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INTERVIEW

2023.07.25

パワフルなのにキュンとくる歌声が、浮かび上がらせるかわいらしさ。TVアニメ『政宗くんのリベンジR』OP主題歌シングル「Please, please!」大橋彩香インタビュー

パワフルなのにキュンとくる歌声が、浮かび上がらせるかわいらしさ。TVアニメ『政宗くんのリベンジR』OP主題歌シングル「Please, please!」大橋彩香インタビュー

声優アーティスト・大橋彩香が7月26日に、12thシングル「Please, please!」をリリース。自身がヒロイン・安達垣愛姫役も務めるTVアニメ『政宗くんのリベンジR』のOP主題歌であるアップテンポなナンバーを、力強くもキュンとくる歌声で彩っている。本稿ではそんな表題曲はもちろん、とある“秘密”の隠されたカップリング曲も含めシングル全体を深掘り。異なるアングルからの“かわいい”の詰め込まれた本作制作の裏側について、存分に語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次

自信を持って「ミラハ」に並び、超えられたと言える曲に

――リリースとしては久々となりますが、その間ワンマンライブやフェスにも多数出演されるなど、活動自体はコンスタントに重ねられてきました。そんなこの約1年間は、“声優アーティスト・大橋彩香”にとってはどんな期間だったのでしょうか?

大橋大橋彩香 おっしゃるように制作という意味ではちょっと充電するような期間ではありましたけど、リリースがなくてもいろんな活動をさせてはいただいていましたし、その間にもたくさん音楽を聴いていろいろなものを吸収していました。あと、そういう時期ってフェスで歌う曲が重複してくることが多くなってくるので、改めて昔の曲をセトリに入れて最近ファンになってくれた方にもアプローチしてみたり……。

――なるほど。リリースがあれば最新曲優先になるけど、それがないから。

大橋 そうなんです!そういうふうにちょっと意外な曲を入れられたりと、フェスでのセトリにもちょっと遊びが出たような期間でもあったんですよ。そうしたら、昔から応援してくれている方の「あの曲、歌ったー!!」みたいな(笑)、すごく喜んでいる姿も見ることができたんですよね。やっぱりフェスで急にちょっと前の曲を歌うと、みんな不意打ちを食らうみたいなので。

――さて、今回リリースになる「Please, please!」は『政宗くんのリベンジR』のOP主題歌となっています。1期から、OPアーティストとしても続投という形になりますね。

大橋 まずは愛姫様役がそのまま続投だったこと自体も嬉しかったですし(笑)、「2期のOP主題歌も」というお話をいただけたときも安心しましたね。「OP、別の人だったらどうしよう?」とも思っていたので……(笑)。ただ、「6年ぶりに2期」というのには結構びっくりしました。

――ファンの皆さんも、エイプリルフールを絡めての発表ということで、二重に驚いたと思います。

大橋 そうですよね!私にもずっと「続き、やってほしいなぁ」という気持ちはありましたけど、これだけ間が空いて原作も完結したとなると「ないかなぁ……?」と思ってもいたので、すごく嬉しかったです。それに、フェスで1期のOPテーマ「ワガママMIRROR HEART(※以下:ミラハ)」を歌わせていただくたびに、SNSで「2期やらないかなぁ?」という声をよく見かけていたので、「ミラハ」を歌い続けてきたことでそういう願いみたいなものを持たせられ続けてきたというところに「アニソンを歌い続ける意味」みたいなものもすごく感じました。

――そんななかで出会った「Please, please!」という楽曲自体からは、最初にどんな印象を受けましたか?

大橋 「なんて素敵な曲が来たんだ!」と思いました。しかも「ミラハ」のリズムや構成を若干踏襲していたりと、『政宗くん』のOPらしさを受け継いだ楽曲にもなっているんですよ。そこにもまた、嬉しさを感じましたね。

――一番わかりやすいのは、サビ終盤のリズム感ですよね。

大橋 そうですね。あとは頭サビで歌始まりだったり……キーが高くて大変なところとか(笑)。たぶん「ちょっとギリギリなところで歌うのがいい」みたいなところも、この2曲に共通する部分だと思うんですよ。そのギリギリ感から出る切なさみたいなものって作品に結びつくところでもあるので、やっぱりそこからは抜け出せないということなんでしょうね(笑)。

――あとは「Please, please!」というタイトルからも、「ミラハ」のサビ前のフレーズを連想しますし。

大橋 そうなんです!「PLEASE DON’T! PLEASE WAIT!」!ただ逆に、歌詞の語気自体は「ミラハ」よりも強くなっているような気がしています。クライマックスに向けてクレッシェンドしていく愛姫様の気持ちを反映しているといいますか……「愛姫盤」のジャケット画像も、やっぱり「ミラハ」のときとは表情のテンション感がだいぶ違うんですよ。なので、そんな“残虐姫”要素がちょっと抜けたかわいい愛姫様の部分も混ぜながら、レコーディングはさせていただきました。

――ちなみに、その「ミラハ」はライブやフェスでのいわば“必殺曲”じゃないですか?となると、今回は「『ミラハ』に並ばないと」とか「越えなきゃ」といったプレッシャーみたいなものもあったのでは?

大橋 はい。めっちゃありました(笑)。だから、OP主題歌をまた担当できる嬉しさを感じたあとに「『ミラハ』を超える、ないし並ぶ曲を作らねば」と思ったとき、ちょっと「おっ……」っていう気持ちにはなりましたね(笑)。でも「『Please, please!』は、そういう曲になった!」と自信を持って言えるようなものができたので、今はもう大丈夫です!

――そんな「Please, please!」は先ほど「キーが高め」というお話もありましたが、それこそ歌い出しから音が高いのも特徴的ですよね。

大橋 そうですね。その「そばにいてよ」の音を当てるのがめちゃくちゃ難しくて、未だにうまくいくときといかないときがあるんです(笑)。しかも、地声から一瞬ファルセットに行ってまた地声に戻ってくる……という切り替えも、なめらかにできるようにしないといけないんですよね。

――そこはやはり、レコーディングのなかでポイントにされた部分のひとつ?

大橋 そうですね。他の曲のときもそうなんですけど、頭サビは毎回最後まで録って、ノドが温まってから改めて録ったりするぐらい大事にしているんですよ。曲の頭ではあるけどメロディ自体はサビだから、最初に録ると絶対ずっこけるので(笑)。あと、改めて見るとやっぱりサビの歌詞が長いんですよね。これも「ミラハ」に通ずるところなんですけど、サビが二段階あるような感じというか……。

――後半にもうひと展開あるんですよね。

大橋 そうそう。この曲だと「Stay with me」の部分で終わったって、決しておかしくはないと思うんです。でも「まだサビがあるー!」というところに中毒性があるから、ライブでもより盛り上がるものになっているんでしょうね。

――また、この曲での大橋さんの歌声は、力強さがベースにありながら同時にキュンとくるような部分もあったりと、非常に表情の豊かさも感じるものです。そういった多彩な表情は、自然に出てきたものなのでしょうか?

大橋 そうですね。先ほどお話ししたように歌詞自体もそうですし、本編の愛姫ちゃんもちょっとナイーブになったりセンチメンタルになったりと、気持ちの浮き沈みがあるんですよ。だから、歌声の中に自然とそういう気持ちも並行して入っていったのかもしれません。

――となると、レコーディング時期はアフレコ収録後だったんですか?

大橋 いや、たしかアフレコ途中だったかな……?1年ぐらい前だったと思うんですけど。でも元々原作を読んでいて2期では何が起きるのかわかっていたので、アフレコ自体は途中でも「愛姫様の気持ちとすごくリンクしてるなぁ」とすごく感じていたんですよ。なので、キャラソンではなく大橋彩香として歌ってはいますけど、愛姫様の気持ちも乗せながら。アーティストとして気持ちを汲み取って、歌わせていただきました。

――レコーディングからやや時間が経ったとなると、最近この曲を御自身で聴き返すなかで以前よりも好きになった部分というのもあるのでは?

大橋 私、結構パキパキ歌うので、それが合う曲も合わない曲もあるんですね。でも「Please, please!」は本当に何も考えずに歌ってもすごく「合致したな」というのを、後になってから聴いてもすごく感じて。自分の歌い方の癖が合うというか、違和感に感じないというか……レコーディングのときから自然に歌っていたのに、全部がパキッとハマっていたんです。だから本当に「岡嶋かな多さん、すごい!」ってなりました。「私の癖が、こんなにジャストフィットするなんて……!」というところで、とってもびっくりしています。

次ページ:カップリング曲の、一見キュートな歌詞に隠された“秘密”とは?

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