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INTERVIEW

2023.07.09

【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第1回:羊宮妃那、小日向美香、林 鼓子が語り合う、第4話までの“迷子たち”の音楽・ストーリー・演技論

【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第1回:羊宮妃那、小日向美香、林 鼓子が語り合う、第4話までの“迷子たち”の音楽・ストーリー・演技論

次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」発の“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンド、MyGO!!!!!。彼女たちの“迷うことを迷わない”物語を描く新作アニメーション『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』が、この夏、ついに開幕した。

リスアニ!では、そんなアニメの魅力を音楽面を軸に掘り下げる連載特集を展開。連載第1回となる今回は、MyGO!!!!!のボーカル・高松 燈役を演じる羊宮妃那、ベースの長崎そよ役を務める小日向美香、ドラムの椎名立希役を担当する林 鼓子に集まってもらい、現在放送中の第4話までの話題を中心に、アニメのOPテーマ「壱雫空(ひとしずく)」、EDテーマ「栞」、そして彼女たちが演じる3人のキャラクターがかつて結成していたバンド・CRYCHICの楽曲「春日影」について大いに語ってもらった。

■【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』――“迷子たち”の音楽を徹底特集!

【特集】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』――“迷子たち”の音楽を徹底特集!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

燈・そよ・立希、各キャストの視点から語る第4話までの“迷子たち”

――ついにアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』の放送がスタートしました。今の心境、ファンの反応・反響を受けての感想をお聞かせください。

小日向美香 まず、私自身はアニメに出演することが初めてなので、それをようやくお届けできたことが嬉しくて、すごく感慨深い気持ちで……気を抜くと今も泣きそうになります(笑)。

林 鼓子 私もまずは安心感が強くて。最初の頃はキャストの名前を明かさずに活動していて、コロナの影響もあって「どうなっていくんだろうなあ」っていう気持ちがあったんですよね。顔出ししたのは4th LIVE(2023年4月9日開催の“MyGO!!!!! 4th LIVE「前へ進む音の中で」”)からでしたけど、アニメでよりたくさんの方にMyGO!!!!!がどういうバンドなのかを見てもらえるので、「ようやく動き出した!」っていう気持ちですね。

羊宮妃那 私……実は、MyGO!!!!!が始動した日に、皆さんの反応を見て、色々感じたことをメモに書き留めていたんです。

――(高松)燈のノートみたいじゃないですか。

羊宮 アニメの放送が始まった日、それを改めて見返したときに、「こうなると嬉しいね、燈ちゃん、一緒に頑張っていこうね」と思っていたことが、徐々に実現して、皆さんとともに見える景色が広がっていることが嬉しくて。アニメの感動ももちろんですが、皆さんありきでまた1つ感動が生まれた瞬間でした。

小日向 放送が終わった後の皆さんの感想を見ていると、私が「こういう想いを込めて演じられたらいいな」と思っていたことを、汲み取ってくださっている方が結構いらっしゃって。

 私も(視聴者の反応を)見ていて、(長崎)そよに対するコメントに「おっ!」って思うのがあった!ネタバレになっちゃうので詳しくは言えないんですけど(笑)。

小日向 そう!アフレコのときは、まだ不安な気持ちもあったんですけど、そよちゃんの抱えている想いに気づいていらっしゃる方がいて嬉しかったです。

 私は(椎名)立希みたいな役を演じるのが初めてだったので、ファンの方からは「えっ!?何度聞いても林じゃない!」という反応が多くて(笑)。それだけ私が立希になれていたということだと思うので、すごく嬉しい反応でした。立希は第4話までだとツンツンなところしか見せていないので、みんなを怯えさせてしまったかもしれないですが(笑)、すごく人情深い、良くも悪くも自分の感情に真っ直ぐで熱すぎる子なので、この先、そういうところが皆さんに伝わればと思っています。

羊宮 私は燈ちゃんを演じるうえで、演技と同じくらい歌も、バックボーンを突き詰めて向き合っているので、OPテーマもEDテーマも、そして第3話に登場した「春日影」も、歌い方から込める気持ちまで、すべてが意図したものになるよう、燈ちゃんの歌になるよう、心掛けています。

――第4話までを振り返って、皆さんが印象に残っているシーンやエピソードを挙げるとすれば?

 私は第4話の「……誓う、燈とだったら一生でもいい」というセリフが印象に残っています。アニメ放送前から印象的に使われている、燈ちゃんの「一生、バンドしてくれる?」というセリフに対する立希のアンサーなので、アフレコでもすごく大事に演じました。あのシーンでは立希が(燈に対する)特大感情を発揮しているんですけど(笑)、その感情を単純に「好き」でまとめるのは立希に申し訳ないと思っていて。尊敬している気持ちもあるし、きっと守りたい気持ちもあるだろうし……そういう色んな感情が一緒になってのあの態度なので、バンドをやるうえでの覚悟が普通とは違うんですよね。「燈とバンドをやるためには、私は全部を捧げる」っていう人だと思うので(笑)。そういう重みが出ればいいなと思いました。

羊宮 本当にそう思う!一緒にアフレコしたとき、温かさと熱意がすごく伝わってきて。普通であれば、私もそれに応えて演じるべきなんだけど、燈ちゃんはCRYCHICの件もあってか、立希ちゃんのことをまだ……。

 ちょっと距離があるんだよね。だって第1話では避けられたもん!(笑)。燈ちゃんは立希が怒っていると思っているんだろうね、きっと。だから掛け合いが難しくて。燈ちゃんは「えっ……立希ちゃんは何でこう言ってくれるんだろう」って一回考えちゃうんですよ。だから立希が期待したようなレスポンスが返ってこなくて。

羊宮 そう!掛け合えてないんだよね(笑)。燈ちゃんを演じるうえで、すべてを受け止めるときには、ちゃんとそういうバックボーンがないとダメなので、ある意味、難しいシーンでした。

小日向 私も第4話はみんなが前に進み出すし、それぞれのキャラクターが立ってくるところが好きなんですけど、一番印象に残っているのは、CRYCHICの過去が描かれる第3話です。みんなの居場所になっていたものが一気に崩壊していくところを、1話の中で全部表現するのがすごく大変で。みんな幸せな感情から、最後のどん底の感情までを、一息にアフレコで描かないといけなかったので。

 あそこは言うなればMyGO!!!!!の「エピソードゼロ」だからね(笑)。立希がなぜ燈ちゃんのことを気にかけるようになったのかもわかるし、第3話を何回も見返すことで、そよの抱えているものもわかると思うし。

小日向 うんうん。燈ちゃんも、自分がノートに書いていたものを肯定してもらえて、前に進むきっかけになっただろうし。

羊宮 そう……!

 私は燈ちゃん視点で描かれる「春日影」のライブシーンがすごくグッときました。メンバーみんなをグルッと見回して……しかもあんなにも否定的だった立希が笑顔を返すんですよね。(豊川)祥子は、「いいですわよ、燈」みたいな感じだし。

羊宮 そう!(燈が)手を差し伸べたときに、「うん」ってうなずくんだよね!

小日向 わかる!私、今朝も電車の中でYouTubeに上がっている「春日影」の動画を観ながら泣きそうになった(笑)。

――羊宮さんが印象に残っているシーンは?

羊宮 全部なので絞るのが難しいですけど……幸せになれたという意味では、(第3話の)CRYCHICのみんなでカラオケに行ってわちゃわちゃするシーンは、第4話までのなかで一番落ち着いて観ることができました。

――燈は第1話でも(千早)愛音に連れられてカラオケに行きますけど、カラオケでは毎回必ずマラカスを持ちますよね。

 それについては1つ考察があって。燈ちゃんはCRYCHICのみんなとカラオケに行ったのが初カラオケだったので、多分、そのときに祥子から「燈、これ持ってみなさいよ」みたいなことを言われて、「カラオケはマラカスを持つもの」というイメージになったんだと思う。

小日向 そっか!でも、かわいいけど、なんかつらいね……。

羊宮 私もそう考えるとすごくつらくて……。

 燈ちゃんからすると、カラオケは祥子の印象が強いだろうから、愛音に連れていかれたときも、ああいう反応になっていたんだと思う。

羊宮 だよね!だって、愛音ちゃんに連れていかれたとき、ドリンクバーのほうをサッと見るんだよ。

 燈ちゃんは自分の気持ちを上手く出せないから。愛音も面白いキャラクターだよね。ただの明るい子ではなく、あんなにも打算的に動いているんだと思って。

小日向 アフレコを経て、愛音ちゃんの印象が一番変わったかも。

羊宮 第4話で、燈ちゃんが愛音ちゃんに対して「ありがとう」と言うシーンがあって。燈ちゃんの中でも愛音ちゃんは特別な存在に変わりつつあるのかなと思いました。少しずつ心を開いて、もう一回何かを信じてもいいんじゃないかって。

「春日影」が照らし出すかつての温かな景色、バンド活動の原風景

――ここからはアニメに登場する楽曲の印象について詳しくお聞かせください。先ほど話題に上がった「春日影」は、燈・そよ・立希がかつて結成していたバンド・CRYCHICの楽曲として、第3話で披露されました。

小日向 「春日影」はアニメのアフレコが始まる前にレコーディングしたので、正直、CRYCHICのことをまだうまく掴みきれていなかった部分があったんですけど、完成した楽曲を聴いたときに、CRYCHICがみんなの居場所になっていたことが伝わってきて、あまりにも感動して大号泣してしまったんです。それくらい温かかったんですよ。特に燈ちゃんの歌声。その歌声から幸せな気持ちが伝わってきて。

羊宮 嬉しい……!

 私も「温かい」というのが最初の印象でした。タイトルも陽だまりを連想させるようなものですし。あとは3拍子の曲だったので、そこからもCRYCHICの方向性が伝わってきて、クラシックミュージック的な要素が入ってくるバンドなのかなと思いました。コーラスのレコーディングも楽しかったです。“せつなくて いとおしい”“しあわせで くるおしい”という歌詞がめちゃくちゃ良くて。

小日向 だよね!

 燈ちゃんにとってのCRYCHICは、そういう場所なんだろうなと思いました。一緒にいると温かすぎてむず痒いときってあるじゃないですか。仲が良すぎて、それが逆に恥ずかしいみたいな。きっと立希にとっても、みんなは友達と呼べる存在だったのかなって。

羊宮 まず祥子ちゃんが「人間になりたいうた」(第3話挿入歌)という楽曲を作ってくれましたけど、あれは燈ちゃんがノートに書き出していた言葉を繋げてくれた歌で、どちらかというと「なんで自分はこうなんだろう」という暗い気持ち、自分だけの世界の言葉が多かったのに対して、「春日影」は“きらりきらり”のように明るい言葉が多くて、誰かを通じて感じることの増えた世界が描かれていると思うんです。“あの日泣けなかった僕を 光は やさしく連れ立つよ”はCRYCHICそのものに伝えている気がしますし、“どうかこのまま 離さないでいて”という言葉からも、燈ちゃんにとっての居場所の大切さをすごく感じて。私もレコーディングの時点で細かいストーリーまでは知らされていなかったのですが、すり合わせをさせていただく中で「CRYCHICの楽曲」であること、燈ちゃんがまだ歌いなれていない状態であること、なおかつ感動を与える歌にしたい、と思考をめぐらせていました。

――なかなか難しそうですね。

羊宮 すごく難しかったです。燈ちゃんの心の叫びになるような感情も出しつつ、でも、まだ自分の感情をうまく表現に乗せることができないから、サビでは真っ直ぐ歌うことしかできないし、今のMyGO!!!!!の歌声に繋がるカケラのようなものも意識するようにして。弱くもなく、でも温かさもあり、「歌声の圧」ではなく「心からくる圧」のような強さが感じられるものになってほしい。「春日影」は燈ちゃんにとっての最初の歌になるので、かなり慎重に考えて歌いました。

MyGO!!!!!の新たな代名詞「壱雫空」が強めたバンドとしての絆

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