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INTERVIEW

2023.07.19

崎山蒼志が夏油 傑をイメージして描いたTVアニメ『呪術廻戦』「懐玉・玉折」EDテーマ「燈」――本作のこだわりや自身の好きなアニメやアーティストについて語る

崎山蒼志が夏油 傑をイメージして描いたTVアニメ『呪術廻戦』「懐玉・玉折」EDテーマ「燈」――本作のこだわりや自身の好きなアニメやアーティストについて語る

TVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」EDテーマ「燈」(あかり)を手がけた崎山蒼志に、リスアニ!WEBとしては初となるインタビューを実施。「燈」の制作を中心に、崎山自身が好きなアニメ、漫画についても話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之

「懐玉・玉折」に寄り添った「燈」、滲み出た“裏テーマ”

――新曲「燈」はTVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」EDテーマ。『呪術廻戦』に対してはどんな印象がありました?

崎山蒼志 最初のイメージは「暗い影のある少年漫画で、大人気」ということです。元々影のある作品が好きなので、以前から漫画は読んでいて。今回、アニメのEDテーマのお話をいただいて改めて読み直したんですけど、「懐玉・玉折」は特に暗いエピソードが多いなと思っていました。

――後に最強の呪術師となる五条 悟、最悪の呪詛師と呼ばれるようになる夏油 傑の高専時代の話が中心になっていて。

崎山 「過去にこんなことがあったんだ」と回収できるというか。夏油さんも若いときは優しかったんだなとか、どうしてああいう人になってしまったのかもちゃんと描かれているんですよね。映画「ジョーカー」と似たような感じもあるのかな?

――なるほど。EDテーマの制作についても、夏油 傑をイメージしたとか。

崎山 そうですね。原作を読んだときも、夏油さんのシーンが印象的だったので。優しさや理想を持っていたのに、だんだんと闇落ちしてしまうというか……。感情に揺らぎがあるところに少し共感できたんです。なので夏油さんにフォーカスして曲を書いてみようと思って。あとはバラードっぽいものがいいかもという話はしてました。

――夏油に共感できる部分というと?

崎山 ほかのキャラクターたちもそうかもしれないですけど、曖昧さがあるんです。愛しいと思ってるけど、時々すごく嫌いになったり、何かの出来事をきっかけに“裏切られた”と感じたり。そういう表裏一体な感じは「わかるな」と思って。

ーー歌詞に関して言うと、“他者を尊重すること”もテーマの1つだとか。

崎山 歌詞に直接現れているわけではないんですけど、裏テーマになっているかもしれないですね。今は色んな人の色んな意見が溢れていて。それは素晴らしいことだと思うんですけど、分断するようなことを(SNSなどに)書いてしまう人もいるじゃないですか。繊細な話題に関してそういう意見を投げかけるのは良くないし、やっぱり尊重し合うことが大事だなと。それは日々感じてることだし、この曲の歌詞のどこかに出ているかもしれないです。

――“孤独under crying”など、独特な言葉遣いも印象的でした。韻を踏むことも意識してますよね?

崎山 そうですね。トラップっぽいビートも入っているし、ラップというほどではないけれど、韻を踏んでいるところもあるので。歌唱については、全体を通してスムーズさ、滑らかさを意識してました。ところどころ強さも出してるんですけど、基本的には感情をぶつける感じではなくて、丁寧に歌ってみようと。

――歌の表現も広がってますよね。

崎山 嬉しいです。最近、自分の過去の作品を少しずつ客観的に聴けるようになってきて、「こういう感じだったのか」と。それを踏まえて、歌の幅も広がってるのかもしれないです。

――なるほど、ギターについては?

崎山 曲に馴染むようなニュアンスを意識してたかな。ネオソウルの文脈のギタリストが好きで、自分でもやってみるんですけど、なぜか違う形になってしまって(笑)。

――崎山さんのギターの響き、すごく独特ですからね。「燈」という曲名については?

崎山 明るすぎない、温かみのある光が灯っているというイメージがあったんですよね。“燈”って仏教用語でもあるらしくて。『呪術廻戦』にも神社や仏閣が出てくるし、似合うのかなと思ってこの曲名にしました。仏教にもちょっと興味があって。“推し僧侶”は山側宗玄老師ですね。NHKの「こころの時代~宗教・人生~」で特集されているのを見て、素晴らしいなと思ったんです。

――渋い。エンディングの映像を観て、どう思いました?

崎山 すごく優しくて、きれいな映像だなと思いました。悲しさや切なさもあるんだけど、楽しそうな場面もある。曲に合わせてもらっているところもあるので、ありがたいです。アニメ作品に関わらせてもらうときは、その作品のことをすごく考えるし、歌詞も世界観やストーリーを意識するので、普段だったら書かないような言葉も出てくるんですよ。『僕のヒーローアカデミア』のときもそうでしたけど(TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第5期EDテーマ「嘘じゃない」)、原作の漫画、アニメを愛している人に喜んでいただけるような曲を書きたいし、「良かった」と言われるとホッとしますね。

――ちなみに崎山さん、夏油と五条のように、学生時代に切磋琢磨した経験ってありますか?

崎山 自分はないですね。割とヘラヘラしてたので(笑)。音楽はめっちゃ好きだったし、曲を作ったりもしてたので、中学生くらいから「音楽に携われたらいいな」とは思っていました。こうやって活動させてもらえてるのはすごくありがたいです。

――闇落ちすることもなく。

崎山 はい(笑)。皆さんと同じく、気分の浮き沈みはありますけどね。

「中学生くらいの頃、漫画家になりたいと思っていたんですよ」

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