REPORT
2023.08.04
2021年11月に開設された公式YouTubeチャンネルから楽曲が公開され、アイドルたちの活動が始まった『UniteUp!』。声を担当する声優陣も、オーディションから数えればこのプロジェクトと3年もの時間を歩んできている。明るく朗らかで歌が大好きな高校生の清瀬明良が、伝説のアイドル・Anelaが設立したsMiLeaプロダクションにスカウトされたところから始まるTVアニメ『UniteUp!』は2023年1月から放送を開始し、その全貌をようやく見せ、アニメ最終話のライブから繋がるリアルライブの開催を告知したのが同年3月のこと。そして、ついにその日はやってきた。sMiLeaプロダクションのアイドルたちが集結した“sMiLea LIVE-Unite with You-”をレポートする。
TEXT BY えびさわなち
PHOTOGRAPHY BY 白石達也
準備が整っていく東京ガーデンシアター。スタッフが行き来をするバックヤードでヘッドフォンをしてじっとステージをイメージする清瀬明良、じっと時を待つようにしながらその手に扇を握る五十鈴川千紘、膝を抱えて座っていた直江万里。思い出されるリハーサルの景色。続々と会場に入る仲間たちとの入念な準備。手番を待ってずらりと並べられたメンバーのマイクの傍には、位置についたsMiLeaプロダクションのアイドルたち。ファンが会場に入場を始めると、フロアに期待感が膨らんでいく。そして客電が落とされ、煌めきのSEと共にステージと客席を隔てる紗幕に出演グループの名前が大きく映し出される。そのたびに湧き上がる歓声。オーディエンスが見つめる舞台から鳴り出した最初の曲は……Anelaの「Break border」!アニメ『UniteUp!』の最終話「#12 繋がらないと」の冒頭の演出そのままに始まった“sMiLea LIVE-Unite with You-”は、始まりの瞬間から物語が“真実だった”と示す最高の演出で幕を開けた。
紗幕に大きく映し出される大月 凛こと斉藤壮馬と辻堂真音こと中島ヨシキ。「Break border」のつま弾かれるようなイントロが響いた途端に、悲鳴にも近い声がフロアから上がった。憂いと甘美とが入り混じり、エモーショナルな音と重なるエレクトロダンスチューンがフロアを席捲。アニメに同じくステージの一段高い場所で、アニメとは異なるフルコーラスで楽曲の魅力を余すことなく放つように2人が歌い上げる。
「皆さん、こんにちは~!『sMiLea LIVE-Unite with You-』へ、ようこそ!」と斉藤が声をあげると「いやぁ、気持ちよかったです。イントロが流れた瞬間の皆さんの“キャー!”は嬉しかったです」と中島も続き、スペシャルゲストのAnelaが最初に登場したことはアニメと同じであることを告げる。「とにかく、早くうちの子たちをお届けしたい!」とMCにも熱の入る斉藤はまさしく凛そのもの。その様子をにこにこと見守る中島。「真音っていつもそうだよね」と斉藤が揶揄うと、中島は「社長だからね。大事なことは全部凛がやってくれる」と笑みを絶やさない。物語の2人のやり取りをそのままに見せられては、思わず歓声も大きくなってしまう。
そしてAnelaのライブは「希望の声」へ。ピアノの音色が美しく響く中、優しく柔らかなボーカルが伸びやかに響くと、最後はアグレッシヴなアッパーチューン「TARGET」でパワフルでカラフルなユニゾンを放ち、“伝説のアイドル”たるAnelaの力を見せつけた。
Anelaがステージを降りると、スクリーンにはLEGITの名シーンが映し出される。その映像をバックに凛と真音がLEGITを紹介。出会いから仲が深まっていった様子まで、これまでイメージでしかなかった彼らの絆が紐解かれていく。「あとは頼んだよ」と凛からLEGIT・高尾大毅に手渡されたマイク。暗転からエッジの効いたギターによる「THE DAY」のイントロが響き、アニメと同じく二条瑛士郎役の森蔭晨之介、東郷楓雅役の坂田隆一郎、大毅役の助川真蔵がポップアップで飛び出す。「お前ら、行くぞー!」と叫ぶ助川。変則ビーツで色香ある1曲で、3人はダイナミックなダンスを魅せた。歌だけでなくダンスパフォーマンスに定評あるグループなだけに、その堂々たるダンスは会場の視線を釘付けに。ライティングや映像演出やカメラワーク、もちろん衣装もアニメのままに作りこまれたステージで、キレのある瑛士郎のラップ、アンニュイな楓雅のボーカル、大毅の突き抜けるパワーボーカルという3色が楽曲と見事にシンクロした。
続いたのはsMiLeaプロ所属アイドルの中でも、最初のライブシーンとしてアニメで放送された「ON MY WAY」。アッパーなビートでライブユースな軽快ダンスチューンは、都会的かつ洋楽ライクなトラックが印象的。そんな1曲では華麗なダンスと激しく感情の乗るボーカルでオーディエンスを煽るように熱いステージを繰り広げた。
「せっかくみんな声が出せるので、僕たちのキャラクター名をコール&レスポンスしていきましょう!」という坂田。助川が「高尾!」と叫ぶとフロアから「大毅!」と声が上がり、続く森蔭の「二条!」には「瑛士郎!」、最後は坂田の「東郷!」に「楓雅!」と盛り上がりを見せ、会場のテンションを1つにしていった。「今聴いていただいた曲は2曲とも本編のライブシーンで歌っている曲で、そのときの衣装もここで完全再現させていただいています!」という助川の言葉に「カッコいい!」と観客の想いも響く。そして人生初ライブという森蔭は「このステージより狭い古着屋にいた人間が、こんな広いステージに立って……めちゃくちゃ楽しいです。ここまで来られたのも2人のおかげです」と真っ直ぐな想いを口にした。
LEGITのステージは「Twenty Four」へ。コール&レスポンスが重要になってくるファンク味あるダンスチューンで、会場は一体となって声を上げる。トロッコでアリーナ中央にあるステージへと移動すると、観客の間近でそのパフォーマンスを見せ、声を1つにしたLEGIT。その軽快なビートに会場は大きく揺れたのだった。そんな彼らのライブのラストを飾ったのは「FIRE」。アニメではCMソングとして作られ、PROTOSTARがバックダンサーを務めるというエピソードで登場した1曲。オリエンタルな雰囲気のあるトラックを、ビッグビートで響かせるダイナミックなナンバーであるこの曲は、LEGITの艶あるボーカルを存分に聴かせる珠玉チューン。タイトルに負けない熱いグルーヴのあるユニゾンが会場を駆け巡り、灼熱の空気で包み込んだ。
LEGIT同様にその出会いから現在まで共に歩んできた時間について真音と凛が語らったのは、JAXX/JAXX。sMiLeaプロダクション所属グループで唯一のバンドである彼らの紹介VTR終わると、場面はアニメ最終話のライブシーンへ。LEGITが最後の曲を歌い終えると、大毅がステージの上段へ向けて放ったマイク。それはリアルのステージでポップアップから飛び出したJAXX/JAXXのボーカル・春賀楽翔役のmasaの手に!最初の曲は「SuperStar」だ。masaが視線を投げた先には共にステージ上段にいるキーボード・桂 ほまれ役の下前祐貴。そして、その階下にはベース・若狭 潤役の坪倉康晴、ドラム・香椎一澄役の馬越琢己、ギター・森ノ宮奏太役の高本 学が楽器を操る。軽快な演奏は真っ直ぐに観客の全身を打ち、鼓動のビートと爽快なギターのリフに高揚感を味わう、そんな1曲でオーディエンスは大きく跳ね、ペンライトを振りながら楽しんでいる。
メンバーそれぞれの歌声も軽やかに響く1曲からはJAXX/JAXXの絆や仲の良さまでもが届くようだ。masaが静かに言葉を紡ぐように歌い出すと、その瞬間に歓声が上がる。感情を揺さぶるようなピアノの旋律と、それを支えるバンドの音とが響くとじっと聴き入るオーディエンス。「ライアー」の人気の高さを感じさせるシーンだった。切々と歌い上げられるその声はまさしく動画で自身の楽曲を配信していたアーティスト“はる賀”であり、彼がほまれたちと出会ってバンドとなったことと、その軌跡と奇跡を改めて思い起こす。そんな歌声に涙するファンも見受けられた。
間髪入れずに鳴り出した「STORM’s EYE」ではガラリと雰囲気が変わり、「Wow Wow!」と会場が一体となって拳と声を上げた。軽やかに跳ねるように響くビートにオーディエンスもmasaや高本、坪倉と共にジャンプ!楽翔にとっての愛しきTyphoonは、オーディエンスにとっても愛しきTyphoonであることを感じさせるように、ドラムと合わさり大きな音となったクラップが響いた。
「チャオッピー☆」と楽翔の挨拶でmasaが先陣を切ったMCの場面。これは「俺も『チャオッピー☆』やりたい」とメンバーも次々に挑戦するほどの人気フレーズだ。「(ここまでライブをしていて)マジで楽しかった」と高本が笑顔を見せると「この景色を見たときびっくりした」と馬越も照れ笑い。「みんな、ありがとう!」という下前のあとに口を開いた坪倉は「初ライブなのでコール&レスポンスがやりたい」とリクエスト。坪倉の「JAXX/JAXX―!」に会場も「JAXX/JAXX―!」と声を響かせ、満面の笑みと共に潤の声で「ありがとう」と告げれば、「キャー!」とファンの悲鳴が上がった。キャラクターの声への声援はことさら大きく、キャラの人気の高さを知らしめる。「この景色を見るのが本当に楽しみでした」と言うmasaが「この先もデカいステージ目指して突っ走っていきます」と言うと、ライブは最後の曲「A.P.P.L.E.」へ。
ここでは全員が楽器から離れて歌いながらトロッコに乗り、オーディエンスの間近で歌うスペシャルな時間に。アリーナ中央ステージへ移動すると、息の合ったシンクロダンスと共に軽快に歌を聴かせた。一度のライブでバンドとダンスと2つの魅力を存分に放ったJAXX/JAXX。オーディエンスを満面の笑顔にしたのだった。
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