リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2023.07.26

気がつけば、大切な人は一番そばにいた。「アイドルマスター シャイニーカラーズ」“283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE「我儘なまま」”DAY1レポート

気がつけば、大切な人は一番そばにいた。「アイドルマスター シャイニーカラーズ」“283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE「我儘なまま」”DAY1レポート

アイドルマスター シャイニーカラーズ」のライブイベント“283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE「我儘なまま」”DAY1が2023年7月22日、武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ+オンライン配信にて開催された。

DAY1にはイルミネーションスターズより櫻木真乃役の関根瞳、風野灯織役の近藤玲奈、八宮めぐる役の峯田茉優、アンティーカより月岡恋鐘役の礒部花凜、田中摩美々役の菅沼千紗、白瀬咲耶役の八巻アンナ、三峰結華役の希水しお、幽谷霧子役の結名美月、放課後クライマックスガールズより小宮果穂役の河野ひより、西城樹里役の永井真里子、杜野凛世役の丸岡和佳奈、有栖川夏葉役の涼本あきほ、アルストロメリアより大崎甘奈役の黒木ほの香、大崎甜花役の前川涼子、桑山千雪役の芝崎典子、ストレイライトより芹沢あさひ役の田中有紀、黛冬優子役の幸村恵理、和泉愛依役の北原沙弥香、ノクチルより浅倉透役の和久井優、樋口円香役の土屋李央、福丸小糸役の田嶌紗蘭、市川雛菜役の岡咲美保、シーズより七草にちか役の紫月杏朱彩、緋田美琴役の山根綺、そして斑鳩ルカ役の川口莉奈が出演した。

TEXT BY 中里キリ

今回のライブは、ソロ楽曲を中心としたコンセプトライブの幕間に、283プロのアイドルたちが別の役柄を演じる朗読劇が行なわれる構成。DAY1は283プロのアイドルたちが同じ学校に通う生徒となり、これから上級生は卒業を迎えるシーズンという設定だ。小学生の小宮果穂も同じ学校に通う設定になっていたり、八宮めぐるが生徒みんなに愛される生徒会長という設定なのが面白い。

開演前の定例演出は大胆にスキップして、関根瞳(櫻木真乃)と岡咲美保(市川雛菜)が登場しての朗読劇からスタート。なお、キャラクターが役柄を演じる二重構造のため、本文中の朗読劇パートではアイドル名称で記載する。

めぐるやにちかたちが繰り広げる朝のわちゃわちゃとした光景の後、真乃が「今日も素敵な一日になりそう」と笑顔で宣言すると、キラキラしたovertureとともにライブはスタート。オープニング演出でステージと会場を彩る照明の虹色が印象的だ。

ライブ本編のトップバッターは岡咲美保の「あおぞらサイダー」。今回のライブは全員がハンドマイクではなくヘッドセットを着用して、両手を使った振付を見せるのが特徴だ。客席に背を向けて、手をグーパーと開閉させて泡のしゅわしゅわを表現したり、ぱっと振り返って腰に手を当てたりする動きも、全身の表現がよりダイレクトに伝わってくる。歌唱の中から時折雛菜の感情があふれ出してくるのが印象的で、夏のサイダーのように清涼でさわやかな表現だった。

頭上でパンパン! と両手を打ち鳴らしながら登場した河野ひよりは「ハナマルバッジ」を披露。眩しい笑顔と元気いっぱいのパフォーマンスが魅力的で、フットワークも軽やか。フリーハンドになったことで、身体をいっぱいに使ったエネルギーにあふれた動きがより大きく見える。間奏では客席に背を向けて腰を揺らす動きがソーキュート! 明るく元気なのに、時折何故か泣きたくなるような感傷を覚えさせるのが果穂ならでは、河野ならではのパフォーマンスだった。

田嶌紗蘭は「わたしの主人公はわたしだから!」を歌唱。純白の衣装に翼のような飾りが目を惹き、白い衣装をキャンパスに色とりどりの照明が染め上げるような光の演出が目にも楽しい。私は私と明るく言い切る姿は普段の小糸から一歩も二歩も歩み出した感じがして、まっすぐ「頑張ろー! せいいっぱい!」とテンション高く叫ぶ声にはこちらまで元気が出てくるようだ。

峯田茉優は「HAREBARE!!」を披露。お団子にまとめた髪型と、お腹を出した活動的な衣装がキュートだ。ステージを跳ね回りながら観客に大きく手を振るパフォーマンスは、ヘッドセット着用の自由度が最大限に生きる。ガンバレ! キミなら出来る! に身振りをつけて歌声だけでなく動きでも感情を伝えるのは峯田の真骨頂。ラップパートも感情豊かで、太陽のように全身からエネルギーを放ち輝くようなステージングだった。

紫月杏朱彩は「フェアリー・ガール」を歌唱。初披露の新曲だ。「私もいろいろ忙しいんで……」とマイペースな独白から入る構成が、気まぐれな妖精のような少女に翻弄される予感を感じさせる。ポップでキュートな曲調は、シーズとしての姿とはギャップがあって新しい魅力。間奏ではクラップを入れたりハートマークを作ったりと細々とした動きが楽しい。実は相当にテクニカルであろう楽曲をさらりと歌いこなし、曲中で描かれる少女の奔放なかわいさに目線が向かうのは紫月の努力と安定感があってこそだろう。

「Color Days」は峯田茉優、河野ひより、田嶌紗蘭、紫月杏朱彩の4名が歌唱。それぞれがソロ衣装を着ていることでシャッフル感がある。イントロの両こぶしを顔に近づけてふるふるっとさせるアクションは四者四様のかわいらしさ。歌に入ると、全体曲をカルテットで歌い分けるのが新鮮! 感情が乗ったソロの歌い継ぎでは田嶌の小糸らしさマシマシの歌唱が一際印象に残る。間奏では下手から順番のジャンプがリズミカルに決まるのだが、飛び方にも個性があるのが楽しい。明るくおしゃれなパフォーマンスだった。

ここでオープニングMCが行なわれ、当日が誕生日の八宮めぐる宛にたくさんのおめでとうの声が飛んだ。ユニットとは関係ない順番で、個性豊かなソロ衣装でアイドルたちが並ぶ姿が新鮮だ。川口莉奈が「今日はサプライズ(出演)じゃないです!」と横並びでの登場に喜びを爆発させると、会場は大歓声に包まれた。関根瞳からは、今回のライブが役柄を演じるストーリー仕立てであるコンセプトが語られた。

菅沼千紗は「誰ソ彼アイデンティティー」を披露。スタンドマイクがキーアイテムの楽曲だけにヘッドセット+スタンドマイクという仕立て。つややかに指先を添わせながらのマイクワークが印象的で、表情と動きのニュアンスで空間を支配し、幻惑していく。間奏のセクシーなダンスでドキッとさせると、今度はのびやかなボーカルで酔わせたりと変幻自在のパフォーマンスだった。

涼本あきほは「Damascus Cocktail」を披露。マイクの制約がなくなり、全身のニュアンスとまっすぐに前を見つめる眼差しから、自立した女性のしっかりとした自信が感じられる。パチッと決まるウィンクは眩しいの一言。間奏のダンスは優雅でありながら官能的で大人のニュアンス。強い光を宿した目力の強さが記憶に残った。

八巻アンナの「千夜アリア」のイントロが流れると、ステージが舞台のように華やかな空気に変わる。「連れていくよ!」の一言で、観衆が彼女の世界へといざなわれた。堂々たるステージングと舞台映えする姿は咲耶そのもので、パンツスタイルのソロ衣装と凛々しく結い上げた髪型が華麗でスタイリッシュに映る。間奏の舞うような舞踏から、歌声は徐々にダイナミックにテンションを上げていく。ラストのキメを飾ったのはあでやかな笑顔だった。

北原沙弥香は「Going my way」を披露。正面を射貫くような眼差しと共に、物語性のあるボーカルが空間を満たしていく。北原ならではのダンスのポテンシャルの高さを、表現力とニュアンスに全振りしている感じだ。生き様を凝縮して見せつけるような数分間で、高らかで力強い歌声に愛依としての意志と想いがみなぎっているように感じられた。

川口莉奈は「神様は死んだ、って」を披露。ライブの流れの中でのパフォーマンスだとまた印象が変わる。狂気さえはらんだ眼差しと躍動する表現には視線を思わず吸い寄せられる引力がある。叩きつけるような感情の奔流の中で「声出せェ!! お前らの声もっと聴かせろ!!」と、観客の熱狂を呼び込んで渦のように高めていくやりとりは彼女ならではのコミュニケーションであり、斑鳩ルカのカリスマ性を十全に感じさせるものだった。

「リフレクトサイン」は菅沼千紗、八巻アンナ、北原沙弥香、川口莉奈が歌唱。クールでスタイリッシュな4人の並びの中に自然に川口(ルカ)がいるのが283プロの新風景だ。ソロパートでの川口の存在力と歌唱力は圧倒的だが、それを自然に受ける北原の地力の高さがまた際立つ。冴えわたる月光のような楽曲の中で、菅沼がまとったオリジナルな空気と世界観、妖しい笑顔を交えて歌う八巻の表現も印象的だった。

ここでの朗読パートは、卒業していく生徒会チーム(夏葉、摩美々、咲耶、愛依、ルカ)のシーンから。めぐる会長は放課後も生徒たちのために校内を駆け回っているようだ。朗読中では、雛菜が卒業していく先輩に向けて、秘めた想いを持っていることが明かされた。

恋鐘たちが周囲の恋愛に興味津々な朗読エピソードを受けて、礒部花凜は「アポイント・シグナル」を披露。足元の靴をふわりと見せる振付やつんのめるようなキュートなアクションが印象的で、全身で表現する舞台女優のような説得力がある。くるりと回って100点の笑顔を見せると、花道を楽し気に歩みながらセンターステージに移動。軽やかなステップで躍動しながらも安定した歌唱と、目まぐるしく変わって一瞬も目を離せない感情表現が記憶に残った。

芝崎典子は「Darling you!」を歌唱。ステージの階段にちょこんと腰かけて、キラキラした眩しい笑顔と共に歌声を届けていく。両手でハートを作ったり、両手を捧げて大好きを届けるアクションの大きさはフリーハンドならでは。立ち上がって上段のステージに上がると、間奏では軽やかなステップを見せる。ステージの真ん中には常に、愛情と想いを込めた魔法の笑顔があった。

丸岡和佳奈の「常咲の庭」では、幽玄な和の空気がステージを満たす。舞うようなダンスは凛世の優美さにあふれていて、指先まで意識が通っているのが感じられる。袖が広く広がった和ドレスが優雅な動きをより引き立てていた。歌声は繊細なのに芯が強く、よく通る響き。まるで吐息のような独特の間合いの歌唱が美しく、ステージに幻想的な色彩を重ねていった。

幸村恵理の「SOS」は歌い出しから彼女がまとう冬優子の空気と世界に引き込まれるようで、“私を好きになれ”というビームを観客ひとりひとりに届けてくるようだ。様々なニュアンスを込めた表情も印象的で、翼をまとってのパフォーマンスは天使のようにも小悪魔のようにも見える。間奏では観客を恋の弓矢で射貫いたのち、今度は投げキスでハートを一撃! たくさんの人が恋に落ちた効果音が聴こえてきそうなパフォーマンスだった。

「SWEET♡STEP」は礒部花凜、丸岡和佳奈、芝崎典子が披露。キュンキュンに甘い恋の歌のセンターが和の装束の丸岡というのが新鮮でいい。アップテンポなリズムに合わせて放たれる“凛世の”ストレートな笑顔と愛情表現は破壊力抜群。磯部がキュートさたっぷりに歌っている奥で芝崎が投げキッスをしていたりと、どこを見ていればいいのか困ってしまうようなカワイイの三重奏だ。落ちサビでは礒部の圧倒的な表現力から丸岡の楚々とした歌い上げへのつなぎが素晴らしい。ラストは礒部と芝崎が大きなハートを作った中で、丸岡が手元に小さなハートを作るダブルハートでキメたのだった。

ここで会場に雨が降りしきるSE演出。と来れば希水しおの「プラスチック・アンブレラ」で、純白の傘を肩に背負って登場。スカートが雨傘のようになっているオリジナルな衣装デザインがなんとも特徴的だ。客席に背を向けると後ろ姿と表情を覆い隠す傘がキーアイテムで、くるりと回るたびに傘の影から現れる表情のニュアンスが変わるのが魔術的だ。歌詞の内容に合わせて傘から出ると、閉じた傘をステッキ代わりにした歌唱で魅せる。最後は再びぱっと開いた傘に身を隠す、バックショットのキメが鮮烈だった。

ゆったりとしたデザインの衣装をまとった黒木ほの香がオフライトの中センターステージに歩み出ると、小さな太陽のような照明の後光がその姿を浮かび上がらせる。「Sweet Memories」だ。優しく語りかけるような歌唱には包み込むような強さがあって、その奥から甘奈の届けたい想いがまっすぐに届いてくるようだ。歌い終えた黒木は胸元に大切そうに手を当てると、はにかんだように美しく微笑んだ。

幕間では影ナレの朗読で、先輩に想いを伝えて、応えてもらえなかった雛菜と、「私はずっと、雛菜ちゃんと一緒だよ!」と懸命に伝える真乃の姿が描かれた。

青い光とスモークがステージを満たす中、近藤玲奈は「スローモーション」を披露。想いを確かめながらひとつひとつ届けていくような丁寧な歌唱は繊細で、力強い。花道を歩みながら歌う姿はこれまで歩んできた道のりを思い浮かべているようで、時折優しい笑顔がよぎる。落ちサビのファルセットは突き抜けるように高く遠く響き、歌声はさらに強さと輝きを増していく。それは近藤玲奈と風野灯織という存在をそのままぶつけるような、まっすぐで潔い歌声だった。

結名美月は「雪・月・風・花」を披露。その存在は淡い光に溶けていくようでありながらたしかにそこにあって、まるで妖精のように幻想的。微笑みをたたえた表情と舞うような所作は柔らかく、優しさで世界を包みこむようだ。落ちサビで歌声はさらに透明感をまして、空間そのものを浄化していく。美しい歌声の余韻が終わると、会場をさざなみのような拍手が包みこんだ。

和久井優は「statice」を披露。大きな歩幅でステージに歩み出した和久井は、鮮やかな笑顔とともに両手を客席へと差し伸べると、それを大切そうに抱きしめる。純白をまとった彼女の歌声はノクチルでのパフォーマンスにも通じる透明感の中に、透の自由な魂の色合いを溶かしたようだ。フランクに語りかけるような歌唱からは、人生という旅を描くような物語のある歌詞がすとんと落ちてくる。自分が選んだ道を信じる、そんなシンプルな想いとメッセージが伝わってくるパフォーマンスだった。

近藤玲奈、希水しお、結名美月、黒木ほの香の4人がセンターステージに並び立つと、会場を驚きと感嘆のざわめきが満たす。曲は「Secret utopIA」。近藤、希水、結名は青系の衣装で、全体的にユニットのような統一感がある。イントロのダンスのポーズがあまりにもキュートで破壊力抜群。甘奈味と言いたくなるオリジナルな歌唱から希水のはつらつとした楽し気な歌唱、近藤の少しハスキーな発声から結名のとろけそうな歌声のコントラストが魅力的で、それが一番はっきり出ていたのがラップパートだった。アウトロでは再びキュートなポーズで魅せる、かわいさとかっこよさの両方を詰めこんだ一曲だった。

MCパートを挟んで、「シャイニーカラーズ」のライブでは耳なじみの薄いイントロが流れ、ステージの中央に和久井優の姿が浮かび上がる。下手から歩み出てポジションにつくのは幸村恵理と涼本あきほ。曲は「VOY@GER」。“アイドルマスターシリーズ コンセプトムービー2021”のために生み出された、「アイドルマスター」5ブランドのアイドルが共に歌った楽曲だ。これまでのブロック曲に3人がいなかったのは、「シャニマス」から同曲に参加したオリジナルメンバーをここで揃えるためだった。和久井の輝かしいボーカルから始まるのは、果てしない宙を自由に往くような夢の時間。それぞれに全く違った歌声の個性を持ちながら、合わさった時のバランスが不思議なぐらい良い3人だ。間奏のダンスの無重力感、そしてラップパートの鮮烈さ。MVならではの映像美を現実のライブ空間に落としこんだような完成度の高いパフォーマンスだった。

エモーショナルなイントロとともにゆっくりとステージに登場したのは土屋李央。「夢見鳥」の時間だ。内に熱を秘めた静かな歌唱の中で、抑え目な表情の奥に様々な繊細な感情がよぎる。そしてサビで解放され、高く遠く伸びていく美しい歌声。落ちサビでは少し柔らかくなった表情で、優しく包みこむような表現を見せた。さらに安定感をまし、研鑽と成長を感じさせる歌唱だった。

山根綺は「Look up to the sky」を歌唱。初披露の新曲だ。客席に背を向けて登場した山根はスパッとターンをキメると、メリハリの効いたダンスで魅せながらサングラスを額の上へとハネあげる。広がりのある歌声と緩急のあるパフォーマンスは海外アーティストのような佇まいで、彼女の一挙手一投足に引き込まれるような華がある。おだやかで柔らかな表情も印象的で、歌い終えた山根の微笑みは充実感に満ちたものだった。

「SOLAR WAY」は永井真里子、前川涼子、土屋李央、山根綺の4人が披露。ノリのいいアップテンポでハッピーな楽曲なだけにメンバーの朗らかな笑顔と、笑顔を見せない土屋の対比が面白いし、それぞれの笑顔の質に違いが感じられる。歌声の面ではやはり前川のファニーボイスは特別な存在感があり、前川からボーイッシュでかっこいい永井への歌い継ぎは越境カルテットならではの落差と新鮮さがある。間奏のリズミカルなダンスの手元の情報量が増えているのはヘッドセットならでは。新鮮なメンバーによる元気いっぱいで一味違う「SOLAR WAY」だった。

朗読劇は、いよいよ卒業式の日を迎える。真乃から美琴、雛菜から円香、にちかからめぐる、甜花から樹里へと祝福の言葉が贈られる。卒業生を送り出す拍手に、現実のライブ会場の拍手がシンクロしていく演出がいい。卒業生の背中を見送る雛菜の表情がどこか取り残されたように名残惜しそうで、複雑な胸の内を感じさせた。

なじみ深い人々が学校を去っても、変わらず日々は巡ってくる。前川涼子の「また明日」でライブは再開。眠たそうにベンチから起き上がった前川は好奇心いっぱいにステージを探索すると、ふわりと笑って歌い出した。ステージを歩いたり、かわいらしい猫のポーズを取ったりの動きが印象的な楽曲だが、両手を用いることで表現力とかわいさがさらにレベルアップしている。歌声と所作の両方から“大崎甜花”らしさがあふれているようで、キャラクターボイスを完璧にキープしたままファルセットに渡ったりと変幻自在。最後は朗らかに笑いながら、元気に両手を振って締めくくった。

ステージに勢いよく飛び出したのは永井真里子の「過純性ブリーチ」。朗読劇を含めたライブの流れの中で見ると、限られた青春時代の純粋さや想いを象徴した楽曲のように感じられる。永井のパフォーマンスは常にがむしゃらで全力で、左右をズバッと指さすアクションが鮮やか! 大きく観客を煽りながらステージ狭しと躍動する。楽しくてたまらない! というような笑顔が印象的で、叫ぶような歌唱から感情がほとばしる。光の中拳を突き上げぶん回すステージングは、全力の青春を体現するようだ。歌い終えた永井から思わず笑い声がこぼれたのが、最高のステージを証明していた。

朗読劇は大きく時計の針を進めて、翌年の卒業式へ。昨年めぐるを送り出したにちかは、新たな生徒会長となっている。真乃と雛菜が巡る季節と重ねた想いを感じさせるモノローグを読み上げると、「卒業しても、ずっとずっと一緒だよ!」「あは~、知ってるよ? だって雛菜、真乃ちゃんのこと大好きだもん」と最高の笑顔を笑顔をかわし、信頼の深さを伝えていた。そして少女たちは我儘なまま、もっと輝ける日を探しに行く。

本編ラストナンバーは、関根瞳と岡咲美保の「Let’s get a chance」。朗読で積み重ねてきた物語と想いを、そのままの熱量で楽曲へとつなげてきた。まばゆい光の中、ふたりだけで歌う特別な楽曲だ。歌詞で描かれる物語が朗読劇の内容とシンクロしていて、ふたりの前途が希望に満ちていることがなんだか嬉しい。間奏では手に手をとりあって笑顔でアピール。落ちサビの岡咲の気持ちが乗った、伸びやかで幸せそうな歌い上げがとても印象的だった。

主演のふたりが来場の感謝を伝えると、そのまま今後に関する告知映像へ。七草にちかのソロ曲「フェアリー・ガール」と、緋田美琴のソロ曲「Look up to the sky」をゲーム内に実装したことや、「Landing Point編」にシーズのプロデュースシナリオが追加されること、「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 5thLIVE If I_wings.」Blu-rayの予約受付開始など様々な発表が行われた。中でも斑鳩ルカとSHIBUYA 109のコラボには大きな歓声が上がった。さらに新たなコミカライズ作品として、事務員・七草はづきを主人公とした新作コミック「事務的光空記録」が秋頃よりサンデーうぇぶりで連載されることが明かされると大きな反応があった。

アニメ「シャイニーカラーズ」に関してはPVが上映され、プロデューサーの姿と声が流れると大きなざわめきが起こった。PV、そして新規ビジュアルで描かれたのはイルミネーションスターズ、アンティーカ、アルストロメリア、放課後クライマックスガールズの4ユニット。さらなる最新情報は7月27日18:30~の「シャニアニ スペシャル生配信」で明かされるようだ。

映像が終わり、キャストたちが数人ずつステージに登場するカーテンコールの時間があったのは新しい試み。ラストを飾ったのはもちろん関根瞳と岡咲美保の主演コンビだ。改めて来場への感謝を伝えて、ラストナンバーへ。

ライブと物語の最後を締めくくるのは、関根瞳の「ありったけの輝きで」だ。その輝きの中心にあるのは、見る人もみんな笑顔にしてしまうような眩しい笑顔。昔から彼女のトレードマークだった笑顔だが、歌詞や演じる物語の心情をそのまま乗せたような笑顔はより自然で表現力が増した気がする。臆病な自分を振り返るときにはちょっと切なげなニュアンスを交えたりも。「シャイニーカラーズ」のセンターがこんなにも頼もしくなったことを誇らしく感じるようなパフォーマンス。終わってみれば岡咲の「あおぞらサイダー」にはじまり、関根の「ありったけの輝きで」で締めくくる、ふたりの主演女優に挟まれたセットリストだった。

ライブ後には、主演・櫻木真乃役関根瞳、市川雛菜役岡咲美保から始まるエンドロールが上映された。ラストを飾ったのは卒業式の門を出た真乃と雛菜が、手を差し伸べあう淡いトーンの美しい一枚絵。こうして上質な舞台のようなライブのDAY1は幕を下ろした。

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」
283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE「我儘なまま」DAY1
2023.7.22 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
<セットリスト>
M01:あおぞらサイダー(岡咲美保)
M02:ハナマルバッジ(河野ひより)
M03:わたしの主人公はわたしだから!(田嶌紗蘭)
M04:HAREBARE!!(峯田茉優)
M05:フェアリー・ガール(紫月杏朱彩)
M06:Color Days(峯田茉優、河野ひより、田嶌紗蘭、紫月杏朱彩)
M07:誰ソ彼アイデンティティー(菅沼千紗)
M08:Damascus Cocktail(涼本あきほ)
M09:千夜アリア(八巻アンナ)
M10:Going my way(北原沙弥香)
M11:神様は死んだ、って(川口莉奈)
M12:リフレクトサイン(菅沼千紗、八巻アンナ、北原沙弥香、川口莉奈)
M13:アポイント・シグナル(礒部花凜)
M14:Darling you!(芝崎典子)
M15:常咲の庭(丸岡和佳奈)
M16:SOS(幸村恵理)
M17:SWEET♡STEP(礒部花凜、丸岡和佳奈、芝崎典子)
M18:プラスチック・アンブレラ(希水しお)
M19:Sweet Memories(黒木ほの香)
M20:スローモーション(近藤玲奈)
M21:雪・月・風・花(結名美月)
M22:statice(和久井優)
M23:Secret utopIA(近藤玲奈、希水しお、結名美月、黒木ほの香)
M24:VOY@GER(涼本あきほ、幸村恵理、和久井優)
M25:夢見鳥(土屋李央)
M26:Look up to the sky(山根綺)
M27:SOLAR WAY(永井真里子、前川涼子、土屋李央、山根綺)
M28:また明日(前川涼子)
M29:過純性ブリーチ(永井真里子)
M30:Let’s get a chance(関根瞳、岡咲美保)
-カーテンコール-
M31:ありったけの輝きで(関根瞳)
※芹沢あさひ役田中有紀の体調により、一部変更あり


●配信情報
「283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE「我儘なまま」」
アーカイブ配信中

視聴コメント付きアーカイブ映像視聴期間
DAY1/DAY2共通:2023年7月24日(月)18:00~7月31日(月)23:59
※視聴チケットをご購入いただいたお客様は、公演当日のリアルタイム配信に加え、上記期間中のアーカイブ視聴が可能です。

詳細はこちら

THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

関連リンク

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式サイト
https://shinycolors.idolmaster.jp/

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP