Spotifyにて隔週火曜日より配信中のアニソン情報トーク番組「リスアニ!RADIO」。ここでは音楽プロデューサー/音楽評論家の冨田明宏、ラジオパーソナリティ・MCの青木佑磨、リスアニ!編集長の馬嶋 亮の3人が旬のアニソン情報を発信している。
8月22日より配信中の最新エピソード(#38)では、リスナーからのお便りに応える形で、アニソン&クラブミュージック界でコアな人気を集める「電音部」に関するトークを展開。いわゆるアニメやゲームを原作として持たない、「音楽原作キャラクタープロジェクト」という特殊性と多彩な楽曲、常にその全容が把握できないほどのスピード感などについて魅力を語り合った。ここではその一部を抜粋してご紹介!
冨田 今から20年くらい前のクラブミュージックって、リスナーやオーディエンスに観測された瞬間に「そのジャンルは終わってる」って言われるくらい、毎週、毎月のように新しいジャンルが生まれ続けるジャンルだったんですよ。でも今、大きいクラブミュージックのムーブメントにはそこまでのスピード感がない。どちらかというと、この「電音部」だったり、ゲームカルチャーから派生したダンスミュージック、クラブミュージックの方が、そのスピード感がある気がしてて。
馬嶋 ああ、なるほどね。
冨田 あとは、アニクラのずーっと先祖から今もあるような、いわゆるナード系のクラブカルチャー。そこら辺って、早い。ものすごく。
青木 うん、うん。
冨田 多分ね、リズムゲームとかから派生したカルチャーなんですよ。「beatmania」やあの周辺の作品って、海外のアメリカのトラックメーカーとかにもめちゃくちゃ影響を与えてて。子供の頃にあれを経験してトラックメーカーになったっていう人がいっぱいいるんだよね。ポーター・ロビンソンとかもそうだけど。あの辺のスピード感が「電音部」にちょっとあって。ワクワクするんだよね。
馬嶋 あんまり全部を理解できないんだよね。
冨田 そう。観測できない。
馬嶋 だからこそ、エッジなものだっていうことのかっこよさを体現してる気がする。
青木 補助線とか、お題目を付けてくれないじゃないですか。あんまり。
馬嶋 (リスナーを)あえて置いていこうとしてるところ、「食らいついてこいよ」みたいなスタンスにかっこよさがある。これを意識してやっているかはわからないけど、圧倒的な楽曲数とか、クリエイターの採用とかにおいても、情報がめちゃくちゃ多いじゃん。
冨田 作家、トラックメーカーの裁量にかなり任せてるなって思うんだよね。時系列もめちゃくちゃで、ダンスミュージック、クラブミュージックの歴史で言ったら。30年前のビートもあれば、最新のものもあるし、5年前に流行ったものもあるし……この辺はすごいと思うな。
馬嶋 すごい。「電音部」の面白いところって、やっぱり実態が見えないんだよ。例えば、原作ってものが存在するんでしたっけ?とか、ゲームに展開されてるんでしたっけ?とか。そうではないんだけど、「エリア」という設定があって、キャラがいて。さらに今は「電音部」ってブランドで、各地域において色んな事務所とかと組んで色んなことをやっていきます、っていうフランチャイズみたいなこともやってるじゃない。こう、実態が見えないけど広がり続けてる感じの不思議なプロジェクトで……「電音部」って何だろうって総括すると、僕のなかでこれは「音楽レーベル」なんだなって。
青木 あぁ~~~!はい、はい。
冨田 なるほどね。
馬嶋 色んなキャラクターや設定を使って楽曲の解像度を上げながら、良質の音楽を輩出し続ける巨大な音楽レーベル。これを認識できると「あ、めちゃくちゃ面白いなこれ!」って。
冨田 昔はダンスミュージック系のレーベルって日本にもヨーロッパにもいっぱいあったもんね。当時は「レーベル聴き」みたいな聴き方とかもしてたけど、何かそれに近い雰囲気があるね。
青木 それに食らいついていくつもりで追っかけてみるのもいいですよね。
馬嶋 そう。だから全然分からなくていいんだよ。
冨田 分からなくていいし、あと、この渦中でワーーーって遊んでるうちに、1つの青春くらいあっという間に終わっちゃう。それが楽しいんだよね。
こちらの内容を含む「リスアニ!RADIO #38」は、Spotifyにて無料配信中。9月5日配信予定の次回「リスアニ!RADIO #39」もお楽しみに!
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