【連載】「NARUTO THE LIVE」開催記念アーティストインタビュー 第2回目：Anly――忘れかけていた真っ直ぐな“希望”をもう一度感じられる物語

リスアニ！では、9月に開催される“アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念「NARUTO THE LIVE」”の開催記念インタビューを実施。第2回の登場となるのはAnlyだ。

2016年、アニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』の最後のシーズンとなったタイミングで、OPテーマ「カラノココロ」を歌った彼女は、アニメの放送が始まった頃はまだ10歳の少女だった。子供だったナルトが大人に成長していくのと同じく年を重ね、1人の女性として物語に寄り添ったAnlyが見てきた『NARUTO-ナルト-』とは。そして、「カラノココロ」から約6年を経てその息子・ボルトの物語に寄り添った「VOLTAGE」に込めた想いを聞いた。

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INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

『NARUTO-ナルト-』は“人生の教科書”――真っ直ぐな希望をもう一度感じられる物語

――まずは、アニメ放送20周年を迎えた『NARUTO-ナルト-』（以下、『NARUTO』）へメッセージをお願いします。

Anly　ファン丸出しで言わせていただくと、「日本の宝」だと思っています。今後もきっと様々なタイミングで出会う人たちがいて、『NARUTO』に元気をもらう人たちがいると思います。古典になって教科書に載るのが想像できる。必ず後世に続く世界に誇れる作品、20周年に立ち会えて嬉しいです、おめでとうございます。

――そんな『NARUTO』という作品に対して、タイアップでタッグを組む以前にはどのような印象をお持ちでしたか？

Anly　伊江島のラーメン屋に漫画が置かれていて、小学生のときに手に取った記憶があります。特に男の子たちが「螺旋丸！」と言いながら遊んでいた思い出がありますね。私が『NARUTO』に本格的に触れたのは大人になってからです。私にとってはベストタイミングだったと思います。

――主題歌を担当されると決まったときには、どのような想いがありましたか？

Anly　世界的にも有名な超大作の最後のOPテーマということで、すべてのキャラクターに当てはまる歌詞を書きたいと思って制作しました。全72巻+小説版を読み、歴代のオープニング全曲を聴いて「想い」がテーマだと私は受け取りました。

Anly

――その「想い」というテーマは非常に幅の広い言葉かと思います。72巻に小説版までも網羅したご自身としてフォーカスされたいと感じたのはどんなことでしたか？

Anly　ナルトとサスケは光と影のような正反対のような関係に見えましたが、“孤独”とどう向き合うかという試練に立ち向かっている人生という点は同じで、立場が逆だった可能性があるからこそ救いたい。“お前は1人じゃない”って知ってほしくて諦めずにずっと追いかけて、想いを伝え続けたんだろうと思いました。その人を想う心で、心は生まれ変わることができる、想いのこもった言葉で戦いに終止符を打てるという、忘れかけていた真っ直ぐな希望をもう一度感じられる素晴らしい物語でした。すべてのキャラクターの背景にも様々なストーリーがあって、誰1人として悩みを抱えていない人はいない。それはリアルな世界でもそうであって、だからこそお互いに手を取り合って想い合って生きていこうというメッセージに辿り着いたように私も感じました。“人生の教科書”と読者が表すことがありますが、たしかに読み終えたあとに人が生きてくうえで感じるあらゆる感情を勉強した感覚になりました。

――その際にできたのが「カラノココロ」。この曲で『NARUTO』とタッグを組まれました。初めてこの作品と関わられたときの思い出をお聞かせください。

Anly　「カラノココロ」の冒頭歌詞が浮かぶまでに、かなりの時間がかかりました。そんなときに支えてくれた親友や家族、仲間に心から感謝しています。また、見知らぬ人にも救われました。仕事で訪れていた名古屋の道端で歌詞を考えながらぼーっと通り過ぎる人たちを眺めていたら、おじいちゃんが私の方に歩いてきて「お嬢ちゃんとても素敵な目をしているから、笑いなさいね」と言われたんですよ。神様だったかもしれないですが、空っぽの心に光を当ててくれる人が私の人生にはたくさんいるんだな、と今思っても不思議で温かくなる思い出です。

20周年のアニメ『NARUTO』。Anlyが一番思い出深いシーンは……。

――そんな「カラノココロ」から6年ぶりのタッグとなったのが「VOLTAGE」です。この曲ではナルトの息子・ボルトの物語に寄り添うことに。子供の世代へと物語の世界を移した『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』という作品の印象をお聞かせください。

Anly　幼少期に親がいなくて、疎外感を感じながら過ごしていたナルトが大きく成長して子供を育てるという未来を見守れることが感慨深いですね。しっかり夫やお父さんしているナルトを見ていると“本当に良かった”と涙が出そうです。ボルトはナルトとは違う世代なりの悩みを抱えているところがリアルだなと思いますし、根本的には人思いで真面目なところにしっかり親のDNAを感じます。そこにまたカワキが現れて、ナルトとサスケ、ボルトとカワキという引き継がれた構図ですが、絶妙に性質の違う友情関係なところが見所のように思います。サスケは愛を知っているがゆえに、身内に起きた色々な事による反動で人を信じられなくなったのですが、カワキはこれから人を信じたり愛情を受けることを知っていくので、葛藤の仕方が複雑だろうな、と。

――「VOLTAGE」制作時の思い出や当時の印象的だった出来事をお聞かせください。

Anly　私ごとですが、「VOLTAGE」をきっかけに曲作りの仕方が増えました。「カラノココロ」制作時は、作品の伝えたいことと、自分が伝えたいことの共通点を探して重なる部分をどうにかぎゅっと抽出する、みたいな……カロリーが高く、とても濃厚なやり方だったんです。「カラノココロ」以降も、作品に携わるときはそのやり方で進めてきました。数年経って『BORUTO』の楽曲を書くことになったときに、「ボルトたちのためだけに書こう」という個人的な感情は置いておいて100%寄り添ってみるという振り切り方を試してみたくなり、漫画を読んだりアニメを見たりしながらキーワードをまとめ、こんな曲が流れていたらカッコいいだろうというテンションで書き上げました。「VOLTAGE」を改めて聴くと不思議ですが、今の自分に当てはまる言葉がたくさん並んでいて驚いています。ちなみにこだわりは、よく聞くと「カラノココロ」が混ざっている箇所があることです。

――そんな『NARUTO』、そして『BORUTO』で好きなキャラクターを教えてください。

Anly　シカマル推しなのですが、アニメオリジナルの「カカシ暗部篇」を観てから、ヤマト隊長も大好きになりました。ヤマト隊長の過去が壮絶すぎて、どうしてそんなまともに成長できたんだ？って不思議な気持ちです。目の漆黒さは修羅場を潜ってきたからなのかと思いましたが、お茶目なところやかわいいところもあったりするので、興味深いキャラクターですね。『BORUTO』ではカワキが好きなのですが、過去回想を見たときに「え、甲じゃん」って思いました。何か理不尽な理由で困難に立たされながらも必死に真っ直ぐに生きようとするキャラクターが好きです。

――アニメ化20周年という長い期間の中での、思い出深いシーンを教えてください。

Anly　ナルトがクシナと初対面したシーンでの、「私を母にしてくれてありがとう、ミナトを父にしてくれてありがとう、私たちのもとに生まれてきてくれてありがとう」のシーンですね。大号泣しました。

――今回、『NARUTO』の物語を彩ってきた様々なアーティストが集結してのライブとなります。その“NARUTO THE LIVE”への意気込みをお聞かせください。

Anly　「カラノココロ」を制作するときに何度も何度も聴いた歴代の楽曲を、生で聴けることを感慨深く思います。そして、私と同じく『NARUTO』が大好きな皆さんに直接歌を届けられること、一緒に過ごせることを幸せに思います。

――“NARUTO THE LIVE”を楽しみにしている皆さんへ、メッセージをお願いします。

Anly　全力で楽しんで最高の時間にしましょう！

――本連載の次回掲載アーティストはいきものがかりです。いきものがかりさんの楽曲の感想とメッセージをお願いします。

Anly　いきものがかりさんの楽曲は、いつも凛としながらも人間の迷いや弱さもちゃんと混じっている歌詞で『NARUTO』の世界観に寄り添っている楽曲なので、自分自身がOPテーマやEDテーマを制作するときに参考にしていました。『BORUTO』のOPテーマ「BAKU」は新世代感が伝わる弾けたサウンドで新鮮でした。大好きです！

●ライブ情報
アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念
NARUTO THE LIVE

日時：
9月2日(土) 15:00開場 / 16:00開演
9月3日(日) 14:00開場 / 15:00開演
※開場・開演時間は変更となる可能性がござます。予めご了承ください

会場：幕張メッセイベントホール

出演アーティスト：
9月2日（土）出演：いきものがかり／KANA-BOON／CHiCO／ハンブレッダーズ／FLOW
9月3日（日）出演：Anly／ORANGE RANGE／KANA-BOON／CHiCO／FLOW

チケット：
7月18日(火)より一般販売中（先着順での受付。売り切れ次第終了となります。）