもないというのは大きいですよね。
KATSU 地方遠征感も味わえるし、良い場所ですよね。
atsuko ステージもちゃんと2つあって、時間が被らないようにそれぞれの出番がある。飲食エリアにキッチンカーとかもたくさん出ていたり、コスプレイヤーの皆さんが色んなところで写真を撮っていたりして、すごく素敵だなと思いました。
KATSU ライブもできるし、アニクラみたいなところもあって、さらにコスプレもできて、地元の美味しいものもあって……あと、楽屋も素晴らしかった!
atsuko 公民館みたいなところが楽屋になっているんですが、それも運動公園の中にあって、しかもステージから近いんですよ。しかもそこが畳で、ゴロゴロできるっていう(笑)。
KATSU 楽屋って意外と大事なんですよね。こういう野外フェスだとステージの裏に仮設テントを作るんですよ。それで、晴れたりすると10月でも灼熱になるんですよね。逆に雨が降ったりすると、寒すぎてストーブを入れたりとか。それもフェスの魅力ではあるんですけど、暑い苦しいで「はい、出番です」と言われて出演者が100%の力を出せるかっていうと、テンションだけじゃいけない、消耗してる部分がある。“アニエラ”はそういうところが不安がゼロなんですよ。むしろ快適で、畳の上で寝れるし(笑)、本当に良い場所を見つけたなと。
――土地の良さもあって、ホスピタリティも導線もしっかりしていると。
KATSU さらにフェスといえば、その土地の美味しいものを食べたいっていう欲求があるじゃないですか。それも“アニエラ”は飲食エリアがあるから選び放題!
atsuko そうなんですよ。バンドメンバーとゾロゾロとキッチンカーエリアに行って、「どれにする?」ってみんなで悩んだりしたよね。
KATSU お客さんももちろん、出演者からしても、いたつく。
atsuko 至れり尽くせりね(笑)。
――初めての出演でも、フェスとして良いと思える場所だったんですね。
atsuko 本当にすごく素敵な場所。我々は出番以外でも会場を結構ウロウロして、芝生に座ってた(angelaの)ライブのタオルを巻いているファンの方に「ねぇねぇ、良いタオル巻いてんじゃん」って声かけてみたり(笑)。楽しかったですね。
――一方でご自身のステージはいかがでしたか?
atsuko 私は、「長野、9月、爽やかな日」というを想定していたんですよ。そしたら……すっごく暑かった(笑)。
KATSU たしか、全国的に台風直撃みたいな日だったんですけど、長野は晴れてたんですよ。
atsuko あと“アニエラ”は直前リハーサルなんですよ。公開リハーサルといいますか。だから朝早く来てリハをして、あとは待ち時間が長いみたいな感じではなくて。なので、私たちの入り時間もそんなに早くなかったし、直前にセッティングして、公開でお客さんの前でリハーサルをやりましたね。ただ、リハーサルをやっているときは、別のステージの方で本番をやっていてあまりお客さんがいなかったんですよ。そしたらもう1つのステージが終わって、お客さんがゾロゾロとこっち集まってきたんですが、振り付けのある曲を歌ってたらみんなが踊りながらステージに向かってきてくれて!それがまた面白くて、リハから楽しかったですねぇ。
――リハからそのまま本番に流れるような。
atsuko リハが終わって、「このまま行く?」って言ってたんだけど、さすがに「一回下がってください」って言われて、すいませんって(笑)。で、本番も野外ならではの開放的な感じで、何と言っても“アニエラ”のお客さんは元気でしたね。
――やはり野外ならではの良さもありましたか?
KATSU 元々angelaは路上ライブをずっとやってきたから、野外が得意なんですよね。でも、野外フェスって天候がものすごく関係するからリスクがデカいじゃないですか。一方でお客さんは野外のほうが開放的になる、盛り上がる側面がある。だから“アニエラ”の特徴としては野外というところが最大の強みで、晴れればどのフェスにも負けないポテンシャルがあるなとは感じました。だからこそ、そこは今後も貫いてほしい。逆に雨が降ったら降ったでそこは伝説になるし、やっぱり東京から近くて野外というのは“アニエラ”最大の特徴だと思います。
atsuko そこでのお客さんも自由だから、端っこの日陰の方から観ていてもいいし、自由にアニソンを楽しめる場所だなって。
KATSU 別にステージ最前じゃなくても、ちょっと遠くの丘みたいなところから観ることもできる。それも良いよね。
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