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INTERVIEW

2023.07.06

岡山大使兼ギネス世界記録™保持アーティストのangela、『K』原作者の新作『AYAKA –あやか-』のOPテーマを新曲「AYAKASHI」で飾る!

岡山大使兼ギネス世界記録™保持アーティストのangela、『K』原作者の新作『AYAKA –あやか-』のOPテーマを新曲「AYAKASHI」で飾る!

angelaの新曲「AYAKASHI」は、オリジナル新作TVアニメ『AYAKA –あやか-』のOPテーマ。この作品はangelaがシリーズを通して主題歌を担当したアニメ『K』の原作チームGoRAによる新作で、宿命を背負う男たちの“キズと絆”の物語。これを和の要素を取り入れたロックで表現したナンバー。デビュー20周年を迎え、勢いの止むことがない2人にインタビューした。

INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉

胸を張って帰れた――デビュー20周年記念岡山凱旋ライブ

――デビュー20周年を記念して5月20日と21日に地元・岡山で開催された凱旋2Daysライブ(angela 20th Anniversary☆岡山凱旋 Day1「全部が主題歌ライヴ!!!」in 岡山市民会館/angela 20th Anniversary☆岡山凱旋 Day2「angela生誕祭」in 西大寺公民館)はいかがでしたか?

atsuko 1年ほど前から少しずつ計画を練り、やっとこの日を迎えられたんだという思いで歌いました。でも岡山市民会館って、本当に自分が子供の頃からコンサートを観に行っていた会場だったので、変な感じでしたね(笑)。いつかこのステージに立てたらいいなとは思っていましたが、もう1人の自分が俯瞰で見ていて、「本当にやってる!」みたいな。

KATSU 変な感じですよね(笑)。当時はC-C-Bを観に行ってドラムの笠浩二さんがいた場所に自分が立っているんだなぁと、不思議というか、何とも言えぬ気持ちでしたね。デビューとしては20周年ですけど、結成からは30周年。それまで、帰るにしてもどこかコソコソしていたところも正直あって。やっと胸を張って岡山に帰れる日が来たという感じですね。angelaのファンであるぢぇらっ子、スタッフ、それからメンバーみんなと一緒に、堂々と凱旋できるミュージシャンにやっとなれたよと胸を張って帰れた感じでした。

――「桃太郎のまち岡山大使」「はだか祭りのまち 西大寺ふるさと大使」と2日連続で観光大使に任命されましたしね。2日目の「angela生誕祭」西大寺公民館の公演はいかがでしたか?

atsuko 高校までこの町で過ごしてきたけれども、すでに実家がここにはないので、帰ることはないんだろうなと思っていたのに、いざライブをするとなったら地元の方が、「あっちゃん(atsuko)が帰ってくる」ということで、会場の近くのお寺などで関連イベントを開催してくださったんです。県外から来てくださるぢぇらっ子(angelaファンの総称)に西大寺の良さを伝えたいという、みんなの愛がすごくて、それが嬉しいような恥ずかしいような、ありがたいような全部が混ざって、でもすべて良い感情の思い出として、いつ思い出しても心が温かくなる経験ができたと思っています。

――西大寺駅のお隣の駅近くで写した『今でも…』のMVが上映されたりと、あの会場ならではの演出もありました。

atsuko 西大寺という私の地元で演るからにはやはり、そこで歌う意味のあるものを歌いたいねとセトリを組む段階で話していました。1つは『蒼穹のファフナー』の「果て無きモノローグ」。故郷に帰れないと知っていながら、戦いに出ていく主人公の歌で、「私も歌詞を書くときに“もうここには帰らないんだろうな”と地元を思い出しながら書きました」とMCで話しをしました。もう1曲は、先ほどの「今でも…」。これは25歳くらいの時に作った曲で、デビューしてから1~2回やったかどうか。この曲の中に地元のことを思い出しながら書いたフレーズがあったので、これは西大寺で歌う意味があるなとセットリストに加えました。さすがに当時のままのアレンジだと、ちょっとお聞かせ苦しいので作り直して、デジタルシングルでリリースもさせてもらっています。

――また、先日『蒼穹のファフナー』関連歌曲でギネス世界記録™「Most songs sung by the same artist for an animation franchise / 同じアーティストにより歌われたアニメーションフランチャイズの歌曲の最多数」として、公式認定されました。これも『蒼穹のファフナー』シリーズの楽曲を作り続け、積み上げてきた結果だと思います。お二人はどのように受け止めていますか?

atsuko これはもう、『蒼穹のファフナー』という作品が、色んな形で続いたからこその結果でしかなくて。自分たちがというよりは、作品に関わった皆様とお客さんがあったからこそ続いてきたことなので、私たちはただ楽曲を作り続けてきただけのことではあるのですが。ただ、振り返ってみるとたくさん作ったねって。オファーがあるたびに、「どうしよう次の曲」みたいな頭を抱えながら作ってきたなかで、こんな未来は本当に想像していなかったので、こんな祝福が待っていたのが本当に嬉しくもあり、みんなで取ったという感じがして、ありがたいです。

KATSU 受賞した時に監督が本当に喜んでくれたり、(原作の)冲方 丁さんもいらっしゃって、「羨ましい」って言われたりして、いや。あなたたちが作った作品でしょって(笑)。そういうふうに、みんなで一緒に取れたのが良かったですね。

「お前はどういう音楽を乗せてくるんだ?」に対して打ち返す感覚

――そういうクリエイターとのご縁の深いところで言うと、今回のOPテーマを歌うTVアニメ『AYAKA –あやか-』は『K』シリーズの原作を担当した作家集団GoRAの新作です。こうしてまた主題歌を担当するのもクリエイターからの信頼感を得ているのかなと。

KATSU この前、言われて嬉しかったのが「angelaさんが関わるアニメって、続きますよね」って。自分としてはまず作品に合う曲が生まれればいいなと思って作ってはいるんですけど、そのなかで常に続いてほしい、続けたいという願いも込めているので、実際にそうなると嬉しいですね。

――「ファフナー」シリーズの場合、1つの大きな世界観の中で楽曲も続編を作り続けていくという形でしたが、今回は関わり方の深いクリエイターの新しいオリジナル企画です。向き合い方はいかがでしたか?

KATSU GoRAの皆さんは「仲間だよ」と言ってくれるんですけど、僕は勝手にライバルだと思っています。これは『K』のときもそうでしたが、7人の皆さんそれぞれに代表作があって、それを出してこられたときに「GoRAとして俺たちはこんな面白い作品を書いた。お前はどういう音楽を乗せてくるんだ?」に感じてしまうんです。それに対して僕らは「こうだ!」と打ち返す感覚。これは「ファフナー」にはありませんね。

――歌詞を書く上で作品のどんなところに注目しましたか?

atsuko 最初に全話のシナリオをいただいて読んだところ、『K』とはもちろん違う話ですけれども、同じく”絆”の物語という意味で、深いところでは繋がっているなと思いましたし、トータルで読み終わったときにすごく気持ち良いところにゴールを作ってくれたなという印象がありました。作品としては水に関する物語なので、歌詞を書くときにも、“波風”“渦”“This Wave”といった水に関わるフレーズでイメージさせていこうと考えました。トータルで見ると、やっぱり八凪幸人という主人公の思いが強く出た歌詞になった感じです。

――歌詞の中でこの作品を最も象徴するフレーズはどこになりますか?

atsuko サビの頭の部分、“無我夢中で”とあるのですが、ここは最後に決まったんです。いろんな言葉をここに当てはめても、なかなかしっくりこなくて。それで締切ギリギリになって、主人公の心情や環境を考えた時にこの言葉が思いついて、ピタッとハマった感じがしました。あと、2番の「期待っていう扉を 不安ってやつがノックする」の部分は個人的に気に入っている歌詞ですね。

――それはご自身の経験ですか。

atsuko そうですね。やっぱり新しいことを始めるときって、期待と不安の両方あるじゃないですか。期待と不安が交錯するみたいな歌詞って、ありがちではあるんですけど、そこにもうひと手間加えた表現方法で、歌詞にできたらいいなっていうところで、生まれたので気に入ってます。

――楽曲がとてもキャッチーでライブ映えしそうな印象でした。楽曲はどのように作っていきましたか?

KATSU 最初はatsukoがギターで弾ける曲にしようと。

――コロナ禍以降、アコースティックギターを練習されていましたよね。

atsuko そうなんです。もう始めて2年になります。今回、歌い出しの部分を私でも弾ける簡単なコードでジャカジャカ弾きながら作っていったんです。それをKTASUさんに聞いてもらって、相談しながらサビに向かって膨らませていく形で作っていきました。私でも弾けるので、ギター始めたばかりの方でも意外と弾けるかもしれませんよ。

KATSU 簡単なんだけど、進行は覚えづらいんですよね。そこが実はトラップ。ただメロディーはすごくシンプルになってるので。

――今回の曲はAメロ~Aメロ~サビという構成で、ここ最近のangelaの楽曲はBメロが極端に短かったり、今回のようになかったりするのは、何か狙いや方針があってのことでしょうか?

KATSU 一応、時代には寄り添うようにしていて、全体の尺は短めにはできてます。 構成に関してもJ-POPを作るのではなく、アニメの中で印象的に残るものとして、Aメロ~Aメロ~サビ、さらにダメ押しのDメロみたいな作り方は意識しましたね。やっぱりこの作品は展開も激しく動きまわるので、スピード感は絶対必要で、楽曲もそういうふうにして、覚えやすいメロディにしています。

atsuko 小難しくしたくはないなとは言っていましたね。

――サウンド面はいかがでしょうか?

KATSU 和の要素は入れたいなと思っていました。最初に作品のタイトルロゴがどんなふうになるのかをリサーチしていたら、筆で書いたようなデザインになるみたいだと聞いて、キャラクターたちも和装であったり、陰陽師的な要素もあったり、神社のある島が舞台だったり、ミタマやアラミタマとか日本的なものが多かったんです。ただ、そこで和に寄り過ぎず、それでいてエッセンスは込められるよう気を使いました。

――イントロのSEにも和楽器が細かく入っていますね。

KATSU あれは琵琶ですね。Aメロ入ってからはししおどしのようなパーカッションを入れたり、水の流れる音を薄っすらいれたりしています。

atsuko angelaとしては珍しくピアノをフィーチャーしています。デモの段階から入っていてピアノのアルペジオが煌びやかでであり、繊細な感じで、水のキラキラした感じに合うから、これは活かしてほしいとプロデューサーから言われましたね。

――サビ後半は特に盛り上がっていきますね。

atsuko 歌い方の細かいところで言うと、“無我夢中で”と伸ばすところが、普段の伸ばし方と違って、“無我夢中で↓”と、フォールするんです。サビの最後も“流れを感じ取れ 衝動↓”と、下がる。サビのその部分が全部そうなっていて、作っている段階から水が高いところから低いところへと流れるように、フォールする感じを全部のサビで出していきたいと、KATSUさんとこだわっていました。ただ、テンポが速くて次の言葉を歌う必要があるので、フォールする幅がちょっとしかないんです。でもニュアンスは出したい。そこで色々と試行錯誤をしましたが、一気に歌ったほうが勢いが出ていいねと。さらっと歌っているようで、そういうところを細かく悩みながら作っていきました。

ステージングは音楽性を見せる、MCは人間性を見せる

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