――Guianoさんは公式コメントで「愛の唄」について「難しいことは何もしていない愚直なポップソング」と書いてらっしゃいましたが、そこに至った経緯とは?
Guiano Myukさんは歌唱力もあって、声もいい。どちらも持っている人って、安い言葉になってしまうけど天才だと思っているんです。そういう人に歌ってもらうと、どんな曲でもマジですごくいいものになるので、歌が活きるように、とにかくシンプルでまっすぐで、サビが多い曲を作ろうと思いました。
――ボーカロイド曲を作る場合と感覚は違いますか?
Guiano 全然違いましたね。俺の曲をよく聴いてくれてる人は、「愛の唄」もGuianoっぽいと思ってくれるらしいんですけど。
――コードの運び方や、生楽器と打ち込みを効果的に織り交ぜたダンスミュージックの系譜にあるサウンドデザインはGuianoさんのカラーが出ていますが、普段制作なさっているボーカロイド楽曲はもう少し展開が多いかなとは思いました。
Guiano ああ、そうですね。Myukさんの歌を活かしたかったので、今回は展開を極力なくしてみたんです。だから最初デモを提出するときは「つまんない曲って思われたらどうしよう……!」とすごく怖くて(笑)。でもすごく喜んでくださって嬉しかったです。
Myuk ちょっと暗くてヘビーなテーマをお送りしたので、静かな曲になることを想像していたんです。そうしたらこんなにポップで疾走感があって、「こんな曲聴いたことがない!」と感じるような、放たれるような曲にしていただけてすごく嬉しかったです。私の歌を主体にして考えてくださることもGuianoさんのこだわりやお人柄だなと思うし、それがあるからこそ素敵な曲にもなったと思います。元々Guianoさんの楽曲は海外のダンスミュージックのテイストと和風のテイストの両方があるなと思っていて。最初は「日本のカルチャーが好きな海外の方なのかな?」と思ったんです。
Guiano あははは。名前も英語表記だし、顔出しもしてないし。
Myuk 最初は2010年代の洋楽のダンスミュージックみたいでかっこいいなと思ったんですけど、歌詞を見てみたら、人の心に寄り添いながらも情景が浮かぶ世界を描いていて、すごく共感したし救われる感覚があったんですよね。日本の田園風景や、夏の懐かしさや哀愁と、ポップなダンスミュージックという相反するものがぎゅっと詰まっているのがすごく素敵だなと思って。だから「愛の唄」も、感情を出しすぎないように気を付けたんです。
――Myukさんは自分の気持ちを曲にしてもらったとはいえ、感情を出しすぎない、と。
Myuk 「感情を叫びすぎない」って感じかな。Guianoさんのサウンドと世界観に合うように歌いたかったんです。だから少しクールな感情と、自分の胸のなかにグワッとこみ上げる熱い感情をどちらも込めて、柔らかく歌うことを意識しました。
――冒頭で話していただいたことと繋がりますね。ご自分の感情と一緒に制作をしたクリエイターさんのカラーをブレンドしてアウトプットできるのは、人間のボーカルだからこそできることかもしれません。
Myuk 私自身、ボーカロイドも好きで聴いていたし、初音ミクちゃんのキャラクターや透明感も心地がいいし、ボーカロイドは歌詞をまっさらな気持ちで届けてくれるからこそ、聴いている人の心を代弁してくれるような感覚があると思うんです。人間の声にはその人の力みたいなものが宿っている気がしていて。それは私の音楽活動のスタートが日本民謡なのも大きいと思います。楽譜がない時代から存在する口承文化で、それを歌ってきたところからシンガーソングライターとして活動するようになって、Myukとしての活動をスタートさせて――音楽性は変わりながらも、ずっと人の声が持っている強い力を感じながら活動してきたんです。
――Guianoさんはボーカリストという存在に対してどのように感じていますか?
Guiano やっぱり歌は曲の軸になるものというか。自分でボーカロイド曲を作るようになってもっとボーカロイドが好きになって、人の声の魅力にも気付いてきて、それぞれの良さがあることを知ってからどっちも大好きになって。だから人でもボーカロイドでも、シンガーによって作れる曲も作りたい曲も変わるから、歌う人の存在は俺にとってすべてでもあるんです。だから自分が歌う曲を作るときは「Guianoももっと歌が上手くなってほしいな」と思うんですけど(笑)。
――(笑)。Guianoさんのボーカルも、それこそ公式コメントでMyukさんに宛てた「ただ上手いだけじゃない、人を惹き付けるボーカル」だと思います。
Guiano ありがとうございます。自分の歌にも自分にしかないいいところがあると思うし、ほかに誰もいない声だと思うから、楽しみつつ作っています。「愛の唄」はMyukさんの感情や思っていることを曲にできたらいいなと思いながら作ったので、ライブで披露されていくのがすごく楽しみなんです。ファンの方々にどんな形で届くのかがすごく楽しみで。それを俺が観測できたときに初めて「愛の唄」が完成したなと思えるのかなと思っています。
Myuk 私もライブや色んな場所でこの曲を歌っていけるのが幸せで。ずっと歌を歌ってきて、色んな葛藤があって、やっぱり歌は誰かと作り上げるものだなと感じるんです。聴いてくれる人がいて初めて気付く感情もあって、そういう意味でも「愛の唄」はライブで完成する曲だと思っています。
――では最後に、同い年のお二人は、お互いにどんなことを望みますか?
Guiano 辞めずに頑張ってほしいです。というのも、俺がボーカロイドを始めた時期は、ボーカロイドがあまり盛り上がっていなかったんですよ。
――確かに2014年は、ボーカロイド黎明期を支えたクリエイター陣が続々と、ご自身で歌うアーティスト活動へとシフトした後でしたよね。
Guiano 一気に閑散としたなと俺自身も感じていて。でもどんな時期でも才能のある人たちはたくさん出て来るじゃないですか。それでもやっぱり、聴いてくれる人がいないとどうしても辞めていっちゃう人が多くて。俺はそれがすごく悲しかったし、「続けていたら絶対にもっとたくさんの人に聴いてもらえたのに」って今も思うんです。Myukさんの歌はすごくいいし、同い年で刺激を受ける部分もあるし。才能ある人は辞めないで続けてほしいんです。
Myuk こんなに素敵な曲を作っていただいて、さらにそんなことまで言っていただけるなんて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。私はずっといちファンとしてGuianoさんの楽曲を聴かせていただいているので、これからも新曲を聴けるのをすごく楽しみにしています。
●リリース情報
Myuk デジタルシングル
「愛の唄」
配信中
1. 愛の唄
作詞・作曲・編曲:Guiano
2. フェイクファーワルツ
作詞:Myuk 作曲・編曲:木下龍平
配信リンクはこちら
■mora
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●Myukライブ情報
Knockin’ On Night Door Vol.5 @下北沢 ADRIFT
2023年11月5日(日)
1st stage OPEN 15:00 / START 15:30
2nd stage OPEN 18:00 / START 18:30
チケット購入はこちら
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Guiano 公式YouTubeチャンネル
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