【連載】畑 亜貴「旅の空にてアニソン日和」第1回：夏の空にはマーメイド、イカアイス、わんわんわんわん！

作詞家・畑亜貴が旅先の雰囲気で思い浮かんだ曲をお薦めしていく連載「旅の空にてアニソン日和」がスタート！その時々の写真とともに、畑さんのおすすめアニソンを紹介していきます。第1回目は「夏の空の下で聴きたい楽曲」。

旅の空から新連載が始まります……ポータルサイト「リスアニ！」をご覧の皆様ごきげんよう、畑亜貴です。

たくさんのアニソンの中から自分の嗜好や今の気分に合う曲を探すのは、波と砂の合間に顔を出す、綺麗な貝殻を探すのにも似ているかもしれないと思いました。

漠然と拾いたい形の貝を探すには手がかりが足りない。そんな時、季節や場所によって私が聴きたくなる曲を挙げてみるのも、参考になるのかも。そしてこれまで関わってきた楽曲達とあらためて向かいあって見るのも楽しそう。

という訳で「旅の空にてアニソン日和」では、畑亜貴が旅先の雰囲気で思い浮かんだ曲をお勧めしてみます。この連載が皆様のアニソンライフのお役に立てたら幸いです。

夏、わけもなく高まる気持ち（これは私が夏生まれだからでしょうか？）にぴったりだなと思うのは「Mermaid festa vol.1」。TVアニメ「ラブライブ！」が始まる前に発表されたμ‘sの楽曲、夏でも夏以外でも裸足で海辺を歩くとこの曲が頭に流れます。

恋の始まりを歌うけど、別れを内包している刹那な情熱。それは陽が落ちた後、誰もいない暗い海辺に感じる恐ろしさ。僅かな陰翳を聖なる存在としてのアイドルが歌う曲に落とし込むのが、とても好きです。

さて、今私は自分のミュージックビデオの撮影で石垣島に来ています。すでに梅雨は明け、少し移動するだけで汗だく。自然の中で撮影をするたびに「なぜこんな過酷な環境で撮影しようと思ったのだろう…」と悔やみ、作品ができあがると「やはりコントロールできない自然が見せる風景は素晴らしい」と感動して懲りずに次の撮影の準備をしてしまうのです。

とにかく、暑い！

夏が大好きでも、屋外で直射日光を浴びての撮影は過酷。楽しさと辛さがどちらも極端だなこの仕事はと、こんなに長く続けても毎回感じます。

こういう時は冷たいアイスクリームを、好きなだけ食べていいことにしています。各地で珍しい味のアイスクリームを食べると、「イ・カ・ア・イ・ス食べなイカ？」というTＶアニメ「侵略！イカ娘」のキャラクターソングがよぎります。イカ味のアイスクリームって一体。

イカ娘のキャラクターソング達は、イカ？という言葉遣いと侵略がテーマ。作品とイカ娘役の金元寿子さんの突き抜けるような可愛さをどう出していこうかと色々考えた覚えがあります。考えたあげくのイカ味アイス。こういう発想を誰も止めなかったのだなと、当時の創作環境をあらためてありがたく思いました。

石垣島ではジェラートを食べました。島豆腐と塩黒糖、どちらも沖縄ならではの味で美味しい。いつも食べる豆腐より、少し固めで塩気がある島豆腐。炒め物に入れたり煮物にしたり、東京でも売っているパックに入った小さな島豆腐をよく買って食べています。

夏や海がテーマではないけれど、今まで挙げた2曲と曲調で繋がりを感じる「わんわんわんわんN_1!!」。この曲には暑さを楽しめる勢いがあります。わんわんと繰り返すかけ声の気持ち良さが夏のお祭り感に繋がるのでしょう。尋常ではない勢いで、くるくると回りながら踊る頭上に真夏の太陽。という環境に似合う気がします。

最後のセリフ「本は読んどけ！」、私が心から伝えたいこと。嫌なことも悲しいことも、物語に没頭して忘れるという、私にとって一番のストレス解消方法をぜひお勧めしたかった。作品の方向性とも合うだろうと、入れてしまいました。

あの年代のあの曲を今この季節と合わせてみよう…という気分は、アニソンソムリエと称しても間違いではないのでしょうか。自分が関わってきた作品しか語れないけれど、旅先で曲についての想いを辿るのも新鮮でした。この連載、季節に一度送る旅先からの手紙のように書いてみるつもりです。

以下、夏の空の下聴きたくなった楽曲情報です。サブスクにはない曲もあるけれど、ぜひ聴いてみてくださいね。では、また！

「Mermaid festa vol.1」
歌：μ’s
（「ラブライブ！」関連楽曲）
作詞：畑亜貴　作曲：俊龍　編曲：渡辺和紀