リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2023.07.26

BRADIOが生きとし生けるものと“自動販売機”に贈る人生賛歌――“転生もの”初タイアップ作「ファンファーレ」に込められたファンキーで熱い想いに迫る!

BRADIOが生きとし生けるものと“自動販売機”に贈る人生賛歌――“転生もの”初タイアップ作「ファンファーレ」に込められたファンキーで熱い想いに迫る!

ファンキーなサウンド、ソウルフルなボーカル、ポジティブな歌詞、エネルギッシュなライブ――どこを切っても最高としか言いようのない、真行寺貴秋(Vo)、大山聡一(Gt)、酒井亮輔(Ba)からなる3ピースバンド、BRADIO。これまでにも様々なアニメ作品に楽曲を提供してきた彼らが、この夏、初の“転生もの”作品とのタッグで届ける新曲が、TVアニメ『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』のOPテーマ「ファンファーレ」だ。実は以前から寝かせていた楽曲をアニメのためにアップデートして作り上げたという本楽曲。そこに込められたファンキーで熱い想いに迫る!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

名曲「Flyers」から「あんスタ」提供楽曲まで!BRADIOとアニメ音楽の関わり

――BRADIOは今回がリスアニ!初登場なので、まずはこれまでのアニメタイアップやアニメ音楽周りのお仕事についてお話をお伺いしたく。

大山聡一 初めてアニメとご一緒したのは『デス・パレード』という作品で、そのOPテーマの「Flyers」が、アニメに限らず何かの作品のために楽曲を作る初めての経験だったんです。そのときは監督の立川(譲)さんとお話しながら作り上げていったのですが、その楽曲がアニメの放送と同時に色んな形で広がっていって、アニメが好きな方や海外のアニメファンの方にも届いたことがすごく新鮮でした。

酒井亮輔 毎回、アニメの制作チームと話し合いながら楽曲を作るので、作品のエッセンスを取り入れていく感覚があるのですが、なんだかんだでいつも自由にやらせていただいている印象もあって。BRADIOというものを求めてもらえている感覚があるので、すごくありがたいですね。「Flyers」も明るい楽曲にしたいというお話だったのですが、僕らは元々暗いことを歌うようなバンドではないですから(笑)。

――『デス・パレード』は作品の内容的にはハードでしたけど、「Flyers」はすごくファンキーで、そのギャップが印象的でした。

大山 作品的には命のやり取りやシリアスな展開をしていくなかで、OPテーマは華々しいものにしたいというリクエストを立川さんからいただいたんです。そのときに僕らから候補曲を何曲か提案して、実は「Flyers」のシングルのカップリングに収録した「感情リテラシー」も、むしろ僕たちとしては「こちらのほうが合うんじゃないか」ということで提案していたんですね。でも、立川さんは「Flyers」の明るい感じを推してくださって。それで実際に放送されたら、当時の視聴者の方たちが「これはオープニング詐欺じゃないか!」みたいな感じですごく盛り上がってくれたんです(笑)。さすがだなあと思いましたね。

――その後もアニメ主題歌としては、「HOTEL エイリアン」(アニメ『Peeping Life TV シーズン1』OPテーマ)や「INAZUMAジャケット」(TVアニメ『デュエル・マスターズ!』EDテーマ)、そして現在放送中のTVアニメ『遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!』第2期OPテーマ「ソウル・ギャラクシー」を担当されるなか、近年はアプリゲーム「あんさんぶるスターズ!!」のキャラクターソング、月都スペクタクル「ムーンライトディスコ」を手がけて話題になりました。

大山 僕はゲーム系にはあまり馴染みがなかったので、まさかあんなにも人気のコンテンツだったとは、お話をいただいたときは知らなくて、反響にびっくりしました。この間、美容室に行ったときに、担当の美容師さんとは別の美容師さんから、急に「ありがとうございました」と言われて、「何のことですか?」って聞いたら、「私、『あんスタ』が大好きで、あんなに素敵な曲を作ってくれてありがとうございます!」って言われたんです。で、「今日は私がシャンプーを担当させていただきます」って言われて、「ああ、すみません」っていう(笑)。

酒井 「あんスタ」のファンの人たちはみんな「ありがとうございました」って言ってくれるんですよね。「推しに曲を提供してくれてありがとうございます!」というスタンスなので、すごいなあと思って。

大山 アニメ系の音楽はプロフェッショナルの方がたくさんいらっしゃるなかで、我々のようなバンドに声をかけていただけるのは本当にありがたいです。

――鈴木このみさんが草野華余子さんと共作したアルバム表題曲「ULTRA FLASH」にも編曲で参加されていましたよね。

大山 あれは草野さんに声をかけていただいて。草野さんとは、元々彼女が大阪で活動していた頃からバンドとして絡みがあったんですけど、それがいつの間にか大作曲家になってしまって(笑)。

酒井 すごいよね。

大山 あの楽曲は僕らがギターやベースを弾いているんですけど、このみさんの歌の後ろで、(真行寺)貴秋が隠れコーラスをやってるんですよ。まあ我が強いコーラスなので、隠れられていないんですけど(笑)。

真行寺貴秋 思い切り前に出ちゃった(笑)。

まさかの自動販売機“転生もの”と初タッグ!爽やかで熱い「ファンファーレ」

――今回のタイアップは転生もの、しかも『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』というタイトルからしてパンチの効いた作品のOPテーマですが、お話をいただいたときの印象はいかがでしたか?

大山 僕は普段からアニメをよく観るタイプで、転生ものも毎クール観ているのですが、BRADIOとしてはこれまでに携わらせていただいたことのないタイプの作品なのですごく楽しみでした。ただ、「自販機に転生……ついにここまできたか」とは思いましたね(笑)。めちゃくちゃ面白そうですけど、逆に僕らに何を期待しているのかが読めなくて。

――少し話は逸れますが、大山さんはどんなアニメが好きなんですか?

大山 その話はめっちゃ長くなるかもしれないです(笑)。でも、子供の頃からのアニメ好きというわけではなくて、音楽活動をやっているなかで出会った人に勧められたのが大きくて。きっかけは『マクロスF』で、そういうアニメが大好きなライブハウスの店長が地方にいて、当時、僕らはツアーをしてもホテルに泊まる予算がなかったので、その店長の家に泊めてもらっていたんですね。それで夜な夜なアニメを観させられるなかでハマりました。同時に菅野よう子さんの音楽にもハマって、そこから自分でも色々掘るようになりましたね。

――菅野よう子さんと言えば『カウボーイビバップ』の音楽などでファンキーなサウンドも作られていますしね。ほかのお二人も普段からアニメをご覧になりますか?

酒井 僕も結構観ます。転生ものだとチート系の観ていて爽快になれる感じが好きで。ほかにも『GREAT PRETENDER』みたいな世界観にも惹かれますし、『七つの大罪』とか、色々なものを観ますね。『キャロル&チューズデイ』は音楽も好きですが、楽器を演奏しているときの動きの再現がすごいんですよ。手の動きやコードの押さえ方、あとは楽器の種類も細部にこだわられて作られていて。ミュージシャン視点でも楽しめる作品でしたね。

――真行寺さんはいかがですか?

真行寺 あのー、まったく観ないんですよ、僕。いつも2人の話を聞きながら、「一体何の話をしているんだ?」と思っていて(笑)。子供の頃に『ドラゴンボール』や『SLAM DUNK』を観ていたくらいですね。あとは『(ジャングルの王者)ターちゃん』とか『(地獄先生)ぬ〜べ〜』とか。

――ジャンプ黄金世代ですね(笑)。では『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』のお話をいただいたときは驚いたのでは?

真行寺 タイトルを見て、多分明るい感じのアニメなんだろうなと思って。それで元々デモとしてあった「ファンファーレ」がもしかしたら合うんじゃないかな?ということで引っ張り出してきたんですよ。まあその「明るそう」っていう印象も感覚でしかなかったんですけどね(笑)。

――タイトルを素直に受け取ると、突拍子もない感じがありますよね。

真行寺 悪魔とかゾンビっていう感じではないし、転生先が無機物の自動販売機という時点で、多分面白い作品なのかなあと思って。このぶっ飛んでる感じがファンキーだったので、じゃあこっちもファンキーな曲でいくか!みたいな感じだった気がしますね(笑)。実は「ファンファーレ」以外にも、全部で3曲ほど候補曲を提出したのですが、今回は結構自由に制作させていただきました。

酒井 今、貴秋も言っていましたが、今回の「ファンファーレ」は元々完成された楽曲として存在していたもので、我々としては、候補曲を3曲提出したなかでこの楽曲が選ばれたのは少し意外だったんですよね。「おおっ!この曲を選んでくれたんだ」という感覚で。

――アニメ制作サイドからは、どんな楽曲を求められたのでしょうか?

大山 僕らはアニメやドラマの楽曲を担当する場合、毎回、作品のスタッフの方々と打ち合わせをさせていただいてヒントをもらうようにしているんですね。今回も会議に参加して直接お話を伺ったところ、僕は自動販売機に転生する作品だったので、バリバリに派手で明るくて、これから冒険譚が始まるような感じ、それこそ「Flyers」みたいなものがいいのかなと予想していたのですが、先方はもう少し爽やかな感じ、僕らの楽曲でいうと「真っ赤なカーチェイス」のようなシティー感のある方向性で考えていらっしゃって。そのお話を聞くなかで、サウンド自体はほぼ固まっていた「ファンファーレ」が合うんじゃないかとなったんです。それ以外にも2曲ほど別の曲のデモを作って提出したら、一発で「ファンファーレ」がいいとお返事をいただいたので、そこから歌詞を調整して詰めていきました。

――歌詞は元々あったものからリライトされたというお話でしたが、真行寺さんはどんなイメージで作詞したのですか?

真行寺 アニメの曲の歌詞を書くにあたって自分が意識するのは、これからアニメを観る人が、そのストーリーの中に行くとなるときに、歌詞も含めてワクワクするようなものにしたいということで。今回はアニメの内容に寄せず自由に書いていいというお話だったので、自分の中で「これだったらワクワクできる!」というものを書いたら、それでほぼOKでした。

――たしかに冒頭の“心に嘘がないってだけで 空は青に染まる その時 洗うような風が過ぎるだけで ドラマは動き出す 動き出す”というフレーズから、これから何かが始まるワクワク感が感じられて最高です。

真行寺 個人的には特にサビのフレーズ、アニメバージョンだと8行あるのでちょっと多いんですけど(笑)、ここは自分でもすごく気に入っているところで、「私、これでいいんだ!」みたいに思ってもらえるかなと考えていて。「ファンファーレ=自分の中に巡る血」というイメージで、つらいことがあったとしても、血が巡っていること、生きていることを感じる。そういう熱量がこのサビにはたくさん入っていると思います。

――このサビのフレーズはある種の人生賛歌のようにも響きます。

真行寺 そんな感じですね。背中を押せるような。これを聴いてアニメの世界に入っていただく、良いストーリーができたなと自分の中ではできたなと思っていて。まあ、アニメの内容はあまり意識してないんですけど(笑)。

――でも、アニメの内容にも上手くハマっている気がするんですよね。今のサビの歌詞のお話、まさに血が巡ること、生きることの喜びが表現されていますが、それを自動販売機という無機物に転生する作品に当てるのが、逆にエモいなあと思って。

大山 それ、わかります。

真行寺 あの~、そこは僕が狙っていたということにしといてもらっていいですか?(笑)。でも、本当におっしゃっていただいている通りですね。そういう解釈はめちゃめちゃ嬉しいです。

I Feel Good! 聴く者すべての背中を押してくれるBRADIOの音楽

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP