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REPORT

2023.06.30

ASCAが掲げたのは“No Voice, No Live”!熱狂につつまれた約3年半ぶりの“声出し解禁”ワンマンライブをレポート

ASCAが掲げたのは“No Voice, No Live”!熱狂につつまれた約3年半ぶりの“声出し解禁”ワンマンライブをレポート

6月21日、東京・代官山UNITで開催されたASCAのワンマンライブ「ASCA LIVE 2023 “No Voice, No Live”」は、その場にいたすべての人にとって、忘れ難い一夜になったのではないだろうか。彼女が単独公演で“観客の声出し解禁ライブ”を行うのは、実に3年半ぶりのこと。しかも今年2月に声帯ポリープの手術を受けてから、最初のワンマンライブでもある。
だからこそ“No Voice, No Live”というライブタイトルには、様々な意味や想いが重ねられていたわけだが、何よりも彼女の“声”は特別であるということ、その歌声があらゆる人々の“生きる”活力になっているということを、ASCAはこの日、堂々たるステージングで力強く示してくれた。

TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
PHOTOGRAPHY BY 草刈雅之

3年半ぶりの“声出し解禁ライブ”が起こした爆発的な熱狂!

チケットはソールドアウト、フロアはASCA社長の活動を支える社員(※ASCAのファンの呼称)たちで溢れかえったこの日のライブは、意外な楽曲で幕を開けた。それは「このメロディに乗せて」。彼女の1stアルバム『百歌繚乱』の最後に収録されている、応援してくれるファンへの素直な気持ちを等身大の言葉で綴ったバラードだ。彼女はそのサビのフレーズのみを、アカペラで披露。“聞こえてくるのはキミの言葉”“まだここは夢の続き 輝けるように 歌って歌って”――そう歌い上げて、自身が歌い続ける意味、ステージに立つ理由を改めてファンの心にしっかりと届けると、「“No Voice, No Live”始めます」と告げ、一転してアッパーなロックチューン「進化論」に雪崩れ込む。彼女のライブを支えるバックバンド・AS課によるアグレッシブな演奏もさることながら、いきなりフルスロットルで熱い歌声を叩きつけるASCAに呼応するように、オーディエンスものっけから熱狂。サビ終わりでは「ウォオオー」と“進化論”ならぬ“シンガロング”が巻き起こり、ASCAも両手をいっぱいに広げて、幸せそうにその“声”を全身で受け止める。みんなで声を出し合って作り上げるライブ空間――3年越しの願いが叶った瞬間だ。

歌唱後、会場が歓喜の声に沸くなか、白いワンピースに赤いジャケットを合わせた出で立ちのASCAは改めて挨拶すると、「次は日本で初めて声出しが叶う曲です」「みんなの声、聴かせてくれる?」と呼びかけて、今やフェスやイベント出演時には欠かせない人気曲「Howling」を、ライブグッズのフラッグを掲げながら熱唱。元々ライブでみんなと一緒に“Howling(=叫ぶ)”ことを想定して作られたこの楽曲、サビにある“wow wow”というパートはもちろん、ASCAの「3年半我慢してきた想いを、今ここでぶつけていきましょう!」という呼びかけに続いた間奏パートでも、オーディエンスが地鳴りのように大きな声を上げて盛り上がる。その圧倒的な一体感、凄まじいまでの熱気に、「Howling」という楽曲が今ようやくその真価を発揮したことに気づかされる。今までライブで聴いてきた「Howling」ももちろんすごかったが、“声出し解禁”の現場で歌われる「Howling」はもはや別次元だ。

「皆さん、ますます盛り上がっていきましょう。Let’s Go」とクールに言い放って披露されたのは、バンドのグルーヴ感たっぷりな演奏にASCAの力強くも艶やかな歌声が絡みつく「いかれた世界だろ構わないぜ」。さらに彼女が敬愛するシンガーソングライター・阿部真央からの提供を受けたワイルドなロックンロール「NO FAKE」へと繋げ、曲間ではコール&レスポンスを行って観客のボルテージをさらに引き上げる。「そんなんで足りると思ってんの?」とSっ気満点に煽るASCA社長に全力の声で応える社員たち。さらにAS課の竿隊、Saku(g)とokamu.(b)がステージ前方のお立ち台に躍り出てフリーキーな演奏で盛り上げる。

ここで一旦クールダウンということで、ゆったりとしたナンバーを2曲続けて披露。昨年は海外でのライブが多く、日本ではなかなかライブができなかったことに対して、「みんなに忘れられないかな」と焦りや不安を抱いていた時期もあったというASCA。その「忘れられたくない」という気持ちを、阿部真央の楽曲「Don’t leave me」のカバーに乗せて届ける。アコギとピアノの演奏のみをバックにした1番から、ドラムとベースが加わって歌声にもより感情が乗った2番、そしてマイクスタンドを握りしめながら想いをぶつける終盤――そのドラマチックな展開と表現に思わず引き込まれてしまう。続いて歌われたデビュー曲「KOE」での、ひたむきさとエモーションを強調したような歌声にも心を奪われた。

そして現時点での最新シングル「リンネ」を披露。彼女はMCで、この楽曲の歌詞を書いている時期は、喉の不調に悩まされていたと語る。自分の存在価値が揺らいでしまったとき、誰のことも信じられなくなったとき。自身を含む、そんな状況にある人々にとっての「お守りみたいな曲になってくれたら」という想いを込めて、歌詞を書いたのだという。ASCAは、バンドの怒涛とも言えるアンサンブルを背にしながら、まるで大河の流れのように大きく、深く、スケール感のある歌声でこの楽曲を表現。ときに手を前方に差し伸べて、目の前にいるファン1人1人に向けて楽曲に込めた想いを届けていく。“大丈夫、生きていくことは怖くない”と力強く歌う彼女の姿に、きっと多くの人が励まされたはずだ。

「No Voice, No Live」――その“声”がある限り歌い続ける

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