――では、ラストナンバー「幸せとは」の制作の経緯について改めて教えてください。シンプルなサウンドも印象的です。「夢見るさなか」との対比が鮮やかというか。
片桐 アレンジを何回か重ねる度に、最終的にシンプルに落ち着きました。今まではもっとおかず要素というか……アウトロやイントロを長くするってところがあったんですけど、無駄なところを抑えて、歌詞だけにフィーチャーできたかなというところがあります。逆に新しかったというか。今までは足す作業だったんですけど、そんなに無駄なものを付け足さなくても、素材でいけるっていう。歌の面においてもそこまで困ることはなく。シンプルに、今の歌い方でいこうという感覚でした。楽曲どおり、今を全部表すことができたなという思いがありました。
――“幸せをありがとう”というラストの言葉は、ファンの皆さんに今いちばん伝えたいことなんだろうなと。
片桐 そうですね。
ソラ 航の歌詞の特徴だと個人的に思っているのが、1番サビが終わって間奏に入る直前にすごく良いワードを持ってくる時が多いということです。今回であれば“幸せってこんな難しくて 遠くて届かないものじゃなかったよな”という歌詞。その直後のギターソロは中途半端なものにはできないなと感じていました。僕は自宅でテイクを決めて、スタジオで音作りをするというセルフレコーディングのやり方を取っていたんです。録ったときに歌詞がフィックスしていたわけじゃなかったんですけど、そういうニュアンスのものだったので、ギターソロ直前からレコーディングを始めるのでなく、Bメロから音を流してギターソロを録っていました。
kazu 削ぎ落としたという話がありましたが、歌詞と曲との雰囲気だけでもはや良いのかなと。あえてシンプルで素朴な音を出そうとしていました。ある意味この曲にふさわしいのかなと。
KANDAI 僕はこの時期にコロナを患って(苦笑)。その3日後くらいのレコーディングだったので体力的にはキツかったんですけど、そのぶん気合いが乗っている気がします。3日間くらいで一気に集中してやったので、あまり覚えていないんです。その時はまだ歌詞が決まっていない状態だったんですけど、演奏的には全力でした。
――本作を作ったことによって、皆さんの中での気づきというものはありましたか。
片桐 見つめ直したところから始まって、改めて『ハッピーエンドを始めたい』という考えをちゃんと持てているなぁということと……学生時代には攻撃的な歌詞を書いていたんですけど、それは幸せを求めるからこその悔しさもあったのかなと考えるように。1個答えが決まると、それに至るまでの道筋がきちんと見えるようになるので、それも掘り返せるようになりました。今までの曲の意味合いも多少深くわかってきたような気がするので、このアルバムの「幸せとは」までを聴いた人が、1stアルバム(2018年リリース『Montage』)を聴き直してくれたら、色々な気づきがあるんじゃないかなと思っています。
kazu コロナ禍がなかったらこうはなってなかっただろうなと思う曲が多くて。今の自分たちに何ができるのかを改めて考える時間もあったし、3年くらい温めていた曲もありましたし、今の僕たちのすべてがここに詰まったアルバムだなと思っています。今の僕たちの等身大を出し切った感がありますね。
ソラ 等身大というのは僕も感じていますね。性格って年齢ごとに変わっていくと思うんですけど、それって音にも反映されるなと思っていて。1曲、1曲、録るときはそれにだけ集中していますけど、完成したときに初めて俯瞰で見られて。「無理してないな」っていうのを感じたという意味で等身大だなと思いますし、じゃあそれはどういう等身大なのかと言えば……10年間、真面目にバンドをやってたものが顕著に出ているというか。それがやっと形に出来たのかなと。
KANDAI 派手じゃなくて良いんですよね。手数の多さで勝負するのも好きだったんですけど、意外と基本の8ビートのほうが奥が深いってところに達してきて。今思い返すと、突き詰めたレコーディングだったなと思っています。自分としては結構気に入っているんです。自分たちのアルバムですけど、すでに何回も聴いているくらい。発売されたらきっと何回も聴いてもらえるだろうなと。
――アニメファンの中にも楽しみにされている方も多いと思います。では最後に“Lenny code fiction presents 2nd Album release tour『ハッピーエンドを贈りたい』”に向けての意気込みをいただけたらと。
片桐 今までシングルで出したアニメの主題歌はライブでも欠かせない曲になっています。このアルバムを中心にセットリストを組むんですが、アルバムから知った方も、アニメの主題歌などで知った方も飽きないセットリストになるんじゃないかなと。曲の幅も広がったので、色々な人が楽しめるように、それこそ1つの作品のようなライブを作っていけたらなと思っています。
●リリース情報
2nd Album
『ハッピーエンドを始めたい』
7月26日発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
【初回限定盤(CD+DVD+フォトブック)】
価格:¥7,480(税込)
品番:KSCL-3456
【通常盤(CD)】
価格:¥3,300(税込)
品番:KSCL-3453
<CD>
01. 夢見るさなか
02. DURARA
03. 脳内
04. ビボウロク
05. Memento
06. アイデンティティの始まり
07. 【Lenny code fiction】
08. Sleepless Night
09. SEIEN
10. あなたがいなくなったら
11. 幸せとは
<DVD>
LIVE映像(7th Single【SEIEN】ReleaseTour-東京FINAL-05.07渋谷duo MUSIC EXCHANGE)
Music Video(脳内/TOKYO/ビボウロク/あなたがいなくなったら/SEIEN)
●ライブ情報
Lenny code fiction presents
2nd Album release tour 『ハッピーエンドを贈りたい』ツアーファイナル
2024年2月11日(日)渋谷WWWX
Lenny code fiction オフィシャルサイト
https://www.lennycodefiction.com/
Lenny code fiction オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCHk958qYXjSrSCX_xtwX3KA
Lenny code fiction オフィシャルTwitter
https://twitter.com/lenny_cf
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