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INTERVIEW

2023.07.05

古川 慎、アーティストデビュー5周年記念シングルをリリース! 5年間で育んだ「古川 慎の音楽」や本作の軸となった“原点回帰”、“繋がり”について語る

古川 慎、アーティストデビュー5周年記念シングルをリリース! 5年間で育んだ「古川 慎の音楽」や本作の軸となった“原点回帰”、“繋がり”について語る

古川 慎が艶めいた視線で大人の色香を纏った「miserable masquerade」をリリースし、アーティストデビューしてから5年。デビューの頃から自身で歌詞を紡ぎ、クリエイティブな活動で話題をさらってきた彼が、音楽活動5周年を記念したシングル「“Place your bets”」をリリースする。5年という時間をかけて作り上げてきた自身の音楽、過去と未来を繋ぐ“今”の姿が刻まれた本作について話を聞く。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

音楽活動の中で印象的な場面は“ステージ”にまつわるもの

――5周年記念シングルが完成したばかりですが、この5年という音楽活動を振り返ると、どんな時間でしたか?

古川 慎 色々なことがありましたね。最初の音源をリリースしたときは、皆さんがどういう反応を返してくださるのかなという気持ちはもちろん、音楽活動に対してわからないことだらけでもありました。そんなところから始まって、色んな場所に呼んでいただきライブもさせていただきましたし、コロナ禍に入ってから自分だけのライブをオンラインでやらせていただいたこともあったのですが、音楽に対しての向き合い方について大きな変化のあった時間だったと思います。

――例えばどのような変化ですか?

古川 こういう作品でのこういった表現や発言は、自分の作品にも使えそうだなという発見もたくさんありましたし、新たな目線や手法、表現を手にすることのできた時間だったなと思いました。

――その時間の中で特に印象的だった出来事はありますか?

古川 パッと浮かぶのは“おれサマー”(“おれパラPRESENTS ORE!!SUMMER 2020”)に呼んでいただいたことですね。無観客ではあったのですが、野外で、フェス仕様で、とても開放的なステージで歌わせていただけたのはすごく楽しかったです。あともう1つ印象に残っているのは「MAKOTO FURUKAWA Streaming Kinema“from fairytale”」での最後の曲「for fairytale」というバラードを歌っているときに、スタッフさんたちが内緒でペンライトを振ってくれたこと。それを見たときに、泣いてしまいまして。非常に悔しい想いをしました(笑)。そんな素敵な景色がたくさん見られたし、様々なことを体験させていただいた5年間でした。

——そんな初のオンラインライブの会場である東京キネマ倶楽部が古川さんの音楽とすごくマッチしていましたから、ファンの皆さんにとっても印象深かったのではないでしょうか。

古川 たしかにそうなんですよね。だからこそいつかあの場所で、有観客でのライブが出来たらいいなと思っています。言い続けていれば叶うのかなぁ。ディナーショーのような雰囲気のある会場ですから、色々な仕掛けが出来そうですよね。面白い演出ができそうですし、ぜひやってみたいです。

——先日はご自身が出演してされている「Paradox Live」のリアルライブ“Dope Show 2023”では、お客さんの大歓声に包まれるステージも久々に経験されました。声出しOKのライブはいかがでしたか?

古川 痺れましたね、テンションがアガりました。本来であればお客さん一人一人を見てライブをしなくてはいけないですし、自分でもそのつもりでやったんですけど、あの景色を見ると頭が真っ白になってしまいますね(笑)。しっかり100%応えきれなかったという悔しい想いはありましたが、あのときのお客さんの熱量はこの3年間の声の出せないライブを経たものが込められているのを感じましたし、とてつもないパワーだなとも思って。嬉しかったですし、パワーをもらいました。

5周年を記念したシングルの軸となったのは“原点回帰”

――この5年で育み、深めてきた「古川 慎の音楽」とはどのようなものであると思われますか?

古川 アダルティな感じ、なのではないでしょうか。例えば畠中 祐くんや内田雄馬くんの曲を聴いていると、僕らは得意分野が絶対的に違うということを感じるんですよね。畠中くんはR&Bやダンスミュージックが得意だし、雄馬くんもダンスがありつつもハイトーンで気持ち良く歌い上げるタイプの歌手だなと見ています。僕自身、ダンスは得意ではないですし、声の音域としてもそこまで華やかなハイトーンが出るわけではないんですよね。声は年を経ていくなかで少しずつ変化をしていきますが、僕自身も割とロー寄りになってきているのを感じてもいます。

――この期間で、ご自身でも変化を感じられているのですね

古川 はい。そして、僕の歌声は明るくはないし、歌っている楽曲や好みの曲としてもライトな感じよりもダークなものなのだなと改めて感じています。デビューシングルの「miserable masquerade」も明るい楽曲ではなかったですが、そこから大枠として変わってはいないなと最近ふんわりとわかってきて。それを踏まえたうえで暗い雰囲気やアダルティなファクターをどれだけ解像度を高く届けられるか。もしくは抽象化して色々な物事に重ねられるように、歌詞として、歌として、表現していくか。自分自身の音楽は色濃くなってきたとは思いますが、色自体は変わってはいないというか……色の濃淡が少しずつ斑に見えてきているような変化はあります。明るい方ばかりを見るわけではなく、暗いものも抱えながらも「それならどう明るくしていこうか」とか「暗い中でも進んでいく」というメッセージが多かったと思いますね。最近ではそういったものがより反映されているんじゃないかなと感じます。

――サウンドメイクの時点で「こういう曲が歌いたい」という意思はもちろん、「こんな音で」「こういったテンポで」とお話をされながら作っていくと伺っていますが、ご自身で書く歌詞についてはこの5年で見つけたカラーはありますか?

古川 艶ではないでしょうか。感想を見ていると「エロティックである」という声もいただくので、こういう音色/展開になるのなら、艶ある言葉が表現もしやすいよねと当てはめている部分もあるんです。決してエロい歌詞を書こう、と思ってやっているわけではないんですよ(笑)。ただ、ジャズなどの音色を使っていて、ダークで色気があると危ういロマンスが似合う。だからこそこの単語が使えるな、と浮かんできて、その単語を中心に置いて作詞をしていくと全体的に艶が出てくる感じになるんです。大人の恋愛を毎回歌いたいわけではなくて、色々な作品を経験していくなかで「こういうものも面白そうだ」とストックしていた題材を充てて歌詞にしていくことがほとんどで。そういったなかで、「こういうものが書きたい」とテーマを持っているときに音数が足りなくなったとして、どういった表現にすれば音数を合わせてメッセージを歌うことができるのかとか、どういう言い回しをすればいいのだろうか、と思ったときに、そこをカバーできる1つ育ったアンテナが出来始めてきたなと感じています。今回の新曲「“Place your bets”」については、その感覚が非常に強かったです。

――そんな5年の音楽活動の先にある古川さんの音楽が込められた新曲「“Place your bets”」ですが、制作するにあたってどのようなイメージを持って臨まれたのでしょうか。

古川 5周年記念ということで、本来なら「ここまで応援してくれてありがとう」「これからもずっと一緒にいようね」という雰囲気の曲がふさわしいのではないかと思ったんですけど、僕自身の好みとして、そういう存在の曲をやるだろうかと疑問があったんです。大々的にやるとしたら、ド派手なものや激しさのある曲のほうが好きだし、記念ということで出していただけるのであれば今までのファクターを振り返れるものにしたいなと思い、原点回帰のジャズロックでやりたい、とお話をさせていただきました。最初のキックオフミーティングでArte Refactの桑原(聖)さんが、「今回こそ僕が書きます」と言ってくださったので、すごく楽しみでした。こうして「出来たよ」と送られてきた曲はとんでもなく攻撃力が高くて、「おお、これが桑原サウンドか!」とテンションがアガったことを覚えています。

――ジャズロック×古川 慎×桑原 聖というケミストリーのある楽曲となった「“Place your bets”」ですが、歌詞についてはどのような意識で書かれたのでしょうか。

古川 そこも“原点回帰”で。最初のシングルやこれまでのことを踏襲していきましたが、実は最初に「MVをどうしようか」と、コンセプトを考えていたんです。バーッと考えていった結果、過去のものを絡めたら面白いのではないだろうかという案が上がり、テーマとしては「再会」や「復讐」を持ってこようという話になったんです。1stシングル「miserable masquerade」のMVでは赤いドレスの女性に古川 慎は囚われていたのですが、そのストーリーに対してのアンサーというか、逆襲ができたら面白いんじゃないか、と。そうなれば1作目からの繋がりも感じさせることができますから。それでMVの準備と並行して歌詞を書いていき、最終的に「miserable masquerade」というタイトルも歌詞に盛り込むことになっていきました。これなら「miserable masquerade」とはまた別の視点の話という感覚も味わいつつデビューシングルに立ち返れるんじゃないかなと思いますし、そこからさらに一歩踏み出した楽曲になるんじゃないか、という想いを持って作詞をしました。良い感じになったのではないかな、と個人的には思っています。

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