INTERVIEW
2023.07.13
リスアニ!では、9月に開催される“アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念「NARUTO THE LIVE」”の開催記念インタビューを実施。第1回目は、「シルエット」など数々の楽曲でタッグを組んできたKANA-BOONにインタビューを敢行した。
デビューが決まった際に「今後の指針」をスタッフと共に話し合ったKANA-BOONは、「アニメのタイアップ曲をやるなら、その最初の作品は『NARUTO-ナルト-』と決めている」と話したという。2013年9月に「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューへと駆け出した彼らは、その翌年2014年に夢であった『NARUTO-ナルト- 疾風伝」のOPテーマ「シルエット」を制作。ギターのイントロに合わせて、まさに忍界大戦を戦うナルトが、サスケが、カカシが、オビトが、視線を前へと向ける。その映像が流れたとき、ナルトと共に育ったバンドの想いが結実した瞬間だった。あれから9年、「きらりらり」まで実に5曲の『NARUTO』ソングを紡いできたKANA-BOON――その想いとは。
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INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち
PHOTOGRAPHY BY 草刈雅之
――まずは『NARUTO-ナルト-』(以下、『NARUTO』)のお気に入りのキャラクターを教えてください。
谷口 鮪 好きなキャラはヒナタです。キャラクターとして、積極的に前に出るようなタイプではないけれど、勇気をもって変わっていく姿をヒナタを通して学んだところがあるので、すごく好きなんです。
――どのシーンでヒナタのそういった部分を発見されましたか?
谷口 ペイン戦での、ナルトを守ろうとしたところですね。それまではすごく怖気づいていたヒナタが、誰かを守る側に立つ。その変貌がすごく印象的でした。
――続いては古賀さん、お願いします。
古賀隼斗 僕はロック・リーが好きです。忍術が使えないというハンディキャップがありながらも、体術という自分がそこでしか勝負できないところでめちゃくちゃ努力をして、忍術を使う人をも凌駕していく姿に憧れます。ナルトもそうですが、曲がったことが嫌い、という信念をロック・リーからもすごく感じられて。絶対に諦めない心を持っているところもすごく好きですね。
遠藤昌巳 僕の好きなキャラはシカマルです。元々頭の良いキャラクターが好きで、シカマルを見たときの衝撃は大きかったです。子供の頃に兄と将棋をよくしていたのですが、常に負かされていたこともあって将棋の強い人への憧れも強かったので、シカマルに目がいくようになりました。しかも頭脳明晰な参謀キャラ!それもあってシカマルが好きです。
――シカマルは良さが出てくるまでに何段階か成長を見せてきていると思いますが、どんな場面が印象にありますか?
遠藤 最初はやる気のない無気力キャラでしたが、そこから中忍試験辺りで実力を見せ始めて、IQの高さも見えてきたんですよね。サスケ奪還編のときにも仲間を助けるために動くところや、仲間のために自分を厭わない精神もすごく良いなぁ、と思っています。仲間を信頼している姿にも惹かれましたね。
――では、小泉さんお願いします。
小泉貴裕 僕はチョウジです。普段のキャラクター性としてはおっとりしていて、食べることが大好きな人ですが、シカマルのことを馬鹿にされたときに食べ物以上に仲間のことを想っている姿が描かれていたんですよね。仲間想いで、熱さもあるところをカッコいいなと思いました。忍界大戦での活躍もそうですが、いざとなったときのチョウジの頼り甲斐のある感じもすごく好きです。
――続いて、皆さんの好きなシーンを教えてください。
谷口 アニメで観ていても「なんだこの作画は!」と震えるくらいクオリティの高い場面がいくつもありましたよね。中忍試験のリーと我愛羅のバトルとか、凄まじかった。一番好きなシーンは、暁との戦いの中、ペイン戦を勝利したナルトが満身創痍で帰ってきたら、里のみんなが「おかえり、ナルト」って迎えてくれるところですかね。誰もナルトを認めてくれなかったあの頃のことが蘇ってきました。マンガでは見開きで仲間たちが待っていた場面でしたね。ナルト自身は化け狐と呼ばれて、嫌われていた頃のことを怒ってはいないし、自分の存在を認められたい云々も戦いの中ではまったく頭にはなかったと思うんですけど、それでもああやって報われる瞬間があり、みんなが認めてくれて、ナルトが今まで経験してきたことや歩んできた道のりが本当に正しかったんだって証明されたシーンだったので、本当に良かったねって、そこはグッときちゃいました。
遠藤 当時衝撃を受けたのは我愛羅とリーの中忍試験です。とにかく作画がすごかった。ストーリーも展開も全部含めて本当に衝撃を受けたシーンでした。そのあとにも衝撃を受けたシーンはありましたが、あそこが最初でしたね。そこからどんどん目が離せなくなっていきました。木ノ葉崩しでのナルトと我愛羅の戦いもすごかったですよね!守鶴が大きくなって、ナルトはこんなに大きな敵に立ち向かうのか、という驚きもありましたし、そこからのガマ親分の口寄せで守鶴と対峙する場面も大興奮でした。とにかく毎週、テンション高くアニメを観ていたことを覚えています。
小泉 先ほどお話したシカマルを馬鹿にされてチョウジが怒るシーンも好きな場面なのですが、その場面も含めたサスケ奪還編というエピソードは印象的でした。サスケ奪還のために隊長としてナルト、チョウジ、ネジ、キバを率いていたシカマルが、その任務でみんなが重傷を負ったことに責任を感じて初めて泣いたところも忘れられません。隊長だったのに、みんなを無事には帰せなかったことで悔しさと申し訳ない気持ちとが押し寄せるシカマルの姿が胸に刺さりました。それから、ナルトとヒナタの結婚式でイルカ先生がナルトの親として参列するシーンはもう、涙が止まらなかった……。
古賀 僕も中忍試験編がアニメでは印象に残っていますし、毎週楽しみにしていましたね。先ほどの話ともかぶってしまいますが、やっぱり僕の好きな場面はリーの戦闘シーンですね。忍術が使えずに体術だけでここまでやってきて、みんなを圧倒する場面が印象深いです。
――『NARUTO』という作品に対しての印象を教えてください。
谷口 ずっと読んできたマンガで、身近に感じている作品です。アニメは普通に楽しみながら観ていたのですが、後々にそのオープニングやエンディングをバンドが担当していることに気づいて。それこそASIAN KUNG-FU GENERATIONさんの「遥か彼方」とか。後々に自分の音楽的なところにも繋がっていくんですけど、音楽がとにかくカッコいいなと思っていました。オープニング、エンディング含めて素敵な作品だなと思っていたなぁ、と記憶しています。
――実際に楽曲を担当することになったときには、どのような想いがありましたか?
谷口 めちゃくちゃ嬉しかったですよ。デビューするときに「やりたいことがあれば言ってください」と言われたときに、「『NARUTO』の主題歌をやりたいです」と伝えていたんです。そこから約2年後に叶ったので、それが本当に嬉しくて。変にプレッシャーを感じるわけでもなく、自然体で「シルエット」は完成しました。運命のようなものを感じています。
――「やりたいことを言ってください」に対する「『NARUTO』の曲をやりたい」という言葉はバンドの総意だったんですか?
一同 総意です。
――皆さんお好きだったんですね。
谷口 はい。初めてのアニメのオープニングタイアップは『NARUTO』がいいという希望を、レコード会社が一緒に叶えてくれたことが本当に嬉しかったです。
――ずっと傍に在ったという『NARUTO』との出会いとその印象を教えてください。
谷口 きっかけは周りのみんなが見ていたことで、その波に乗って読むようになりました。高校のときにはみんなで「週刊少年ジャンプ」を読んだりもしていましたね。やっぱり学びもあるし、影響を受ける部分も大きかったですね。それこそ「自分の忍道は曲げない」というナルトの姿勢と同じく、僕も音楽を始めてから「絶対にデビューするんだ」という想いは曲げませんでした。音楽を、ミュージシャンを職業にしたい気持ちとナルトの想いがすごくシンクロしましたし、アニメの中で活躍するナルトがライバルの同級生のような、親友のような感覚がありました。
小泉 僕も原作から出会いました。『NARUTO』って、一度戦った相手の背景も丁寧に描いて、そのうえで戦いの中で出てくる感情もしっかりと描いて見せてくれる。そこに共感をしたり、影響を受けたりもしてきました。もちろん火影になるという夢のために真っ直ぐ突き進むナルトの姿に、バンドをやっている自分の姿も重ねて歩んできたなと思います。
遠藤 僕は友人に原作を教えてもらったことがきっかけでしたね。単行本を買って読んでみたらすごく面白くて、そこからは単行本が出るたびに買っていました。ナルトも好きなのですが、最初はヒナタにシンパシーを感じていたんです。あまり自分を強く出すようなタイプではなかったですし、今もどちらかといえば引っ込み思案なところもあるのですが、ナルトを目標に、ナルトを信じて頑張るヒナタの姿を見て胸を打たれたことを思い出します。特に子供の頃に見たヒナタとネジの中忍試験での場面は印象に残っています。ほかにも戦闘シーンなど、少年心をくすぐられるような展開に胸を躍らせてきた大切な作品です。
古賀 僕はジャンプをずっと読んでいたことで出会いました。「アニメ化決定!」のニュースには世間と同じく友達とざわついていて、どんな声だろう、「だってばよ!」ってどんなニュアンスになるんだろうってアニメ放送を楽しみにしていました。当時はナルトと自分を重ね合わせることはなく、完全に1つの作品として観ていましたね。アニメで「遥か彼方」が流れるオープニングを観て「すごくカッコいいな!」と思っていたのですが、自分たちが主題歌をやることが決まってから、ようやく自分と重ねることができたんです。そこからだんだんナルトが大人になっていき、息子としてボルトが登場して、バトンを渡していく姿を見ていて、そのストーリーがバンドと重なるなって思ったんです。そこが僕にとってのターニングポイントになりましたし、『NARUTO』の見え方が変わりました。
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