2023年7月16日、鈴木このみが新宿ReNYで“鈴木このみ Standing Live 2023 ~CALL~”、“鈴木このみ Standing Live 2023 ~RESPONSE~”の2公演を行った。彼女にとって約6年ぶりのオールスタンディング形式、そしてコロナ禍を経て約3年ぶりに“声出し”が解禁されたライブは超満員となったうえ、それ以上の熱気を感じさせるものとなった。鈴木と観客、一体となって作られた熱狂のライブの模様を「CALL」公演を中心にレポートする。
TEXT BY はるのおと
オールスタンディング、さらに声出し解禁というライブスタイルに期待するファンの熱に満ちた会場に、開幕を告げる幻想的なオープニングSEが流れると、フロアからは早速歓声が上がりハンドクラップでバンドメンバーが迎えられる。そのSEが鳴り止むと、警報ランプのような赤いライトやサイレンと共にトラメガを手にした鈴木がステージに登場。彼女の「思い切り声出していけんのかー!」というアジテーションのような第一声に呼応する観客。初っ端とは思えないほどハイテンションのなか、野性爆弾くっきー!作詞の「ダメージ小でした」でライブが幕を開けた。
続く「DAYS of DASH」では、ライブタイトル通りに観客が「DAYS of DASH」と大ボリュームでコール。さらに落ちサビでフロアにマイクを向け、観客による全力の合唱を聞いていた鈴木は満足げな笑顔を見せた。久々の披露となった「Nice to Me CHU!!!」の曲中、鈴木はフロアから“ラッキーさん”を選んでコミュニケーションする定番のくだりを展開。「今日聴きたい曲は?」「『Open Heart』が聴きたいです!」。そんなやり取りに会場は温かな空気に包まれていく。
MCでは「みんなの声、久しぶり」「すっごく待ってた!」と感慨深げに語ったと思うと、外れたイヤモニを見失うトラブルでステージ袖に移動する鈴木。そんな“らしさ”を序盤から見せた彼女は、「私はずっと『みんなの声が恋しいな』と思いながら約3年間ライブをやってきました。ようやくすべてを解放できるということで、そんなセットリストを持ってきました」と語ってライブを再開。その宣言の通り、煽るようなギターリフで始まる「シアワセスパイス」から「Absolute Soul」「Realize」とロックチューンを続け、観客と共にこの3年間を晴らすかのようなステージを繰り広げていった。
「一瞬で、3年間って埋められるものなんですね」と二度目のMCで切り出した鈴木は、コロナ禍に見舞われた3年間を振り返り始める。この期間が「私のライブってどういうものだったか振り返る機会にもなった」という彼女は、「私にとって歌うことはみんなと繋がることなんじゃないかなって。どんなに長く喋るより歌っているほうが感情が伝わるし、みんなのものすごい量の感情も返ってくる。私は歌うために生まれてきたと改めて思ったし、ライブをして生きていく人間じゃないかと心から思いました」と語り、今後も歌に対して真摯に向き合っていくことを観客に伝えた。
そんな真っ直ぐな想いを込めるように、自身が初めて作詞と作曲をしたバラード「夢へ繋ぐ今」を披露すると、バンドメンバーのうち3人が退場しキーボードと鈴木の2人による「あなたに」を開始。ピアノソロに乗せて、先のMCで語られたような歌、そして聞き手への想いを観客一人ひとりに訴えかけるように歌い上げる姿に、ファンからは大きな拍手を送られた。
3人のバンドメンバーがステージに戻って始まったのは、鈴木による「Love? Reason why!!」冒頭サビの独唱。静謐な空気のなかで歌い終えた鈴木がはにかみながら「言っちゃえよ!」と告げると、ピアノソロから曲が本格的にスタート。サビではステージ上とフロアが一体となって手を振り、会場がハートウォーミングな雰囲気に包まれて「ラブを詰め込んだ3曲」のパートは締め括られた。
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