ChouChoの21枚目のシングル「twilight little star」が8月9日にリリースされる。表題曲はTVアニメ『政宗くんのリベンジR』のED主題歌で、ヒロイン安達垣愛姫の心情にも寄り添いつつも、多くの人の心にささるようなメッセージ性を秘めている。自分の内面と向き合って制作したというカップリングの「Forget-me-Not」も収録されているシングルについて、話を聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一
――TVアニメ『政宗くんのリベンジR』は、約6年ぶりの第2期となりますが、それを聞いたときの心境を教えてください。
ChouCho もうびっくりでした! ずっと待ってはいたんですけど、第2期の制作が決定したと聞いたときは驚きましたし、何よりも嬉しかったですね。あの続きが見られるというのと、またED主題歌を担当させていただけるということが。やっぱりOP/ED主題歌のアーティストが継続ということには愛を感じましたし、それを視聴者の皆さんが喜んでくれたのも嬉しかったです。
――この6年で、ChouChoさん自身も、結構変わったのではないですか?
ChouCho そうですね。「Elemental World」(第1期ED主題歌)の時って、作詞だけを担当しているんですよ。それを考えると、この6年で曲も作れるようになり、私自身も成長してきているんだなと思いました。今回は作詞・作曲で、まるっと『政宗くんのリベンジR』への想いを楽曲に込めることができたので、それは良かったです。
――最近では、タイアップ曲も作詞・作曲されていますからね。
ChouCho ここ最近はやっていますね。でも6年前は作詞だけとかが多かった気がします。
――コロナ禍で、曲を作られているという話はしていましたし。
ChouCho 実はこの「twilight little star」を作ったのもだいぶ前になるんですよ。最近はアニメ主題歌の制作時期が早くなってきているので、やっと皆さんにお届けできる!という気持ちなんです。
――「twilight little star」は、どのように制作していったのですか?
ChouCho まずアニメサイドから楽曲に対するオーダーがあって、第2期は第1期よりもシリアスなシーンが増える、第1期はコメディ要素が強かったけど、それよりも恋愛のストーリーを見せるのが主になってくるということだったので、楽曲もその世界観に合ったものにしようと考えました。
――確かに、開けた感じがする「Elemental World」に比べると、切ない感じはしますね。
ChouCho 今回は曲から作っていったので、メロディラインでシリアスな要素を入れて、そこに歌詞を乗せていくような流れでした。明るい印象の「Elemental World」と、少し差別化させたかったこともあって、メロディ感やコード感に切ない要素を入れています。
――イントロのピアノとエレキが印象的で、楽曲の雰囲気からするとアレンジは、キラキラしている印象がありました。
ChouCho アレンジに関しては、第1期からの共通する要素だったのかもしれません。そもそもストーリーも重すぎるわけではなく、この作品が持つかわいらしさがあるので、そこはアレンジで表現できればいいなと思いました。でもおっしゃる通り、イントロは印象的ですよね。前回はAstroNoteSさんが作編曲をしてくださっていたので、この曲では村山☆潤さんが、それを踏襲して編曲をしてくださっている感じがします。
――曲の構成も面白いですよね。2番になると変化がすごく多くて、サビへのブリッジで違うメロディが入ってくるんですよね。
ChouCho そうですね(笑)。私が2番以降で変化する曲が好きということもあって、そんな曲ばかりなんですよ。私も村山さんも聴いている人を驚かせて、おっ!って思ってもらいたいところがあるので……。
――しかも2番はサビに行くのかと思ったら、間奏をはさみましたからね(笑)。
ChouCho 2番でサビに行かないのはやりがちなんです(笑)。これも作りながら、このほうがいいかなって考えていきました。村山さん自身も、アイデアを色々持っている方なので、それを出してくれているんだと思います。
――ちなみに村山さんにアレンジを頼むときに、使う楽器の指定はするのですか?
ChouCho この曲はほとんど何も言っていないと思います。イメージが明確にあるときは参考音源を送ったりするけど、この曲はお任せでした。デジタルっぽい感じを踏襲するのか、バンドで行くのかという話はあったんですけど、アニメサイドとしては、どちらでもOKという感じだったと思います。ただ、第1期の世界観を活かしたいところもあったので、デジタルっぽさはあるのかなって思います。
――デジタルっぽさは、リズムのところでしょうか?
ChouCho そうですね。ドラムが生ドラムではないとか。サビ前にドラムフィルが入っているんですけど、あれもすごくレトロな感じがして、かわいいんですよ。
――そこは、すごく良かったです! 歌詞についてはいかがですか?
ChouCho 恋愛要素がメインになってくるという話があって、物語を読み進めていったんですけど、すごくお話が面白いんですよ。第1期のときもヒロインの安達垣愛姫ちゃん(CV.大橋彩香)に焦点を当てて書いたんですけど、今回もその延長線上の世界を書けたらいいのかなって思いました。やっぱり私は愛姫ちゃんがかわいいって思っちゃうんですよね。だから彼女の背中を押せて、その上で聴いている方も共感していただけるような曲になればいいなって思いました。でも、キャラクターのみんなが本当に不器用だから、誰にでも当てはまる気がするんですよね。もっとみんな自分に素直になってほしいなって思いながら、作品を読んでいたので。
――はっきり言っちゃえばいいのにって?
ChouCho 誰かが言ってしまえば話がまとまるのに、みんなずっとすれ違っているから。でもそこがかわいいんですけど。
――でも、そういうメッセージも、最後の〈飾らない自分愛して抱きしめて 進んで行こう〉というフレーズに集約されている気がします。
ChouCho そうですね。常日頃から、みんなもっと自分を労ってほしいなって思っているので、そういうメッセージを届けたいなと思っちゃうんです。あまり自分を責めるのではなく、愛してほしいって。
――自己肯定感を高めてくれる気がします。
ChouCho その自己肯定感って言葉自体、出始めたのが最近な気がしていて。それって自己肯定感が低い人が多いからなのかな?って思ってしまって。それも日本人特有のことなんですかね?
――それもあるし、SNSで、知らなくてもいい比較対象が増えてしまったというのもあるんでしょうね。
ChouCho 周りと比べたり、周りの言葉に傷ついちゃったりする人も多いですからね。でも、それに惑わされないでいいし、自分を愛してほしいというのが、私の伝えたい大きなテーマとしてあるのかもしれません。
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