リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2023.08.25

“善子”とは違う、“ヨハネ”としての歌唱表現とは ――ヨハネ役・小林愛香、『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』主題歌・挿入歌を語る

“善子”とは違う、“ヨハネ”としての歌唱表現とは ――ヨハネ役・小林愛香、『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』主題歌・挿入歌を語る

「キミノタメボクノタメ」から感じられる、優しさ・温かさとヨハネの成長

――EDテーマ「キミノタメボクノタメ」も、同じくその橋渡しの役割を担う存在だと思います。

小林 この曲は最初に聴いたときから、本当に優しくて温かい歌だなぁと思いました。それに『幻日のヨハネ』ってちょっと不穏な雰囲気でお話が終わることが多かったりするので、不安になった気持ちが一気に浄化されるような、救われる歌のようにも感じています。

――たしかに、おっしゃるように「次、どうなるんだろう?」という引きで終わるエピソードが多いですよね。

小林 そうなんです。でもこの「キミノタメボクノタメ」という曲と、すごくほっこりするED映像の絵のタッチのおかげで温かい気持ちになって、「また来週も観たいな」ってなる。そんな、すごく素敵な曲だなと思うんですよ。

――そんなこの曲の中で、小林さんが気に入っている部分はどこですか?

小林 全体的に、寄り添うようでもあってそっと背中を押して一緒に歩んでくれるような曲でもあるんですけど、私は特に“ONE FOR ALL ALL FOR ONE”というところがすごく好きですね。Aqoursのみんなが歌ってくれるからこそ、より響く言葉といいますか……私たちが活動を重ねてきてこの言葉を歌えるということが、すごく素敵だなって思っています。

――レコーディングをされるなかで、より好きになった部分もありますか?

小林 やっぱり、物語に沿っているのを感じたところですね。ヨハネがトカイからヌマヅに戻ってきて、ヌマヅのみんなと触れ合うなかで受け取った優しさを誰かに繋いでいくという姿を浮かべながら歌っていると、Dメロの“いつも助けてくれてありがとう”とか大サビの“大っ好き!!!”というフレーズの重みを感じるんです。ちょっとした言葉かもしれないけど、それをヨハネが言えたと考えると「ヨハネが素直になれた曲」のように思えて、すごく温かい気持ちになれました。

――トカイから戻ってきたばかりのときには、「ただいま」も言えなかった子でしたもんね。

小林 きっと言いたい気持ちもあったとは思うんですけど、少し意地を張っているというか、なかなか素直になれなかった部分もあったりしたので。でも、この歌の中ではそれをちゃんと伝えられているので、ヨハネの成長も感じられるんじゃないでしょうか?……まぁ、Aqoursとして歌っている曲なんですけど(笑)。

――アーティストが主人公目線で歌っている、という形ですよね(笑)。

小林 そうですね(笑)。あと、この曲は1曲の中で3~4回イメージが変わるんですよ。皆さんも聴いていて楽しいでしょうし、こんなにも次々と印象が変わる曲ってAqoursにはあまりなかった気がするので、Aqoursとしてもまた新しい挑戦をさせていただけている楽曲のように思います。なのでレコーディングまでに覚えるのが大変でしたけど、歌うのはすごく楽しくて。この曲も、好きな歌です。

――そのように展開の多い曲となると、ライブでの魅せ方も楽しみになってきます。

小林 いつものライブの感じだと、アニメのEDテーマは最後のほうに歌うのかな?みんなが合唱して、本当に会場がひとつになるような想像ができますよね。カッコの部分が多い曲ですし、「ラララ」ってみんなで歌えるところもあるので、みんなの声を聴けたらすごく「……あったかいっ!」となりそうですね(笑)。特にサビの“叶うよ!”なんて、みんなが言ってくれたらきっと「本当に叶いそう!」と思うでしょうし……それくらい、いつも皆さんからのパワーのおかげで私たちも頑張れているので、この曲の中でも想いを届けてくれたら嬉しいです。

――そしてもう1曲、第1話序盤のオーディションシーンと終盤のライブシーンで流れた挿入歌「Far far away」についてもお聞きしていきます。まずこの曲を受け取ったときには、小林さんはどんな印象を持ちましたか?

小林 「こんなにも真っ直ぐで、真っ白な曲ってあるんだ」という印象でした。……真っ白というか、“透明”のほうがイメージに近いのかな?すごく透き通っていて「どこまでも、真っ直ぐなんだなぁ」と思って、うるうるしちゃったんですよ。

――オーディションシーンと比べてライブシーンの歌声にはより柔らかさがあったように感じたのですが、それぞれ録られたんですか?

小林 はい。オーディションのシーンはどういう感じで使ってもらえるかはわからなかったので、「かっこよく、ちょっと気取った感じで」と言われた通り、シングル版より結構ツンツンした歌い方をしたんです。ヨハネなりに気合いを入れて挑んだオーディションだったとは思うので、私も気合いを入れて歌ったんですけど……アニメの中では即不合格のハンコを押されて(笑)。それこそヨハネと一緒になって「えー!?」ってびっくりしました。

――その2つの歌声の違いは、どんなところから生まれたのでしょうか?

小林 やっぱりオーディションって、誰かに求められているわけではなく歌っている部分があるし、自分の表現を「聴かせる」とか「見せつける」みたいなところもあると思うんです。でも挿入歌のところではそれとは違って、ハナマルちゃん(CV:高槻かなこ)に「歌ってほしい」と言われて歌っているんですよね。

――たしかに、その違いは大きいかもしれません。

小林 トカイで一生懸命やってきたけど上手くいかなかったヨハネの中には、「好きでやりたいことがあって、自分の可能性も信じたいけどどうしたらいいかわからない」みたいな葛藤や迷いもちょっとあるんですよ。だけど、ハナマルちゃんが好きで続けてきたことから夢を見つけて自分の職にしていると聞いてきっと救われたと思うし、求めてもらえた喜びみたいなものも彼女の中にはあっただろうから、「すごくキラキラした楽しい気持ちで、自分の好きな世界を真っ直ぐ歌うんじゃないかなぁ?」と、今までにない真っ直ぐさをイメージして歌いましたね。善子とはまたちょっと違う、ピュアさのある世界を表現できるように。

――そのピュアさは、善子とはどう違うのでしょう?

小林 善子だと真っ直ぐの中にもちょっとキャピキャピしたようなかわいらしさをプラスしたような感じで歌っているんですけど、ヨハネは本当に無垢で、でも好きなことや楽しいことの世界に一直線に進んでいる。そんなキラキラした姿をイメージして、今回は歌いました。

『幻日のヨハネ』を味わう“今”を共有できていることが、すごく幸せ

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP