その凛々しい歌声が極上の“楽園”への道標を描き出す──。北海道在住のアニソンシンガー・nonocが、TVアニメ『スパイ教室』1st seasonに続き、2nd season でもOPテーマで作品を彩っている。「楽園」をタイトルに掲げた本作シングルには、同郷のクリエイター・川田まみ、中沢伴行が手がけた「HERO」もカップリングに収録。2シーズン連続でアニメのオープニングを飾る喜び、そして今回の2曲での様々な挑戦を語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ
──『スパイ教室』1st seasonと、OPテーマ「灯火」の反響はどのように感じられていますか?
nonoc 「灯火」が初めて流れたのは第3話のエンディングだったんですよね。イントロが特徴的な曲なので、自分では「来た来た来た!」と思ってワクワクしていました。ただ、そのときはエルナちゃんが初登場する大事な回(MISSION 《花園》Ⅲ)だったので、自分の曲のことよりも、「ここからいよいよ『スパイ教室』が始まっていくんだな」と、いち視聴者としての楽しみのほうが大きかったです。その後、YouTubeにアップされたオープニング映像には原作ファンの方たちもコメントを残してくれて。曲が色んな方の耳に残ってくれたんだなと感じられたのは嬉しかったですね。
──そしていよいよ2nd seasonが始まりましたね。新たにマティルダも登場し、これからどうなっていくのかが楽しみなところです。
nonoc 1st seasonのときに語られていなかったメンバーの素性や環境、戦い方が描かれると思うので楽しみです。協調性のないメンバーがどう付き合っていくのかなと(笑)。危険なミッションをクリアするという目的はあるんですけど、それよりも「人間らしさ」みたいなところも見れたらいいなと思ってます。というのがありつつ……やっぱり、みんなかわいいですね(笑)。そこが大好きです。「アネ×ルナ」(アネット&エルナ)のやりとりに和みました。
───こうして2作連続で主題歌を担当されるということは「作品の顔」になるということでもあると思うんですけれども、このことをnonocさん自身はどのように捉えていますか。
nonoc すごく光栄です。オープニングテーマは、「はい、これが『スパイ教室』っていうアニメです!」という自己紹介みたいなものだと思うので。皆さんの記憶のなかで私の声が再生されると思うと、本当に喜ばしいなと。
─nonocさんは『Re:ゼロから始める異世界生活』シリーズをはじめ、作品のテーマ曲を続けて担当されることが多いですが、歌声が作品を力強く印象づけていると思うんですよね。
nonoc 恐れ多いです。自分の声のことを「よくある声」だとは思っていないですけど……私自身のなかには「勇気」や「燃える気持ち」とかがあまりないんです。だから、それを歌で表現することはいつも課題だと思ってます。
──へえ、なんだか意外です。
nonoc まったくないってわけじゃないんですけど、「闘魂」のようなものは持ち合わせてないというか。仲間とかを巻き込んでいく(『ONE PIECE』でいうところの)ルフィタイプじゃないんです。『スパイ教室』は、作品の背景がちょっと暗かったり、色々な形の孤独と向き合ったりというドロッとした部分もあって。それに共感できるので、スッと入ってきました。
──すると、逆にnonocさんは何タイプだと思いますか?
nonoc えーっ! どうだろう。頼みごとが断れない性格なんですよ。『スパイ教室』の登場人物で例えたいところですが……自分に似たタイプは「灯」メンバーにはいないかも(笑)。私の性格診断を見ると、いつも「仲介者」っていうのが出るんですよね。つまり中継ぎみたいな人ですよね。当たってるな、と思います。だからそもそもスパイ向きじゃないんじゃないかな?
──仲介者ですか。でもそれってアニソンシンガーにはぴったりじゃないですか?
nonoc あぁ、確かに……! それ、私が言ったことにしたいくらいです(笑)。私は色々な歌を、私の声で届けられればそれで満足で。自分自身の伝えたい気持ちがないわけじゃないんですけど、誰かが伝えたかった気持ちを代弁したい。そして、色々なジャンルを歌いたいからアニソンシンガーになったので。そういう意味でも合ってるなと思います。
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