INTERVIEW
2023.07.20
――そして、「マスカレードパレード」はアニメ『闇芝居 第十一期』のEDテーマに起用されてます。
宮崎 このお話をいただいたきっかけが、ライブを見に来てくださったことなんですよ。Zepp Diver Cityでやった“フリ放題コーリング2023”で僕らのライブを見て、直接お声掛けいただいて。その場のライブの感動が直に伝わって、こういうお話に繋がった。その経緯が非常に光栄でしたね。そしてアニメの主題歌っていうのは、クジラ夜の街の「ファンタジーを創るバンド」っていうコンセプトとも一番合っているので、これから向かっていく方向性の第一歩としても非常にありがたい機会をいただけたなと思っています。
秦 僕は『闇芝居』をリアルタイムで見ていたくらい、昔から大好きなんです。だから、「やったー!」って思ったし、絶対にクジラ夜の街と合うので、テレビで流れる瞬間を見たら、ちょっと泣いてしまうかもしれないと思いました。
――アニメの制作サイドからは何かリクエストはありましたか?
宮崎 「仮面」というキーワードをいただきました。あとは、おどろおどろしさはありつつ、復活っていうテーマもあって。第十期で一度区切りが付いていて、十期が新しく始まりますよっていう期待もある。ただただ悲しい、怖いだけじゃなく、どこか陽気さもあることを意識しつつ、「仮面」から単語を探っていって。「マスカレードパレード」っていう言葉がそのまんま降りてきたときに気に入ったので、連呼してみようと思って。コードに乗せて、寝室で連呼してたら、そのまま曲になったので、これを軸に決めました。そこからは、割と早かったですね。「マスカレードパレード」という言葉が持つイメージをそのまま入れていって、あとは仮面を被って生きることを、あえて肯定する曲にしてみようっていう。仮面を取りなさいとか、ありのままで生きてくださいっていう曲が多いなかで、そうもいかないなっていうふうに思う部分もあって。だったら、良い仮面をつけて、美しく着飾ることもまた、その人の個性なのではというところに着目して構築していきました。
秦 テーマが面白いですよね。ありのままの自分でいましょうみたいな曲は多いけど、逆をいくんだと思って。おお、斬新だなと思いました。
山本 「マスカレードパレード」を連呼するところが、良い意味で引っかかって。僕は聴いてると狂ってくるような曲がすごく好きなので、クジラでもついにこれができるんだと思って、とても楽しみでした。
佐伯 最初に弾き語りの動画を見たときは、普通に良い感じだなと思っただけだったんですけど、スタジオで合わせたときに、みんなで作った音が思った以上にめちゃくちゃ良くて。その瞬間に絶対にこれだなっていう感動がありました。
――リズムが目まぐるしく変わるユニークな曲になってますが、セッションはどうでしたか?三拍子にもなったり、決めも多いですが。
秦 めまぐるしくリズム感が変わる曲なんですよね。それがすごい作っていて面白いなと思ったし、サビが中華風というか、トラディショナルな感じのメロディなんですけど、その後ろでスネアがずっとパレードをしているみたいな。あそこのドラム、マーチングみたいなスネアは自分がやってるんですけど、自分はロールが得意だったので、これを使えるんだ!嬉しい!と思いました。
山本 間奏に入ったときに、ドラムがハーフで力強いフレーズを叩いて、ギターも大きく動くようなキャッチー且つ攻撃的なフレーズ弾いていて、ベースもほかの楽器は消さないけれど主張してくるような強いフレーズを弾いている。セッション形式で曲を作っているときにたまに一晴から指示があるんですけど、今回は全員で同じようなイメージで楽器を重ねてるなっていう瞬間をこの曲ですごく感じて気持ち良かったですね。
――レコーディングはいかがでしたか?
宮崎 歌は感情を表に出しすぎず、元気よく歌っているけれど、腹の底では何を考えてるかわからないような感じを出したいなと思っていました。笑い声やちょっとがなるようなフレーズもあるんですけど、どれがこの人の本当の歌声なのかわからないように仕上げたいというのは意識していましたね。甘く歌うところもあるし、力強く歌うとこもあるし、不気味な声で歌うところもある。怪人二十面相というか、色んな人格をここにすべて入れてみようという気持ちでレコーディングしました。
――秦さんはサウンドそのものにも、すごいこだわりがあったそうですが。
秦 そうですね。最近のドラムの世界のトレンドでもあるんですけど、割とドライなのが好きで。壮大な曲には合わないんですけど、こういう曲はまさにドライな音が一番合うので、僕がすごい好きな音なんですよ。乾いてるけど、玄人っぽい音を作れたので、ドラムをやっている人も、ドラムをやってない人にも聞いてほしいですね。これが僕の好きな音です!
宮崎 サビ裏のスネアは、もう限界なくらいにピッチをめちゃくちゃ高くして。これ以上やったらスネア壊れちゃうってくらい高い状態で彼にスネアロールやってもらったので、ほかのスネアとの対比みたいなのも上手く表現できましたね。
秦 サビ裏のスネアは有識者にぜひ聞いてほしいですね。僕、あのドラムロールがすごい得意なんですよ。ぜひ関係者の方にもスネアロールでエンドースしたいですね!
山本 (笑)。この曲はギターにモジュレーション系のエフェクターや、フィルター系、ワウっぽいエフェクトをかけてるんですけど、エフェクトの波を曲調に合うように細かく調整した部分が多くて。僕もそこは工夫したので、ぜひ聞いてもらいたいですね。
宮崎 佐伯さんは感じるままでしょ?
佐伯 そうですね。自分の好きなベースラインを詰め込みまくりました。間奏はハーフで、さらにドラムともかっちり合うようなベースラインで難しかったんですけど。めちゃくちゃ上手く録れたので有識者に聞いていただきたいです。
――有識者の皆さん、どうぞよろしくお願いします(笑)。実際に曲がアニメの絵にあったものを見て、どう感じましたか。
秦 『闇芝居』のアニメーションの動き方って独特なんですよ。それがこの曲とあっていてすごくハマってるし、『闇芝居』のスタッフさんもきっと喜んでくださっていると思うので、十二期、十三期、十四期……と続投したいです。
宮崎 「マスカレードパレード2」も良いね。
秦 良いね!八十二期ぐらいまでお願いします(笑)。
山本 めちゃくちゃ続くな(笑)。僕は、自分の人生こんなことになるんだって感じました。自分が弾いたギターが、アニメの絵にくっついて、地上波から流れてきて。面白い人生になったなぁって。
――このアニメでクジラ夜の街を知って、ほかの曲も聴いてみようかなと思う人も多いと思います。もう1曲、おすすめを挙げるとしたらどの曲でしょうか?
宮崎 ファンタジックなものでいうと、物語になっている楽曲は自分の中で自信がありますね。例えば、「ラフマジック」は魔法使いが出てくるんですけど、MVと一緒に見るとストーリーもあって面白いし、「歌姫は海で」とか、自分たちのストーリーがちゃんと出ているような楽曲はぜひ聞いてほしいなと思いますね。
秦 悩むな……これ、めっちゃむずい。「王女誘拐」はイントロがすごいんですよ。ギターが良いフレーズを弾いて、その後ろにある僕のドラムがやばい!これもスネアロールなんですよ。「マスカレードパレード」のサビでは上手いロールをしてるんですけど、こっちではもうエグい16部。ドラマーの人が「マスカレードパレード」を聴いたあとに「王女誘拐」を聴いたらちぎれると思うんですよ。痺れるんじゃなくて、ちぎれるので、ぜひ聴いてほしいです。
山本 僕は「BOOGIE MAN RADIO」かな。これもMVがアニメなんですよ。
――アニメ『オッドタクシー』の木下 麦監督の全編フルアニメーションMVですね。
山本 『闇芝居』のアニメの絵とはまた雰囲気の絵に僕たちの曲がついてるので、曲調の違いも含めて、色々と体験していていただけると思います。
佐伯 僕も「BOOGIE MAN RADIO」ですね。『闇芝居』を観ている人は、この曲好きだろうと思うし、ベースラインもかっこいいので、ぜひ聞いていただきたいです。
――そして、年内にフルアルバムをリリースすることも発表されています。ここからバンドはどうなっていきたいですか?
宮崎 とにかく、まずはヒット曲が欲しいですね。そこが今年の目標なので、大きな流れを生み出せるような楽曲をアルバムで絶対に残したいなと思っています。メジャーデビュー1作目はEPだったんですけど、やっぱり1stアルバムが大事で。これからずっと聴かれる作品になると思うので、もうそろそろ制作が始まるんだなと思うとドキドキしますね。どんな曲に出会えて、どんな世界観に自分たちが行き着くのか。今からすごく楽しみにしています。
●リリース情報
クジラ夜の街 配信シングル
「マスカレードパレード」
7月12日配信リリース
配信リンクはこちら
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
ワンコインCD
品番:SLRL-10117
価格:¥500(税込)
販売箇所:ライブ会場、タワーレコード渋谷店・町田店・名古屋近鉄パッセ店
●作品情報
『闇芝居 十一期』
テレビ東京 毎週(日) 深夜2時35分〜
クジラ夜の街
公式サイト
http://qujila.com
公式Twitter
https://twitter.com/qujila_band
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