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REPORT

2023.08.22

「史上一番終わりたくない」ライブも終わりがあるから始まりがある――。内田雄馬のライブツアー“YUMA UCHIDA LIVE TOUR 2023 「Keep in Step with」”幕張ファイナル公演をレポート

「史上一番終わりたくない」ライブも終わりがあるから始まりがある――。内田雄馬のライブツアー“YUMA UCHIDA LIVE TOUR 2023 「Keep in Step with」”幕張ファイナル公演をレポート

2023年4月に11thシングル「Salt & Sugar」をリリースし、5月14日の新潟を皮切りに愛知、宮城、兵庫、広島と巡ってきた内田雄馬のライブツアー“YUMA UCHIDA LIVE TOUR 2023 「Keep in Step with」”。そのファイナルだった6月の幕張メッセ イベントホール公演が無念の延期となっていたが、8月12日・13日と振替公演での開催を叶えることとなった。ツアーの最中にもデジタルシングルをリリースするなど精力的に音楽活動を展開し、それらの曲も含めてこのツアーでも楽曲を進化させてきた内田。そんな彼の音楽の“最新の形”として、その真骨頂を改めて感じさせたツアーファイナルの2日目をレポートする。

TEXT BY えびさわなち

ここに集まった者でしか作れない、この瞬間にしかないライブを!

柔らかなアコースティックギターの音色と牧歌的な景色の映像から始まった内田雄馬のライブツアー“YUMA UCHIDA LIVE TOUR 2023 「Keep in Step with」”ファイナル公演。ロードムービーを見終えたような読後感ある映像のあとには大きな拍手に迎えられ、内田が姿を現す。その第一声を乗せるのは「Over」。唸りを上げるギターの旋律を駆けあがるような伸びやかな内田の歌声。そして1曲目から会場から湧き上がる大きな歌声が重なる。「ツアー、今日は本当に最後!みんなの最高のエナジーをください!」と声を上げる内田。その声に続いたのは「Congrats!!」だ。 “うちダンサーズ”もステージに登場し、彼らと共に軽快なステップで楽曲のテンションをさらに上昇させていく内田に、フロアで灯る青いライトも大きく揺れた。

「今日はこのツアーの最後の日ということで、みんな、こんな暑い日に来てくれて本当にありがとうございます!」と挨拶をする彼に大きな歓声が応える。暑い日だけれど、その暑さを吹き飛ばす熱いライブにしようという熱意にオーディエンスの声も負けんばかりの歓声で答える。振替公演となったツアーファイナル。日程変更により、バンドがいつものメンバーで揃うことができなかったものの、急遽駆け付けたメンバーも含め“ファイナルだけ”のメンバーによる、まさに“ライブ”で音を紡ぐ公演となったことを伝える内田の合図で、この日のバンドならではのグルーヴ感たっぷりな1曲「Happy-go-Journey」が響き、肩の力を抜いたような内田とのクローズな雰囲気味わえる軽快なサウンドが会場を駆け巡る。続けてゴージャスな音が畳みかけ、メロディが跳ねる「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」。躍るようなベースラインに合わせて軽やかなダンスを見せた内田の笑顔が印象的だった。「Clap your hands!」と歌い上げるような声が飛び、その声に応えて大きく手を上げてクラップするオーディエンス。そのリズムを得て「ボクらのカタチ」がリズミカルに鳴り出せば、会場一体の軽やかなビートが幕張に染みていった。

全身全霊でライブを楽しむ瞬間を、共に、存分に謳歌して

「KEEP IN STOMACH WITH ~幸せは胃袋と共に~ 総集編」と銘打たれた幕間映像では今回のツアーで各地をまわった際にその土地の美味しい名物を食べるという内田の無邪気でお茶目な姿が届けられた。その直後にステージに現れたのは深紅のスーツ姿の内田。キーボードの艶ある演奏と歌声という2つの音でシンプルに幕を開ける「Relax」が響く。ソウルフルでファンカデリックなナンバーで卓越した歌唱力と表現力とを感じさせ、満員の会場を圧倒。バンドの演奏にも熱がこもり、広いフロアを席捲していった。ツアー中はキーボードの半田彬倫と2人で響かせてきたというこの曲。「ファイナルだからこそバンドで聴かせられたことが嬉しい」と内田は笑顔を見せそう語った。続けて昨年開催された日本武道館ライブの幕間映像で自身が作詞作曲した「Foot on the melody」を“バンドセッション”で聴かせる。普段からファンに見せる笑顔がそのまま浮かぶような、ポジティブな想いが宿る軽快な演奏にオーディエンスもクラップで参加し、観客と共に楽しむ1曲となっていった。そんな1曲の後にはタイトル通りにスリリングさを感じさせる「Spin a Roulette」だ。アッパーで都会的なサウンドワールドを、ステージ後方の映像と共に内田のパフォーマンスで体感させた。そしてうちダンサーズを再度呼び込み、会場一体で踊り歌う「VIBES」へとバトンを繋ぐ。エッジの効いたエレクトリックダンスチューンで伸びやかな高音が会場へと広がっていくなか、ダンサーとステップを合わせ、オーディエンスを煽りながら軽やかに歌い上げる内田のパフォーマンスに会場からも歓声が上がった。ライブができなくなった時期を越え、集客を抑えて声を発さずに楽しめるようになり、声を出さなければ会場を満員にすることもできるようになり、そしてようやく集まった観客と声を合わせることが叶ったこのツアー。ライブを心から楽しむことができるという喜びと瞬間を謳歌するようなこの曲で、会場はダンスフロアと化していった。

そんな熱い雰囲気から会場の空気をガラリと変えたのが続く「Echo」。静かに響くピアノの音にチェロの音も重なる。じっとフロアを見つめた内田が口元へとマイクを持っていくと、綴られた言葉の1つ1つをまるで差し出すように歌声と乗せる。そして生まれる大合唱。想いを1つにして歌われる1曲で会場の人々が繋がっていくのを感じさせた。さらに繊細に紡がれるピアノの旋律と柔らかく優しく内田のボーカルが会場に染みわたっていく「Good mood」では、じっと聴き入るオーディエンス。歌声が綴るメロディが琴線に触れていくようだった。

ファンへの感謝を込めて響かせた歌声。応える大合唱で紡ぐライブという“奇跡”

セッションと共にバンドメンバーとうちダンサーズを紹介するコーナーに続いてライブも中盤へ。唸りを上げ、ラウドに掻き鳴らされるギターの音に重厚なボーカルを響かせて始まる「Loser」は、内田の内側に渦巻く熱を溢れさせるようなアグレッシブな1曲。ダイナミックなダンスでも魅せ、会場を熱で侵食していくと、続いたのはアーバンな雰囲気を漂わせるシティポップ「Mirror」。夜の色に映えるイルミネーションを思わせる映像と照明演出で魅せるステージで内田が右へ左へと腕を振れば、フロアのオーディエンスも同じく右へ左へと腕を振り、都会的な風の感じさせる楽曲を彩った。さらにストレートなロックンロールで熱い想いを歌に乗せる「スタートライン」は、聴いている人たちの背中を押すような応援歌。力いっぱい歌い上げれば、その熱い気持ちがオーディエンスの胸を打つように響いた。「Clap your hands!」と再び声が上がり、その声に呼ばれるように会場は一斉に大きなクラップ音を鳴らす。会場とステージ一体のビートから始まった「BE MY BABY」は、ダンサーと息の合ったダンスパフォーマンスと共にみせる軽やかなポップソングだ。

カラフルなポップミュージックをリズミカルに歌った内田が再度ステージを降りると、スクリーンに彼がボルダリングに挑戦する幕間映像「内田雄馬のLet’sボルダリング!」が流れる。高級プロテインを賭けて難所にチャレンジする姿を見守るオーディエンス。見事、壁を攻略した瞬間、フロアから大きな拍手が湧いた。歌のみならず映像でもファンを幸せな気持ちにする内田だったが、ここでサプライズ!なんと映像が終わった直後に2Fスタンドの客席から彼が登場したのだ。ゆっくりと歩きながら「JOURNEY」を披露。観客のすぐ

近くまで歩み寄り、曲中でも「ありがとう」「ありがとう」と感謝を伝えると、その想いに応えるように観客は歌声を重ねる。内田の音楽で繋がる関係を、ここでもまた感じさせた。客席を“JOURNEY”、旅してきた内田は、スタンドから階段を下りてステージへと戻る。続いた曲は「FROM HERE」。彼の1stアルバム『HORIZON』に収録され、まだ見ぬ未来への想いを力強く歌うこの曲。2019年に歌ったときと、苦難の時を越えて再び声を重ねられるようになった今とではきっと、想いも変化してきているだろう。「みんなの声を聴かせてください」と歌い出すと、広がっていく声に大合唱が寄り添う。大切にしてきた歌で、大地を踏みしめ歌い上げる前向きな気持ち詰まるナンバーが、どこまでも届くように広がっていった。

次のページ:「史上一番終わりたくないライブ」を終え、新たな明日へ。想いを重ねていく決意

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