8月25日、さいたまスーパーアリーナにて“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”(以下、アニサマ)のDAY1が開催。4年ぶりに声出し応援OKでの開催となった、毎年夏恒例の世界最大級のアニソンフェスは、サブタイトルどおりどのアーティストもアクセル全開!スペシャルコラボやサプライズアーティストなども織り交ぜられたステージが、観客の心を熱く高ぶらせ、場内には大声援が響き渡っていた。
■“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”
DAY1 セットリスト
DAY2 セットリスト
DAY3 セットリスト
TEXT BY 須永兼次
この日はまず、開演前からいきなりサプライズ!本日の出演アーティストの1人でもある大橋彩香が開演直前の生影ナレを担当し、観客を煽って“発声練習”。これで声出しライブへの参加が久々となる観客も、準備バッチリだ。
そんなDAY1の幕開けを飾った楽曲は、ReoNa×TRUEによる「Independence」。元々この曲を“神崎エルザ starring ReoNa”として歌唱していたReoNaの歌声はもちろん、TRUEも大きな身振りも伴わせたパワフルな歌声を響かせ、観客のハートというエンジンに火を入れる。終盤で2人が向き合って、拳を突き出し合いながら歌うというシーンもまた、ハートを熱くさせてくれた。
続いては初出演のharmoeが登場。彼女たちはMCの代わりに“おとぎ話”というユニットコンセプトを生かして、レーベルの先輩・三森すずこがナレーションを務める、中村彼方が紡いだ物語が楽曲を繋げていく。そんななかまずは「Love is a potion」を、キュートな中にしとやかさもあるダンスとともにキュートに歌いゆく。サビでの左右対称になるダンスも息ピッタリだ。また、2曲目の「ふたりピノキオ」は冒頭から美しいハーモニーも聴かせると、楽曲モチーフを生かした操り人形のような振付も取り入れたダンスを、またも息ピッタリにスマートに見せていった。
そのキュートな雰囲気を受け継いで登場したLiyuuは、ソロとしては「bloomin’」1曲に全力投球。キュートな歌声が映えるダンスポップを、ダンサーを従えてかわいげを見せながら質高く見せていく。ピンクに染まるスタンドを前に、歌声とダンスで甘々な世界を作り上げてみせた。
そこから“ピンク”と“キュートさ”の要素を引き継ぐ形で、「ピンキーフック」のイントロとともに登場したのが麻倉もも。一昨年生まれた彼女のキラーチューンを、サプライズ以外では初となるソロ出演の1曲目として満を持して披露し、観客を踊らせ客席を揺らす。サビではコールも大きく返って盛り上がりとともにさらなる一体感も生じると、ミディアムバラード「花に赤い糸」ではキュートな声質がピュアさを生みつつ、その歌声はサビに向かって徐々に広がりを増していってせつない想いも表現。異なるテイストの2曲それぞれを印象深く心に残す、堂々たるステージをみせてくれた。
続いては、スペシャルステージになすお☆が登場。初アニサマのステージで、360°を囲む2万人以上のアニソンファンに自身の存在を証明するかのように、刻み込むかのように「バグちゃん」を歌唱していく。そしてもう1曲、自身初のアニメ主題歌となった「ハニージェットコースター」ではトロッコに乗りメインステージへと向かいながら、より距離の近づいたスタンドのアニソンファンとも視線を交わしながら歌唱。キュートさとハスキーさの入り混じった、作品と楽曲を的確に表す歌声に触れた大観衆は、なすお☆というシンガーの存在を確かに心に刻んだことだろう。
こちらも初アニサマの“歌怪獣”島津亜矢は、まずスポットに照らされてAdo「新時代」の冒頭フレーズを独唱すると、2階ステージには『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』でRoseliaとしてこの曲をカバーした湊 友希那(演:相羽あいな)が登場。力強く艶やかな島津と、とにかく圧のあるパワフルさがこの曲にドンピシャな友希那という“最強”タッグによるカバーが会場を熱くし観客の心を捉える。
2曲目には“AYA”として歌ったバラード「I CAN’T DO ANYTHING -宇宙よ-」へ。たおやかな歌声が、ブルーのペンライトに染まるSSAを包み込んでいく。
そんな“歌怪獣”のもとに“歌ゴリラ先輩” 遠藤正明が登場し、なんと「勇者王誕生!」での激アツコラボ! 力強い歌声をぶつけ合う“歌声バトル”が繰り広げられていくと、観客もサビの“ガガガ”のコールで参戦。アニサマならではの独特の熱気がSSAを包んでいく。
さて、ソロとしては12年ぶりの出演となる遠藤は、「コロナ禍を経た“心の開放のお手伝い”のためにやってきた」と語り、「ご唱和ください 我の名を!」を歌唱。ふんだんにコール部が盛り込まれた楽曲を力強くアツく歌うことで、観客のコールを導く有言実行のステージ。頭サビの「ウルトラマンZ!!」で力強く長く長くロングトーンを歌い上げたのは、歌唱前のMCで触れた水木一郎氏へと捧げる意味合いもあったのだろうか。
そのアツさ引き継ぐステージを、1曲目「TRUE STORY」から繰り広げてくれたのがSCREEN mode。ハイトーンで、ロックに似合うトゲも兼ね備えた勇-YOU-(vo)の歌声が、さらに場内の盛り上がりを加速させる。そんななか、曲明けにはSSAに浮遊物体・スフィアが襲来するが、「輝け!フラッシュ!(勇-YOU-)」「デッカー!(観客)」の掛け合いでステージにウルトラマンデッカーが登場!そのバトルをバックに『ウルトラマンデッカー』のOP「Wake up Decker!」が披露されていき、最後は場内が一体となって拳を天に突き上げて楽曲を締め括った。
続くLiella!は、最新アルバムのリード曲「Second Sparkle」から初アニサマのパフォーマンスをスタート。前後2列のフォーメーションを中心に、美しく切れ味鋭いパフォーマンスをみせていく。チームワークに加え、ソロパートでも各々が見せどころでそれぞれの魅力を発揮して観客を惹きつけてみせると、2曲目「ビタミンSUMMER!」はアニメ映像をバックに背負っての披露。『ラブライブ!』シリーズならではの映像とのシンクロもバッチリ決めながら、ピタッとステージに吸い付くような美しいステップと笑顔満開のパフォーマンス。この日は9人での出演だったのだが、今度は3期生も加えた11人でSSAに立つ姿にも期待したくなるステージだった。
その空気を、Cö shu Nieがまたもガラリと塗り替える。interludeでムードを構築すると、どこか甘さもありながら確固たる芯をもった歌声と、畳み掛けるようなドラムを筆頭にパワー感のあるサウンドの「bullet」で、鮮烈にアニサマにお目見え。続く、変拍子を多用した「asphyxia」では、音にのまれてその世界をたゆたい味わうという楽しみを与え、この日のアニサマがさらに多面的なものに。そして最後に披露したロックバラード「give it back」は、非常に音域の高い楽曲ではあるが、透き通るようなファルセットをもって美しさと儚さを感じさせるものに。MCでの公言どおり、まさに「美しい時間」を形作った。
前半のトリを務めたのは、冒頭TRUEとのコラボでも登場したReoNa。この日の彼女のステージは、導入部のアニメどおり『ソードアート・オンライン』楽曲オンリーでの構成されていく。まずは光に包まれたステージの上で、観客と視線を交わしながら「Weaker」を歌唱。晴れやかな表情だからこそ、この曲の歌詞がより心に響く。さらにストリングスが疾走感を与えるナンバー「VITA」も、力強く歌唱。この曲でも多々みられた笑顔をみせる姿は、心からこのステージを楽しむ幸せを感じているようだった。そしてラストに披露したのは、ReoNaというシンガーの存在をそれまで以上に確固たるものとした、「ANIMA」だ。ライブを確実に盛り上げる必殺ナンバーでも、引き続きステージを楽しむような表情も垣間見せつつ、この曲らしい鋭さや力強さも歌声・表情の両面から発揮していく。この大舞台で鉄板曲を歌うなかでも、さらなる進化を感じさせるパフォーマンスを見せてくれた。
後半1曲目、観客の心のエンジンを再着火させたのは、GRANRODEO×蒼井翔太による「CHAINSAW BLOOD」のカバー。猛々しい楽曲にマッチする荒々しいツインボーカルと血しぶきのようなメインスクリーンの映像効果が、一気に観客の心を再びぐいっと引き込む。
歌唱後には蒼井が降壇し、GRANRODEOのステージへ。まず1曲目は、『黒子のバスケ』アニメ10周年記念ソング「ゼロステップ」。奇しくもバスケW杯開幕日であったこの日にもうってつけのナンバーで、イントロで炸裂した音玉とともにさらに場内の空気を盛り上げていく。また、リリース間近のハードロックな新曲「鉄の檻」は、サウンドの中を切り裂くようにして場内へと響き渡るKISHOW(vo)の歌声も相まって、GRANRODEOらしさを十二分に感じさせるものに。そして疾走感……いや“爆走感”すらある、酷暑の2023年にピッタリすぎるナンバー「modern strange cowboy」を熱く熱く届け、大サビではKISHOWのお立ち台ジャンプが観客のジャンプも先導。会場を揺らしに揺らして出番を終えた。
そこに『PSYCHO-PASS サイコパス』のドミネーターのログイン画面が流れ、臨時ログインしたWho-ya Extendedがスペシャルステージに登場。第3期のOP「Q-vism」で初アニサマのステージを踏む。ダンサブルなリズムをもつこの曲を通じて、ぐるりと自身を囲んだアニソンファンすべてに意識と視線を持っていって踊らせると、ロックチューン「VIVID VICE」では観客を一段と沸かせていく。2-Aメロからはクラップも起こって場内にはさらなる一体感を生み、スタイリッシュにクールに、しかし確実に観客の心を捉えていった。
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