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INTERVIEW

2023.07.09

【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第1回:羊宮妃那、小日向美香、林 鼓子が語り合う、第4話までの“迷子たち”の音楽・ストーリー・演技論

【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第1回:羊宮妃那、小日向美香、林 鼓子が語り合う、第4話までの“迷子たち”の音楽・ストーリー・演技論

MyGO!!!!!の新たな代名詞「壱雫空」が強めたバンドとしての絆

――まさに燈の心の内が伝わってくるような歌唱であり、アニメ演出だったと思います。また、アニメのOP・EDテーマはMyGO!!!!!が担当。そのうちOPテーマの「壱雫空」は、アニメ放送に先駆けて、4th LIVEで初披露された楽曲ですが、皆さんはどんな印象をお持ちですか?

小日向 私はオープニングアニメでみんなが笑顔で演奏しているのを見て、MyGO!!!!!として一緒に頑張っている、前を向いていることが伝わってきて、すごく救われた気持ちになりました。アニメは毎回、重たいお話が続くかもしれないですけど、オープニングを観るたびに「早くみんなでMyGO!!!!!を結成して!」って思います(笑)。

 あのオープニングアニメは、現実にいるバンドのMVっぽく作ったというお話を、監督から伺ったことがあって。空模様を気にせず撮っているところも含めて彼女たちの等身大感が感じられるし、それが彼女たちのカラーなんだと思いましたね。今まではMyGO!!!!!といえば「迷星叫」という気持ちがあったけど、きっとここからは「壱雫空」も私たちを代表するような、大切な曲になるんだろうなと思います。

小日向 自分たちが色んなものを経験した曲でもあるもんね。4th LIVEで紗幕が落ちて、私たちが初めて顔を出したときの曲でもあるし、初めてのアニメのOPテーマでもあって。これからもっと大切な曲になると思います。

 先行上映会で、ようちゃんが「アニメを観たうえで今までの楽曲をもう一度聴いてみてください」って言っていたけど、第4話まで観ただけでも、今までの楽曲が全部繋がるよね。

羊宮 そう!「壱雫空」はこんなにも明るくて元気になりそうな楽曲なのに、“もしこの雨が上がっても”というワンフレーズからも、「そうか、これを忘れずに歩いていくんだね」っていう、迷いながらでも進んでいく気持ちを感じ取ることができて。

 CRYCHICがバラバラになったあの日も雨が降っていたもんね。物語とリンクするところがあるし、実際にライブしている私たちにも当てはまるところがあるのがすごくて。“ビニール越しの空から”も紗幕を思い出すよね。

小日向 確かに!

羊宮 MyGO!!!!!の楽曲の歌詞は、知れば知るほど、感じれば感じるほど、本当に色んなものが見えてくると思います。

――羊宮さんはこの楽曲をどのように解釈してレコーディングに臨んだのでしょうか。

羊宮 この曲も塩梅を考えるのがすごく難しかったです。「春日影」くらいの強さで歌うと、みんなの楽器のガツンとくるサウンドに埋もれてしまいますし、OPテーマとしても弱さが際立ってしまうので。でも、第1話の燈ちゃんにも通じるような歌い方にしたかったので、少しだけ力強さもありつつ、何回かレコーディングしながら細かくすり合わせて調整しながら歌いました。

――歌入れのときは、ブロックごとやフレーズごとに調整していくのでしょうか?

羊宮 本当はブロックごとのほうがやりやすいと思うんですけど、私はAメロからサビまでのストーリーが繋がっていたほうが歌いやすい人なので、歌い直すときも通しで歌わせてもらうことが多いです。もちろんCDとしての完成度も必要なので、その意味では編集している部分もあるとは思うのですが。

――なるほど。これはこの楽曲に限らずMyGO!!!!!の楽曲全般に言えることですが、羊宮さんの歌声は感情の起伏が色濃く付いていて、ストーリーが目に見えるような印象があって。それはなるべく通しで歌っていることも関係しているのかもですね。

 普通なら歌を、メロディラインやリズムがある「歌」として捉えるんですけど、ようちゃんはそうではなくて、1つの物語として、というか「燈として歌う」ということを一番に考えていると思うんです。だから最初に聴いたときは不思議に感じて。1つのお芝居みたいな感じで組み立てているので、すごい感性だと思いましたね。

小日向 わかる!OPでもEDでも「春日影」でも、全部同じ燈ちゃんのはずなのに、全部歌声が違うんですよ。感情の違いでの歌い分けいるんだろうなあと思っていたんですけど、「燈ちゃんがまだしっかり声を出せなかったとき」っていう時系列まで考えて歌を組み立てていると知って今、すごく感動しています。

羊宮 嬉しい……!

――一方でこの楽曲はリズム隊のお二人にとって、演奏のハードルがかなり高い楽曲になっていそうですね。

 大変な曲が増えました(笑)。でもメロコア!ロック!って感じなので、叩いていると楽しくて。

羊宮 私のボーカルの先生からは、「あの子のドラムはすごく安定しているから、そこに乗って歌いなさい」とずっと言ってもらっていて。

 嬉しい!「壱雫空」は構成が複雑なんです。基本ツービートですから、叩くのに体力が必要で、休む暇もなく考えないといけない曲ですね。

小日向 (テンポが)速いから、1個飛んだ瞬間にわからなくなりそうだよね。ベースの演奏でも最高難易度の曲で、家で練習するときも、いまだに基礎練習が必要で、ゆっくりのテンポで弾きながらフレーズを確認しています。

羊宮 私は歌うとき、ベースの音とドラムのリズムを聴くようにしていて。これは最近よく感じるんですけど、CD音源の音に合わせてだと歌いづらくなっているんです。ここちゃんの場所によって強弱を付けてくれるドラムと、みかちゃんのベースの寄り添うような安定した響きとかがないと歌いづらくて。

 えー!ダイナミクスを感じ取ってもらっていて、嬉しい!表現できていてよかった。私は吹奏楽部出身で、クラシックピアノの経験もあるので、ダイナミクスには結構気を使っているんです。ロックドラムは基本ラウドですけど、例えばAメロ部分はハイハットの音を少し小さくしたり、ドラムセットをひとつずつ分解するイメージでダイナミクスをつけていき、楽曲を表現できたらと思っています。伝わっていて嬉しい!

羊宮 いや、逆に私のほうが感謝だよ。私もみんなの演奏で感情が乗りやすくなるし、引っ張ってもらったりもするし、熱くなる瞬間がたくさんあって。みんなの音がピタッと重なった瞬間に心がポカッとなるから。

 いやあ、私たち、バンドしてる~!(笑)。きっとグルーヴ感が合っているんだろうね。でも最初の頃に楽器隊がよく言われたのは、「とにかくボーカルを聴きながら演奏しなさい」ということで。

小日向 そうだよね。最初の頃はイヤモニがなかったので、ボーカルをよく聴いて演奏していたところがあって。今はボーカルも聴きつつ、イヤモニのクリックがもう1つの主軸になっているけど。

 あと、私たちは結構アイコンタクトするよね。

羊宮 私もスタジオ練習のとき、みんなのことを鏡で見ながら、「わー、みんな目が合ってる!」って思ってた(笑)。

 練習のときは鏡があるので、鏡越しに目を合わせちゃったりするんですよ。でもそればかりやっていると本番でできなくなるので、練習でも直接目を合わせています(笑)。「私、イケてます?」みたいな感じで。

小日向 イケてる、イケてる。私はサウンドチェックのときからここちゃんのことをすごく見てしまうんですよ。サウンドチェックなんだから音に集中しろっていう話なんですけど(笑)。

 サウンドチェックは大体「迷星叫」を演奏するんですけど、Aメロのところはベースとドラムの手数があまり多くないので、(小日向が)いつもこっちを見てくるんですよ。だから私も「あ、こんにちはー」って。

小日向 「こんにちはー」と思われていた(笑)。

アコースティック編成のEDテーマ「栞」に注いだこだわりと想い

――もう1曲、EDテーマの「栞」はアコースティック編成のゆったりとした楽曲で。先日アコースティック編成のライブで披露されたそうですが、ベースとパーカッションは2番以降に入ってくるので、アニメで流れる1コーラス版だとお二人の出番はないんですよね。

 はい(笑)。でも1番が終わった後に「ふいー」って入っていくので。

小日向 そうそう、「ぶわー」って(笑)。あそこ、めちゃくちゃ緊張するよね。

 この曲はいつものメロコアっぽい曲よりも、燈ちゃんの声が映える曲で、その世界観を壊したくなくて。そういう意味で演奏が難しい曲です。私はこの曲をライブで披露するときはカホンを担当するんですけど、ドラムセットより音数が減るなかでどう雰囲気を作るか、というのが課題ですね。

小日向 私はベース演奏は指弾きで、アコースティック編成のときはフレットレスベースを使うんですけど、エレキベースと同じくらいの強さで弾くと音がアンバランスになってしまうので、力を抜いて、1音1音を大切に、燈ちゃんの繊細な歌声の邪魔をしないように意識して弾いています。でもフレーズがよく動く曲でもあるので、そこで気合いを入れすぎてしまうときがあって。ちゃんとできているといいなあって。

 私、いつも思うけど、ベース上手だよ。

羊宮 また私のボーカルの先生の話になるけど、「フレットレスベースとエレキベースは別楽器だから、それを同時に練習しているなんてすごい」とおっしゃってて。それを聞いたときに、やっぱりみんなすごいんだなあって思ったよ。

小日向 え~嬉しい!私、「栞」はフレットレスベースになるというお話を音楽プロデューサーさんから聞いたときに、その場のノリで「挑戦したいです!」って言ってしまったんです(笑)。ほかの楽曲をアコースティックにアレンジしていただいたものは、フレットレスでも割と弾きやすい譜面になっているんですけど、「栞」は最初からフレットレスベースありきで作られた楽曲なので、プロの方が弾いている音源と同じ譜面になるんです。だからかなり苦戦したんですけど、そう言ってもらえて良かった!

――羊宮さんはこの楽曲を歌うにあたってどのように考えましたか?

羊宮 OPテーマと一緒で、どの時期の燈ちゃんでも歌えるように意識しました。まだ第4話までのことしか話せないので難しいですけど……でも、MVがすごく良くないですか? もちろんエンディングをアニメで毎話聴くたびに燈ちゃん視点で色んな想いが出てくると思いますけど、MVは自分自身や人には言えない悩みを抱えて生きている方々にも寄り添えるものになっている印象があって。“悲しみにすべてを奪われないように 僕は 僕の味方でいようよ”という歌詞もそうですし、それを肯定できなかったとしてもそれはそれで全部“僕”なんだから、っていう。

――優しい曲ですよね。すべてを大丈夫と言ってくれているような。

羊宮 そうなんです。燈ちゃんだけで歌ってしまうと、悲しい気持ちも入れなくてはいけないんですけど、そこが強くなりすぎず、包み込めるように意識して歌いました。(自分の)感情のままに、プラス、燈ちゃんが燈ちゃんを見る目線としても……難しい塩梅ですけど。

“憑依型”か“客観視型”か!? MyGO!!!!!メンバーたちの演技論

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